私のいま一番のお気に入り作家、 奥泉光 さんの最新作『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』を大笑いしながら読み終えました。これは電車の中や公衆の面前では読めない本です。
漱石や紅葉先生の小説によって明治の日常会話の片鱗が垣間見られるとするなら、奥泉氏のこの作品は数十年後きっと 平成20年前後の若者語の貴重な資料 となること必至です。
この小説には 『モーダルな事象 桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活』(文春文庫) という先行作品があり、こちらを先に読んでおくに越したことはありませんが、長編なので割愛しても「准教授」を読むのに特に差し障りはないでしょう。
短篇三篇からなるミステリー仕立てのユーモア小説ですが、最後の「森娘の秘密」は謎解きがやや強引。それでも次々登場するキャラクターと彼らの会話が面白くて飽きさせないのがこの本の魅力です。
ただ東大阪市民と千葉県民はある程度覚悟してかからないと、差別だ侮辱だと気を悪くすること間違いなしの描写がここかしこに溢れています(笑)
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