うさぎ小屋 1番館

うさぎ小屋 1番館

2004年10月04日
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(5)

 去年の冬休み行った、コンサートの時には、バヤシに振り回された。当時、といっても今も同じだが、中学生の俺はまとまった金などあるはずもなく、親に無理を言ってお年玉を前借りしてチケットを買った。
 大きなコンサートに行くのはこの時が初めてで、チケットの取り方など良く知らなかった。そこで、よく洋楽のコンサートに行くという、五歳年上のバヤシの兄貴に、チケットの手配を頼んだ。
 俺とモンキーは、バヤシにお金を預け、当日にキャップがみんなのチケットを持ってくるというものだが、見事にやってくれた。大阪に向かう途中の電車の中、俺達は普段にも増してテンションが高く、緊張と、興奮と、期待で武者震いにも似たものが込み上げた。
 前日は一睡も眠れなかった。
 そして、神戸を過ぎたあたりでだったか、バヤシが何やら自分リュックを漁りながら、挙動不審な動きをしているではないか。
 俺は激しく嫌な予感がした。俺の感は自分で言うのもなんだが、良く当たる。
 よく当たるといっても、良い予感は全然当たらないが、悪い予感は百発百中といってもいい。
 バヤシは、ちゃんと持ってきたはずのチケットが無くなったと騒ぎ出し、俺達は一時軽いパニックに陥ったが、結局家に忘れてきていたのが発覚し、バヤシのお母さんに持ってきてもらって、事なきを得たが、あの時ほど失望と殺意を覚えたことはなかっただろう。

 そんなこんなで話が弾んでいたところで、モンキーが改まって、ある提案があると言い出した。その時点で俺は、いやバヤシもそうだっただろうが、何を言い出すかはわかっていた。もちろん、ゼットのラストコンサートに三人で行こう、という提案だった。

 問題はいろいろとある。
 まずは金の問題だが、これはまた親にお年玉を前借りするしかないだろう。
 次に、当たり前だが、チケットを確実に手に入れなければいけないことだ。前回のように、バヤシの兄貴にも協力してもらいたいが、今回ばかりはチケット入手は非常に困難だと予想される訳で、みんなで手分けしてのぞまなければいけない。
 あと忘れてはいけないのが、俺達は受験生であり、そっちの方もヤバイ感じだ。
 俺達が狙っている、ライブ会場は大阪で、というかほかの会場は東京とか、札幌とか、福岡なんかは遠すぎて行けない。時期的には卒業式の三日前なので、その頃にはきっと進学先も決まっているだろう。

・・・つづく





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最終更新日  2004年10月04日 23時06分41秒
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