任務を遂行中の宇宙探査機

 任務を遂行中の宇宙探査機


パイオニア10号 (Pioneer 10)、パイオニア11号 (Pioneer 11)、 ボイジャー1号 (Voyager 1)、ボイジャー2号 (Voyagers 2)
これらの探査機は打ち上げから15年間以上(パイオニアは20年以上) を経過してなお正常に機能しており、太陽系の外へと向かって 飛行を続けています。ボイジャー1号と2号はRTG(放射性 同位元素からの発熱を利用した発電機)が十分に電力を供給でき なくなる2015年ころまでは機能を維持することができると 見込まれています。探査機の軌道を詳しく調べた結果では、 これまでのところ冥王星の外に惑星があるという証拠は得られて いません。この次の大きな成果があるとすれば、 ヘリオポーズ(太陽圏の境界) の位置の発見が有力な候補でしょう。ヘリオポーズから放射されると 考えられている低周波電波はボイジャー1号と2号によって検出されて います。
ボイジャー1号と2号は紫外線分光装置を用いて太陽圏の分光観測 を行い、太陽系外からやってくる星間ガス流を詳しく調べています。 また、宇宙線検出器は太陽圏の外縁部における星間宇宙線のエネルギー スペクトルを観測しています。

いまの飛行速度から計算すると、地球からボイジャー1号までの距離は 1998年1月にパイオニア1号までの距離を抜いて最も遠い人造体となります。

(もっと詳しく知りたい人は、ジェット推進研究所から提供されている 資料 (英語)をご覧ください。)

1994年12月1日現在、地球からボイジャー1号までの距離は87億km、 時速61200kmで飛行しています。同じくボイジャー2号までの距離は 67億km、時速57600kmで飛行しています。


ガリレオ (Galileo)
木星の周回軌道にのって観測する軌道船 と木星の大気に突入して大気の様子を観測する観測船から構成されており、 現在木星への軌道を航行中です。軌道船は木星の周回軌道を航行しながら 木星の衛星を詳しく観測し、観測船は木星大気に深さ600kmまで降下し ながらガス型巨大惑星の内部を初めて観測して観測データを送り返してくる 予定です。
ガリレオは木星に向かう途中で、これまで2つの小惑星 951 ガスプラと 243 アイーダの接近写真を地球に送ってきました。 また、シューメーカー-レビー第9彗星の木星への衝突の映像も良い 場所で撮影して送ってきました。

打ち上げが行われたあと、展開式の高利得アンテナの展開に失敗し、 その後アンテナの展開のための試みが繰り返されましたが、ほぼその 望みは絶たれました。実際に現在ガリレオと地上の間の交信に使用されて いる低利得アンテナでは1秒に10ビットの情報しか送受信することが できません。ジェット推進研究所は、通信できる情報量を可能な 限り増やすため、深宇宙ネットワークの受信アンテナの感度を向上 させたりデータの圧縮化技術(画像情報に関してはJPEGに似たデータ 圧縮フォーマットを使用し、その他の観測機器の観測データに関しては 可逆圧縮を行います。)を開発しました。この結果、高利得アンテナが 使用できないとしても、当初予定された観測対象のうち70%の観測を完了 して地上の受信局に観測データを送ることが可能となる見込みとなりました。 ただし、木星大気の運動の長期連続観測のように画像データを多く必要と する観測項目は最も影響を受けてしまいます。

ガリレオのスケジュール


10/18/89 - スペースシャトルからの切り離し
02/09/90 - 金星の近傍通過
10/**/90 - 金星の観測データの送信
12/08/90 - 1回目の地球近傍通過
05/01/91 - 高利得アンテナの展開に失敗
07/91 - 06/92 - 1回目の小惑星帯通過
10/29/91 - 小惑星ガスプラの近傍通過
12/08/92 - 2回目の地球近傍通過
05/93 - 11/93 - 2回目の小惑星帯通過
08/28/93 - 小惑星アイダの近傍通過

07/13/95 - 大気観測船の切り離し
07/20/95 - 軌道船の軌道修正

12/07/95 - 木星とイオに接近;エウロパの近傍通過
07/04/96 10:01 - ガニメデに接近(軌道番号1)
09/06/96 19:01 - ガニメデに接近(軌道番号2)
11/04/96 13:30 - カリストに接近(軌道番号3)
11/06/96 18:42 - エウロパに接近(軌道番号3A :カリストに接近する軌道中に
偶然 32,000 km まで接近)
12/19/96 06:56 - エウロパに接近(軌道番号4)
01/20/97 01:13 - エウロパに接近(軌道番号5A :太陽と木星の方向が一致する
時期に距離 27,400 km まで接近-観測は行わ
ないが、軌道情報はエウロパの重力場の決定
に利用される)
02/20/97 17:03 - エウロパに接近(軌道番号6)
04/04/97 06:00 - エウロパに接近(軌道番号7A :ガニメデに接近する軌道中に
偶然 23,200 km まで接近)
04/05/97 07:11 - ガニメデに接近(軌道番号7)
05/06/97 12:12 - カリストに接近(軌道番号8A :ガニメデに接近する軌道中に
偶然 33,500 km まで接近)
05/07/97 15:57 - ガニメデに接近(軌道番号8)
06/25/97 13:48 - カリストに接近(軌道番号9)
06/26/97 17:20 - ガニメデに接近(軌道番号9A :カリストに接近する軌道中に
偶然 80,000 km まで接近)
09/17/97 00:21 - カリストに接近(軌道番号10)
11/06/97 21:47 - エウロパに接近(軌道番号11)

(さらに詳しく知りたい人はこちらの詳細をご覧ください。)

1997年6月26日のカリストへの接近と9月17日の接近の間には、ガリレオの 軌道船は太陽の反対側に伸びている木星の磁気圏も通過して観測を行います。 また、木星の環の写真や木星の小さな衛星の写真も撮影します。
ガリレオ4大衛星への最接近距離(比較のためにボイジャーが木星に接近した ときの距離も示します)

ボイジャー ガリレオ(計画接近) ガリレオ(計画外接近)
イオ 20,570 km 1,000 km --
エウロパ 205,720 588 23,200
ガニメデ 62,130 255 80,000
カリスト 126,400 416 33,500

ガリレオのカメラは50000kmの距離から撮影すると分解能が約1kmになります。 したがって、計画外接近(対象となる衛星に接近することが目的でない軌道からの 接近)の場合や計画接近の際の最接近の前後では、衛星全体をおおきくカバーする 視野で500mから2kmの分解能の撮影が可能です。また、計画接近の最接近時 には、中解像度(分解能200m)から高解像度(分解能80m)の画像が10枚から 数百枚程度撮影されます。 ガリレオは『近木点』(木星を周回する楕円軌道上でもっとも木星に接近する 地点)を1995年12月7日にはじめて通過するとき、木星大気中の雲の上 約214000kmの距離を通過します。 磁気テープデータレコーダに関するトラブルのため、最初に木星を周回する 軌道では、イオとエウロパの画像は地上に送信されないことになりました。 そのかわり、イオに接近する軌道が新たにミッションの最後に追加される かもしれません。
(もっと詳しく知りたい人は、米国航空宇宙局(NASA)の 惑星データサービスの ガリレオのページとジェット推進研究所の ガリレオのホームページと ガリレオに関する資料、 ニュースレター、 もう一つの ガリレオのホームページ、それと米国国立宇宙科学データセンターの ガリレオ のホームページをご覧ください。)


ハッブル望遠鏡 (Hubble Space Telescope)
1990年4月に地球を周回する軌道上に打ち上げられ、1993年12月に軌道上 で焦点補正のためのレンズを装着するなどの修理が施されました。 ハッブル望遠鏡は宇宙探査機が惑星に接近して撮影する画像に比べる と低い解像度の画像しか撮影できませんが、長い期間にわたって 繰り返し画像やスペクトルを取得できるという大きな利点をもって います。たとえば、最近の観測データから現在の 火星はバイキングが火星で観測を行った時期に比べて気温が低く、 湿度も低いことがわかりました。また、 海王星の大気中の雲の形は急速に変化するということも確かめ られました。
ハッブル望遠鏡の名前はアメリカの天文学者 エドウィンハッブル (Edwin Hubble) にちなんで名づけられたものです。

ハッブル望遠鏡に関するもっと詳しい説明やハッブル望遠鏡が撮影した 画像の数々はスペース テレスコープ科学研究所から公開されています。ハッブル望遠鏡で 撮影された最新の画像 は定期的に更新されています。 ( ハッブル望遠鏡プロジェクトの簡単な歴史(英語)もあります。 また、ジェット推進研究所にも ハッブル望遠鏡のホームページがあります。)


ユリシーズ (Ulysses)
ユリシーズは欧州宇宙機構(ESA)と米国航空宇宙局(NASA)の 共同ミッションで、1990年10月にスペースシャトルディスカバリーに よって打ち上げられました。現在は、太陽 の高緯度地域の上空領域を航行しながら観測を行っています。 打ち上げられたあと、まず木星へと 向かう軌道に投入され、1992年2月に木星の重力を利用して軌道面を 90度近く傾けて黄道面を 離れました。1994年9月中ごろまでに太陽の南緯80度の延長上に まで到達し、1995年6月には黄道面を通過して太陽の北極側に まわりました。ユリシーズの遠日点 の太陽からの距離は5.2天文単位(1天文単位は地球と太陽の間の平均 距離)、近日点の太陽からの 距離は驚くことに1.5天文単位です。そう、つまり、太陽を観測する ための探査機が観測を行う場所は常に地球から太陽までの距離より も遠いのです!ユリシーズによって、太陽の磁場と 太陽風についての理解が深まる ものと期待されています。
(ジェット推進研究所にある ユリシーズのホームページとESA(欧州宇宙機構)にある ホームページ、ジェット推進研究所からの 資料や 情報(英語)もご覧ください。)


ウィンド (Wind)
1994年11月1日の打ち上げ後、NASA(米国航空宇宙局)の 人工衛星ウィンドは太陽と地球の間の特等席を利用して太陽風として 知られる巨大なエネルギーと運動量の流れを観測する予定です。
ウィンドの目指す主な科学的成果は、太陽風のエネルギーと運動量を 計測することにあります。太陽風は地球の周囲の宇宙空間環境に影響 を及ぼしています。これまでにもいくつかの観測ミッションで太陽風 の観測は行われてきましたが、太陽風の流れの変化に対して地球の 大気がどのように反応するのかを正確に理解するためには、ウィンド のように大量の観測データを宇宙空間のいろいろな地点で収集する ことが不可欠です。

ウィンドの打ち上げは、ロシアの観測装置がアメリカの探査機に搭載 される史上初めてのケースになります。ロシアのイオフェ研究所で 開発されたコヌスガンマ線分光計はウィンドに搭載される2つの 観測装置のうちの1つで、太陽風の観測ではなくガンマ線バースト の観測を行います。

打ち上げ後、まずウィンドは地球と月の重力を利用して8の字型の 軌道に投入されます。地球から最も遠く離れる地点までの距離は 160万km、最も近づくときの距離は29000km以上になります。

その後、ウィンドは軌道修正を行って地球からの距離を150万km から169万kmの間に保ちながら常に太陽と地球の内側に位置する ことのできる特殊な軌道に投入される予定です。

訳註:ウィンドは1994年11月1日に打ち上げられました。派遣計画に ついての詳しい解説がNASAゴダード宇宙飛行センターの ホームページにあります(英語)。




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