PR
『ババ抜き』 永嶋恵美 、 『アンソロジー捨てる』 文芸春秋に収録、初版2015年11月15日、第69回日本推理作家協会賞(短編)
私と三枝、金井の三人は、課の旅行で会社の保養所に来ていた。3人は職場で〝三ババ〟と呼ばれていた。台風の影響で、外の出ることができない。テレビもアンテナが壊れて映らない。トランプをすることになった。ババ抜きだと抵抗があるので、ジジ抜きにした。
ジジ抜きに飽きたころ、三枝が罰ゲームをやろう、と言い出した。負けた者が自分のでも、他人のでもいいから秘密を暴露するのだ。
金井ばかりが負け、到頭、自分の離婚に関する秘密を打ち明け始めた。
私はなぜか負けなかった。
三枝が負けた。現在、彼女は家庭内離婚状態にある。なぜ、そうなったのかを話し始めた。
金井と三枝の秘密を聞いているうち、読者は、二人が不幸な目に遭った原因が「私」に関係していることを知る。
同じ職場で、本来ならば助け合ってゆくはずの女同士が、腹と腹の探り合いをおこない、相手の弱みを握り、一方で弱みを握られないよう努力している。こうしたOLの醜い面を本書は表現している。
いつから日本はこのような国なったのだろうか。日本民族とは何者か、ということを考えさせてくれる内容になっている。
ホーム・ぺージ『これがミステリーの名作だ』も御覧ください。
http://bestbook. l ife.coocan.jp
『昨日がなければ明日もない』宮部みゆき―… 2019.05.09
『それまでの明日』原尞――調査の報告をし… 2019.03.21
『ファーストラヴ』島本理生――父を刺殺し… 2019.03.01