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<あらすじ>
1948年のある日、神戸に住む寺田辰弥は、岡山県の山村・八つ墓村でいちばんの大金持ち・田治見家の血を引いていることがわった。そして、会社を辞め、家を継ぐため八つ墓村に帰ることになった。
八つ墓村出身の諏訪弁護士の事務所で、辰弥は迎えに来た祖父といた。突然、祖父が苦しみだし、そのまま絶命した。
彼が八つ墓村に着くと、次々に殺人事件がおこった。事件の解決に挑むのは、たまたま村に滞在していた金田一耕助だ。
<良さんの解説>
本書『八つ墓村』は1938年に、岡山県で実際に起きた津山事件を下敷きにしている。それは津山市の北方20キロにある西加茂村で起きた。一晩で30人の村人が犠牲になった。
また、八つ墓村は戦国時代、村人が落ち武者8人を殺した歴史を持っていた。彼らは3000両のお宝を村のどこかに隠した。26年前には、一晩で32人が殺害されるという事件が起きていた。村人は、二度あることは三度ある、と噂していた。
そんな時に、事件は起きたのだ。
本書のテーマは不連続。殺害される人たちに法則性がないのだ。一応、犯人が落としたと思われるメモはあった。法則性がないということは犯人の動機も分からない。ただ、連続殺人事件は辰弥が八つ墓村にやって来てから起こっている、というのが、村人の共通認識になっていた。
八つ墓村には鍾乳洞が村の地下に網の目のように存在していた。この鍾乳洞が、本書にいっそうの面白みを加えている。
金田一耕助が大した活躍をしないというのも本書の特徴である。
横溝正史の代表作中の代表作で、これまで3回映画化されている。こっちのDVDもおすすめです。
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