墨田区の建築家 「気まぐれブログ」

2017年06月27日
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カテゴリ: 民泊
前回は、行政の法律解釈のゴリ押しの事例を紹介しました。今回は、何故、このようなことが起こるのかもう少し理由を考えてみたいと思います。理由を探った結果、改善されれば良いな。という、希望を込めての考察になります。

まずは、話が分かりやすいように、建築行政が行政の他の仕事と大きく違う点を理解してもらうために、民間検査について少し説明しようと思います。このブログの「民泊から見た・・・4」で少し説明しましたが、以前は、確認申請は役所のみで行っていましたが、1998年の建築基準法改正により、民間による検査が始まりました。民間と言っても、建築審査の経験がある者が審査をしなければならないということで、初めは役所の建築指導課に居た経験者が民間に転職して申請に当たっていました。

ご存知のかたも多いかと思いますが、役所では、2~3年毎に部署が移動します。移動するということは、それまで別の事を担当していた者が、建築確認申請の担当になります。それは、実際の担当者、建築主事、係長等、その部署の全ての職員が新米(言い方が失礼かもしれませんが)になるわけです。

新米ゆえの問題点は「手術件数の少ない外科医に手術をお願いするようなもの」前回書きましたが、今回は、客観的なデータを見ながら考えてみたいと思います。

そもそも、確認申請が行政と民間の両方で確認申請を行っているのならどちらを利用すべきかと考えると、多少申請手数料が民間が高くても民間に頼むことになります。統計でも民間が8~9割を占めています。確認申請が必要な建築数はそうれ程大きく変動していませんので、当然行政の申請業務は減っていきます。データを見てみるとスゴイ勢いで減っているのがわかります。平成12年(2000年)時には建築行政職員1人当たりの確認件数が102件だったのが、平成23年(2011年)には12件ほぼ1割になっています。

これが、逆だったらどうでしょう?民間の検査期間の職員一人当たりの処理件数が1割になるということは、収入が減るので人員を削減しなければなりません。しかし、行政では人員を減らすようなことはしていません。行政職員は皆机に向かって仕事をしているように見えますが、仕事が1/10に減って何故同じように仕事が続けていられるのでしょうか?

経済や社会構造の変化により仕事の種類も多様化していき、新しく生まれる仕事がある一方、なくなる仕事があるのは世の常です。しかし、建築の確認申請業務は、民間に開放されているにも関わらず残っているのです。

碁の格言に「下手の考え、休むに似たり」という格言があります。下手な人が考えているのは曲面を何とか打開しようとしているのでしょうけど、それは、休んでいるに等しいということです。
行政の確認申請がこれににています。つまり、不慣れな行政職員が確認申請を見るのは、時間ばかりかかり、実際にはさほど効果的に審査を行えていない。場合によっては、間違いまで起こすのですから、休むどころか下がっているようです。

行政の確認申請、経済失速の元 」となるでしょうか?

ゴリ押しの建築行政の温床は、仕事が激減したにも関わらず減らない行政職員がいる現状ではないでしょうか。仕事量が1/10になったにも関わらず、人数が減らない職場でどういうことが起こるか想像できます。重箱の隅をつつくような不毛な「指導」。簡単な事柄も上に決済を繰り返す非効率な事務処理。慎重な判断をすると言えば耳触りは良いですが、過度な慎重な姿勢は、日本の経済の減速、国際競争力の低下につながりかねません。
次回は、その辺のことを考えたいと思います。

かなや設計  環境建築家 2017.6.27





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最終更新日  2017年07月24日 20時10分19秒
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