ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2009.05.16
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カテゴリ: 民衆の歴史
イギリスの庶民生活(7)  パブと飲酒…16

パブは様々な組織の事務所の役割も果たしたと書きました。いくつか有名なものをあげておきます。古くはフランス革命の時期に、イギリスにおけるラディカリズムの組織として知られた「ロンドン通信協会」が挙げられます。同協会は、1792年にタヴァーン「ザ・ベル」で産声を上げました。

ストランド街のタヴァーン「クラウン・アンド・アンカー」は、2500名もを収容する大ホールを備え、反穀物法同盟の指導者ブライトやアイルランド独立運動の指導者オコンネルらは、好んでこの大ホールを利用するのが常でした。1836年に結成されたチャーティスト運動の本部も、ずっとここにおかれました。

チャーティスト運動の中には、労働者がその生活を厳しく律して自立した模範的な市民になることが、労働者の政治的かつ社会的な解放に繋がると主張して、飲酒癖の追放を主張すする「モラル・フォース」と呼ばれる1派がありました。彼らは飲酒が労働者を貧困に留めるばかりでなく、知識の習得や政治意識の覚醒を妨げる最大の障害になっていると指摘して、比較的賃金の高い熟練労働者の一部に支持者を持ちました。

しかし、オコーナーをはじめとするチャーティスト運動の主流派は、「モラル・フォース」の運動は、中流階級のイデオロギーに労働者階級を屈服させるものとして、距離を置く姿勢を崩しませんでした。オコーナーは、パブこそが労働者にとっての「自由の牙城」であるのに、何故それを「お上品ぶった」中流階級の諌めに従って、明け渡さなければならないのかと、「モラル・フォース」派を批判しました。

当然ながら、民衆の多くはオコーナーら主流派を支持しました。ブルジョワのイデオロギーでもあった節酒運動に対する労働者階級の反発は根強いものがあったのです。民衆の伝統的な行動様式を積極的にくみ上げていくとすると、パブと飲酒の持つ社会的役割を無視することが出来ないことを、認めざるを得ないのです。
                                 続く





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最終更新日  2009.05.16 16:58:45
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