ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2011.10.21
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カテゴリ: 女性史
ナイチンゲールの世界 (15)

病院で働きたいという、フローレンスの願いは、当然の如く家族の猛反対を受けました。娘たちを由緒正しい名門の御曹司に嫁がせることが、自分の仕事と考えていた母のファニーは、激しく反対しました。

母にとっては、上流階級の人間が働くなどということは、とんでもないことだったのです。ただこの母は、看護婦の仕事が、当時の西欧世界で、どのように評価されていたかは、知らずにいたのです。知っていたら、その反対はより激しいものになっていたでしょう。姉のパーセノーブも同じでした。家族のメンツが傷つけられると、彼女も反対したのです。

しかし、フローレンスにとって、一番辛かったのは、いつも彼女に優しく、大抵の願い事を聞き入れてくれ、数学を学びたいという要望も叶えてくれた、父からも強く反対されたことでした。ウィリアム氏は、病院の実情や看護婦に対する社会の評価を、正しく把握していたのです。

娘が看護婦になることを認めた場合、社交界がナイチンゲール家をどのように見るかも、ウィリアム氏には、手に取るように理解できました。ですから、フローレンスに甘い父にしても、フローのこの願いだけは、認めるわけには行かなかったのです。

病院で看護婦として働きたいというフローレンスの願いは、見事に却下されたのです。彼女の鬱屈とした辛い日々が始まりました。フローがこの時期に、親しい友人に書き送った手紙が残っています。そこにはこうあります。
「私は、このまま生き続けたとしても、何の役にも立たないでしょう。私は、何も出来ないつまらない人間なのです。」

落ち込んだ彼女は、次第に鬱病の症状を呈するようになってゆきます。さすがに家族も心配になりました。両親は相談の上、ローマへ出かけるという友人夫妻に、フローを一緒に連れて行ってもらうことにしたのです。1847年10月のことでした。

彼女がシスティーナ礼拝堂に描かれた、ミケランジェロの天井画『天地創造』に魅入られたのは、この時でした。フローレンスは、ここで買い求めたこの絵の複製画を、以後亡くなるまで自室にかけていたと言われています。







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最終更新日  2011.10.21 20:33:02
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