ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2016.12.06
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カテゴリ: 事件
続・メアリー・セレスト号事件

メアリー・セレスト号事件の続編です。今回で終りの積りです。

海賊の襲撃説や、海上の竜巻に出会ったのではといった説は、船や積荷が無事なことから、すぐに否定されました。乗組員の反乱によって、ブリッグズ船長は殺され、船長の家族は救命ボートで脱出したのではないかとする説も、否定されています。

それは、船長や乗組員を知る人々が、こぞって彼らが皆敬虔なピューリタンであり、夫々が公明正大で誠実な人物だったと証言し、異口同音に船内での暴動の可能性を否定していることが、決め手でした。さらに、仮に乗組員の暴動があったのなら、少なくとも船長派か反船長派のどちらかが船に留まっているはずだ。同士打ちで全滅したのなら、何人かの死体が船内に残っているはずですから…

こうして、積荷による事故説が、消去法によって残されました。今世紀に入って、科学史の専門家であるロンドン大学のエイゲル・ウィーザー教授が、化学や建築工学の同僚とチームを組んで、樽から漏出した工業用アルコールが、気化して爆発したのではないかという推測を、模型を使った実験によって、検証されました。作成した船倉の模型は、人間の棺ほどの大きさだったそうです。

彼らは、メアリー・セレスト号の船倉の模型を作り、そこに樽に見立てた紙製の箱を並べ、工業用アルコールとしてブタンを用い、やおら船倉を密閉して実験を始めました。

船蔵に充満したブタンは、見事に爆発し、船倉の入口の扉を吹き飛ばし、もうもうと煙が立ち込めました。船倉の天井までギッチリと積まれた辰に見立てた「容器」には損傷はなかったといいます。爆発で扉が吹き飛んだとすれば、船内の一部損壊の説明もつきます。

船の積荷が工業用アルコールであることを知る船長以下の乗組員は、この爆発と煙に恐怖を感じ、再度の爆発に備えて、一時船を離れ、救命ボートに避難する決断をしたことは、大いにありえます。深刻な事態と認識したでしょうから……。しかし暗い深夜の手作業です。救命ボートのロープがしっかり結べず、ほどけてしまった可能性もありえたでしょう。

ウィーザー教授と同僚達の実験は、バイヤー教授の説を補正し、補強したといえるようです。

化学に門外漢の神父がまとめましたので、要点を得ないところもあろうかと思いますが、これにてお許しください。







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最終更新日  2016.12.06 13:20:39
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