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織田信長の楽市・楽座の前に、安土城南側、観音寺城 城下町石寺にて楽市・楽座は行われていました。これは1965年ころのベストいセラー 中央公論社「日本の歴史」シリーズにも書かれています。今まで気づかなかったです。1549年、六角定頼、観音寺城下石寺に楽市・楽座楽市・楽座の始まり観音寺城跡 近江八幡市安土町石寺 石寺楽市 楽市・楽座の始まり観音寺城跡 近江八幡市 安土町石寺 楽座会館 観音寺城跡全景 近江八幡市安土町石寺観音寺城跡 近江八幡市 安土町石寺 JR西日本 レンタル自転車事業 「駅リンくん」●近江八幡駅から夜遅くまで営業でグーです。http://www.ekiren.com/EKIRIN/
2015.01.28
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「マンガの描き方」教科書■How to draw manga tutorial by japanese■I am sorry here is no Lesson 1 data.ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」>> 文責 ラッキー植松http://www.yamada-kikaku.com/lesson.htmlHow to draw manga tutorial by japanese Lesson 2: Draw a picture Lesson 2>How to draw manga tutorial by japanese Lesson3: Draw characters Lesson 3How to draw manga tutorial by japanese Lesson4 Draw pictures –Draw charactersLesson 4How to draw manga tutorial by japanese Lesson 5: Draw backgrounds Lesson 5How to draw manga tutorial by japanese Lesson 6: The way to handle pictures Lesson 6How to draw manga tutorial by japaneseLesson 7: Create a story Lesson 7How to draw manga tutorial by japanese Lesson8: Create a story2 Lesson 8How to draw manga tutorial by japanese Lesson9: The basics of Komawari Lesson 9How to draw manga tutorial by japanese Lesson 10: Elements necessary for Komawari Lesson 10How to draw manga tutorial by japanese Lesson 11: How to create a dramatic effect when doing Komawar Lesson 11How to draw manga tutorial by japanese Lesson 12: How to become mangaka Lesson 12
2015.01.27
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源義経黄金伝説■第15回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」おなじころ、奈良東大寺。焼け落ちた大仏の鋳造も終わり、これからは大仏殿の建築にとりかかろうとしている時である。 治承四年(1180)平重衡の手で東大寺をはじめ興福寺の伽藍が焼かれ大仏が焼けた折、京都の貴族はこの世の終わりと思ったものだが、、重源(ちょうげん)の一団、勧進聖の手で、東亜においての黄金国日本の象徴である東大寺大仏は、その姿を再びこの世に現している。 牛車が荷駄を載せ、大工、石工、彫師、諸業の人間が一時に奈良に集まり、人のうねりが起こっている。その活気に囲まれ東大寺の仮屋で、この勧進事業の中心人物が、もう一人の若い僧と湯釜からでる湯気を囲んで話し合っている。「どう動かれますでしょうか。西行さまは」、 若い僧が年老いた僧に尋ねる。「西行殿が、東大寺にために、どれほどの勧進をしてくださるかという問いですかな、、」何か言外に言いたげな風情である。「左様、、でございます」 若い僧は、この高名な僧の話し振りにヘキヘきする事もあるのだが、なんと言っても、当代「支度一番(したくいちばん)」の評判は彼の目から見ても揺ぎ無いところだ。このような難事業はやはりこの漢しかできまい。「お手前は、まだまだ、蒼いですね、、」「といいますと」少しばかりの怒りが、若い僧の口ぶりに含まれている。「西行殿は、あるお方の想いで動いておられます。人生の最後の花と咲かせるおつもりです」「では、平泉の黄金は、大仏の屠金はどうなります、、いあや、しかし、重源(ちょうげん)さまは、昔、西行さまの高野の勧進をお手伝いされたのでは、、」若い僧は、答えに困惑している。「蓮華乗院の事ですか。ふう。あれはあれ、これはこれです。我が東大寺の伊勢への参拝の件で恩は返してくれているのですよ。はてさて、物事はどう転ぶか、ですな」 高野山の蓮華乗院の勧進を、西行が行っていた。治承元年(1177)の事である。 西行の働きで、歴史始まって以来初めて、、仏教僧が、伊勢神宮に参拝している。重源(ちょうげん)の一団である。西行は、神祇信仰者であった。本年文治二年(1186)であった。「重源様は、西行様と高野山では長くお付き合いされたと聞き及びます」「そうです、西行殿が、高野山麓の天野別所に、妻と子も住まわせておったこともしっておりますよ。また、弟の佐藤仲清殿が佐藤家荘園の田仲庄の事で、高野山ともめておった事も、よく分っております」「さらに、」重源は少し、言葉をにごす。「相国殿(平清盛)との付きあいも、よく存じ上げていますよ」西行の実家、佐藤家の荘園、田仲庄は、紀州紀ノ川北岸にあり,粉河寺と根来寺の中ほどにある。「ああ、和田の泊(現在の神戸港)も重源様の支度でございましたな。そうか。それで、重蔵殿を、、」「そうですね。すべては、平泉に這いいてからですね」 二人は、若い僧、栄西(えいさい)が中国・宋から持ち帰栽培した茶をたしなんでいる。 独特の香ばしい馥郁たる香りが、二人をゆったりと包んでいる。続く2010改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」
2015.01.15
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Thank you! youtube"yamadakikaku2009"subscribers! over 6800persons!https://www.youtube.com/user/yamadakikaku2009世界の漫画の好きな方々や漫画家が、6800人登録していただいています。登録者の方々のチャンネルを、山田企画事務所のブログで紹介していきます。皆さんには、漫画家や、漫画の好きな方々ですので、漫画の描き方、プレゼンテーションのやり方が参考になります。(順不同ですThank you youtube"yamadakikaku2009"subscribers.I will continue to introduce Your youtube channel in the weblog of Yamadakikaku.Everyone is, manga-ka, manga fan, how to draw manga, the way of presentation of manga drawing. Your youtube channels will be helpful for manga-fan.ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーhttps://www.youtube.com/user/kittycoolcrafter123https://www.youtube.com/channel/UC2cMT5JLJ4h3wPHk192Odvghttps://www.youtube.com/user/bfflpowerhttps://www.youtube.com/channel/UCH5ZTV37e6zhgs_6k9mSXnwhttps://www.youtube.com/channel/UCfdlQq3x4UTsHTls4jnpFVQhttps://www.youtube.com/channel/UCrVa0fckGW0N4mH7rFSMHnghttps://www.youtube.com/channel/UCa5uOOrmS_4eOiW_WP5-MIghttps://www.youtube.com/user/kelly113355
2015.01.15
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源義経黄金伝説■第14回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」広野から見えるその山は、荒錆びた様子で噴煙をあげている。富士山である。「おうおう、何か今の時代を表わしているような…」 一人の旅装の僧が、目の前の風景に嘆息をしている。心のうちから言葉が吹き出していた。その歌を書き留めている。詩想が頭の中を襲っている。湧き上がる溢れんばかりの想い。僧は、もとは武士だったのか屈強な体つきである。 勢い立ち噴煙を上げているは富士の山。富士は活火山である。『風になびく 富士のけぶりの空に 消えて行方も知らぬ 我が思いかな』「我が老いの身、平泉まで持つかどうか。いや、持たせねばのう」 老人は、過去を思いやり、ひとりごちた。 豪奢な建物。金色に輝く社寺。物珍しそうに見る若き日の自分の姿が思い起こされて来た。あの仏教国の見事さよ。心が晴れ晴れするようであった。みちのくの黄金都市、平泉のことである。「平泉だ、平泉に着きさえすれば。藤原秀衡(ひでひら)殿に会える。それに、美しき仏教王国にも辿り着ける」僧は、自らの計画をもう一度思い起こし、反芻し始めた。 平泉にある束稲山(たばしねやま)、その桜の花、花の嵐を思い起こしている。青い空の所々が、薄紅色に染まったように見える。その彩は、絢爛たる仏教絵巻そのものの平泉に似合っている。それに比べると都市(まち)としては鎌倉は武骨である。「麗しき平泉か、、そうは思わぬか、な、重蔵(じゅうぞう)殿」言葉を後ろに投げている。後ろの草茂みにいつの間にか、黒い影が人の形を採っている。東大寺闇法師、重蔵である。「西行(さいぎょう)様はこの風景を何度もご覧に」「そうよなあ、、吾が佐藤家はこの坂東の地にねづいておるからな」西行ー佐藤家は藤原北家、そして俵藤太をその祖先とする。平将門の乱を鎮めた秀郷(ひでさと)である。「重蔵殿、まだ後ろが気にかかられるか。はっつ、気にされるな。結縁衆(けちえんしゅう)の方々だ。ふう、鬼一法眼(きいちほうがん)殿が、良いというのに後詰めにつけてくだされた」 一息。「さてさて、重蔵殿、鎌倉に入る前、いささか、準備が必要だ、御手伝いいただけるかな」しっかりとした足取りで、西行は歩きはじめた。続く2014改訂Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」
2015.01.14
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源義経黄金伝説■第13回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」 観客席の中央にいる源頼朝が、急に立ち上がった。「あの白拍子めが。この期に及んで、ましてや鎌倉が舞台で、この頼朝が面前で義経への恋歌を歌うとは、どういう心根だ。この頼朝を嘲笑しているとしか思われぬ」 頼朝は毒づいた。それは一つには、政子に対するある種の照れを含んでいる。「よいではございませぬか。あの静の腹のありようお気付きにありませぬか」 政子はとりなそうとした。薄笑いが浮かんでいることに、頼朝は気付かぬ。「なに、まさか義経が子を…」「さようでございます。あの舞いは恋歌ではなく、大殿さまに、我が子を守ってほしいというなぞかけでございます」「政子、おまえはなぜそれを……」 疑惑が、頼朝の心の中にじっくりと広がって行く。今、このおりに頼朝に、自分の腹の内を探らせめる訳にはいかぬ。あのたくらみが、私の命綱なのだから。政子は俯きながら黙っている。「……」「まあよい。広元をここへ」 頼朝の部下、門注所別当・大江広元が頼朝のもとにやってくる。「よいか、広元。静をお前の観察下に置け。和子が生まれ、もし男の子なら殺めよ」[では、大殿。もし、女の子ならば、生かして置いてよろしゅうございますな」「……それは、お前に任せる」 広元はちらりと政子の方を見ていた。 頼朝は広元と政子の、静をかばう態度に不審なものを感じている 政子は静を一眼見たときから、気に入っていた。その美貌からではなく、義経という愛人のために頑として情報を、源氏に渡さなかった。その見事さは、一層、政子を静を好ましく感じた。また、京の政争の中に送り込まれるべく、その許婚を殺されたばかりの、政子と頼朝の子供、大姫をも味方に取り込んでいた。義経の行方を探索する人間は、何とか手掛かりを取ろうと静の尋問を続けた。が、それは徒労に終わった。尋問した武者たちも、顔には出さなかったが、この若い白拍子静の勇気を心の中では褒めたたえていた。 観客席の中で、静の動静を悩む者が、もう一人。静の母親磯禅師(いそのぜんし)が、固唾を呑んでその舞いを見ていた。裏切られた。そういう思いが心に広がっている。愛娘と思っていたが、「あの静は、この母、禅師が苦労を無にするつもりか……」やはり、血の繋がりが深いものは…。この動乱の時期に女として生き残って来た者の思いが、頭の内を目まぐるしく動かしている。その思いは、しばらくの前のことに繋がる。禅師は、政子の方を見やった。続く2010改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」
2015.01.13
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源義経黄金伝説■第12回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」大江広元(おおえひろもと)は、これから奥州平泉を攻めようとする頼朝にとっては勝利を確約する、いわば勝利の女神であった。なぜなら、大江広元の曾祖父は、奥州攻略を成功させた八幡太郎(はちまんたろう)の知恵袋だった。占いの専門職。占いはこの時期の総合科学である。しかし、今、その広元は恐怖を感じて、青ざめていた。このままでは、会場の武士を味方にしてしまう。大殿はいかに、頼朝をかいま見る。政治顧問である,荒法師の異名をとる文覚(もんがく)でさえ、静の舞に内心は心動かされていた。文覚は若い頃、北面の武士の折、色恋沙汰で殺傷事件を起こしている。感情の高ぶりをおさられないのである。この感情の濃さが、いい具合に発露すると、それが、寺社の勧進(かんじん)となった。また、頼朝に対する挙兵を教示し、いわば、頼朝の教師である。頼朝とは幼き頃、朝廷で顔を見知り置いている。その後、文覚は数々の荒行をこなし今は、江ノ島で、藤原秀郷の呪殺を、頼朝から依頼され、とり込んでいる。先年、後白河法皇から許可を受け、京都から、頼朝の父、義朝の骨を発見し、クビからぶら下げ、東海道を下るという鎌倉幕府成立の知らしめる行いしながら帰ってきたばかりである。この寺は、勝長寿院・大御堂という。骨の髄から、頼朝は、平泉を恐れている。16万の軍旗が、義経という天才に率いられて鎌倉を背後から、また海から襲ってくる事。おそらく、この日本で、義経は最高の軍事指揮官であろう。それは頼朝も、いらなぶ、坂東武者もわかっている。傍らに控える大江広元も、文覚も理解しているだろう。この勝利はまさに義経のおかげである。そのため、そのおもいものである静かが、ここで、頼朝に対して恭順のいを著わすべきであった。が政子が、、意図と違う事を、わずかながら、意思の疎通がうまくいかぬ。また、最大のネ交渉者、西行(さいぎょう)法師が、この鎌倉を目指していると文覚から、聞いている。西行は、京都王朝で、始めて伊勢神宮と、東大寺の手を握らせた男。後白河法王の意図で動く男。文覚とは、北面の武士の折の同輩。そして義経とも、平泉とも、近しい。この坂東でも、西行の本家、佐藤家の威光は輝いている。東北の伝説の勇者、平将門(たいらのまさかど)を強弓で射抜いた、俵の藤太の子孫。それが西行。加えて、当代一の詩人・この文学的功名は、京都貴族の中においても光り輝いている。いわば京王朝の切札。また、平泉にとっても最強の交渉の1枚。まして、民衆の指示を受けつつある東大寺再建指導者、重源(ちょうげん)の友人。そして、その後ろには結縁衆(けちえんしゅう)。恐らくは東大寺を始めとする京宗教集団の力も。意図は何か。西行は1万の武装集団よりも怖い。頼朝はそう思った。源氏は鉱山経営と関連が深い。祖先・源満仲は、攝津多田の庄(現・兵庫県川西市)の鉱山経営の利益を得ている。能勢・川辺・豊島三郡における鉱脈を支配し、最盛期2000を越える抗を穿っていた。鉱山の警備隊として武士団を養い、鉱山経営のうまみを知った源氏は、その後、京都大江山鉱山の利権も手にした。その利権を手に京にいき貴族を籠絡する。いわば鉱山貴族である。いわゆる大江山鬼退治の伝説である。源氏は一族の血の記憶として,鉱山経営のうまみをしっている。そして、今、目指すは奥州金山である。源氏の護り神、八幡神は、産銅・産鉄神である。最終目標は奥州。また、そのためにもこの東国の独立運動はまもらねばならぬ。東国王朝は、源氏の悲願である。奥州平泉王朝を打ち倒す事もまた源氏の悲願。それぞれの思いの中、やっと頼朝は、言葉を発した。続く2010改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」
2015.01.12
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源義経黄金伝説■第11回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」あの女、手に入れたい。頼朝は思った。たとえ、義経の思いものであったとしても…。 義経の女の趣味は良い。誉めてやりたいぐらいだった。頼朝は今でも心のうちは、京都人である。京都の女が好きなのであった。この田舎臭い鎌倉近辺の女どもには、あきあきしている。が、そのあたりには、異常に感の鋭い政子のために、今までにも、散々な目にあっている。いままた、頼朝はちらりと…、横目で政子の方を向く。視線がばったりあう。いかぬ。政子はその頼朝の心を見抜いているかのようだった。が、政子は、そんな頼朝の思いを知らぬげに、静の舞に見ほれている。よかった。感づかれなかったかと、頼朝は安心した。 政子の思いは別のところにあったのである。北条家・平政子は、この板東を統べる漢の妻になれたという自負もあり、肌色もよろしく、つやつやしている。新しい坂東独立国が、京都の貴族にもかなわぬ国が、我が夫、頼朝の手でなったのである。 義経のことは、気にならなかった。静という、コマを手に入れているのだから。それに静の体には。「ふふう」と、思わず政子は笑った。 大殿もそのことはご存じあるまい。せいぜい、京都から来た白拍子風情に、うつつを抜かされるがよい。私ども、関東武士。平家の北条家が、この日本を支配する手筈ですからね。あなた、大殿ではない。誇りが、政子の体と心を、一回り大きく見せている。頼朝はある種の恐れを、我が妻である政子に感じている。やがて,後に政子は、日本で始めて、女性として京都王朝と戦いの火蓋を切るのだが、その胆力は、かいま見えているのだ。 この政子と頼朝に共通している悩みと言えば、それは…愛娘大姫のことであった。舞台の上の静の元気さ、華麗さを見るたびに、比較して打ちし抱かれたようになっている大姫の心の内を思い悩む二人であった。 その問題は二人の、この鎌倉幕府成立の内にたなびく暗雲である。 大姫はうつむきかげんに静の舞いを見ている。舞台を見て嗚咽が会場のあちこちに広がっている。見事である。それが、武士達にとっての正直な感想であろう。いわば敵に囲まれながら、どうどうと義経への恋歌を歌うとは、歌姫・白拍子・女の戦士としては、静は十分にこの戦場で勝利をおさめようとしていた。続く2014改訂Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」
2015.01.11
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源義経黄金伝説■第10回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」 文治二年(1186)四月八日のことである。 鎌倉八幡宮の境内、音曲が響いてくる。「京一番の舞い手じゃそうじゃ」そこに向かう雑色(ぞうしき)が仲間と声高に話していた。相方がこれも声高に答えた。「おまけに義経が愛妾とな」「それが御台所様のたっての願いで、八幡宮で舞うことを頼朝様がお許しになられたのそうじゃ」「大姫様にもお見せになるというな」「おう、ここじゃが。この混み様はどうじゃ」鎌倉の御家人たちもまた、この静の白拍子の舞を見ようと、八幡宮に集まって来ている。大姫は頼朝と御台所・北条政子の娘であり、木曽義仲の子供である許婚を頼朝の命令で切り殺されたところでもあり、気鬱になっていた。去年文治元年(1185)三月平家は壇ノ浦で滅亡している。その立役者が義経。その愛妾が話題の人、静。平家を滅ぼした源氏の大祝賀会である。その舞台にある女が登場するのを、人々はいまか今かと待ち兼ねて、ざわついている。 季は春。舞台に、観客席に桜の花びらがヒラヒラと散ってきて風情を催させる。 その時、どよめきが起こった。 人々の好奇心が一点に集中し、先刻までのどよめきが、嘘のように静まっている。舞台のうえにあでやかな人形があらわれた。 舞殿(まいどの)の上、ひとりの男装の白拍子が舞おうとしている。 頼朝から追われている源義経の愛妾静その人であった。この時、この境内の目はすべて静に注目している。 衣装は立烏帽子に水干と白い袴をつけ、腰には太刀より小振りな鞘巻をはいている。 静は、あのやさしげな義経の眼を思っている。きっと母親の常盤様そっくりなのだろう。思考が途切れる。騒がしさ。ひといきれ。 静の母親の磯禅師は今、側にはしり寄って執拗に繰り返す。「和子を救いたくば、よいか、静、頼朝様の前での舞は、お前の恭順の意を表すものにするのです。くれぐれもこの母が、どれほどの願いを方々にしたか思ってくだされ。わかってくだされ。よいな、静」涙ながら叫んでいる。 が、静にも誇りはあった。 母の磯禅師は白拍子の創始者だった。その二代目が静。義経からの寵愛を一身に集めた女性が静である。京一番といわれた踊り手。それが、たとえ、義経が頼朝に追われようと…。 静は母の思わぬところで、別の生き物の心を持った。要塞都市、鎌倉の若宮大路。路の両側に普請された塀と溝。何と殺風景なあたらしいまちと静は思った。その先に春めいた陽炎たつ由比ガ浜が見えている。その相模の海から逃れたかった。 かわいそうな一人ぼっちの義経様。私がいなければ、、そう、私がここで戦おう。これは女の戦い。知らぬうちにそっと自分の下腹をなででいる。義経様、お守り下させ。これは私の鎌倉に対する一人の戦い。別の生き物のように、ふっきれたように、静かの体は舞台へ浮かんだ。 しかし,今、舞台真正面にいる源頼朝の心は別の所にある。 頼朝は、2つの独立を画策していた。ひとつは、京都からの独立、いまひとつは、階級からの独立である。武士は貴族の下にいつまでもいる必要がない。とくに、東国では、この独立の意識が強いのだ。西国からきた貴族になぜ、金をわたさなければいけなにのか。だれが一番苦労しているのか。その不満の上に鎌倉は成り立っている。しかし、義経は、、あの弟は、、義経は人生において、常に逃亡者である。自分の居場所がない。世の中には彼に与える場所がない。義経は、頼朝が作ろうとしている「組織」には属することが不可能な「個人」であった。その時代の世界に彼を受け入れてくれる所がどこにもない。 頼朝はまた平泉を思う。頼朝に宿る源氏の地が奥州の地を渇望している。源氏は奥州でいかほどの血をながしたのか。頼朝は片腹にいる大江広元(おおえひろもと)をみる。土師氏(はじし)の末裔。学問を生業とする大江一族。頼朝は京から顧問になる男を呼び寄せる折、あるこだわりを持った。なぜなら、彼の曾父は大江匡房(まさふさ)。博学の士。八幡太郎義家に兵法を伝授し、奥州での勝利を確約したといわれている。頼朝はその故事に掛けている。奥州との戦いのために学問の神、大江家が必要だったのだ。さらに別の人物頼朝は眺める。文覚(もんがく)は十年前、後白河法王の密命を受けてきた荒法師で、が今は頼朝の精神的な支えとなっている。皮肉な運命だった。法王はそこまで、頼朝が大きくなるとは考えてなかった。 その想いの中を歩む心に、声が響いて、頼朝はふと我にかえる。「しずや、しずしずのおだまき繰り返し、昔を今になすよすがなる。吉野山みねの白雪踏み分けて、入りにし人の跡ぞ恋しき」 ひらひらと舞台の上に舞い落ちる桜吹雪の中、静は妖精のようだった。人間ではない、何か別の生き物…。 思わず、頼朝をはじめ、居並ぶ鎌倉武士の目が、静に引き寄せられていた。感嘆の息を吐くのもためらわれるほど、 それは…、人と神の境を歩んでいる妖精の姿であった。●続く●2014版作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」
2015.01.10
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源義経黄金伝説■第9回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★ 平泉に、東西の軍書を読んでいる牛若はいた。 その顔は真っ黒にやけ、元気そうに見える。基本的体力は、鞍馬山にて鍛えられ、この奥州の地でその体力がぐんぐんと伸びていた。また馬も、この地の馬にすぐ慣れ、新しい馬術を学んでいる。「牛若殿、ご勉強、精が出ますな」 奥州平泉の帝王、秀衡であった。「これは秀衡様」 牛若は姿勢を正し、挨拶をした。「いやいや、そう堅苦しくせずともよい。よろしいですか、牛若様。我が郎党ども、感嘆の声をあげておりますのじゃ」 にこやかに秀衡は言う。本当にうれしそうなのだ。「いや、一体」 牛若には、この秀衡が、なぜ機嫌がいいのか、わからぬのだ。「腕がよい。教えがいがあると、申しますのじゃ。教える者は、京の軟弱な子供かと考えていたようでございますよ。はは」「これはしたり。こう見えても私は、源氏の氏長者の息子でございます。そうはずかしい仕業を見せる訳には行かぬのです」 若い牛若は、本気で怒っているのである。彼には、大きなプライドがある。たとえ、母親が白拍子であろうと、父親は歴とした源義朝。由緒正しいのである。逆に言えば、牛若の売り所はそれしかないのである。その一点に牛若はかけていた。「それで、元気のよい牛若様。一つ留学をなさって見る気になりませぬか」「留学ですと。私は僧になるつもりはありませぬぞ」意外な 言葉に、牛若は怪訝な顔をする。「いや、別に僧になり、仏教を勉強していただこうという訳ではありません。我が平泉には僧は足りておりまする」「では、何のために」一瞬、秀衡は牛若の顔をのぞき込んでいる。「武術でございます」ゆっくりと秀衡は告げた。「武術ですと。、、」牛若も詰まった。「それは面白い。中国の武術、実際に見て見たかった」「いや、牛若殿。中国、宋へ渡る訳ではないのです」「我々、平泉王国は、近くは蝦夷、遠くは黒竜江まで、貿易をしておることはご存じでしょう」「まさか、その黒竜江を越えて」「さようです。丁度便船を、津軽十三湊(とさみなと)から出す予定があるのです。従者を付けましょう」十三湊は奥州平泉の支配下にあり、外国との貿易でにぎわっていた。「従者、それは」「吉次です」「吉次。あの者が、なぜ」「吉次は、京都、平泉第にいた隠密の一人ですが、もともとあの男は播州(ばんしゅう・兵庫県姫路のあたり)の鋳物師の息子。冶金については、一通りの技術を持っているのでございます。吉次には、かの地の新しい技術を持ってこよと」 牛若は、少しばかり考えにひたっている。 この機会、かなり面白いかもしれぬ。牛若は本で読み、体得した技を使って見たくて仕方がなかった。秀衡の部下相手の模擬戦には、少しばかり飽いて来ていたのだ。実戦を経験したかったのである。「宋を北方から狙っている、女真族の一団があります。すでにこちらの手配は済んでおります。後は牛若様の決断次第。よろしいですか。私はあなたを実の息子のように、いや息子以上に思っております。これは何も西行殿に頼まれた訳ではない」「わかりました。外国へ行かせていただきます」「おお、さすがは牛若様じゃ」■■7一一七八年 中国沿海州・女真族の国に義経はいる。「日本のこわっぱ、このようなことができるか」義経の前を一陣の風がまった。いや、風でなかった、人馬一体となった戦士が、的を次々に射抜ているのだ。神業であった。歓迎の印として女真族の若者が見事な射術を見せているのだ。 平泉をでて2ヶ月の時間を経て、牛若は中国、女真族の国にたどり着いている。彼らは裸馬に乗り、あぶみ、両手を離し、後ろ向きに弓矢を打つのである。おまけに、その矢は、すべて中心に打ち込んでいる。日本の流鏑馬の巧者でもあそこまでは打てまい。義経は感心している。また、自分を送り出した秀衡の頭のさえにも。秀衡は牛若をこの地に派遣し武術を学ばせ、牛若を平泉の武将とし西国王朝の備えにしょうとしているのだ。「弁慶、どうじゃ、あの若者は」 義経は傍らにいる弁慶に尋ねた。弁慶は付き従ってきた。元々弁慶は紀州熊野水軍の流れをひく。この国の水軍の武術に興味があるのだ。「恐るべき術にございます。日本の武者では、あのような真似はできますまい。若、やはり世界はひろうございます。我々の預かり知らぬ術を持つ人間が多うこざいます」先年まで、京都の鞍馬という山にいて、自分の存在の不遇を嘆いたおとこが蛮地、奥州平泉にあり、そこから先、日本の毛外のち、にいるのだ、新しい運命!、それをあの僧形の男が与えてくれたのだ。あの男は何故に。牛若の心に疑問が浮かんだ。 この女真族の国で、牛若は戦術を学んだ。それが財産となる。続く2014改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★
2015.01.09
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源義経黄金伝説■第8回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★弁慶はわけを鬼一から話され、守り役に徹している。牛若がいう。「弁慶、私の味方になりたいのかどうだ?返答はいかがか」「いや、それはもう、、」弁慶の答えは微妙である。「先刻の五条の橋で暴言をはかなったか。いや、で、ものは相談。お主が味方かどうか、こころたい。私のゆうことを聞いてくれるかな」「それは、もう」「弁慶、俺は奥州へ行くにあたって、鞍馬から土産を持って行きたいのよ」「若、一体、何を。いたずらはもう、いい加減になされませ」 弁慶は牛若を若と読んでいる、この男なりの諧謔である。「いたずらではない。俺が源氏の生まれで在る事を証明したいのだ。私はな、鞍馬に伝わる太刀を持って行こうと思うのだ。そうすれば、あの奥州の者共、俺の力にびっくりするぞ。いや、敬服する!」牛若はもう心を決めている。あの埒外の地にいき、自分の存在をアピールするのはそれに限るのだ。「まさか、若様。あれを…」 弁慶は冷や汗を流している。「そうなのだ。私が欲しいのは鞍馬宝物の坂上田村磨呂の太刀なのだ」 坂上田村磨呂、最初の征夷大将軍である。東北人との争いで、始めて大和朝廷の力に屈せしめた大将軍である。その太刀が、この鞍馬の秘刀として、鞍馬に保存されているのである。 鞍馬山の火祭りの夜のことである。「誰か、火が。火が宝殿から出ておるぞ」 凄まじい叫び声が、鞍馬山から木霊している。漆黒の闇の中、炎が宝殿をなめ尽くそうとしていた。「早く、早く、中の仏典、宝物を、、、」 僧坊の僧たちがてんでに、宝物を持ち、宝殿から助け出そうとしている。その中に無論、牛若と弁慶も混じっている。「若、これは、、泥棒ではないか」「いや、何、火を持ってする戦法だ」牛若の顔が笑っているように弁慶には見える。 疾風のように、二人は京都の奥州の大使館にあたる平泉第まで駆け抜けている。その場所には猪首の巨漢が体を振るわして待っていた。「さあて、吉次、準備は調うたぞ。出発いたそう」牛若が鋸やかに言う。うやうやしく吉次は答える。「わかり申した。ふふ、牛若さまの本当の旅立ちでございますな」 吉次はこのとき三十才。若い盛りであった。 吉次は、奥州の金を京都の平家に届けている。 清盛はその金を宋に輸出し、宋の銭を得ていた。日本の経済決済に 宋銭を利用し、経済革命を起こそうとしている、その一翼を吉次がになう。奥州と平家はこのように結び合っていた。続く2014改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★
2015.01.08
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源義経黄金伝説■第7回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★言うが早いか、弁慶は、背中から引き抜いた薙刀を一閃していた。普通の人間ならば、真っ二つである。が、弁慶の薙刀には、手ごたえがない。目の前にあるはずの、血まみれの体も残ってはいない。「はて、面妖な」「ふふっ、ここだ、ここだ」 弁慶の後ろから声が聞こえて来る。すばやく、背後を見返すと、橋げたのうえにふわりと牛若が乗っている。まるで、重さがない鳥のように、それは乗っているのだ。「貴様は、飛ぶ鳥か」「ふふう、そうかも知れぬぞ」不敵な笑みが、牛若の顔から漏れている。「鞍馬山の鳥かもな」 その声音は、完全に人を食っている。牛若は、自分の力を他人に見せるのが、うれしく、楽しいのだ。「お前は、平氏のまわし者か」毅然と、牛若が言う。「何を言う。平氏など、物の数ではない」そう答えるが早いか、弁慶は橋を蹴って、欄干のうえに薙刀を数振りする。その刀の動きは、常人の目には捕らえられぬ。とはいえ、明かりなどない夜中である。誰もそれには気付かぬ。ただ、野犬が、恐るべき力の争いに驚き、鳴き声をあげている。「どうした、弁慶。この私を捕まえることができぬか」にやりと笑う牛若の顔に、弁慶は、憎しみを倍加させる。 西行と鬼一法眼は橋の影からのぞいている。「どうだ、遮那王様の動き」「よかろう。あのように成長しておられるならば、奥州の秀衡殿の手元にお送りしても、十分役にたつだろう」。「秀衡殿もお喜びであろう」二人笑い会う。「西行殿、後はお任せるぞ」「何をこしゃくな」が、弁慶の額には、うっすらと汗が浮かんでいた。「弁慶、止めるのじゃ」突然異形の老人が、弁慶の前に姿を現し、争いを止めようとした。強い、この男は、弁慶はこの男を見て毛穴がひゅつと閉じるの感じた。「なぜだ、鬼一殿。この若造を殺せというたは、お主ではないのか」弁慶はこの老人にくってかかる。「もうよいのだ。お主もこの若者の力がわかったであろう」「そうであればこそ、なおさら許せぬ。俺の力を見せねば、気が済まぬ」「そうだ、鬼一。止めてくださるな。この大男に負けたと言わせるまでは、私も気が済まぬ」欄干の上にいる牛若が、答える。「こやつ、いわしておけば」背中より大槌を引き抜いて、弁慶は打ってかかる。ズーンと大きな音が響き、バラバラと橋げたが川中に崩れ落ちる。「おお、何をする。橋を壊すつもりか」「橋が壊れるが早いか、お主が死ぬのが早いか」 騒ぎを聞き付けた検非違使たちが六波羅の方から駆けつけてくる。「いかぬ」弁慶はそれにきを取られる。「ぐぅ」思わず弁慶が叫び、気を失う。牛若の高下駄が蹴りを弁慶の天頂に加えていた。「やれやれ」鬼一は橋のしたに用意してあった小舟に弁慶の体を隠し、鴨川を下った。「牛若殿、もう少しお手柔らかにお願いいたすぞ」「戦いの舞台を移そう」「こわっぱ、どこに逃げる。怖じけづいたか」息を吹き返し、苦しい息の下から弁慶が叫ぶ。「何を言う。お主がそう暴れるから、そら平家の郎党が現れたではないか」平家の屋敷に点々と灯が灯り、その灯が五条の橋を目がけてくる。かなりの人数のようだ。牛若が跳躍する。「おのれ、何処へ」弁慶は上を眺め、叫んだ。「頭の悪い坊主。この京都で晴れ舞台と言えばわかろうが…」声は天から響いた。「くっ、あそこか。わ、わかったぞ。約束を違えるなよ。半刻後じゃ、よいな」遠方で見ていた、西行と鬼一法眼はお互いに顔を見合わせていた。「いかん、あやつら、まさか…」「そうじゃ、あの寺だな」二人は疾風となり、東山を目指している。四人が目指すは、坂上田村麻呂公の寺、清水寺である。牛若は、弁慶の前で、清水寺の舞台で、ひらりひらりと舞っている。「ふっ、弁慶、どうだい。おまえもこの欄干の上で、京都の町を見てゆかぬか。よう見えるぞ。特に平家屋敷がな。おっと、お主の体では、ちと無理かのう」「くそっ、口のへらぬこわっぱだ。そのようなこと、俺にもできるわ」「弁慶、止めておけ。お主の重さ、この清水寺の舞台を沈ませるぞ」「牛若殿、もう止めておきなされ。このお方もお疲れなのだ。お主の武勇、充分私も見せてもろうたぞ」いつも間にかその場所に源空も現れている。「争い事は、武士たちにお任せなるのだ」源空の頭の中には、子供のころの自らの家の惨劇が埋まっている。 源空、後の世にいう法然は、この後、京都市中で僧坊を営み、後白河法皇、九条兼実らの知遇を得ることになる。 後に鎌倉仏教と呼ばれることになる、新しい日本仏教は、この源平争乱という武者革命と時を同じくしつつ起こった「宗教改革」だったのである。この時の源空には、まだその片鱗は見えない。続く2010改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★
2015.01.07
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源義経黄金伝説■第6回★Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」■■5 京都・鞍馬堂宇で鬼一法眼が、西行を待っていた。「おお、ここだ、西行殿」「おお鬼一法眼殿、息災であられるか」「西行殿も、歌名ますます上がられる。うれしい限りだ。それにあの遮那王、教えがいがある。よい弟子を送り込んでくれたものだ」「牛若、いや遮那王はそれほどまでに」「そうじゃ、仏法など、とんと興味がないわ。俺が教える武法のみ。さすがは源氏の頭領、源義朝殿が和子だな」「いや、やはり清盛殿の願いどおりにはならぬか」「それでは、やはり奥州、藤原秀衡殿の手にお渡しするか」「そうじゃのう。がその前に、武術の腕どれくらいのできあがりかを確かめてみるかな」「よい考えだ。さすがは武名高い北面の武士であられた西行殿。して、相手は」「近ごろ京で評判の、あの法師はどうだ」西行は手を打って、「弁慶か、よかろう」五条を中心とした平清盛、六波羅政権は、170屋の大きな屋策をほこり、5200余の家々をしたがえている。六条河原と京の葬送地鳥辺野の間を埋め尽くしている。この北域には、山門武装の資源つまり弓矢を生産する弓矢町を抱合している。弓矢町はつまり武器工廠である。また、300名からなる「赤かむろ」なる幼年探索第養育所も含んでいる。この年、「太郎焼亡」と呼ばれる大火事がおこっていて、西の京はまだ焼け跡が広がっている。京の人間は乱世の始まりを感じ始めていた。その京都・五条にある松原橋たもとに のっそりと、その大男の僧兵は立ち塞がっている。大男にして、筋肉質で敏捷な動きをしている。「お主が牛若殿か」 月の光が鴨川の川面に映えている。牛若が押し入ろうとしていた平家の公達の家屋敷あたりからは、光とさざめきが漏れている。庶民が住んでいる辺りはもうすでに闇の中に沈んでいる。東山の辺りも、夜空に飲み込まれていて、遠く比叡の山からのわずかな光が、星のひとつのように霞んでいた。「私が牛若とすれば、どうする」 ゆっくりと、牛若は答える。「そうなればー」 急に大きな弁慶が、牛若の顔を隠していた布を捲る。「ふふっ、なかなかよい顔をしている。稚児にするにちょうどよい…」 少しばかり、沈黙が二人の間に流れ、視線が素早く交わった。「しかしな、やはり、命をもらわねばならぬな」続く2014改訂Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」
2015.01.06
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源義経黄金伝説■第5回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」十五年後。永暦元年(一一六〇)今年57歳になった法師が、山道を登っている。 京都、鞍馬山僧正ヶ谷である。木の根が血管のように山肌に現れている。 激しく武者修行をする牛若の前に、法師が一人現れていた。かぶりもので牛若には顔が見えない。「牛若殿、元気であらせられるか」「はっ、あなた様は」「名乗るほどの者ではない。いずれ私の正体わかりもうそう。いわば、牛若殿の未来にかけておるものだ。いかがかな、牛若殿、武術の方は上達いたしましたか」その問に不審な顔で牛若は答えた。「はっ、鬼一法眼様の指導よろしきを得て、ますます励んでおります」「そうよのう、ここ鞍馬山の坂道で鍛えられれば、体力もつきもうそう。が、牛若殿、くれぐれも自重されよ。牛若殿の身は、御身一人だけのものではないのだ。お気をつけられよ」 そう言い残し、法師は去って行った。練習に励む牛若の前に、牛若の師匠、鬼一法眼が現れる。京都、いや日本で有名な幻術師である。「お師匠、見たこともない法師が、私を激励されましたが…」不思議そうな表情で述べた。 鬼一はかすかにほほ笑んで「ふふう、牛若、あちこちにお前の守護神がおるようだのう」「あの方は、私の守護神ですか」「どうやら、そのようだのう」 牛若、首をひねる。その姿を見て、鬼一法眼は笑っていた。毎日、牛若は京都までかけ降りては、自分の武術を試し、鞍馬にかけ戻っている。「牛若殿、またそのような乱暴狼藉を働かれて…」非難するような様子で、その若い僧は言う。 その源空という名の僧は、京都王朝の大学・学術都市である比叡山の僧坊に属しているのだが、ある時牛若と出会い、友達となったのだった。ゆっくりとお互いの身の上を話し合った。 源空は、じっとりと顔が濡れるほどに、牛若の身の上を案じてくれた。「何と、お可哀想な身の上なのだ…」 その若者らしい激情に、牛若もまた自身の身の上話に、ほほに涙をぬらすのだ。「牛若殿、仏に身を任せるのじゃ。そうすれば、おのが身、仏によって救われるであろう」いつも出会うたびに、言うのだった。が、牛若は仏を信じぬ。 牛若は自分の体は、戦の化身だと信じている。なぜならば、父は源氏の氏長者だったのだ。武者中の武者の血が流れているのだ。それがこのような京都の辺境に置かれようとも、いつかはこの世に出たい。源氏の若武者として、名を馳せたい。そういう願いが、牛若の心を一杯にしている。そうするべきだという自身が、みづからの中から沸き起こるのだ。 若い血は、あの急勾配の鞍馬山を、毎日行き来することによってにじり立ち、若い体は強力な膂力を手に入れつつあった。そして、その若い力を、この無慈悲なる、牛若自身の力を理解しない世の中へ出て試したいと、希っていた。これは、世に対する復讐なのか 源空は、やさしくにこやかな表情でゆっくりと分かりやすく牛若に語る。「およしなされ、牛若殿。、、、おのが身は、、、平相国、平の清盛殿から助けられた命でございますぞ。、、、そのようなお考え、恐ろしいことは、お止めなされ」 と非難し止めるのであった。なぜに源空は、ワタシの心がわかるのか、、(続く)★2014改訂★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★you tube「マンガ家になる塾」こちらもご覧下さい。簡単な漫画教科書が入ってます。●http://manga-training.com●http://manga-agency.com●http://suzuki-junko.com/ ●http://mekamushi.com/山田企画事務所●http://www.yamada-kikaku.com/
2015.01.05
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源義経黄金伝説■第4回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★第1章 永暦元年(一一六〇)今年42歳となった西行は、北面の武士当時、同僚であった平清盛を訪れている。京都六波羅かいわいは、まるで平家の城塞都市である。平家親戚一同が甍を並べ、藤原氏をはじめとしての貴族を睥睨している。平家にとって武力は力であった。 清盛と話す西行から、奥座敷の方に、幼児と母親がかすかに見える。(なにか、面白い話か、あるいは、わたしを陥れる奸計か。くえぬからのう、清盛は、、)こう考えていた折り、大きな陰が現れている。今、飛び鳥を落とす勢いの男が、仁王がごとく立っている。「おひさしゅうござる。西行法師殿、巷の噂、ご高名聞いておる。これがあの北面の武士、当時の佐藤殿とはのう」 今42歳同年の清盛は、若い頃、詩上手の西行に色々な恋歌を代作してもらったことを思い出して、恥じらい、頭を掻いている。「いやいや、北面の武士と言えば、あの文覚殿も」文覚も同じ頃、北面の武士である。「いやはや、困ったものよのう、あの男にも」「今は、確か」「そうじゃ、あの性格。、、よせばいいものを、後白河法皇にけちをつけ、伊豆に流されておる」文覚は摂津渡辺党の武士である。「あの若妻をなで切りにしてからは、一層人となりが代わりよったな」話を切り出してきた。背後から若い女御が、和子を清盛の腕にさしだしている。「のう、西行殿。古き馴染みの貴公じゃから、こと相談じゃ。この幼子、どう思う」「おお、なかなか賢そうな顔たちをしておられますなあ。清盛殿がお子か」「いや、違う。この常盤(ときわ)の子供だ、名は牛若と言う」「おう、源義朝がお子か」 西行は驚いている。(政敵の子供ではないか。それをこのように慈しんでいるとは。清盛とは拘らぬ男よな。それとも性格が桁外れなのか)西行の理解を超えていることは確かなのだ。「そうじゃ、牛若の後世(こうせい)、よろしくお願い願えまいか。西行殿も確か仏門に入られて、あちらこちらの寺にも顔がきこうが。それに将来は北の仏教王国で、僧侶としての命をまっとうさせてくれまいか」「北の…」 西行は、少しばかり青ざめる。「言わずともよい。貴公が奥州の藤原氏とは、浅からぬ縁あるを知らぬものはない」にやりとしながら、清盛は言う。西行は恐れた。 西行が奥州の秀衡とかなり昵懇な関係があり、京都の情報を流していることを知れば、いくら清盛といえども黙っているはずはない。西行は冷や汗をかいている。「……」「それゆえ、行く行くは、平泉へお送りいただけまいか。おそらくは、藤原秀衡殿にとって、荷ではないはず」しゃあしゃあと清盛は言う。西行の思いなど気にしていないようだ。「清盛殿、源氏が子を、散り散りに……」「西行殿、俺も人の子よ。母上からの注文が多少のう」 相国平清盛は、頭を掻いていた。母上、つまり池禅尼(いけのぜんに)である。清盛も母には頭があがらぬ。池禅尼が、牛若があまりにかわゆく死んだ孫に似ているため助けをこうたらしい。が、相国平清盛は、北面の武士の同僚だった折りから、食えぬ男、また何やら他の企みがあるかもしれぬが、この話、西行にとっていい話かもしれない。あとあと、牛若の事は交渉材料として使えるかもしれぬ。ここは、乗せられみるか。あるいは、平泉にとっても好材料かもしれぬ。ここは清盛の話を聞いておくか。この時が、西行と源義経のえにしの始まりとなった。平清盛はゼニの大将だった。平家の経済基盤のひとつは日宋貿易である。奥州の金を輸出し、宋の銭を輸入した。宋の銭の流入は日本の新しい経済基盤をつくろうとしていた。むろん、ここには平泉第の吉次がからんでいるのはいうまでもない。無論、西行もまた。新しい経済機構が発達しょうとしていいる。新しい職業もまた始まろうとしている。日本の社会が揺れ動いているのだ。続く2014改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★
2015.01.04
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源義経黄金伝説■第3回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★第1章 一一八六年 鎌倉八幡宮 1 文治二年(1186)四月八日のことである。 鎌倉八幡宮の境内、音曲が響いてくる。「京一番の舞い手じゃそうじゃ」そこに向かう雑色(ぞうしき)が仲間と声高に話していた。相方がこれも声高に答えた。「おまけに義経が愛妾とな」「それが御台所様のたっての願いで、八幡宮で舞うことを頼朝様がお許しになられたのそうじゃ」「大姫様にもお見せになるというな」「おう、ここじゃが。この混み様はどうじゃ」鎌倉の御家人たちもまた、この静の白拍子の舞を見ようと、八幡宮に集まって来ている。大姫は頼朝と御台所・北条政子の娘であり、木曽義仲の子供である許婚を頼朝の命令で切り殺されたところでもあり、気鬱になっていた。去年文治元年(1185)三月平家は壇ノ浦で滅亡している。その立役者が義経。その愛妾が話題の人、静。平家を滅ぼした源氏の大祝賀会である。その舞台にある女が登場するのを、人々はいまか今かと待ち兼ねて、ざわついている。 季は春。舞台に、観客席に桜の花びらがヒラヒラと散ってきて風情を催させる。 その時、どよめきが起こった。 人々の好奇心が一点に集中し、先刻までのどよめきが、嘘のように静まっている。舞台のうえにあでやかな人形があらわれた。 舞殿(まいどの)の上、ひとりの男装の白拍子が舞おうとしている。 頼朝から追われている源義経の愛妾静その人であった。この時、この境内の目はすべて静に注目している。 衣装は立烏帽子に水干と白い袴をつけ、腰には太刀より小振りな鞘巻をはいている。 静は、あのやさしげな義経の眼を思っている。きっと母親の常盤様そっくりなのだろう。思考が途切れる。騒がしさ。ひといきれ。 静の母親の磯禅師は今、側にはしり寄って執拗に繰り返す。「和子を救いたくば、よいか、静、頼朝様の前での舞は、お前の恭順の意を表すものにするのです。くれぐれもこの母が、どれほどの願いを方々にしたか思ってくだされ。わかってくだされ。よいな、静」涙ながら叫んでいる。 が、静にも誇りはあった。 母の磯禅師は白拍子の創始者だった。その二代目が静。義経からの寵愛を一身に集めた女性が静である。京一番といわれた踊り手。それが、たとえ、義経が頼朝に追われようと…。 静は母の思わぬところで、別の生き物の心を持った。要塞都市、鎌倉の若宮大路。路の両側に普請された塀と溝。何と殺風景なと静は思った。その先に春めいた陽炎たつ由比ガ浜が見えている。その相模の海から逃れたかった。 かわいそうな一人ぼっちの義経様。私がいなければ、、そう、私がここで戦おう。これは女の戦い。知らぬうちにそっと自分の下腹をなででいる。義経様、お守り下させ。これは私の鎌倉に対する一人の戦い。別の生き物のように、ふっきれたように、静かの体は舞台へ浮かんだ。 しかし,今、舞台真正面にいる源頼朝の心は別の所にある。 頼朝は、2つの独立を画策していた。ひとつは、京都からの独立、いまひとつは、階級からの独立である。武士は貴族の下にいつまでもいる必要がない。とくに、東国では、この独立の意識が強いのだ。西国からきた貴族になぜ、金をわたさなければいけなにのか。だれが一番苦労しているのか。その不満の上に鎌倉は成り立っている。しかし、義経は、、あの弟は、、義経は人生において、常に逃亡者である。自分の居場所がない。世の中には彼に与える場所がない。義経は、頼朝が作ろうとしている「組織」には属することが不可能な「個人」であった。その時代の世界に彼を受け入れてくれる所がどこにもない。 頼朝はまた平泉を思う。頼朝に宿る源氏の地が奥州の地を渇望している。源氏は奥州でいかほどの血をながしたのか。頼朝は片腹にいる大江広元(おおえひろもと)をみる。土師氏(はじし)の末裔。学問を生業とする大江一族。頼朝は京から顧問になる男を呼び寄せる折、あるこだわりを持った。なぜなら、彼の曾父は大江匡房(まさふさ)。博学の士。八幡太郎義家に兵法を伝授し、奥州での勝利を確約したといわれている。頼朝はその故事に掛けている。奥州との戦いのために学問の神、大江家が必要だったのだ。さらに別の人物頼朝は眺める。文覚(もんがく)は十年前、後白河法王の密命を受けてきた荒法師で、が今は頼朝の精神的な支えとなっている。皮肉な運命だった。法王はそこまで、頼朝が大きくなるとは考えてなかった。 その想いの中を歩む心に、声が響いて、頼朝はふと我にかえる。「しずや、しずしずのおだまき繰り返し、昔を今になすよすがなる。吉野山みねの白雪踏み分けて、入りにし人の跡ぞ恋しき」 ひらひらと舞台の上に舞い落ちる桜吹雪の中、静は妖精のようだった。人間ではない、何か別の生き物…。 思わず、頼朝をはじめ、居並ぶ鎌倉武士の目が、静に引き寄せられていた。感嘆の息を吐くのもためらわれるほど、 それは…、人と神の境を歩んでいる妖精の姿であった。●続く●2014版作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★
2015.01.03
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■源義経黄金伝説■第2回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★明治元年(1868年)よりさかのぼる事、690年前1180年(治承4年)四国白峰。老僧が荒れ果てた神社の鳥居の前に佇んでいる。鳥居から見える四国瀬戸の荒海はひゅひゅうと音を立てて荒れすさんでいる。「ようやく参りましたぞ、崇徳上皇様、しかし、この荒れよう、いかにかならぬものか。上皇様、上皇様、どうかお姿をお見せくださいませ。西行が、佐藤義清が参りましたぞ」西行は大声で叫んでいる。ここは四国の山中である。が、社殿は静まり返っている。その静けさが、何とも恐ろしい。「いかがなされました。何かご不満がおありになられるのか」「ふ……」どこからともなく、うめき声が、あたりの静寂を破る。突然、風が強くなってくる。空が急激に曇り始め、やがてポツリと西行の頬を雨脚が濡らした。「遅いわ、西行よ。朕を、何年待たせるのじゃ。さような奴輩が多いがゆえ、京都に災いの種を、いろいろ蒔いてやったわ。四つの宮、後白河もいやいや腰をあげたであろう。俺が恐ろしいはずじゃ。う、悔しや。もっとあやつ、、、、後白河法皇を苦しめてやるぞ」その声は恨みに満ち満ちている。「崇徳上皇様、お待ちくだされい。民には、何の咎もございませぬ。どうか、他の人々に災いを与えるのはお止めくだされい」「ふふう、何を言う。日本の民が苦しめば、あやつも苦しむ。もっともっと苦しめばよい。俺の恨みはいかでも晴れぬは」「お聞きください、崇徳上皇様。では上皇様のための都を新たに作るという策は、いかがでございますか」声が急に途切れる。「何、西行よ、お前、何かたくらんでおるのか。いやいや、お主は策士じゃ。何かよからぬことをたくらんでいるに違いない」意を決して、西行が顔をあげた。「崇徳上皇様、奥州でございます」「何、あの国奥州に」「そうでございます。この国の第二の都を。それならば中国にも前例がございましょう」「何、平泉を、第二の京に。そして朕を祭ると、、そういうことか、西行」「さようでございます」西行は、顔を紅潮させていた。「西行、たばかるでないぞ。わかったぞ。朕は、少しばかり様子をみる事としょう。がしかし、再度謀れば、未来永劫、朕はこの国に、祟るぞ」風雨は、急に止み、天に太陽が姿を現す。汗がしたたり落ちている西行の顔は、まぶたが閉ざされている。体が瘧のようにぶるぶると震えている。腰は、地に落ちている。「これでよろしゅうございますか、兄君、崇徳上皇様に告げましたぞ。後白河法皇様。はてさて、しかしながら、恐ろしい約束事を…。この私が西行が、佐藤義清が、いかにしてか、平泉を第二の京にしなければなりませぬなあ…」ひとりごちている西行は、心中穏やかではない。西行は四国白峰にある崇徳上皇の塚にいる。崇徳上皇は保元の乱で破れ、弟、後白河上皇に流されたのだ。(続く)2010改訂Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★
2015.01.02
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■源義経黄金伝説■第1回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★京都市上京区今出川通り飛鳥井に京都市上京区に白峯神宮はある。祭神は崇徳上皇(すとくじょうこう)。日本の大魔王といわれている。幼き帝の手を外祖父、中山忠能がかしづき、新しく出来た神社に詣でている。「さあ。御君(おんきみ)、ご先祖帝さまにお願い申し上げてくだされ。これからの、御帝さまを中心とされる新しき政府に、崇徳様の怨霊がたたらぬよ うに、あたらしき政治をお守りくだるようにお願いつかまつれ。代々、我が家、藤原本家に伝わりし、西行法師(さいぎょうほうし)殿との約束を使え下させ」幼き帝は、手を合わせ、御願いを、なされた。「崇徳上皇様、お許しくだされ。我が王朝が武士から世辞を取り戻すに700年かかってしまいました。今にいたり、源頼朝、大江広元の子孫たる二家、薩摩島津。長州毛利両家をもって、武士どもの町、江戸と政庁江戸幕府を倒し、武士どもを根こそぎ退治いたします。この長き屈折したりし日々をお許しくだされ。そして、陰都でございます。平泉王国は、いにしえに滅びました、それゆえ、代わ りに江戸を陰都といたします。平将門を祭る神田明神を持って、陰都の守神といた します。が、本来は、崇徳上皇様が祭神でございます。どうぞ、我が王朝が、江戸城をもっ て皇居といたす事をおゆるしくだされ」御年十六歳の帝は、深く頭をさげた。白峰稜前にある白峰寺木像(白峰大権現)が 讃岐(さぬきー香川県)から運ばれて来ていた。先帝孝明帝が望み、できなかった事をなしとがている 。「今、奥州東北の各藩が、列藩同盟とか申し、昔の蝦夷どものように反乱を起こそ うとしております。我が王朝の若い貴族を持って先頭に立ち、荒恵比寿どもをたいらげます」帝は、再び深々と、頭を垂れた。崇徳上皇は、保元の乱(ほうげんのらん)の首謀者の一人である、後白河に敗れ、讃岐に流され、そのちでなくなり、白峰山(しらみねさん)に葬られた。讃岐は京都の南西の方角、つまり裏鬼門であり、平泉は、京都から見て鬼門にあたる丑寅の方角である。空から、崇徳上皇の独白が落ちてきて響き渡る。「西行法師よ、長くかかったのう。いつまで朕をまたせたことやら。がしかし、その陰都もいつまでも、安穏とするかや。所詮は、東京幕府、所詮は、荒夷ども街じゃ。朕が情念は、いつしか吹くだすやもしれぬ。見ておれ」この日、元号が明治と改元された。(続)2010版改稿作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★
2015.01.01
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