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ふるっぴ@ Re:時は流れても、私は流れず(08/26) もうすぐ2016年の夏です。みんな元気…
ヤンスカ @ Re[1]:時は流れても、私は流れず(08/26) furuさん ふるっぴ、お久しぶりです! よ…
ヤンスカ @ Re[1]:時は流れても、私は流れず(08/26) gate*M handmadeさん うお~!お久しぶり…
furu@ Re:時は流れても、私は流れず(08/26) 勝手に匿名コメントを残し、怪訝にさせて…
furu@ Re:時は流れても、私は流れず(08/26) やっぱり元気やったな!? 良かった。
2012.08.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
「はい、お電話ありがとうございます。
 誠に申し訳ございませんが、どの会員様からのご紹介でしょうか?
 私どもは、完全紹介制となっているもので」

思い切って、電話をかけてみた私に、優しくも毅然とした
声が応対する。

「あ、ユミコさんからです」

すると、少し相手の口調がやわらぎ、丁寧に事務所へのアクセス方法の説明がなされた。
詳しくは、会ってからでないとお話しできないのですと、
その女性は言った。


その事務所はあった。
ドキドキしながら、扉をあけると、電話の主らしい40代半ばの女が
シックなインテリアに囲まれて、リラックスした表情で、頬杖をついていた。

私に気づくと、あら、ごめんなさいねと席をたって、
キビキビと大きな歩幅で歩み寄ってきて、さっと片手を出した。
「ようこそ、いらっしゃいませ。所長のヤンスカと申します」
「あ、マリと申します」
「そうぞ、おかけになって、マリさん。うちのシステムについて
 お話しをさせていただきますね。
 まず、あなたが、どんな場面においてエスコートを希望なさっているのか
 お伺いいたします」

 探しているんです。あ、もちろん泊まりです」
「基本は24時間拘束よ。うまくスケジュールを組んでね。
 そうしたら、1泊2日も可能ですよ。移動手段はどうなさいますか?」
「できたら、車がいいです」
「お好みのタイプの車種はありますか?」

「もちろん。お客様の願いを完璧にかなえるのが、私どものモットーよ」
「特に、車の好みはないのですが、彼に合ったものをオマカセでもいいですか?」

所長は、にっこりとほほ笑みながらパソコンのモニターを私に見せる。
「ユミコさんから、色々と聞いていらっしゃるのね。わかりました、
 早速、彼を探しましょうか。うちの自慢のメンバーは、
 全員きびしいトレーニングを1年間受けています。
 さらに、1年間、専門知識の充実のために現場研修の後
 試験に合格しなくては、働くことができません」

話を聴きながら、私はすでに、モニター上の彼に目をとめる。
なんて美男!猫のような瞳。長身でしなやかな手。
モデルから、キャビンクルーに転身かあ。

「マリさん、お断りしておきますが、うちのメンバーたちは
 一切クライアント様とは、深い身体の接触はいたしません。
 手をつなぐ、ハグをする、ここまでが基本の設定です」

私は頷く。もちろん、それでいい。
そう、私が求めているのは、たまに素敵な思いをさせてくれる、
ややこしくない男。彼氏は要らないのだ。
だいいち、私は結婚していて、夫には愛情も感じている。
ただ、トキメキが欠けているだけなのだ。

夫と旅行に出かけても、家庭の延長みたいなの。
やれ、服はどこだ、靴下を出して。
ねえ、お散歩に行こうと誘っても、テレビを観てるから
一人で行ってこいよとか。

違うの。いつまでも、手をつないだり、
黙って寄り添い、夕日を眺めたり、そういうことがしたいだけなのに。

そんな愚痴をユミコにもらした時に教えてもらったのが、
このエスコートサービス。
まったく広告も出さず、取材も一切お断り。
あらゆる場面と、細やかな設定に応えてくれると聞いて
私は、夫が出張に出る週末に、このサービスを利用しようと決めたのだ。

私が考えたのは、自宅まで車で彼に迎えに来てもらい、
楽しく会話をしながら、海辺のホテルへ行く。
散歩をしたり、プールサイドでカクテルアワーを過ごして、
そして、おめかししてディナーをとり、波の音を聴きながらまたお喋り。
で、もちろん、部屋は別。
翌朝は、彼にコーヒーを運んでもらい、バルコニーで朝食を。
景色のよい道をドライブし、高台のオーベルジュでランチ。
そして、私が気持ちよく車の中で眠る間に彼に送り届けてもらう。

「わかりました。で、マリさん、荷ほどきや、荷造り、チェックインなどの
 手続きなどはいかがなさいます?あなたの設定では、受け身でよろしいですか?」
「はい、ぜひそうしてください。完全なるエスコートを希望しているんです」
「うちで、最も人気の高いコースですよ。必要ならば、アイロンがけや、
 髪のセットもできますよ」
「あ、でも、そこまでお願いしてしまうと、なんだか執事っぽくなりますよね」
「マリさん、私どものデータにおいて、ほとんどの女性は、恋人ではなく、
 執事を求めていらっしゃることがわかっております。
 せっかく、お代金をいただいて提供させていただくサービスですから、
 遠慮なくお試しくださいな」

そっか、執事なのね。
ならば、さっき見た、超セクシーなハンサム男よりも、
この人がいいかもしれない。

へえ、職業は鉄道員。
ハンサムだけど、親しみやすい感じ。
とても誠実そうだし、なんだか器用そう。

「じゃあ、この人にしたいんですけど」
「お目が高いわ。彼は、おすすめよ。固定ファンも多いので、
 先々のご予定があるなら、まとめてのご予約が間違いないですわよ」
「皆さんは、どうされてるんですか?」
「そうですね、決まった彼を利用していただくもよし、
 用途に応じて彼を選ぶのもよし、ですわよ。
 さっき、ごらんになっていた彼は、オペラやバレエの鑑賞なんかで
 映えるタイプよ。ダンスの相手にもおススメね。マッサージはプロ級よ」

ああ、選ぶだけで、ワクワクするわ。

「もし、あなたのオリジナルの設定が浮かばない場合は、
 当社のオリジナルシナリオで、おまかせにもできますからね」

私は、申込用紙に記入しながら、それだけで、一気に気分が華やぎ、
帰りに、新しい口紅を買ってかえろうと思い立つ。
ユミコ、本当にありがとう。私も、もうちょっとだけ自分で楽しんでから、
ヒミツのお仲間をスカウトするわ。





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Last updated  2012.08.26 12:46:25
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