弥々*とはず語り   

    弥々*とはず語り   

2005.02.13
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カテゴリ: お葬式
今日は前置きなし。大切に聞いて欲しいから。


その前に―――合掌――――――お直りくださいませ。

故人は46歳女性。8年位前に、脊髄小脳変性症という難病に罹り
いうことの効かない体を悔やみながら、一男二女のお子さんを残し離婚。
年老いた母親に介助を受けながら、最後まで望みを捨てることなく
自らの運命をしかと受け止め生き抜いた方でした。

ロビーには、T子様の思い出のお写真が数枚飾れておりました。
優しい笑みを浮かべた写真は、どれも闘病中のものばかり。

それ以前の写真がないのは、別れた子供達の元においてきたからだろうか…?
その中に一枚だけ、赤ちゃんを抱いた満面の笑みのT子様の姿がありました。
T子様が肌身離さずお持ちになっていた、たった一枚のお写真。
まだお若い頃、お元気で未来への希望に溢れていた頃。
お子様をどれほど慈しまれていらしたか…この写真が全てを語っておりました。
そしてこの写真がご遺影として、祭壇中央に飾られ…

1-------------------------------------------------------

参列者の中には最初から最後まで泣き通しのお身内もいた。
それとは対象的に無表情な3人の実子(21.18.16歳)
年老いた母親も、介護疲れだろうか、心の動きが停止しまっているかのごとく淡々としていた。
それでも少しづつ、いい思い出だけを振り返りながら話してくれた。


だが担当には、ちょっと複雑な環境だからナレーションはしなくていいよとの指示を受けた。
担当の指示は葬儀業界では絶対なのだ。逆らえない。

それに、吾ごときが簡単に触れてはいけない位に重い人生だ。

どんな言葉も及ばないし、必要ないのだろう。
粛々と閉式まで滞りなく進行するしかないだろうと思った。



迷い、悩んだ。

そして、ちっぽけな吾に何がしてやれようぞと思い
決まりきった開式・閉式コメントのみにしようと決心した矢先、まさに開式直前―――

なんと前日までは無表情だった3人のご子息らが
それぞれに折鶴を両手いっぱいに抱えて、お棺の中にそっと納めだしたのだ。
これが彼らの本心なのだ。

無表情なのは、どう表現していいかわからず
悲しみが深すぎて放心状態に近いのだろうと察知した。
このままで、大事な最後のお別れの時を終わりにしてはいけないと瞬時に思った。

ともすると自分が涙で詰まりそうになるのを懸命にこらえ
亡き人にかわり、しかと故人の思いを、この子達に伝えてあげたくて
あげなければともう激しく思い込み…

伺えた、ごく僅かなエピソードから、ナレーションを行ないました。

2-------------------------------------------------------

時刻9時半 この続きは後ほどに…
ここで、コーヒーブレイクです。

3-------------------------------------------------------

時刻16時 それでは続けさせていただきます。

ここまでの皆様のコメントを拝見しながら、ここに出すことは
T子様にとって供養になるのかどうかが、わからなくなりました。
けれど、少なくとも既にコメント寄せて下さった方々には
T子様のご生涯に触れて頂いてしまいましたし…

T子様のご冥福を勝手ながら心に誓い、ここに語ったものとして責任を持って
以下当日行なったナレーション原稿をアップ致します。

4-------------------------------------------------------

♪涙そうそう(二胡バージョン)をBGMに使用。

《T子様 あなたの惜しむべき46年という凝縮された時の中
巡り合った縁に結ばれし皆様がお出ででございます。
晩秋を憂う生花に飾られた祭壇中央で、穏やかな笑みを浮かべたT子様。
高校は家政科で学ばれ、洋裁が得意でいらしたT子様。
3人のお子様を授かると、その技能を活かし、せっせとミシンを踏み
一針一針に我が子の健やかな成長を願いながら、手製の洋服をこしらえていらしたT子様。
おやつも常にハンドメイドでしたね。
毎日子供達の帰宅を、美味しそうな甘い香りと一緒に、優しい笑顔で迎えて下さったT子様
常に一歩ひいて、その場を和やかにと気遣いをされてこられたT子様。
その博愛の精神は小動物にも向けられ、時に一人ぼっちの寂しい猫などにもエサをさしだすT子様。

菩薩のようなあなたが、何故こんなにも早く滅っせられてしまうのか……

ただ、あなたと笑えるだけでいい。泣けるだけでいい。
ただそれだけで、あなたが居てくださるだけでよかったと
今はただ、あなたにお伝えできたらと・・・

T子様にとりましては今生での最後の一時
読経の調べに身を委ね、心と心の対話を交わして頂けますように・・・ 
お別れの時を迎えました。》

この後、開式。

閉式後は、フルートで、スマップの曲【夜空の向こう】を献奏
この曲は、お嬢様がスマップファンでいらっしゃり、T子様もその影響で、スマップの曲
特にこの【夜空の向こう】を口ずさんでいらっしゃったとリクエスト。

献奏曲に耳を傾けながら、無表情だった3人のご子息らがしっかりと泣いていらした姿
しっかりと泣けたということで、T子様が子供達の心の中で
生きかえった様な気がしました。
そしてその姿は、吾にとっても救いとなりました。

5-------------------------------------------------------

だけど未だに、吾がしたことは間違ってなかったのかわかりません。
こうして、ここに掲載したことは、更なる間違いだったのかもしれません。
ただ、遺影のT子様と向き合って問いかけていると
この人にとって子供と離れなければならなかった事が、いかに切なく苦しい選択だったかが
胸にせまってくる思いでした。
そして、そのことをご子息らにきちんと手渡して差し上げなければ
この子達の行末も淋しすぎると
勝手に心が反応してしまった行為でした。

吾のやったことはどうだったのだろう…
今でも時折T子様に問いかけています。

今はただ、両の手を合わせてご冥福を祈るのみです。――合掌――





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Last updated  2017.10.12 21:23:18
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ドーナツ党首@ Re:3歳のぽっつら・・・『 知命 』 『 落ちこぼれ 』 (語り41)(01/22) おはようございます。どちらにコメントを…
@弥々@ どこぞのさんへ どこぞのさんへ これまた、一昨年の台風…
@弥々@ Yのトランクさんへ 気付くのが遅れてすみませぬ<(_ _)>…
Yのトランク@ Re:長男坊の意地と親心(03/16) すみません。こちらから送信出来るのか分…
どこぞの@ Re:長男坊の意地と親心(03/16) ご無沙汰してます! 台風のニュースを見て…
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@弥々 @ Re[1]:『 小さな娘が思ったこと 』(語り12)(02/26) ゆりこさんへ >以前に教えて頂いたボ…
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