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2015.07.31
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カテゴリ: 病気と予防

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 「懐かしい痛みだわ。ずっと前に忘れていた・・・」。失恋と聞いてすらっとこの歌詞が脳裏に浮かんでしまうパルモはレトロ症候群であるわけなのだが、果たして人は傷心で死ぬことはあるのだろうか?

 答えはどうやらイエスのようである。

 仲睦まじい夫婦のどちらかが先に亡くなった場合、残された1人が、その後を追うようにして1か月以内に亡くなるという事例は世界各国で報告されている。

 先月、ウェールズ在住のマーガレット・ウィリアムズさんの葬儀がしめやかに催された。夫のエドモンドさんは亡くなった妻のマーガレットさんに自作の詩を捧げた。彼らは60年間に渡って連れ添った夫婦で、90歳が近いと言うのに、手をつないで散歩に出るほど愛し合っていた。

 ところがマーガレットさんの死後1週間が過ぎ、こんどはエドモンドさんまでがこの世を去った。彼は悲しみに打ちひしがれる中、天国へ旅立ったようだ。妻の葬儀は夫婦の葬儀となってしまい、2つの棺が並べられた。生前と同様、死後も結ばれたのだ。

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天国へ旅立ったマーガレットさんと1週間後に旅立ったエドモンドさん

 同じ月のことだ。101歳のクリフォード・ハートランドさんは、病院から退院したばかりの妻マージョリーさんが帰宅するのを待つ間に亡くなった。そしてその晩、マージョリーさんも亡くなった。奇しくも76回目の結婚記念日であった。

 こうした悲しい出来事は様々な場所で起きている。まるで何らかの法則性が潜んでいるかのようだ。そして、きっとそれはあるのだろう。

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 今年始め『JAMAインターナル・メディシン』誌に掲載された研究で、愛する人を亡くした人が同じ月に心臓発作や脳梗塞を起こした件数は、そうでない人と比べて2倍にも達することがわかった。

 人は傷心から死んでしまうことがあるのだ。

 この「傷心シンドローム」は正式には””たこつぼ心筋症(ストレス性心身症)”という。英国心臓基金では「心臓の筋肉が突然衰弱する、または麻痺する一時的な症状。心室の一つ、左心室の形状が変化する」と定義している。突然のストレスによって左心室が膨張し、心臓がたこつぼの様なくびれた形状をとることに由来する。

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たこつぼ心筋症患者の胸部レントゲン写真

 これは強いショックによって引き起こされる。たこつぼ心筋症患者の4分の3が発症前に感情的ないしは身体的ストレスを経験している。死別はもちろんだが、それだけというわけではない。

 同僚のいたずらで驚いたり、大勢の前で話すことで受けるストレスによっても罹患したという記録もある。これはアドレナリンなどのホルモンの急激な放出が、心筋の麻痺を引き起こすことが原因と考えられている。したがって血液の供給が阻害されたことで引き起こされる一般的な心臓発作とは別物である。

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たこつぼ心筋症を患う多くの人の冠状動脈はかなり正常な状態にあり、深刻な閉塞が見られない。したがって、やがてストレスが消え去れば、心臓の形状は元の状態へ戻り、自然に回復する。しかし高齢者などの一部の人たちは、これによって致命的な心臓発作が引き起こされてしまう。

 相互に協力的な夫婦の場合、互いにストレスを軽減しあっている点も研究者は指摘する。また日々の薬を飲むよう促したり、飲み過ぎないよう注意したりするなど、互いに監視しあうことで健康的な生活習慣も形成されやすい。こうしたことも仲のいい夫婦にたこつぼ心筋症が発生する背景となっていると考えられる。

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 「傷心シンドローム」の正体が何にせよ、その結果はほろ苦い。2人の家族を同時に失った人の悲しみは深い。しかし、それだけ彼らが深く愛し合い、充実した人生を送っていた証であることも多いのだ。

 エドムンド・ウィリアムズさんが妻マーガレットさんに捧げた詩には、「固く結ばれた2人の恋人」が「時の終わり」に向かって旅をすると詠まれている。


 日本でも配偶者を亡くした人が早々に旅立ってしまうという話はよく耳にする。特に妻に先立たれた夫に多いように感じる。ずっと連れ添ってきた家族がいなくなってしまった心の傷は年齢を重ねれば重ねるほどに癒すのが難しいようだ。

 だが本文にあるようにそれだけ生前、充実した人生を送っていたということなのだろう。人間のみならず、ペットの場合にも、”別離”は人の心に大きく作用する。だがその傷をいやすことができるのも人間に備わっている能力の一つである。巡り合えたこと、一緒に暮らせた喜びという大きな宝物を得たのだから、今度はその宝物を壊さぬように持ち続け、また新しい出会いにつなげていくこともできるはずだ。






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Last updated  2015.07.31 11:34:10


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