ニーハオ中国

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2026/05/09
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カテゴリ: 仕事・日本語教育
前回の記事
「AI時代の翻訳者——
   共感を創造する「文化変換」プランナーとは?」


のつづき。

これからの翻訳者はただ言葉を右から左に訳すのではなく、
受け手側の気持ちを推察し、テーマを設定し、共感を作り出す
「文化変換」プランナーとしての活躍が求められるのだとすれば、
これまでのように大量の暗記に時間を費やすような翻訳教育では
そのような能力は育成できず、
改革が必要ということになるのでしょうね。

ベテラン翻訳家・王衆一氏への5つ目のインタビュー質問は、



王氏は、AIに代替が難しい能力は、

「批判的思考力」「文化の主体意識」「価値判断力」「共感能力」

だと言います。

これを踏まえて、王氏は
翻訳教育改革に対して五つの提案をしています。

まず一つ目の提案は、
翻訳教育を「知識の伝達」から「思考の鍛錬」へと
方向転換すること。

「この文をどう訳すか」

と問うだけでなく、

「なぜそう訳すのか?


と問い続ける必要があるといいます。

なるほどですね。
確かに、学生にそういった問いを投げかけることによって、
「批判的思考力」や「共感能力」を育むことができそうです。
「価値判断力」の育成にもつながりそうですし、

「文化の主体意識」を育む教育にもなりそうですね。
(その場合は学生と同じ文化圏の教師のほうがふさわしいのかも?)

そして、こうした思考訓練は
100通りの翻訳を覚えることよりずっと重要だといいます。

これからの翻訳教育においては、
「覚える」より以上に、「思考訓練をする」ことを
重視すべきだということですね。

翻訳教育改革に対する王氏の二つ目の提案は、
「言語単体」から「問題志向」へと方向転換し、
学科を超えて「言語+地域・国別+情報伝達」という
3つのモジュールを融合させたカリキュラムを構築すること。

そしてその例の一つとして、
「時事問題の多言語報道」といったプロジェクト型授業の開設を
挙げています。

例えば「日本語+日本+情報伝達」であれば、
中国のニュースを日本語で日本に向けて情報伝達する際に、
どのような文化的立ち位置で、どのように文化変換して伝えるかを
グループに分かれてプロジェクトワークを行う
といった感じでしょうか。

こういったワークを遂行するには、
言語能力だけでなく、
利害関係や情報の受け手側に与える印象や共感度を推察すること、
また情報伝達に関する知識など
多方面の知識・能力をフル動員する必要がありそうですね。
いろいろな能力が鍛えられそうです。

王氏の翻訳教育改革に対する三つ目の提案は、
「教室での模擬練習」から「実戦に浸ること」への方向転換です。

具体的には、大学と国際情報伝達機関が提携し、
大学教師が定期的に第一線のメディアに派遣したり、
実践プロジェクトに参加し、
学生も実際の国際情報伝達プロジェクトに
(授業の一環として?)参加することなどを提案しています。
これは学びが多そうですね。

王氏の翻訳教育改革に対する四つ目の提案は、
「AI協働リテラシーを強化し、AIを巧みに操る人材育成を目指す」
ことです。

そのためには、学生に
「問いを立てること」「見極め判断すること」「昇華させること」
を教える必要があるといいます。

「昇華」とは何を意味するのか、
インタビュー記事には詳しく書かれていませんが、
「主張や論点などを研ぎ澄まし形にすること」
といった感じで私は理解しました。

「AIの競争相手を育成するのではなく、
 AIを巧みに操る人材を育成する」、

なるほどです。

王氏の五つ目の提案は、
「多元的で動的な評価体系を構築すること」です。
情報伝達の遂行過程全体において
学生が示した思考プロセス、協働能力、創造性、
AIツールの活用レベルなども評価基準に組み入れることを
王氏は提案しています。

「AI活用時代には知識よりも見識が、
 記憶よりも思考が、単なる操作よりも活用が重要」

との言葉が胸に沁みました。

私は今後また翻訳の仕事をするかどうかは分かりませんが、
こういった人間ならではの能力とAIリテラシーを
求められる時代になったんだな、と
ちょっと怖くもあり、興味深くもあります。

また日本語教育も翻訳教育と多く重なるところがあり、
これからの語学教育についても、
人間ならではの能力の育成とAIリテラシーを
意識していく必要があるんだなと思うと
なんだかドキドキします。

それにしてもAI時代、
ちょっとずつ変化したのではなく一気に到来した感じで
びっくりです。



↓今回ご紹介した人民日報のオリジナル記事はこちら。
专访资深翻译家王众一:AI时代,如何做“不被取代”的传播者

スマホでページ上に表示されるボタンを押すと
日本語に切り替わりますので、ご興味のある方はどうぞ。
ただ、右から左のAI翻訳のようですので、悪しからず笑笑。



↓GW明けの東単公園。
 いつの間にか改装されてベンチや運動器具などが設置されて
 きれいになり、バラや色々な花が咲き乱れていました。
 公園に限らず、北京は街頭から家の軒下や玄関先に至るまで
 そこかしこでバラが花盛り。いい香りが漂っています。













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Last updated  2026/05/17 11:00:55 AM
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