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2006/08/30
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カテゴリ: 恋愛小説(連載)
【「きっと、二人なら…」を最初から読む】 【目次を見る】

 肩を抱く優しい腕にその人物の顔を見上げれば、それは紛れもなく純で…
梓は安堵の思いから大きな瞳に涙を浮かべて彼を見つめた。
「なんだ、連れがいんのかよ」
サングラスの男はそう言い棄てると、忌々しげに一つ舌打ちをした。
「今宮、ちょっと」
小声でそう言うと、純は梓の肩を抱いた状態でバスの前方へと移動する。
そして先ほどのサングラスの男から見られていないことを確認すると、静かに問いかけた。
「まさか今宮、病院抜け出してきたのか?」

「また何でそんなこと!?」
いぶかるような表情で問うてくる彼に
「それは…」と梓が言いよどむ。
そうこうしている間にも、バスは目的地へと近づいていた。
「で? どこで降りるつもりなんだ?」
「…次のバス停」
「次って…俺も次で降りるんだけど…。今宮、病院まで抜け出して一体どこ行くつもり?」
「それはその…さく」
梓が答えようとした時、バスが停留所へと到着した。
とにかく、二人はバスから降りて歩道へと立つ。排気ガスの不快臭を残してバスが走り去ると、梓は小さな嘆息を漏らした。
空はすっかり濃い藍色に覆われ、西の空には太陽と入れ違いに下限の月が蒼白な光を投げかけていた。

 ようやく、梓が意を決したように話し始めた。
「私…どうしても桜井君に話たいことがあってここまで来たの」
そして「あ、さっきは助けてくれて本当にありがとう」と急いで付け加える。
「いや、そんなお礼言われるほどのこともしてないし…。それにしても、やばそうな男だったよな?」
「うん。もうすっごく怖くて、腰抜けちゃいそうだった」

「でもま良かったよ。今宮が腰抜かす前に助けられて」
純も彼女に釣られて微笑した。
それから
「何か大事な話みたいだから居えで聞くよ。病院の方には家に着いたら、俺の方から連絡しとくし」と言葉を継ぐ。
「ありがとう…でも、いいの? 何か悪いみたい…」
申し訳なさそうに言ってくる梓に
「いいって。別に迷惑じゃないし。それに、もう来ちゃったもんは仕方ないしな」と再び笑いながら返す。
「ありがとう」
礼を言う梓にうなづいて、純はゆっくりと歩き出した。続いて梓も歩き出す。
そして二人肩を並べて純の住むアパートを目指す。空に浮かぶ月を連れて、それほど広くはない歩道を肩を寄せ歩く二人の姿は、周囲から見れば仲睦まじい恋人同士に映ったに違いない。
~To be continued~




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最終更新日  2006/08/30 08:27:50 PM コメントを書く


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