しかたのない蜜

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スザク×カレン 「モザイクカケラ」 2



「スザク――今夜はここに泊まっていかない? 侍女たちは皆、下がらせておいたから」

「カレン、それはできない」

「なぜ? あなた、私のことが好きじゃないの? 私、あなたのこと、こんなに想ってるのに……」

 いつもは気丈なカレンの瞳に、みるみるうちに涙がたまる。
 泣き顔を見せたくなかったのだろう。
 カレンは顔を覆い、後ろを向いた。
 ドレスに覆われた肩が震えているのを見たら、抱きしめずにはいられなくなり、気づいた
時には、彼女をベッドに押し倒していた。


「スザク――嬉しい……」

 涙に濡れた瞳で、カレンは笑顔を向けてくれる。
 それを見た時、思わずスザクは今まで押さえていた言葉を口にしていた。

「僕もだ――君が好きだ。ずっと大好きだった、カレン」

 生まれたままの姿になったカレンは、思いの外華奢で色白だった。
 白い肌が月明かりに照らされ、内側から光っているようだ。
 やはり恥ずかしいのだろう。両手を使って、乳房と秘所を覆い、長いまつげを伏せている。 そんな彼女を安心させるようにスザクは頬にくちづけし、自分も衣服を脱ぎ、そっと
覆い被さる。


「怖い?」

「怖いもんですか! 私を舐めないでよ!」

 この期に及んでも強がりを言う彼女がいとおしくてたまらなくなり、ひとおもいにくちづける。

「んっ……」

 緊張した声を上げながらも、カレンは慣れない様子で懸命に応じた。舌をからみあわせようとすると、違和感があるのか少し逃げ腰になるのが愛らしい。
 彼女が乙女であることを実感せずにはいられなかった。

 だからこそ、優しくしてやらねば。

 そう考えたスザクは、そっとカレンの脚の間に指を這わす。そこはまだ少しの潤いも
帯びていなかった。
 ついばむように乳房にくちづけしてから、足元にひざまずく。

「あっ……スザク、やめっ……」

 乳房への愛撫で小さなあえぎ声を漏らしていたカレンは、突然羞恥に駆られたようだった。
 あらがう彼女に幾度も「大丈夫」とささやくと、ようやく抵抗がおさまる。
 頃合いを見計らって、スザクはそっとそこを舌で覆った。
 桃色の芽をそよがせるたびに、カレンは潤い、唇からあえぎ声が漏れていく。
 やがてそれは堪えきれない叫びとなった。

「あ――あっ、スザク、スザクっ! 来て――私のところに」

「行くよ」

 かすれた声で答え、スザクはカレンにふたたび覆い被さり、深く身を沈めた。

 カレンの緻密な襞が抵抗してくる。
 同時に、彼女が苦痛に顔をゆがめた。

「どうしよう――やめようか?」

 心配して訪ねると、カレンはまぶたを開けてきっぱりと首を横に振った。

「いいのよ、スザク。これは私たちがひとつになる証なんだから。さあ、早く!」

 こんな時にも見せる彼女の気丈さがいとおしくてたまらなかった。

 つらい時は少しでも短くしてあげよう。

 そう決意して、スザクは一気に身を進める。

 何かを突き破る感覚とともに、カレンが悲鳴を上げた。

「い、痛い――っ」

「ごめん、ごめん、カレン」


 あわてて抽送を止めるスザクに、カレンは無理に笑顔を浮かべて見せる。

「謝らなくていいの……私が望んだことだから。ねえ、私の中で弾けて。もっとあなたを感じさせて」

 そしてカレンはスザクの背中に自分の腕をしっかりと巻き付けた。

「大好きよ、スザク」

 その声とともに、スザクは果てていた。

 しばし後、カレンはスザクの腕の中で眠っていた。初夜の緊張と痛みが彼女を疲労させていたのだろう。
 カレンが熟睡しているのを確かめてから、スザクは起こさないようにそっと彼女の身を清める。使った手ぬぐいには、カレンの処女の証がしっかりついていた。


 この期に及んで、ようやくスザクは気づいた。

 カレンが妊娠してしまったらどうしようと。

 が、すぐに思い返す。

(生んでくれたらどんなに嬉しいか――僕と、彼女の子供)

 もしかしてその存在が、自分という人間に生きる喜びを与えてくれるかもしれない。
 たとえこの手が血に汚れていようとも。

 そう感じた時、スザクの頬は自然とゆるんでいた。
 子供時代以来、初めて見せた彼の心からの笑顔だった。



                             つづく



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