Y’s 発展・開発途上日記

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2006/07/21
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カテゴリ: カテゴリ未分類
今は無事退院して手のハンドセラピストに通う日々だ。まだ指の固さが取れるまでは片手でタイプしたり、右手中心で生活しないといけない不便はあるが、一時期血圧が落ちてふらふらだった体力も戻って無事普通になった。こうしてもう入院は過去のこととなったとはいえ、自分で思ったことや経験を自分が忘れないように書こうと思う。

今回まで入院したことがなかったので、ある意味医療の現場を経験したことが無かった私は、今回改めてお医者様の偉大さを感じたことは言わずもがな、看護婦・看護士さん達との日々の触れ合いを通じてその偉大さ、賢さ、優しさに感動した。ラスベガスでも、こちらでも本当にたくさんの看護婦さん達のお世話になり、仲良くなった。ラスベガスの時の看護婦さんの中には自分の悩みを話す位打ち解けてくる人もいて、いつのまにか何故か患者の私の方が病室で人生相談にのっていたこともあった。みんな苦労してるのねー、という感じです。

看護婦・看護士の仕事は薬を持ってくるだけではない、全般的に患者が心身共に気持よく過ごし、回復に向かうことに関わる全ての作業が24時間体制で含まれる。明るく、あるいは淡々とつくしてくれる彼女達・彼等だが、聞いてみると皆頑張っているのに感心する。生き様からいろいろ学んだ。

私が一番仲良くなったローズマリーは、子供4人共もう家庭を持っている位の年齢で50台の朗らかな人だが、ご主人はNY法の弁護士、娘も弁護士、息子達は大手ブローカー、シェフ、馬の調教師、と多種多様な職業だ。本人は生活上全く働く必要がない。それでも、子供達が成長してから看護学校に行って資格を取り、働き続けている。人を助けるこの仕事に遣り甲斐を見出しているからだろう。彼女はとても頭がいいので、無理をさせないよう心配している時も明るく冗談を交えながらも判断してそう言っているのだと分かる。おどけたことなど言ったり、踊ってみせたり私を笑わせるお茶目な人柄だが、医学的知識もとても豊富だ。退院した時はお世話になった全員とお別れの挨拶をするので忙しかったが、彼女とは抱き合い、私が最初に入院したばかりの頃から知っていたので、彼女が本当に良かったね、と涙ぐんでいた。

ヒルダというお世話になった看護婦も大変聡明な感じの、とても年配の女性でもちろん働く必要などないのだが、年を経るごとにどんどん新しい知識・経験を学びたいとわざわざ看護資格を数年前に取ったそうだ。彼女は元々保険会社の確率アナリストで統計・数量分析を長年していて良い待遇だったけど、それだけでは退屈だったそうだ。もっと人と触れ合って日々学べる仕事を求めて看護婦の勉強をすることにしたそうだ。しかも、子供達は全員見事に成功していて、長男はコンピューター・プログラマー出身でシリコンバレーの大手ソフトウェア会社でVPをしていて、日本を含むあちこちに出張で忙しいそうだ。次男はミシガンの数学コンテストで州1位になったとか。長女は人材派遣会社の重役をやっている。別に自慢する訳ではないけれど、子供達は皆事実として立派にそれぞれの道で成功していて、誇りに思うそうだ。母親であるヒルダが向学心が強く、落ち着いて賢いので、子供たちもそういう風に育ったのだろう。

身の周りの世話をしてくれるTechという役割の人も日々の患者生活にはとても重要だった。手が使えない時に髪を洗うのを手伝ってくれたり、体を清潔に保つために洗ったり、ベッドシーツを変える他、世話全般の担当だ。特にお世話になったソニアという黒人のTechの女性は、とても優しかった。彼女は若く見えるので私より年下かと思ったら40歳で、4人も子供がいる人だった。だが、シングルマザーなのは、父親の方が4人も子供がいるのに一度も結婚せず、他の女性と住んでいるからだと言う。それでも一人で4人の子供を働きながら育てていて、しかもいつも全くそんな苦労を感じさせない笑顔で感じよく接してくれるのには頭が下がる。入院しているとちょっとした身の回りを綺麗に掃除してくれる、髪を洗ってくれる、そういったことがすごく気分的には重要だ。それが仕事とはいえ、心をこめて親切にやってくれるかどうかによって人柄の差が出る。ソニアの息子は数学が得意で将来医者になりたいと言っているそうだ。子供にいい教育を受けさせるためならオーバータイムでも働くと言っていた。父親みたいにはなりたくないと、子供達は親孝行ないい子に育っているらしい。

あと感動したのは90歳のお爺さんが病院の中でボランティアで雑誌を配る係りをやっていたことだ。いつも蝶ネクタイをしてきちんとした格好をして、杖もつかずカートを持ってきて患者達にどんな雑誌があるか説明してくれる。介護されるどころか、90歳で人を助けている。そういうやりがいで元気なのかもしれない。

看護婦の人達だけでなく、お医者さんも、全ての人間関係でも、つらい時や大変な時に思いやりを持って優しく接してくれたことや助けてくれた行動は人間絶対忘れないものだと思う。心をこめてやってくれた人、思いやりがあった人のことは必ず印象に残るし、感謝の気持がある。逆も然りで一つ一つの対応に人柄が出るものだ。今回のことで自分の何気ないひとつひとつの行動もそうだと思ったし、人間の価値は如何に人に心から喜ばれたり、ありがとう、と感謝・感動されることをしたか、するかということの累積ではないかと思った。人に感謝されるということはそれだけその人からの喜びの気持が向けられるから、ポジティブなエネルギーとなって何らかの形でその人に帰ってくるものだと思う。今回はそういう意味で偉いなあ、と思う人々に一杯会えた。





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Last updated  2006/07/25 06:59:41 AM
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