2020末法元年                   ボンゾー(竺河原凡三)の般若月法

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2007年01月15日
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カテゴリ: 音楽・芸術
 小生、人間凡三にとっては、ものを食べることや酒を飲むことも楽しみではあるが、それよりいっそう、単独者・凡三としては寝食を忘れ、書を読み、音楽を聴き、音楽劇やパフォーマンスを見ることこそ、我が血潮の生存が最高度にたしかめられる時である。

 生来、蒲柳(ほりゅう)の質で、いくら身体を鍛えても、こうして大人になっても、丈夫にならなかった凡三であるから、齢とともに飲食の摂取法を矯正し、高脂肪、高蛋白、高アルコールの相対指数を涙ながらに抑え込み、食いしん坊の化仏が出る前に、黙ってコップと箸を置くことにしている。

 しかし、読・聴・観は、いかんともしがたい。三昧(ざんまい)といえば三昧ではあるが、仏教用語としての三昧(さいまい、三摩地=さんまじ)という行為には程遠い。文字に淫し、音響に淫し、形色に淫するのである。おろかなことではある。妄執であろう。だが、私の今のこころを血と肉とに成り立たせたのは、過去に凡三が幼少のころから見聴きして来た字・声・色に他ならぬ。それらが、すべてだとは言わないが、西洋流に言うならば、私凡三の自我を成り立たせたのである。もしも、私が、梶井基次郎や坂口安吾を読まなかったなら、カフカやホフマンやゴーゴリを読まなかったら、幻想家の竺河原凡三は今にないだろう。バッハやシューベルトやブルックナー、コルトレーンやドルフィーやマイルスを聴かなかったら、凡三が今に生きているかも分からなかった。エックハルトの説教文、ショーペンハウアー、ニーチェ、ベルクソンの哲学書をひもとかなかったら、凡三の批判精神は萎縮していただろう。さらに、『法華経』『涅槃経』『金剛般若経』『般若心経』等の大乗仏典や、龍樹(りゅうじゅ)や世親(せしん)の論書、空海、最澄、日蓮、道元、源空、親鸞などの撰述を読まなかったら、仏法家・竺河原凡三は今にあり得ない。

 なにも、人間形成の要素として、「読・聴・観」がすべてとは言わない。経験そのものや話し言葉による伝授は直接的に人間を学ばせるものだ。しかし、人間の後天的な性格に大きな影響を及ぼすのは、その人間が何を読み、何を聴き、何を見たか、その質と量である。この三つの学問に終わりはない。大学までの学問は、この三つを容易に身につけさせるための教養を授けるところである。だから、実利的な就職問題と切り離しても、高学歴には意味があるのである。学歴によって語彙(ごい)が豊富になれば、人に教えてもらうことなしに、新聞やテレビなどを参考に、「読・聴・観」に挑むことが出来る。ただ、これを学ぶに、学問としての箔や飾りにしようなどという浅はかな魂胆がある場合は、何も得るものはなく、ただの鼻持ちならないスノッブである。みずからに好き好んで、ある作家、経文、音楽家に三摩地(さんまじ)するのである。

 仏法は、経文を読み込み、小さくとも、みずからに経蔵を作さねば修行が始まらぬ。作家は、厖大な文字を読み、みずからの辞書を作らねば第一の創作は始まらぬ。音楽家並びに音楽評論家は、厖大な音符を聴き、みずからのレコーダーを作らねば作曲の第一歩は始まらぬ。美術家は、たくさんの風景や色々な人物を見て、みずからのカメラを作らねば筆や鑿をもつことが出来ないだろう。貪欲な凡三は、「読・聴・観」に大楽を得て、この世とあの世とのはざまで、あの世とこの世を観るのである。

 例によって、前置きがずいぶんと長くなってしまったが、2006年に凡三が読んだ本と、聴観したCD・DVD・LDのなかで、ベストのものを並べおく。

 なお、2006年に読んだ本は、49冊、購入したCD・DVD・LDは、139点(305枚)である。ここで断ると、新譜は一部を除いてほとんど買わない。本も同様である。それでも、実際に計ると、中古と新譜の割合は、本、音楽ともに8:2くらいである。新譜とは言っても、新音源、デジタル・リマスター盤、再編集盤(本)が多い。ただ、ランク・インしたもので、新譜・新刊のものがあれば、解説に説明してある。





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最終更新日  2007年01月15日 20時13分34秒
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