さあ、ここでクイズ。この『恋の砂文字』とは、一体何の曲のことでしょうか。 あ、もうおわかりですか。そう、この曲、実はみなさんよくご存じの『砂に書いたラブレター(Love Letters in the Sand)』なんです。もちろんパット・ブーンのバージョンでおなじみですよね。 僕らが昔からよく耳にするパット・ブーン版は、甘いソフトボイスのヴォーカルで、またバックのビッグバンドの演奏が結構荘厳でね。ある種、ノスタルジックな古い音を感じさせてくれます。 ところがところが、ディック・ミネの戦前の音源があるということは、パット・ブーン版はずいぶん後になってリバイバルヒットしたモノで、オリジナルは遙かに昔の歌だということになる。 というわけで、ちょっと調べてみました。
Words & Music by Nick & Charles Kenny & J. Fred Coots
Previously charted by Ted Black, 1931 (#6)
そうかぁ、パット・ブーンの『砂に書いたラブレター』は、1957年の大ヒットだったんだなあ。7週も1位になっているぞ。 なに~!それ以前では、1931年に Ted Black という人でヒットした曲だと~! せ、せんきゅうひゃく、さ、さんじゅういちねん 、1931といえば…、なんだっけ。あ、そうそう、満州事変の年ですよ。 1929が世界恐慌だから、その2年後ですよね。アメリカも大変だったでしょうに、こういう歌が流行ったのは、当時の人たちの、せめて歌の世界に逃避したいという気持ちのなせる技だったということでしょうか。 あぁ、こうなると Ted Black の1931年のオリジナルが聴きたいなあ。
間奏のあと、パット・ブーン版でいえば口笛の後のサビに続く3番の歌詞が、容易に聞き取れるということもあって、結構気に入っていたんです。 ♪ Now my broken heart aches
のところね。 けど、アンディ・ウィリアムスやパッツィ・クラインのを聴いてみると、若干違うんです。 ♪ Now my poor heart just aches With every wave that breaks... ここに関しては、やはり聞き慣れた前者がしっくり来るのは否めませんが、ひょっとすると後者はオリジナルの歌詞なのではないかと思い、ますます1931年にヒットチャートの6位になった Ted Black の "Love Letters in the Sand" が聴きたくなるのであります。