以前、ある野球解説者が話していた、こんな話をボクは憶えている。
「無死一塁の後、送りバントで一死二塁にチャンスを拡大することはよくあることです。でも一死二塁では得点率は高くありません。無死一塁を一死三塁にチャンス拡大することを考えるのが野球というスポーツです。一死三塁ならば得点率がグ~ンと高くなります」
■法政大vs慶應義塾大2回戦。3回裏、法政大の攻撃を見ていて、ボクはこの解説者の言葉を思い出した。
慶 010 100 001 =3
法 00 1
003 00X =4
(慶)●福谷-山形-只野、(法)○三嶋
1点差を追う法政、この回先頭の1番・ 中尾孝
(3年、報徳学園高)がセンター前安打で出塁する。無死一塁、法政がチャンスを作った。続く2番・ 難波真史
(3年、中京大中京高)はさっそくバントの構え。
「足のスペシャリスト」中尾が一塁にいて、小細工の効く難波が打者では、慶應・福谷投手は次の展開がまるで読めない。迷いながら初球を投げるがボール。
2球目、難波はまたバントの構え。今度はストライクだったが、難波はバットを引く。
カウント1-1。そして3球目、一塁走者の中尾がスタート。それを助けるように難波が空振りする。中尾、二盗成功!
4球目、ボール。5球目、ボール。
そして6球目、難波は確実に一塁にゴロを転がして、中尾の三進を好アシスト。
無死一塁から一死三塁にチャンス拡大したシーンだった。
■その直後、3番・ 長谷川裕介
(3年、常葉菊川高)がレフトに適時打を放ち、法政が同点に追いついた。結局この試合、法政が勝利するのだけど、この時の難波の打席が法政に勝利を呼び込んだようにボクは思った。単純に送りバントをするのではなく、相手投手や野手の嫌がることを徹底して貫き、一死三塁にチャンスを拡大することに貢献したのだから。高い野球センス、高い技術、強い心臓を持っていないと、絶対にできないプレーだ。
法政にとって、昨季まで1・2番を固定できなかったことがウイークポイントだった。でも今季は1番・中尾、2番・難波に固定したことで、逆に打線に好影響を与えているように見える。そして難波の打席を見て、 金光興二
監督のやりたい野球を(勝手ながら)ボクも少しだけ分かった心もちになった。
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