突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2009.07.28
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 その日、シリウスが泉に水浴びに行くと、泉のほとりでフォシールが顔を洗っていた。 フォシールは、リシャーナの村で最高齢の長老に次いで、2番目のお年寄りだ。 もう高齢なのであまり外を出歩くことはないけれど、泉では時々、こんなふうに顔や手を洗っている姿を見かけることがある。 いつもにこにこしていて、すごく物知りで、優しいおじいさんだ。 しかもパンセみたいにやたらに用事を言いつけたり、口うるさくお小言を言ったりもしないから、シリウスはこの人が大好きだ。 
 「フォシールおじいさん、こんにちは! 水浴びかい? 背中を拭いてあげようか?」
 声をかけると、上半身だけ裸になって顔を拭いていたフォシールが、にこにこと答えた。
 「いや、大丈夫じゃよ、束子どもが勝手に磨いてくれよるわい」
 なるほど、フォシールのがりがりにやせた背中で、草を丸めたふわふわの束子が一生懸命、くるくる動き回っていた。
 うふふ、と笑って、シリウスもローブを脱ぎ捨てると勢いよくばしゃんと泉に飛び込んだ。
 フォシールが声を上げて笑った。
 「シリウス、いつも元気なやつじゃな。 今年でいくつになった?」
 頭から水をかぶって、シリウスは元気よく答えた。

 「112歳じゃ!」
 フォシールとシリウスは声を合わせてけらけらと笑い、それからフォシールが言った。
 「そうか、もう12歳になったのか。 シリウスや、魔法はどのくらい上達したかの? “木隠れ”と“現し身”は、もう大丈夫か? ひとつやって見せておくれ」
 シリウスはけらけら笑いながら答えた。
 「魔法なんて、ひとつもできないよ」
 フォシールは、やれやれ、という顔をして、でもやっぱり優しく言った。
 「それは困ったの。 12歳までに“木隠れ”と“現し身”だけはできるようにしておかんと、一人前の魔法使いにはなれんぞ。 ・・・じゃが、まあ、生まれて初めて“木隠れ”をやるのはなかなか骨が折れるものじゃ。 10歳になってすぐ練習を始めるくらいでなければの。 わしも子どものころは森の中で遊んでばかりおったので、12歳の誕生日の1週間前になってあわてて練習を始めたものだから、“木隠れ”一つ覚えるのに10日もかかってしまったわ。 お前さんはもう何日練習しているんじゃ?」
 シリウスは泉の中をすいすい平泳ぎしながら答えた。
 「まだ一日も!」 
 「おやおや! 練習もせんでは魔法は上達しないぞ。 毎日少しずつでいいから練習を続けることが大事じゃ。 パンセは、そう教えなかったか?」
 「パンセのところへなんか行っていないよ」

 「誰にも習っていないよ」
 「そりゃいかん。 一人で練習するのは能率的でない。 時間がかかるばかりじゃ」
 「だから、練習なんかしてないんだってば」
 答えたシリウスを、フォシールがきょとんとした顔で見つめた。
 「へえ? じゃ、どうやって魔法を覚えるんじゃ?」

 「魔法なんか覚えなくていいんだ。 俺、魔法使いじゃなくて剣士になるんだもの。 今にきっとリュキア軍の戦士の試験を受けて合格して、大きなバルドーラ戦士にもひけをとらないほど強い剣士になるんだ! 魔法なんかできると、逃げたり隠れたりすることばかり考えるようになって、剣の稽古の邪魔になるんだよ。 パンセが、魔法の先生じゃなくて剣術の先生だったら良かったのになあ! そうだ! フォシールは、誰か剣術を教えてくれる先生、知らない? ・・・いや、知るわけないか、剣術のできるリシャーナなんていないもんね」
 フォシールは目を丸くしてシリウスをじっと見ていたが、やがて、ローブを羽織り、シリウスに、ちょっと水から上がってきてここにお座り、と草の上を指差した。





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最終更新日  2009.07.28 20:36:14
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