突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2009.08.05
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ミラは、リシャーナの村から東に向かって伸びる小径を、急ぎ足で歩いていた。
 左のほうにはミラも毎日苺を摘みに来る“いちごの原”が広がり、右のほうはきれいに手入れのいきとどいた、明るい“プリエールの眠りの森”が続いている。 
 それを過ぎると、道はまもなく二つに分かれて、北東方向に曲がる道の先は“つめ草の野原”と呼ばれる高原地帯。 ここはリシャーナ族にとっては特別な場所なので普段は立ち入り禁止だ。 
 ミラはその分かれ道で、もう一本の、まっすぐ東に伸びる細い道のほうに入っていった。
 遠いモミの木の森のそのまた向こうまで、どこまでも続くこの険しい細道を、少しだけ奥に分け入ると、道端にとんがった奇妙な形の青い岩が見えてくる。 その岩の足もとから、さらに細いけもの道が一本、うっそうと生い茂った木立ちの中へと伸びていて、ミラは、ここでちょっと立ち止まり、あたりに人影のないことをよく確かめてから、このわき道へと入って行った。 
 つるつるすべる青い岩の多い谷の急坂を、転げ落ちないように気をつけながら下っていくと、すぐに、小さな谷川のほとりに出る。 両側に、切り立った青い岩がそそり立つ、その岩肌の一角にぽっかりと口をあけた真っ暗な洞窟、“氷穴”――― ここが、ミラの今日の目的地だ。 

 ゆうべミラが、街でバルドーラの酔漢たちに襲われかけ、あわてて“眠り”の魔法を使おうとしたらどうしても呪文が思い出せなくて、口から出たのはなぜかうろ覚えの“炎”の呪文だった、と話したら、あろうことかヴェガはひっくり返って笑い転げたのだった。
 「そうだったなあ、ミラ。 あの時俺が一生懸命“炎”の手本を見せてやってるのに、お前ときたらダンゴムシみたいに丸くなってぎゅっと目をつぶってたっけ。 よくそんな呪文を試してみる気になったもんだ!」

 「だって、“眠り”の呪文がどうしても思い出せなくなっちゃったんだもの! そんなに笑わなくたっていいだろ! 僕はあの酔っ払いたちにもうちょっとで殺されるところだったんだよ! もしあのとき・・・」
 アンタレスが現れなかったら、という言葉は急いで飲み込んだ。
 アンタレスのようなとびきりの勇者と知り合いになれたことは、もったいなくて誰にも話したくなかったのだ。
 それでもまだヴェガは笑いが止まらなくて、ひーひー転げまわりながら言った。
 「ごめん、ごめん、たしかにそりゃ笑い事じゃねえよな。 どんなにか怖かっただろう。 だけどこれで、自分の身を守るための魔法を覚えろと言った俺の気持ちが、お前にもわかってもらえただろうと思うと、嬉しくてつい。 ・・・ 笑ったりして、ごめんな。 じゃ、もう一回覚えなおしてみるか? “眠り”の魔法と“炎”の魔法」 
 「もちろんだよ! 今度は本気で練習するよ!」
 そして、勇者アンタレスの相棒にふさわしい大魔法使いになって、二人で冒険の旅に出るんだ! と続く言葉も胸の奥深くにしまいこんだ。 あれほどの勇者に認めてもらうには、今の自分じゃあまりにも力不足でかっこわるいからだ。 夕べのように、弱々しい獲物みたいに震え上がって、笑いものにされたり子ども扱いされたり、二度とあんな情けない嫌な思いはしたくない。 ちゃんと修行を積んで、アンタレスが目を見張るようなすごい魔法使いになってやる。 そうしたら、あらためてアンタレスに会いに行こう、と、固く心に誓っていた。
 ヴェガも、なぜか急に張りきって雄たけびを上げた。
 「おお、その意気だぞ、ミラ! それじゃ“炎”の練習はこんなせまい家の中じゃなく、明日、広いところで思い切りでっかい火の玉を飛ばしてみようか? 本格的な練習だぞ。 場所は、そうだ、氷穴の入り口にしよう! あそこなら、めったに人は来ないし、どんな大きな“炎”をとばそうと村からは見えねえ。 火事になる心配もないし」 

 そういうわけでミラは今その氷穴に向かっている。
 ヴェガは、『二人で連れ立って歩いていると、何か面白いことでもあるのかと思って、こっそり後をつけてくるやつがいないとも限らない』から、少し遅れて来ることになっている。

 もうすぐ、あんなにあこがれた大人の魔法“炎”が自分のものになる。
 今度こそ失敗しないぞ。 アンタレスもびっくりして腰を抜かすような、大きな“炎”を飛ばしてやる!





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最終更新日  2009.08.05 18:01:36
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