突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2009.08.09
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 それから数日後、シリウスはまた、泉で顔を洗っているフォシールに出くわした。
 「こんにちは、フォシール」
 声をかけると、フォシールは顔を上げてシリウスを見、ちょっと首をかしげた。
 「おや、シリウス、今日はまた、ずいぶん元気がないようじゃが、どうしたね? 魔法の修行はつらいか?」
 「ううん、そうじゃなくて俺、ちょっと体の具合が悪くて昨日まで寝ていたんだ。 だからパンセの家にも、これから行くところなんだよ」
 「病気だったのか? そりゃいかん。 どれどれ、ここへ来てごらん。 脈を診てやろう。 それから薬をせんじてやろうな」
 シリウスはずっと前に飲まされたフォシールの煎じ薬の、尋常でない苦さを思い出し、あわてて後ずさりしながら言った。
 「ありがとう、フォシール、でももう大丈夫だよ。 ヴェガが何度も様子を見に来てくれて、薬も作ってくれたから、すっかり良くなったんだ。 ・・・それよりフォシール、パンセのところへ行く前に、またこの間の話を聞かせてよ。 リシャーナの戦士の話」
 フォシールはにっこり笑って、シリウスに、隣に座るよう、指で指し示した。

 シリウスは思わず小さく息をのんで、フォシールのほうに身を乗り出した。
「リシャーナの泉と、いちごの原を、両方とも占拠されちゃったの? それはまずい! 早急に対策を講じないと、敵が攻め込んでくる前に村は自滅してしまう! リシャーナたちも軍隊を編成して、全員で敵陣に攻め込むべきだろう! 攻撃こそ最大の防御だぞ!」
 フォシールがにっこり笑ってうなずいた。
 「そうじゃ。 そのとき、リシャーナの村の若者たちは皆、シリウス、お前さんと同じように考えた。 そこで、それぞれ新しい魔法の杖を作り、ローブにはよろいのように強い“保護”の魔法を入念にかけて、ある日、いっせいに、クロコッタ退治のために立ち上がったのじゃ。 どの若者も皆、ならず者たちへの怒りに燃え上がるような瞳をしておった。 真新しい杖は槍のように先端を尖らせ、ぎらぎら光るようじゃった。 全員が村の広場に集結して、さあ、これからいよいよ出陣、という時になると、どこからともなく、たくさんのリシャーナの戦士たちがあらわれて、村の若者たちの一人一人の顔に、指の先で赤い線を描きながら、“リシャーナの祝福”の呪文を唱えた」
 シリウスはごくりと生唾を飲み込んで、さらにフォシールのそばににじりよった。
 「そしたら? どうなったの?」
 「うむ。 若者たちの体はまばゆい光に包まれ、樫の木の杖は、羽根のように軽く鋼のように強い、本物の剣に変わった。 そして若者たちは皆、リシャーナの戦士たちと同じくらい強くなったのじゃ。 その剣をふるえば、大岩も打ち砕くことができた。 軽く撫でただけで大木をも切り裂くことができた。 そして、全身を包む清らかで力強い光は、クロコッタのどんな魔法をもはね返した。 若者たちは雄たけびを上げながら、リシャーナの泉に、また、いちごの原に、クロコッタめざして挑みかかっていった。 そしてクロコッタたちは、あるものは剣で刺し貫かれ、あるものはその光で目をつぶされ、あるものは怒りの炎で焼き尽くされて、ほとんどは死んだ。 生き残ったものも一目散に故郷の草原へと逃げていった。 この森の狼たちも、クロコッタの後を追って逃げていってしまった。 こうして村人たちは、リシャーナの戦士の力を借りて、自分たちの手で自分たちの森を守り抜くことができたのじゃ」
 すごい! この村のリシャーナたちも、昔は勇敢だったんだな! 俺もそんな時代に生まれたかったなあ!
 うっとりとため息をついたシリウスの顔をのぞきこんで、フォシールが吹き出した。
 「おや? シリウスや、早う顔を洗ったほうがいいぞ。 ほっぺたに泥がついておる。 まるで、リシャーナの戦士たちの“祝福”をもらって戦いに出る若者たちの、戦いの化粧のようじゃ」





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最終更新日  2009.08.09 16:48:10
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