突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アルクトゥールスは体の小さなパピト族。 今年成人したばかりだ。
 人は彼を、こそ泥、とか、泥棒猫、とか呼ぶ。 だがアルクトゥールスは平気だ。 お金が大好き、盗みが生きがい、なのだ。
 体は、小さなパピト族の中でも人一倍小さいが、それを不都合だと思ったことはない。
 体が小さいのは盗みに入る時むしろ有利だし、腕力なんか何の役にも立たないのはよく知っている。 バルドーラ族を見るがいい。 体の大きなあいつらは腕っ節の強いのが自慢で、けんかばかりしているが、頭の中身は空っぽだ。 せっかくの強靭な体力も、それだけでは一文にもならない。 宝の持ち腐れだ。
 この世で一番強いものは、腕力ではなくて、金だ。 金さえあれば、たとえば、この国で一番強いバルドーラだって足もとに跪かせることができる。 もちろんそんなくだらないことは望んでもいないが。
 だからアルクトゥールスは、自分はたくましい体より立派な風采より、もっと大事なものを神さまに与えられて生まれてきたと思っている。 それは、どんなことでもたちまち金に変えてしまう頭の良さと、どんな巧妙な鍵でも罠でもたちどころにはずしてしまう手先の器用さだ。 この2つの才能と、それに、人を出し抜き、そのふところの中身を掠め取るスリルが好きでたまらないという性格は、どうも、生まれついてのものらしい。
 たぶん、俺の先祖は盗賊だったんだ、とアルクトゥールスは考えている。

 アルクトゥールスの暮らしている、このリュキアという国は、四方を高い城壁に囲まれた小さな国で、その昔、リュキアというバルドーラ族の王様が治めていたのだそうだ。 その王様が殺されて、王様を殺したやつも殺されて、それ以後、王様になり代わってこの国を統治しようというやつも現れず、あんまりちっぽけで貧乏な国だからよそから侵略されることもなく、国内でときどき小さな小競り合いみたいなものがあっただけで、滅びもせず、栄えもせず、なんとなく存在している。 だからこの国にはいまだに、王様も、親分もいない。

 パピトたちはみんな、バルドーラの顔色を窺い、ありもしない金を使って貢物をしたり、召使いになりたがったりする。 そのお返しとして、バルドーラたちはパピトに何をしてくれる? 腹が減った時に飯を食わしてくれるか? 寒くて震えているときに、自分らの着ている上等な服を一枚分けてくれるか? 強盗に襲われているのを見かけたら助けてくれるか? そんなことは何一つしてくれない。 やつらはただ、パピトたちから一方的に奪うだけだ。 そんなやつらが働きもせずにのうのうと暮らして貯めこんだ金を、俺が少しくらいいただいたって、どこが悪い? アルクトゥールスは、そう思う。 バルドーラが、バルドーラであるだけで、パピトよりえらいなんて、ぜんぜん思わない。 
 でも、アルクトゥールス以外のパピトたちは、そうではないようだ。 バルドーラは生まれつきパピトより身分が高いと思い込んでいる。 そのえらいバルドーラに逆らうなんて、いけないことだと思い込んでいる。 言うことをきかないと乱暴されるからしかたなく言うとおりにしている、というのならまだ許せるが、パピトたちがバルドーラの言うなりになるのは、怖いからですらないのだ。 ただ、こういうものなのだと頭から決めてかかって、疑おうともしないのだから情けない。
 だから、アルクトゥールスは、自分がきっと、もともとこの国でバルドーラの王様に仕えていたパピトたちの子孫ではないのだろうと思う。 だから、バルドーラだけが特別えらいなんて思わないのだ。 そういう、何の意味もなく平気で人にぺこぺこ頭を下げられるような、卑屈な根性をもった血は、この体の中には一滴も流れていないのだ。 そう思うとアルクトゥールスはちょっといい気分になる。





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最終更新日  2009.08.25 21:05:24
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