突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2010.05.29
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 「・・・だから、俺にまかしとけば大丈夫だっての!」

 「このやろう、まだ言ってやがる、なにがレベルアップだ、この大ぼらふきが」
 「あらっ、兄貴、信用してないの? まったく、素人はこれだから困るなあ!」

 ヴェガが、泉で偶然出会ったフォシールじいさんにレクチャーを受けたおかげで、“炎”の魔法が格段にレベルアップしたのは嘘じゃない。 あれから何度もためして、そのたびにその威力にあらためて驚き、俄然やる気が出て練習にもこれまでになく熱が入ったのだ。 おかげでヴェガのできるもう一つの攻撃魔法、“眠り”までが、スピード、効力、共に倍加した気がする。 
 今日のヴェガは、自信満々だ。 この迷宮でどんな怪物が出現しようと、今日ばかりは負ける気がしない。

 けれど、ヴェガの言うことなんか全然信用しようとしないアルクトゥールスは、乱暴に ヴェガの足もとを蹴飛ばし、肩を突き飛ばしてわめき散らした。
 「けっ! えらそうな口をたたきやがって! こうやって俺が背中を押してやらなきゃ歩くこともできねえくせに」

 残念なことに、この点はアルクトゥールスの言うとおりだ。 夜目の利かないヴェガは、真っ暗なこの迷宮内では、何も見えない。 情けないことにこうやってアルクトゥールスに背中を押してもらったり、手を引いてもらったりしなければ、一歩も先へ進めないのだ。


 魔力がレベルアップしたのを喜ぶあまり、あのレクチャーのときフォシールじいさんに、暗闇を照らすランプのような魔法はないかと聞くのを忘れてしまったのは失敗だったなあ、とヴェガは思った。
 今日はフォシールに土産のひとつも買って帰って、そういう魔法があったら教えてくれと頼んでみよう、と。

 考え込んでいるとアルクトゥールスが、ヴェガの背中をぐいぐい押しながら言った。
 「ほら! もたもたしねえで、さっさと歩けよ! アンタレスはもうずいぶん先まで行っちまったぜ。 はぐれるとまずい」

 「ちぇっ、アンタレス、アンタレスって、なにかというと兄貴はあいつばっかり頼りにする。 たしかにあいつは優れた戦士かもしれねえけど、性格は最低だぞ。 自分勝手で冷酷で、自信過剰。 チームワークってものを無視して、この迷宮に出てくる怪物は全部、自分の剣だけでやっつけられると思ってる」

 この遠征隊では唯一の戦士、アンタレスは目下、迷宮に出没する、火の怪物と決着をつけることにただならぬ執念を燃やしている。 フォシール・レクチャーによれば、その怪物はキマイラといって、獅子の頭、雌山羊の腹、蛇の尾を持ち、全身を炎で武装しているそうだ。 剣なんかで斬りつけていったら、刃先が敵の体に届く前に、炎に巻き込まれ、焼き殺されてしまう。 実際アンタレスはそれで一度大火傷を負ったことがあるという。 しかも、長槍で突き刺すとか投げつける武器を使うとか、運良く相手に傷を負わせることができたとしても、そいつの傷口から吹き出す血は、煮えたぎる油のように熱いのだ。 こちらはそれでまた大火傷を負ってしまう。

 そこで、ヴェガが一念発起。 打倒キマイラの一念に凝り固まって視野が狭くなっているアンタレスの援護のため、フォシールに、敵の炎を凍結する魔法を教わることにした。 そうして、練習を重ね、腕を磨いて、今日という日に備えてきたのだ。
 自分自身のための、暗闇を照らす光の魔法を教わることを忘れてまで、だ。

 アンタレスみたいなわがままなやつのためにここまでしてやる、度量の大きい魔法使いもめったにいないと思うよ。





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最終更新日  2010.05.29 17:16:40
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