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2010.08.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 「いててて・・・」


 そこは、プロキオンのねぐら、ユキヤナギの茂みの中だった。

 どうやら、シリウスの“現し身”は成功し、あの冷たい白い山から、一瞬のうちに、この暖かいユキヤナギの茂みまで、移動できたらしい。

 ほっとしたとたん、シリウスは、たった今まで自分の腕の中で震えていたプロキオンが消えていることに気づいて、あわててあたりを見回した。 
 が、プロキオンの姿はどこにも見当たらない。

 シリウスは青くなって立ち上がった。
 「プロキオン! プロキオン! どこへ行った? プロキオン!」

 まずいっ! あいつ、“現し身”が失敗するかもしれないなんてすっかりビビっちまっていたから、本当に失敗して、どこか別のところに飛ばされちまったのかもしれないぞ!


 「プロキオン! 冗談はなしだぜ! 早く出て来い! 出てこないとひっぱたくぞ!」

 ほとんど泣き出しそうになって、ユキヤナギの茂みから飛び出して外を探しに行こうとしたとき、シリウスの真後ろにあったプロキオンのベッドががさごそと音を立て、藁の中から、真っ青な顔をしたプロキオンが、ひょこっと顔を出した。

 「あっ、シリウス! “現し身”は、成功したんだね! やった!」
 プロキオンのふところの中から、コッコもひょいと顔を出して、嬉しそうに、チー!と叫んだ。

 シリウスは、ほっとすると同時に、目を剥いてプロキオンに飛びかかった。
 「こらっ! いなくなっちまったかと思ってびっくりしたじゃないか! どうして俺のそばから離れるんだよ! 心臓が止まるかと思ったぜ!」
 プロキオンはあわてて、再び、藁のベッドの中にもぐりこみながら叫んだ。
 「ご、ごめん! ぼく、“現し身”を唱える瞬間、つい、このベッドを思い浮かべちゃったんだ。 ああ、早くあのふわふわしたあったかいベッドにもぐりこんでゆっくり手足を伸ばして眠りたいな、って!」

 シリウスは藁の中を引っ掻き回してプロキオンを探しながら、真っ赤になって叫んだ。
 「この薄情者め! それでおまえだけがこのふわふわの藁の中に飛び込んで、俺は固い地面に放り出されて、タンコブをつくることになったわけ?! そういう大事なことは、呪文を唱える前に、ちゃんと説明しろよ!」
 「だって、そんなこと言うヒマ、なかったじゃん!」


 それは確かに、プロキオンの、あの柔らかい緑色の髪の毛の感触だった。 
 それを感じたとたん、安堵のあまり、シリウスの全身からいっぺんに力が抜けて、じわっと涙があふれてきた。 
 シリウスはあわてて片手でごしごしと目をこすり、もう片方の手で、プロキオンの髪の毛をくしゃくしゃと撫で回した。
 「ま、いっか。 ふたりとも、コッコも、みんな無事に戻って来られたんだもんな。 タンコブのひとつぐらい、我慢すっか!」

 それを聞くとプロキオンも藁の中から飛び出してきて、ひし、とシリウスに抱きついた。


 シリウスはくすぐったそうにうっふっふと笑ってから、顔を引き締めて言った。
 「だが、そう喜んでばかりもいられないぜ。 プロキオン、おまえは追放処分を食らったのに勝手に山から戻ってきちまったわけだし、俺もそれに手を貸したわけだから、二人とも、このままここにいるわけにはいかないよな。 これから、どうしようか?」

 するとプロキオンは、ぎょっとしたようにシリウスの体を突き放し、目をまん丸に見開いて叫んだ。
 「か、勝手に戻ってきた、って、それどういう意味?! シリウス、まさか君、長老に黙ってぼくのところに来たんじゃないだろうね?! 言ってよ、シリウス! 君は、長老の許しが出たから、ぼくを迎えに来てくれたんだろ?!」





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最終更新日  2010.08.02 19:04:11
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