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ふろぷしーもぷしー
突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました。
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2010.09.11
カテゴリ： カテゴリ未分類
氷の花の、清浄な光に照らし出されたその広い部屋は、四方の壁一面に鮮やかな色の巨大な炎の文様が描かれた、豪奢な大広間だった。
「す、凄ぇ！ ここがキマイラの出没する『炎の広間』か！」
思わず叫んで、ヴェガは部屋の中をきょろきょろ見回した。
「ここって、昔王様が大勢の客を呼んで、パーティーでもした部屋だったのかなあ！ 見ろよ、四方の壁の模様のきれいなこと！ 緋色の火炎文様にちりばめてある、きらきら光る火の粉の粒は、ありゃ金粉かしら？ それに、ほら、天井からぶら下がったたくさんのシャンデリア。 水晶のように輝いてるが、よく見るとあれも炎の形をしているんだぜ。 あれに全部光を灯したら、壁一面に散りばめた金粉が、それこそ火の粉のようにきらきら光って、さぞきれいだろうなあ！ ちょっと、あれに火を灯してみようか？」
目を輝かせて驚嘆しまくるヴェガにも、王宮広間のめったに拝観できない豪華な眺めにも、まったく無反応、すらりとした長身のアンタレスが石像のように醒めた表情で、短躯のアルクトゥールスの鼻先に、『キマイラを呼ぶ笛』を突きつけた。
「さあ、アルクトゥールス、吹け。 キマイラを呼ぶんだ」
いつも威勢のいいアルクトゥールスが、今日ばかりは、危険な大役に怖じけた顔つきで、アンタレスを見上げた。
「えー、ほんとに、笛、吹くの？ 俺が？ 言っとくけど俺、曲なんかひとつも知らないよ。 音を出すだけ、いやそれも本当にできるかどうか、なんだか自信ないなあ。 やっぱりやめといたほうが・・・」
渋るアルクトゥールスの手に、アンタレスが笛を無理やり握らせ、声をとがらせた。
小さな横笛を、アルクトゥールスがのろのろと構えた。
笛なんて吹いたこともない、そう言うわりに、なんだか不思議とサマになっている。
「・・・どうしても？ 吹かなきゃだめ？ これを吹いたら、そのキマイラって怪物が出てくるんだよね？ どんな音でも、うっとり聞きほれて、おとなしくなるんだよね？ ヘタクソっ！なんて、いきなり俺に咬みついたりはしないよね？」
アンタレスの、ガラス細工を思わせる整った顔が、いらだたしげに紅潮してきて、優美な形の目が、しだいに、無慈悲につり上がってきた。
「そうだ。 キマイラが出てきたらどんな音も聞く前に、即座に、俺がなますに切り刻んでやる！ いいからさっさと吹け！」
「・・・ちぇっ、やだなあ・・・」
ぶつぶつぼやきながら笛を唇に当てたアルクトゥールスが、大きく息を吸い込んで、また、アンタレスを見上げた。
「・・・じゃあ、吹くよ。 アンタレス、用意はいい？ 剣はもう抜いてある？ 怪物が出てきたらすぐ斬り殺してよ。 いきなり焼き殺されるのなんて、いやだからね、俺」
アンタレスが抜き身の刃をふりかざし、アルクトゥールスに向かって、真っ白な、鋭い牙をむき出して見せた。
「早く！」
アルクトゥールスがあわてて笛を構えなおした。
アルクトゥールスが、おそるおそる、笛の歌口に息を吹き込む。
そのとたん、ピョォォォ・・・という、世にも薄気味の悪い音が、がらんとした広間に響き渡った。
「す、凄ぇ！ ここがキマイラの出没する『炎の広間』か！」
思わず叫んで、ヴェガは部屋の中をきょろきょろ見回した。
「ここって、昔王様が大勢の客を呼んで、パーティーでもした部屋だったのかなあ！ 見ろよ、四方の壁の模様のきれいなこと！ 緋色の火炎文様にちりばめてある、きらきら光る火の粉の粒は、ありゃ金粉かしら？ それに、ほら、天井からぶら下がったたくさんのシャンデリア。 水晶のように輝いてるが、よく見るとあれも炎の形をしているんだぜ。 あれに全部光を灯したら、壁一面に散りばめた金粉が、それこそ火の粉のようにきらきら光って、さぞきれいだろうなあ！ ちょっと、あれに火を灯してみようか？」
目を輝かせて驚嘆しまくるヴェガにも、王宮広間のめったに拝観できない豪華な眺めにも、まったく無反応、すらりとした長身のアンタレスが石像のように醒めた表情で、短躯のアルクトゥールスの鼻先に、『キマイラを呼ぶ笛』を突きつけた。
「さあ、アルクトゥールス、吹け。 キマイラを呼ぶんだ」
いつも威勢のいいアルクトゥールスが、今日ばかりは、危険な大役に怖じけた顔つきで、アンタレスを見上げた。
「えー、ほんとに、笛、吹くの？ 俺が？ 言っとくけど俺、曲なんかひとつも知らないよ。 音を出すだけ、いやそれも本当にできるかどうか、なんだか自信ないなあ。 やっぱりやめといたほうが・・・」
渋るアルクトゥールスの手に、アンタレスが笛を無理やり握らせ、声をとがらせた。
小さな横笛を、アルクトゥールスがのろのろと構えた。
笛なんて吹いたこともない、そう言うわりに、なんだか不思議とサマになっている。
「・・・どうしても？ 吹かなきゃだめ？ これを吹いたら、そのキマイラって怪物が出てくるんだよね？ どんな音でも、うっとり聞きほれて、おとなしくなるんだよね？ ヘタクソっ！なんて、いきなり俺に咬みついたりはしないよね？」
アンタレスの、ガラス細工を思わせる整った顔が、いらだたしげに紅潮してきて、優美な形の目が、しだいに、無慈悲につり上がってきた。
「そうだ。 キマイラが出てきたらどんな音も聞く前に、即座に、俺がなますに切り刻んでやる！ いいからさっさと吹け！」
「・・・ちぇっ、やだなあ・・・」
ぶつぶつぼやきながら笛を唇に当てたアルクトゥールスが、大きく息を吸い込んで、また、アンタレスを見上げた。
「・・・じゃあ、吹くよ。 アンタレス、用意はいい？ 剣はもう抜いてある？ 怪物が出てきたらすぐ斬り殺してよ。 いきなり焼き殺されるのなんて、いやだからね、俺」
アンタレスが抜き身の刃をふりかざし、アルクトゥールスに向かって、真っ白な、鋭い牙をむき出して見せた。
「早く！」
アルクトゥールスがあわてて笛を構えなおした。
アルクトゥールスが、おそるおそる、笛の歌口に息を吹き込む。
そのとたん、ピョォォォ・・・という、世にも薄気味の悪い音が、がらんとした広間に響き渡った。
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