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ふろぷしーもぷしー
突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました。
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2010.10.03
カテゴリ： カテゴリ未分類
その朝もアルデバランは、朝食の支度を終えると窓際の椅子に腰を下ろして、朝日がまぶしい通りの方を眺めていた。
もうそろそろ、兄のアルクトゥールスが、『体力づくりのための村内一周ジョギング』から帰ってくるころだ。
あんなに横着で、体を動かすことが大嫌いだった兄が、ある日突然、『思うところあって、体力づくりのために今日から毎朝ジョギングすることにした』と言い出したとき、アルデバランは天地のひっくり返るほど驚いた。
驚いたけれど、アルデバランはもちろん、諸手を挙げて大賛成した。 兄は決して病弱なたちではないが、頑健というほどでもない。 走るのは早いが、持久力はない。 『思うところ』ってなんだか知らないけれど、体を鍛えるのは、無精者の兄にとって間違いなくいいことだと思ったからだ。
なに、そんなことを言い出しても元来飽きっぽい兄のこと、どうせ３日ぼうずで終わってしまうだろう、とたかをくくっていたアルデバランだったが、この早朝ジョギング、もう１ヵ月の上も続いているからびっくりだ。 アルクトゥールスもどうやら今度という今度は性根をすえて生きる方針を定めたらしい。 このごろでは言葉の端々に、もう賭け事や盗みなんてつまらなくなって、もっと着実でお金になる、新しい仕事を始めつつあることがうかがえる。 今のところはどうしても夜出かけていくしかないんだけれど、もう少しお金が貯まったらまた状況が変わる、とか、今までとは全然別の、もっとはるかにスケールのでかいことを始めて、いつかはお前に王様のような暮らしをさせてやる、みたいなことをよく口走るようになった。
アルデバランは別に『王様のような暮らし』なんて望んでいないけれど、兄がそれを大きな目標に掲げて、それに向かって本気で走り出そうと考えているなら、それはそれですばらしいことだと思う。 だからアルデバランも、『きっとだよ、兄ちゃん、俺もがんばるから』というふうに答えることにしている。
やがて、明るい表通りを兄が、とっとことっとこ、健康な汗を滴らせながら走ってくるのが見えてくると、アルデバランはおおいそぎで窓際の椅子から飛び降り、兄のお皿に熱山盛りのパンと熱いスープとを盛りつけ始めた。 このごろ、兄は食欲も旺盛で、以前の少なくとも３倍は食べるのだ。 これも、アルデバランにとっては嬉しい変化だ。
こうして、兄とふたり、このごろいつもそうであるように、たわいない世間話や軽い冗談を交わしながらの楽しい朝食が始まるとまもなく、玄関の戸をノックする音がした。
こんな朝早くから、来客・・・？
戸を開けると、そこには思いがけないひとが立っていた。
今では手の届かないほどの高みに上りつめてしまった、音楽家のミューズだった。
もうそろそろ、兄のアルクトゥールスが、『体力づくりのための村内一周ジョギング』から帰ってくるころだ。
あんなに横着で、体を動かすことが大嫌いだった兄が、ある日突然、『思うところあって、体力づくりのために今日から毎朝ジョギングすることにした』と言い出したとき、アルデバランは天地のひっくり返るほど驚いた。
驚いたけれど、アルデバランはもちろん、諸手を挙げて大賛成した。 兄は決して病弱なたちではないが、頑健というほどでもない。 走るのは早いが、持久力はない。 『思うところ』ってなんだか知らないけれど、体を鍛えるのは、無精者の兄にとって間違いなくいいことだと思ったからだ。
なに、そんなことを言い出しても元来飽きっぽい兄のこと、どうせ３日ぼうずで終わってしまうだろう、とたかをくくっていたアルデバランだったが、この早朝ジョギング、もう１ヵ月の上も続いているからびっくりだ。 アルクトゥールスもどうやら今度という今度は性根をすえて生きる方針を定めたらしい。 このごろでは言葉の端々に、もう賭け事や盗みなんてつまらなくなって、もっと着実でお金になる、新しい仕事を始めつつあることがうかがえる。 今のところはどうしても夜出かけていくしかないんだけれど、もう少しお金が貯まったらまた状況が変わる、とか、今までとは全然別の、もっとはるかにスケールのでかいことを始めて、いつかはお前に王様のような暮らしをさせてやる、みたいなことをよく口走るようになった。
アルデバランは別に『王様のような暮らし』なんて望んでいないけれど、兄がそれを大きな目標に掲げて、それに向かって本気で走り出そうと考えているなら、それはそれですばらしいことだと思う。 だからアルデバランも、『きっとだよ、兄ちゃん、俺もがんばるから』というふうに答えることにしている。
やがて、明るい表通りを兄が、とっとことっとこ、健康な汗を滴らせながら走ってくるのが見えてくると、アルデバランはおおいそぎで窓際の椅子から飛び降り、兄のお皿に熱山盛りのパンと熱いスープとを盛りつけ始めた。 このごろ、兄は食欲も旺盛で、以前の少なくとも３倍は食べるのだ。 これも、アルデバランにとっては嬉しい変化だ。
こうして、兄とふたり、このごろいつもそうであるように、たわいない世間話や軽い冗談を交わしながらの楽しい朝食が始まるとまもなく、玄関の戸をノックする音がした。
こんな朝早くから、来客・・・？
戸を開けると、そこには思いがけないひとが立っていた。
今では手の届かないほどの高みに上りつめてしまった、音楽家のミューズだった。
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