突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.01.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 キマイラの爪で引き裂かれた、足の傷が痛かった。

 治療をしてくれたケンタウロスは、『毒はないから大丈夫。 数日おとなしく寝ていれば傷口もふさがって、もとどおり走り回れるようになるからがまんしろ』と笑ったが、笑い事じゃない。 痛いものは痛いのだ。
 もらった痛み止めを飲んでもなかなか痛みは引かず、明け方になってようやくうとうとしたら、今度は恐ろしい夢を見た。

 夢の中でアルクトゥールスは、アルデバランと二人、夜の砂漠をふらふら歩いていた。
 遠くで、パピト族の一団が焚き火を囲んで、にぎやかに酒盛りをしている。 幼いアルデバランの手を引いて、近づいていってみると、ゆらゆら燃える焚き火の光に照らされたパピトたちが、それぞれ手に持って自慢し合っているのは、世にも美しい金銀財宝装飾品。 そして、その傍らに無造作に置いてあるのは、大太刀、青竜刀、弓など、実用一辺倒のいかつい武器だ。 さらに、その後ろを取り囲むようにして立っているのは、数頭の大きな馬。

 ――― 砂漠の盗賊団だ!
 アルクトゥールスは胸を高鳴らせ、その頭領と思しきパピトに駆け寄り、仲間に入れてくれ、と頭を下げた。 頭領は急に怖い表情になってアルクトゥールスをじろりと睨み、それからアルデバランをじろじろと眺め回して答えた。 『アルデバランは強そうだから仲間に入れてやるが、おまえはいらねえ』。 そう言って頭領は、アルデバランだけを馬に乗せて走り去ろうとした。 アルクトゥールスは青くなって手近な馬に飛び乗り、その後を追おうとしたが、馬は大暴れしてどうしてもアルクトゥールスを背に乗せようとしない。 その手綱にしがみつきながら、アルクトゥールスは、どんどん遠ざかっていくアルデバランの背中に向かって泣き叫んだ。
 「アルデバラン! 待ってくれ! 俺を置いて行くな! おまえひとりじゃ何もできやしねえ! 頭領、頼むから、俺のアルデバランを返してくれ!」

 汗びっしょりになって飛び起きたアルクトゥールスを、アルデバランが、さっと抱きとめて答えた。


 すすり泣きながら、もういちど毛布にくるまり、うとうとし始めると、また夢を見た。

 迷宮の闇の中で、アルデバランが、あのアンタレスそっくりに、勇ましく剣をうち振るい、怪物と戦っていた。 アルクトゥールスはそれをちっとも不思議と思わずに、まるで見慣れた光景を見るように、安心しきってアルデバランの後に続いていた。 アルデバランが、これも見慣れたあの迷宮のドアを開ける。  と、そこから飛び出してきたのは怪物ではなく、さっきの盗賊団一味だった。 恐ろしい顔をした盗賊一味がそれぞれ得物を手に、この裏切り者め、殺してやる、とわめきながら、いっせいにアルデバランに襲いかかってきた。 はっとアルデバランに目をやって、アルクトゥールスは驚愕した。 今まであんなに雄々しく戦っていたアルデバランが、頼りない、小さな子どもになってしまっていたからだ。
 「うわーっ! やめてくれ! 俺のアルデバランを、殺さないでくれ!」

 小さなアルデバランが、アルクトゥールスの額にぺたりと冷たいタオルを乗せておかしそうに笑った。
 「兄ちゃん、おはよう、朝だよ。 また怖い夢にうなされてたね。 でもやっと熱が下がって、よかった。 もう大丈夫だね。 後は栄養をつけて、ゆっくり休めば、そんな足の傷はすぐに治っちゃうよ。 今、飛び切りおいしいおかゆをつくってきてあげるから、待ってて!」 





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最終更新日  2011.01.16 20:19:43
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