乱読・積んどく・お買い得!?

乱読・積んどく・お買い得!?

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Comments

chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2010.03.20
XML

 実際に書かれている内容も、やっぱりとても重たい。
 私など、読んでいて途中、気分が悪くなったほどだ。
 しかし、その話の奥行きは他書に見られないほど広くて深いもの。

 最近、メディアの露出頻度が半端でない脳科学者の茂木さんと
 かつて恐山の院代を務めていた禅僧、福井県霊泉寺住職の南さん。
 本著は、このお二人の対談と、それぞれの手による文章で構成されている。
 仏教と脳科学のコラボは、想像を超えた世界観を紡ぎ出す。

  どこから来てどこへ行くのかという、人類のこの問いに対しての答えは、

  つまり、生まれてから考えても、
  生まれる前のことがわかるわけがないだろうということを
  言いたかったんじゃないでしょうか。
  それが「無記」や「無常」なんじゃないかな。
  そうしたタフでシビアな認識があったんだと思うんです。(p.39)

仏教には伝統的に、言葉で神髄を説明できないという
「無記」とか「不立文字」という概念があるらしい。
本著を読み進めていくと、そういった仏教についての知識にも触れることができ、
さらに、その問題点や課題についてまで二人が言及していて、たいへん興味深い。

  仏教は一見、生きることの価値を否定するところから始まっているように見えて、
  実はその後の再生に力点を置いているんですね。

  それ以上、生命の躍動が現れる営みはないかもしれない。(p.58)

この茂木さんの発言を受け、南さんがこう答える。

  しかしそれはとても苦しい。
  だからこそ、ブッダは生きていることは苦だと言った。
  仏教は苦しみがなくなるとか、苦しみが全くない世界に行けるという話じゃなくて、


また、別の場所では

  中心では、インターネットに象徴されるような
  情報システムの効率性に人間の方が合わせている。
  そのコンピューターには親がいるわけではなく、
  とても合理的な設計とシステムのもとに生まれてくる。
  それに比べて、人間が生まれてくること自体、自分で選んだことではないし、
  基本的に不条理なものですよね。(p.102)

この茂木さんの言葉は、私も常々感じていたことで、
その同一性に、ある意味驚いてしまった。
そして、この言葉を受けた南さんの言葉がスゴイ。

  だからこそ根本的に自己存在には根拠が欠けているということを
  人は受け入れられないんですよ。
  人間の存在の根本に、欠落がある。
  何か確かなものが存在して、それに意識が付け加わるということではなくて、
  人間の存在には何か根本的な欠落、あるいは喪失が原初にあるんだと思う。

他の部分においても、南さんの言葉には私を圧倒するものが数多くあった。
と言うことで、最後も南さんの言葉で締めくくることにする。

  ブッダの生き方や道元の生き方を見ていて思うのは、
  最後の土壇場になすべきことをなし終えたと思えるかどうかですな。
  ここで自己肯定ができるかできないか。
  腹の底から自分がなすべきだと信じたことをなし終えたんだと断言できるところまでいったら、
  この世における解脱だと思うんですよ。(p.125)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2010.03.20 16:03:26
コメントを書く
[暮らし・健康・医療] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: