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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2012.07.29
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カテゴリ: 文芸
『硝子のハンマー』 を読んだが、
 頭のイイ人が書いたことが良く伝わってくる、とても面白いものだった。
 そして、同じドラマの原作になっていた『鍵のかかった部屋』や
 『狐火の家』も、いずれ読もうと考えていた。

 ところが、それらを読む前に、貴志さんの作品で気になるものを発見した。
 それが、本著『黒い家』である。
 とにかく、読者レビューの評価がすこぶる高いのである。
 と言うことで、こちらを先に購入、読んでみることにした。


本作品においては、そこでの知識・経験が思う存分に活かされている。
貴志さんが大学を卒業された頃と言えば、生保は花形産業で高給取りの代名詞、
学生の就職希望ランキングでも、常に上位を占める人気産業だった。

しかし、そこでの勤務は、想像を超えた大変なものであったようだ。
人のケガや病気、死が、直接金銭に結びつくビジネスなのだから、
そこでの業務が、感情的でドロドロとしたものになることは、
少し想像力を働かせれば、すぐに分かりそうなことではあるけれども。

   ***

さて、私がこの作品の中で、最も印象に残ったのは、
主人公・若槻と、国立大助手・金石との『反社会性人格障害』についてのやりとりの中で、
金石が語った次の言葉である。


   昔は乳幼児の死亡率がたいへん高く、ちょっと目を離しただけでも、
   すぐ子どもは死んでしまいましたから、親による手厚いケアが不可欠だったんです。
   ところが、時代が進んで、社会保障が充実し、文字通り親がなくても子が育つようになると、
   r戦略の相対的有利性が増してきました。
   早い話が、あちこちで子供を作るだけ作って後は捨ててしまっても、

   普通に子どもを育てるよりも多くの子孫を残すことが出来るんです。
   つまり、一生懸命に子育てをするよりも、子供を作るだけ作って逃げる戦略の方が、
   有利になってしまったというわけですね」(中略)

  『善意で踏み固められた道も、地獄へ通じていることがある……』
   何かを思い出しているように、にやにやと笑いながら言う。
  「私がアメリカに留学していた時に、親しかった……ある友人に教えてもらった諺です。
   弱者に優しいはずの福祉社会が、皮肉なことに、
   冷酷なr戦略の遺伝子を急速に増加させることになってしまったんです。
   それがサイコパスの正体なんですよ」(p.199)

   ***

本作は、とにかく本格的ホラー作品である。
就寝前に「今夜は、悪い夢を見るのではないか」と心配になるほどに。
まぁ、息子が首を吊った段階で、家屋に漂う異臭に疑問を抱き、
警察が、なぜ家の中を隅々まで調べなかったのかという疑問は残るけれど。





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Last updated  2012.07.29 11:20:16
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