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2012.11.05
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カテゴリ: 教育・子育て

 170ページほどの本だから、ボリューム的にはコンパクトな方だが、
 1949年(昭和24年)に発行されたものなので、かなり年季の入った文体。
 普段、現代文を読むような調子でページを捲ることは、とても出来ない。

 書かれている内容も、日本ではなくイギリスの学校生活についてで、
 さらに、現在のイギリスではなく、もう随分昔のイギリスについてである。
 しかも、パブリックスクールという、ある意味特殊環境について描いたもので、
 現在の高校生が読むとすれば、それは相当骨が折れる作業になるだろう。

   ***


  ある特定の条件にある特定の人間が、ある行為をして善いか悪いかはすでに決まっていて、
  好む好まないを問わずその人間をしてこの決定に服せしめる力が規律である。
  そしてすべての規律には、これを作る人間と守る人間とがあり、
  規律を守るべき人間がその是非を論ずることは許されないのである。(p.61)

今、ここ日本で読むと、時代というものを感じざるを得ない一文としか思えないのだが、
イギリスのパブリックスクールでは、このような規律が今もなお受け継がれているのだろうか。

  彼らは一つ一つのプレーの結果よりも、その結果に到達した過程に重点をおく。
  幸運なまぐれのゴールで味方が勝つよりも、
  たとい結果は失敗したとしても真面目な地道な努力を尊しとする。
  慣習の喝采を当てこんだスタンド・プレーをするもの、
  己の功名焦って渡すべき球を渡さないラグビー選手、

  これを彼等は蛇蝎の如く憎む。その間、敵味方に微塵の容赦もない。(p.154)

これも、成果主義が声高に叫ばれる今の日本社会では、古き良き時代の姿勢としか思えない。
それは、学校教育の場においても同様で、何より結果が優先されがちになってしまっている。

  有り難いことには、現実が如何に苦悩に満ちたものであっても、時の経つにつれて、
  人はそれに馴れたり、それを忘れたりする習性をもっている。

  そう数多くあるものとは思われない。
  世が終わるかと思われる嵐でさえもいつかは必ず雲が薄れる。
  雲の彼方には常に陽が輝いているのである。(p.87)

これは、パブリックスクールの耐乏生活について述べた部分に出てくる一文だが、
現在苦境に立っているあらゆる人たちにとって、励ましの言葉となるものだろう。
本著の中で、私が最も気に入ったところである。





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Last updated  2012.11.05 23:15:24
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