音楽日記~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010.02.01
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テーマ: Jazz(2021)
カテゴリ: ジャズ




 ポール・チェンバース(Paul Chambers)という名は少しジャズ(50~60年代のモダン・ジャズ)を聴き始めると、すぐにその名が気になり始めるベース奏者である。というのも、当時のジャズ・アルバムを何枚か聴けば、実に頻繁に彼がベースを演奏しており、ライナーなどをの情報を見ていればいやでも繰り返し彼の名を目にすることになるからである。本ブログの中で紹介したものを挙げてみると、レギュラー・グループのメンバーとして在籍したマイルス・デイヴィスの作品群(例えば 『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』 『マイルス~ザ・ニュー・マイルス・デイヴィス・クインテット』 など多数)、ソニー・クラークの作品(例えば、名盤 『クール・ストラッティン』 )、ジョン・コルトレーンのアルバム(例えば 『ソウルトレーン』 )…といった具合だ。これ以上むやみに挙げてもきりがないし無意味なので止めておくが、要はこの当時のいろんなアルバムにことごとく顔を出すベーシストという訳だ。

 ベースという楽器は普通は主役にはならない。ロックであれジャズであれ、時としてあってもなくてもいいかのようなひどい扱いを受けることもある。その理由は、本格的な音響装置ならいざしらず、普通の家庭で音楽を聴く環境や、街中でBGM的に音楽が流れている限りにおいては、ベースの音が耳につくことはあまりなく、早い話が“よく聞こえない=どうでもいい”という不当な評価に結びついてしまうからである。しかし、いろんなアルバムを注意深く聴けば、ベースが演奏の出来・不出来を決めてしまっていることが少なくない。

 本盤は、タイトルからもわかるように、そんなベースという楽器をあえて正面に押し出し、際立たせたアルバムである。したがって、ベースが目立つように演奏・録音されている。ベースを意識して聴いたことはないがそうした聴き方を試してみたい、と思ったならば、一度本盤を聴いてみることをお勧めする。



 それはさておき、意識して聴いてもらいたいのは、むしろそれ以外の部分である。個人的な好みで、本盤所収の曲の中から2.「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」を例に挙げることにする。まず、注目すべき点のひとつは、ベースがメロディ・ラインを奏でている部分である。この曲で言えば、冒頭の部分しばらくはチェンバースのベースがこの曲のテーマとなるメロディを演奏している。普段意識していなくとも、そこに集中して聴けば、ベースが実はこれだけ表現力のある楽器だということに気づかされる。

 さらに注目すべき第二点目は、続くギターのバックで演奏している部分。テーマメロディとそこから発展するソロを担っているのはギターのケニー・バレルである。だが、しばしその背後で鳴っているチェンバースのベースに注意を注いでほしい。これがあるからこそ、ギターの奏でるテーマやソロが“きまっている”ことにお気づきいただけると思う。そこまでいけば、後はピアノ(ハンク・ジョーンズ)が続いても同じで、ベースに耳を傾け続けられる。ベースが最後に再びテーマを奏でる頃には、ベースが“脇役”だという意識は薄れ、ベース中心で曲を楽しめてしまうことだろう。

 本盤において、こうやってベースを前面に押し出すコンセプトが功を奏したのは、メンバーの人選による部分が大きいように思う。具体的には、目立つ管楽器を排したこと、代えてギター奏者(ケニー・バレル)を入れたこと、そして、控えめで優しいプレイをするピアノ奏者(ハンク・ジョーンズ)を迎えたことである。初めてジャズを聴くという人にはお勧めできないけれど、上で述べたようにベースの存在が気になり始めた向きには大いに推薦したい盤で、長く聴き続けられる一枚だと思う。




[収録曲]

1. Yesterdays
2. You'd Be So Nice To Come Home To
3. Chasin' The Bird
4. Dear Old Stockholm
5. The Theme
6. Confessin'

Kenny Burrell (g)

Paul Chambers (b),
Art Taylor (ds)

録音: 1957年7月14日

Blue Note 1569






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Last updated  2013.08.01 21:06:47
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