音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年01月13日
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テーマ: JAZZ VOCAL(2)
カテゴリ: ジャズ
初めて聴いた衝撃は忘れ難い


 カサンドラ・ウィルソンは、それ以前からも活動はしていたものの、1990年代にブルーノートからメジャー作を出したことで一気に人気を獲得した女性ジャズ・シンガーである。これまでに二度のグラミーに輝いており、それらはジャズ・ヴォーカルの部門での受賞であるが、型にはまったジャズ・シンガーという感じではない。レパートリーは幅広く、自作曲もあれば、ロックやポップスからブルースの曲まで多様である。

 上に述べた“ブルーノートからのメジャー作”の第1弾がこの『ブルー・ライト(Blue Light ’Til Dawn)』である。そしてまた、筆者が最初にカサンドラ・ウィルソンを聴いたのも、本盤であった。その時の衝撃はずっと忘れられないものであり続けている。何よりものっけからの情感豊かでかつドスの利いた迫力の声。彼女の声は女性にしては低い音域で、いわば“低音の魅力”が売りの一つなのだが、何よりもその声には迫力がある。ちょっと大袈裟に言えば、睨みつけられて動けなくなったような感覚に陥り、気がついたらそのまま聴き続けているという感じだ。

 その衝撃を味わったのは、曲順通り、冒頭1曲目の「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ」。歌ではビリー・ホリデイ(『レディ・イン・サテン』)、演奏ではマイルス・デイヴィス(『ウォーキン』)やソニー・ロリンズ( 『サキソフォン・コロッサス』 )など数多くの好演で知られる。この曲は、ジャズのスタンダードとしてすっかり定着しているわけだが、それを上記のような迫力の声で堂々とやられて、聴き手のこちらとしてはビビってしまったと同時に、その凄みに圧倒されたということであった。

 一般にこのアルバムの聴きどころと言われるのは、2.「カム・オン・マイ・キッチン」と12.「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン」である。前者は、ブルース奏者ロバート・ジョンソン(いわゆる“ロバジョン”)の曲で、これを解釈したカサンドラ・ウィルソンのブルージーさがわかると同時に、古いブルースの原曲をいかに自分なりに消化しきっているかが明瞭に出ている(同じことは、やはりロバート・ジョンソン作の5.「ヘルハウンド・オン・マイ・トレイル」についても言える)。対して、後者の「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン」は、上述の1.「ユー・ドント・ノウ・~」と同様の衝撃的歌唱で、その迫力には“参りました”としか返す言葉がない。

 変わったところでは、ジョニ・ミッチェルの6.「ブラック・クロウ」やヴァン・モリソンの10.「テュペロ・ハニー」なども取り上げている。曲目だけみると雑多なように見えてしまうが、実際に聴いてみると、そのトーンは統一されている。つまりは、カサンドラ自身のルーツとなっている音楽を彼女色の統一したトーンで編んだといったところか。後のアルバムの中には、より統一感と完成度にすぐれたものもある(言い換えると、本盤にはまだ未完成で粗削りな部分も含まれる)。しかし、個人的な体験も含め、最初の衝撃という意味で本盤は忘れ難い名盤だという感想を持っている。



[収録曲]

1. You Don't Know What Love Is

3. Tell Me You'll Wait For Me
4. Children Of The Night
5. Hellhound On My Trail
6. Black Crow
7. Sankofa
8. Estrellas
9. Redbone
10. Tupelo Honey
11. Blue Light 'til Dawn
12. I Can't Stand the Rain

1993年リリース。





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