音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年12月31日
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テーマ: 放射能汚染(397)




 もう一つ、この1年ずっと気になり続けた清志郎ナンバーが「ラヴ・ミー・テンダー」。言わずと知れた、エルヴィス・プレスリーの有名曲だが、『COVERS』に収められた各楽曲と並んで、日本語訳詞が実に見事。元のメロディを維持しながらこれだけぴったりはまった訳詞というのは、そうそう作れない。“なに言ってんだ~/よせよ~/騙せはしねえ~”、“放射能は~/いらねえ~/牛乳が飲みてえ~”。そう、反核・反原発の訳詞なのである。動画は、前回と同様、ライヴのテイクから。




 前回少し触れたように、この曲を含むアルバム『COVERS』は東芝からの発売が中止になった。親会社が原発推進に加わっていたわけだから、“大人の事情”的にはなるほどだったわけだが、その当時、バブル景気に浮かれていた日本で、こんなところに目をつけていたのは先見の明があったとしかいいようがない。

 けれども、それを受け止めた若者たちの多く(筆者も含む)はどこか勘違いしていたのかもしれない。皮肉にも、“ロックに反骨精神を見る”ことが、清志郎のメッセージを正当に評価する妨げになってしまった側面があったのではなかろうか。某民放の生番組でリハーサルとはまったく違うのを演り、彼らの楽曲を放送禁止にしたFM東京を叩いた姿などは、まさにその象徴だった(世の動画サイトにも、放送内容は繰り返しアップされ続けている)。でも、よく考えれば、清志郎が思い描いていたのは、その先に放送される歌のメッセージだったはずで、もっと言えば、聴き手が何らかのアクションを起こすことであったに違いない。けれども、結果として、聴き手側はそうしたアクションを十分に起こすまでは至らなかったので、今回のような惨事を迎えてしまったということになってしまったのだろう。

 今回も動画の紹介ついでにおまけをもう1曲。清志郎そっくりの“友人”ZERRYが率いるバンド、ザ・タイマーズ(“大麻”と“ザ・タイガース”を引っかけた名称)による、「メルトダウン」。この表題となっている用語は、わずか9カ月の間に、日本人では知らない人はいない有名語になってしまったわけだが、20年も前にこれをタイトルにしてこんな歌をやっていた(しかもこのライヴ映像の会場は、九州電力保有の福岡電気ホールとのこと)のである。これって彼が遥か未来を見通していたということがわかるのと同時に、やっぱりその当時の世間の聴衆には本当にはメッセージが浸透しきらなかったのかな、という感じも受ける。




 一年の締めくくりが暗くなってしまうのはどうかとも考えたが、一区切りで2012年に突入するまでに、ずっと気になっていた忌野清志郎のメッセージを思い出しておきたかった。

 来年はどうかすべての日本に住む人たちにとって、前向きな1年となりますように。







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Last updated  2011年12月31日 07時15分53秒
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