マナ(MANÁ)はメキシコの人気ロック・バンド。1970年代末から80年代前半にザ・グリーン・ハット・スパイズ(The Green Hat Spies)、グリーン・ハット(Green Hat)、ソンブレロ・ベルデ(Sombrero Verde, “緑の帽子”の西語訳)といった名前で活動していたバンドが母体となり、1987年にマナとしてデビューした。
90年代に入り、バンドはシングル・ヒットを連発し、メキシコ国内はもとより、南北アメリカ大陸各国で人気を博し、それ以外の世界各国にも活動の場を広げて、大規模な海外ライブもこなすようになっていく。1992年の『ドンデ・フガラン・ロス・ニニョス(¿Dónde jugarán los niños?,子供たちはどこで遊ぶ?)』、1995年の『クアンド・ロス・アンヘレス・ジョラン(Cuando los ángeles lloran, 天使たちが泣く時)』、ラテン・グラミー賞を獲った1997年の『スエニョス・リキドス(Sueños líquidos, 流れ出る夢)』といった90年代の作品群は、このバンドが成長し、成熟していく過程をよく表している。
この「サン・ブラスの波止場にて(En el muelle de San Blas)」という曲は、『スエニョス・リキドス』に収録され、アルバム発売の翌年(1998年5月)にはシングルとしてもリリースされた。マナの90年代の成熟ぶりがよくわかり、1つの曲がストーリーとしての完結性を持っている。しかも、その内容は、叙情的な哀しい物語である。