音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2013年02月28日
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テーマ: Jazz(2003)
カテゴリ: ジャズ




 先頃、現ローマ教皇が “引退”を発表した。今日2013年2月28日の現地時間夜8時をもって退位し、ローマ教皇の座は空位となって、翌日(今回は亡くなったわけではないので服喪期間はなし)から次の教皇の選出準備作業が始まる。亡くなる前の退位は15世紀以来600年ぶりとのことなので、これは大ニュースである。事実、カトリック信者の多い国々のマスコミ等では、引退のニュースが報じられるや否や、“次は誰か”の記事が連日、新聞の紙面やその他のニュースをを賑わせていたようだが、信者の少ない日本では、退位そのもの以外にはほとんど報じられていないようだ。新教皇の選出に何日かかるかはわからないが、次に選ばれた途端、思い出したようにまた大々的に報道するのだろうけど(そういえばベネディクトゥス16世の時は白い煙が合図だったっけ…)。

 いきなりローマ教皇の選出とは的外れに思われるかもしれないが、本盤『テナー・コンクレイヴ(Tenor Conclave)』はまさしくこの教皇選出会議になぞらえたネーミングの盤である。“コンクレイヴ(英語読み)”は、ラテン語・イタリア語で“コンクラーヴェ”といい、“鍵をかけられた”を意味する。1978年に改正されているものの、かつてはミケランジェロ作「最後の審判」のある、かのシスティーナ礼拝堂にお偉方たち(枢機卿団)が鍵をかけられて缶詰で選出会議を行っていたというものだ。これを模して、録音当時(1950年代半ば)のテナーの大物たちがスタジオに詰めて熱演を繰り広げるといった企画が、この『テナー・コンクレイヴ』だった。

 参加した4人のテナー奏者は、ハンク・モブレー(Hank Mobley)、アル・コーン(Al Cohn)、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)、ズート・シムズ(Zoot Sims)。元の盤ではこの名前の順なのだが、なぜか日本盤ではアル・コーンが最後に来ている(知名度の問題で変更したのだろうか)。本盤は、テナー・バトルの代表盤としてよく名が挙げられ、同楽器の奏者4名という聞き分けづらい事情からも、難しい盤という仰々しさがついて回る。

 正座して気合を入れて聴く盤(コンクラーヴェをもじって「根比べ」と評されたりもする)というイメージが強い分、本盤に手を出す人はある種の覚悟があることだろう。そのように割り切ってしまえば、難しさも和らぐかもしれない。とはいえ、筆者自身も気合を入れてからしかかけられない盤という意識がどこかにあって、知らぬうちにそんなイメージに乗せられてしまっているのだろうけれど(苦笑)。

 本盤に収録された全4曲のうち1.「テナー・コンクレイヴ」と3.「ボブズ・ボーイズ」はハンク・モブレーによるもので、2.「ジャスト・ユー・ジャスト・ミー」と4.「ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン」はいずれもジャズのスタンダード・ナンバー。これら4曲はどの演奏も聴きごたえがあるが、あえて聴きどころを挙げるとすれば、表題曲の1.「テナー・コンクレイヴ」だろうか。この曲は、ハンク・モブレーの作ではあるが、G・ガーシュウィンの「アイ・ガット・リズム」をもとにしたもので、いわゆる“リズム・チェンジ”と呼ばれる独特のコード進行によるもの。

 前置きのせいか話が長くなってきたので、この辺で一息入れて、2回に分けての更新にさせていただきたい。
後編 へ続く)

後編 に掲載しています。





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Last updated  2013年03月01日 08時57分11秒
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