音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2014年05月28日
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テーマ: musica latina(82)



 だいぶ前にこのソラーヤ(Soraya)の 『エン・エスタ・ノチェ』 というデビュー・アルバムを紹介した際、“ラテンのプリンセス”と彼女のことを呼んだのだけれど、その理由をちゃんと述べていなかった。生まれは米国(ニュージャージー)だが、コロンビア人の両親を持ち、幼少期をコロンビアで過ごしたこのシンガーソングライターをそう呼ぶ理由は、彼女の名前(洗礼名)にある。“ソラーヤ”という名前は、アラビア語起源の名前で、“豊か”とか“プリンセス”の意味とのこと。本名(フルネーム)は、スペイン語圏にありがちな長い名前で、ソラーヤ・ラケル・ラミージャ・クエバスSoraya Raquel Lamilla Cuevas)という。

 そんなわけでまさしく“プリンセス”な女性シンガーなわけだけれど、既に紹介したように、残念ながら2006年に37歳で乳癌で亡くなっている。そんなソラーヤが生前に残した作品の中で、筆者がいちばんに気に入っているのが本セカンド作『トーレ・デ・マルフィル(象牙の塔)』である。

 どの曲もレベルが高く、キレのいいポップさと表現力あるヴォーカルが印象的。シングルとしても発売された3.「遠くへ(レホス・デ・アキー)」、1.「行かないで(シ・テ・バス)」、 4.「パリ、カリ、ミラノ(注:カリは、コロンビア第3の都市サンティアゴ・デ・カリ)」、 5.「象牙の塔(トーレ・デ・マルフィル)」(リリース順)がシングルとして発売された。このうち3.が最大のヒットで、母国コロンビアで1位のほか、アルゼンチンで5位、メキシコで9位のチャートアクションを見せた。また英語バージョン(タイトルは「So Far Away」)も発売され、米国やオーストラリアでヒットした。

 筆者としてのベスト曲は、4枚目のシングルとなった表題曲5.「象牙の塔」。憂いのあるメロディにのせて日常の人との触れ合いの中の“恐怖心”をさらりとうたった好ナンバー。この他、上記のシングル曲の中では、1.「行かないで」と4.「パリ、カリ、ミラン」が特にお気に入り。シングル以外の収録曲では、6.「それは愛(エス・ウン・アモール)」と7.「これで終わりなの?(セラ・エル・フィナル?)」、さらには10.「人生の物事(コサス・エン・ラ・ビーダ)」が特にいい。

 いま挙げた最後の3曲なんかは特にそうだと思うのだけれど、ソラーヤはあまり難しいことを詞にしていない。日常の些細なこと(例えば恋愛感情など)を題材としている。しかも、その“日常”の切り取り方がわざとらしくも仰々しくもなく、さらりと自然に普通の生活を切り取った感じがする。このような“さりげない日常の切り取り”というのは、見た目が日常なだけに大げさに取り上げられたりしないのが常だけれど、かなりの才能やセンスがないと誰にでもできるものではないのだろう。全曲自作もしくは共作だが、共作者として参加しているのは、かのキャロル・キング。そう言えば、キャロル・キングも嫌みなく人生の断片を歌にできる才能の持ち主だから、なおのことこの仕上がりは納得といったところである。



[収録曲]

1. Si te vas

3. Lejos de aquí
4. París, Calí, Milán
5. Torre de marfil
6. Es un amor
7. ¿Será el final?
8. Dulce amor
9. Mi dolor
10. Cosas en la vida
11. Oropel

1997年リリース。







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Last updated  2014年05月28日 06時45分52秒
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