ぼくの細道・つれづれ草

ぼくの細道・つれづれ草

2009.09.11
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  先生が、細長い桐の箱から
  大事そうに取り出したのは
  どうやら掛け軸らしい。
  紐を解いて床の間にかけると
  ゆっくり下に広げた。
  どうやらこれは、いわゆる水墨画らしい。
  それくらいはあたしにだって解る。
  だいたい、色がない。
  墨の濃淡だけだ。


  童子とも大人ともつかない人物が
  そこには描かれている。
  長い髪は肩まで垂れ
  ぺらぺらした衣の裾が風に靡いている。
  背景の岩と樹木は
  これまた淡彩だけど 
  力強く勢いがある。
  全体的には
  なんだか妖しげな雰囲気が漂った絵だ。

 「へえ、なかなかの逸品らしゅうございますが
  これは何の絵でございましょう?」

  ちょっと驚きだなあ」
 「どちらかといえば
  わたしはその九谷とか伊万里とか
  焼き物のほうが専門でして・・・」
  骨董屋の言い訳には

  骨董屋だろうが美術商だろうが
  骨董一切、美術品や道具全般について
  広い知識を持っていなくてはいけない
  のと違うだろうか、それが職業なんだから。
  お安く買い叩いておいて
  贋物だろうが偽作だろうが
  無知な骨董屋が無知な骨董好きに
  法外な値段で売りつける
  そんな悪徳商法常習の手合いが
  きっと居るのだわ この世界には きっと、
 「臥竜洞」のトラ猫にも一度確かめておかなくっちゃ。

 「これはな、寒山拾得の拾得なんだよ
  寒山拾得は焼き物の絵柄にもあるよ。
  よく覚えておくといい」と先生。
  これでは どっちが本職だかわからない。
  それにしても先生は偉い!。 







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Last updated  2009.09.11 15:13:50
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