読書日記blog

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2007.08.14
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カテゴリ: ノンフィクション


イースト・プレス



白日の下にさらされた、台湾戦後史の暗部。


アジアの民主国家の優等生として名高い台湾。しかし、ほんの少し前までは、ファシズム政党である国民党によって、恐怖政治が行なわれていた。
台湾で民主化弾圧、台湾人への苛烈な締め付けといえば、あの2.28事件が有名。しかし、恐怖政治の一番の恐ろしさは、監視・密告・投獄・拷問・処刑が、毎日毎日、日常の隣に潜んでいることである。いつ何時、幸福な日常生活が壊され、いわれのない冤罪を被せられるかわからない。政治犯、思想犯が収容された緑島が国民党による恐怖政治を象徴しているが、緑島だけが監獄島だったのではなく、台湾全土が監獄島だったのである。

本書の著者、柯旗化さんも冤罪で緑島に投獄された1人。英語の教員として、英語参考書の著者として成功していた柯さんは、台独運動に関わっていたわけでも中共のスパイだったわけでもない。しかし、拷問に耐えかねた友人のでたらめな自白により、捕まり緑島に何年も閉じ込められてしまう。

民主化した現在、台湾の恐怖政治の真実が次々と明らかになってきている。実際に緑島に収容された著者によって明かされる、理不尽なエピソードの数々には、読んでいて恐怖と怒りを覚えさせられる。特に今年は台湾旅行もブームのようで、これからは台湾の歴史に関心を持つ人が増えていくだろう。恐怖政治時代の一端を伝える本書は、いまの民主的な台湾になるまでの歩みを知るための重要な一冊である。
ちなみに緑島は、現在観光名所になっているそうで、かつての監獄も見学できるそうだ。機会があればぜひ見学に行きたいと考えている。





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Last updated  2007.08.14 10:03:55
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