書評日記  パペッティア通信

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Sep 11, 2005
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カテゴリ: 政治



それは、左右社会党合同・保守合同によって始まった、「55年体制」の完全な終焉をつげるものです。もはや、自民党は名前こそ同じであれ、以前と中身はまるで違うものになってしまった。


自民党。
日本の政治の「すべて」であったモンスター。
あまりにも隔絶した、偉大そのものであった巨大政党。
世界憲政史上の、ある種の「奇跡」


これを読んでいるみなさんより、私の方が政治関心歴が短かいかもしれない。それなら申し訳ないので謝りたい。恐縮ながら、私の政治にまつわる記憶は、「鈴木善幸首相、岩手にお国入り」を報じた『サンデー毎日』の記事からはじまっている。岩手でソバをすする首相の顔。池田・大平両首相の元で秘書官をつとめた伊藤昌哉は、その著書『自民党戦国史』の中で、こう書いていたことを覚えている。「故郷に錦をかざる気になった以上、池田首相の例をみても、首相は必ず退陣するだろう」


たしかに、その後、鈴木後継をめぐって、自民党のすさまじい党内抗争がおきて、中曽根にバトンタッチすることになる。二階堂擁立劇、創政会、自民党分裂…この報道を皮切りにして、今まで新聞朝刊政治面を読まない日は、ほとんどなかった。


意外におもわれるかもしれないが、わたしは自民党が好きです。

それでいながら、批判を受け止める度量の深さ。
傲慢と紙一重の執権党としての矜持の高さ。


自民党には、すべてがあった。

超エリート官僚から、企業経営者、泥臭い党人派までいた。高潔をうたわれた賢人(自民党三賢人)もいれば、策士縦横・政略家までいる。戦犯宰相岸信介から、協同主義の三木武夫、宇都宮徳馬まで。恐ろしいまでの幅広さ。自民党は、「資本主義体制を擁護する人たち」以上の集まりではなかった。前述の鈴木善幸首相が、社会党出身者であったことは、皆様もご存じでしょう。とりわけ私が好きだったのが、松野鶴平、川島正次郎、大野伴睦、保利茂、金丸信、野中広務たちです。自民党の派閥領袖は、「金脈」が必須でした。それを欠きがちだったのに、その絶大な政治的嗅覚で、影響力を振るった、政治家たち。そのあまりにも人間くさい群像に惚れました。


自民党政治は、だから面白かった。
そして、深かった。


緒方竹虎といい、安倍晋太郎といい、朝日新聞の記者ですら自民党で出馬したのだ。社会党政権なんて、誰も本気で考えたことなかったに違いない。わたしも、大きくなったら自民党に一票を入れるんだろうな、と半ば覚悟していた。野党を足しあわせたって、自民党に太刀打ちできるはずがなかった。


そんな、自民党がおかしくなったのは、86年衆参ダブル選挙で大勝した頃からだった。矜持は、驕慢にかわった。リクルート、佐川急便と連続する汚職劇。「おたかさん」のマドンナブームの直撃以降、矜持は妙な傲慢さをおび、焦りは「偏狭さ」「他党への誹謗まがいの攻撃」へとかわってゆく。自民党から、その懐の深さが失われはじめたのだ。90年総選挙で、海部・小沢コンビが打ち出した、「体制の選択」キャンペーン。その「大人げなさ」には、興ざめさせられた。自分が支持する内閣が支持率1割を切るというのを、2回も経験させられたのもこの頃だった。その後、若手改革派をなのる得体のしれない連中による、「政治改革」の狂騒劇は、忘れられない。


かくて私は、いつしか自民党支持者の列から離れることになった。
自民党がいつの日にか、懐の深い、それでいて汚職の少ない政党に生まれかわる日が来ることを信じて。それは、いっときの別れのはずだった。


あれから何年がたったのだろう。



まず、総理大臣クラスの人材がまったくいない。

安倍晋三?バカも休み休みいえ。
その程度の人間なら、かつての自民党には、腐るほどゴロゴロいた。あまりにもゴロゴロしているので、総理大臣になれなかった、薄幸の有力政治家は、20指でさえあまるくらいだ。緒方竹虎、石井光二郎からはじまって、藤山愛一郎、河野一郎、大野伴睦、前尾繁三郎、椎名悦三郎、山下元利、江崎真澄、後藤田正晴、伊東正義、中川一郎、安倍晋太郎…あまりにもバカバカしいので、この辺でやめておきたい。高村?加藤?。彼らはもはや総理大臣になれはしまい。福田首相の息子?どうみても中継ぎでしかなく、本格政権にはなれそうにない。はっきりいって、今では民主党の方が、厚みははるかに上である。


そして、成り上がり者が、誰もいない。
ギラギラした権力欲、上昇欲をたぎらせて、一代で上り詰めた政治家が、自民党から姿を消してしまった。田中角栄をはじめとして、山中貞則、中川一郎、村上正邦、野中広務…アクの強すぎる、なりあがりたち。もはや、「自民党は自分党だ」といわれたほど、強烈な個性をもった政治家は、どこにもいない。野中広務の引退。亀井静香の離党。執行部、何する者ぞ。気概をもった政治家は、どこにもいない。





今回、「公募」という名のパックにつつまれ、小泉劇場に上演された「刺客」候補たち。「自民党はかわった。改革政党になった」というプロパガンダによって、世論調査では、自民党は好調のようだ。心よりいえる。おめでとう。


かれらは自民党をなのっている。しかし、こんな自民党を自民党支持者は、求めていたのだろうか。少なくとも、自民党支持者が理想とする自民党は、こんな姿だったのだろうか。私にはとてもそうはおもえない。人材も、人材供給も、度量の広さも、懐の深さも、何もかも小泉によって、徹底的に壊されてしまった。それなのに、汚職だけは以前とかわらない。金太郎飴のような「消毒済み」「滅菌」された2世・3世・公募議員たちと、老い先短い、地方政界出身の名誉職議員に占領されてしまった自民党。なにか、悪い夢でも見ているかのようだ。夢なら醒めてほしい。


いっときの別れは、もはや永遠の別れに終わりそうな気配である。
わたしの好きだった自民党は、どこにもいない。おそらく、自民党に一度も投票する機会が与えられないまま、私は生涯をおえるのだろう。今でも敬意をはらっているにもかかわらず… それはいい。


ただ、中国共産党のように、政権交替を恐れ、権力によってメディアを支配し、政権基盤の養成に奔走して、政権の永続を願う政党は、その辺の並の政党にすぎない。「ぶっ壊した」挙げ句が、中国共産党のような政党への脱皮、「美しい日本の自民党」の終焉にすぎないことが、私にはとても悲しい。

これからはじまる開票速報。
日本にとって幸あらんことを。






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Last updated  Sep 26, 2005 04:33:36 PM
コメント(14) | コメントを書く


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Re:★ 「美しい日本の自民党」の終焉(09/11)  
呉雅力  さん
わたしも8時まえに石田秘書のサイトには??でしたが、産経の予測に近いものになりましたね。

でも、これは希望的観測ですが、実質的に派閥がなくなったいま、これだけの大所帯がまとまるとは思えません、

民主小沢さんのいわれてたみたく、この数を守る選挙はむつかしいだろうし、民主には責めの選挙でがんばって欲しいものです。 (Sep 11, 2005 11:01:02 PM)

Re:★ 「美しい日本の自民党」の終焉(09/11)  
こんばんは。

私の父親も保守王国の県出身ですので、ずっと自民党支持でした。特に三木元総理の大ファンで、彼こそ本来の政治家だと今でも言っています。

ちょうど書かれていた内容と父親がよく話している内容が一致しています。

自民党自体が悪くなったわけじゃない、自民党を構成する人が悪くなったんだと思っています。

(Sep 11, 2005 11:05:01 PM)

自分は非自民ですが  
ろろ さん
今ものすごく感じているのは、我々がバブル崩壊後に憎み、唾棄すべきであると喧伝されていたものが
実は、日本と日本人を守っていてくれたのだということです。

「税金で補填してる銀行」「民業の圧迫」と言われていた郵貯が、日本をどん底に落とさない安全弁の役割をしてくれていたんですね。

そして、今思うのは、人権擁護法案のことです。
あの悪魔の法案の国会提出が避けられたのは、実は自民党内部の一見煩雑な意思決定プロセスのおかげなんですね。
法務部会で若手議員や、平沼赳夫経済産業大臣らが反対したから、あの古賀誠(部落解放同盟の代弁者)も、強引な党内決定にこぎつけられなかったのです。

そういうものを、「ぶっ壊す」と言っている人がい
ますね。反日左翼だけが日本文化を破壊していると思っていたら、今度は右側からも出てきてしまったんですね。ファシストが。

残念ながら、この選挙以降自民党は、執行部の恫喝に対して何も言えない羊の集まりになってしまいそうで嫌です。
(Sep 12, 2005 03:03:20 AM)

Re:★ 「美しい日本の自民党」の終焉(09/11)  
畑の案山子  さん
美しい日本の自民党?先送りの得意な自民党がですか?むむっ!日本の政治家は、生まれ変わる必要があると思うのです。
今までの自民党では、これからの日本を守ることは
できませんよ。それが現実だと思います。
田中角栄の時代には、日本列島改造論、、あれも
あの時代だから良かった。
取り合えず、今度の自民党を見守りたいと思っています。 (Sep 12, 2005 05:43:20 PM)

なるほど…。  
愛の無知 さん
自民党政治が本物の「劇場」だった頃がなつかしいと。
私もそう思う今日この頃ですが、街から映画館が消えシネコンなるものに変わっていったように政治の世界も新しいステップへと変っていくのですね。 (Sep 12, 2005 08:01:52 PM)

そう言う見方もあるかとは思いましたが。  
安保 仁  さん
>今では民主党の方が、厚みははるかに上である。
これだけは個人的にどうも・・・・。

岡田氏が辞任に於いて次期代表に菅、小沢、鳩山の名前が出てしまうんですよ?

他に若手がいないのかと・・・。
(Sep 12, 2005 08:51:32 PM)

(´・ω・`)y-~~どもども  
kimuraお兄さん さん
TBいただいたので、読みましたけど、当方、主に韓国ネタを扱っているので特にコメントしようが無かったのですが…

「パペッティア通信」というのがひっかかりまして…

ノウンスペースのパペッティア人から来てるんですかね? (Sep 13, 2005 07:20:43 PM)

Re[1]:★ 「美しい日本の自民党」の終焉(09/11)  
春秋子  さん
あけやん2515さん、ちわっす

>特に三木元総理の大ファンで、彼こそ本来の政治家だと今でも言っています。

田中角栄は「本物の政治家は、俺と三木だけだ」と言っていたそうです。親父さんの目は確かですよ。

呉雅力さん、こんちわっす♪

>民主小沢さんのいわれてたみたく、この数を守る選挙はむつかしいだろうし、民主には責めの選挙でがんばって欲しいものです。

まったく同感です。

ろろさん、こんちわっす♪

>今ものすごく感じているのは、我々がバブル崩壊後に憎み、唾棄すべきであると喧伝されていたものが実は、日本と日本人を守っていてくれたのだということです。

人権擁護法案は、微妙な賛成だったりするのですが、そういう一見邪魔していた物が守ってくれているのかも知れない、と自己の思考を再点検していきたいものだとおもいます。

安保 仁さん 、こんちわっす♪

>岡田氏が辞任に於いて次期代表に菅、小沢、鳩山の名前が出てしまうんですよ?他に若手がいないのかと・・・。

鳩山は初耳ですが、菅直人は党綱領をもたない民主党にとっては、民主党の精神そのもの、帰るべき所、拠ってたつ基盤みたいなものです。すでに人材という以前に、人ではないでしょう。辛辣にいえば、「生きながらにして死んでいる」のかもしれません。

人材で言えば、ゴロゴロしているけど、「人」じゃないものを今民主党が必要としている、と見た方がいいのでは? (Sep 13, 2005 11:06:33 PM)

Re:(´・ω・`)y-~~どもども(09/11)  
春秋子  さん
kimuraお兄さんさん

>「パペッティア通信」というのがひっかかりまして…ノウンスペースのパペッティア人から来てるんですかね?

ご明察です♪
(Sep 13, 2005 11:07:06 PM)

はじめまして  
メフィスト さん
トラックバックさせていただきました。

>中国共産党のように、政権交替を恐れ、権力によってメディアを支配し、政権基盤の養成に奔走して、政権の永続を願う政党は、その辺の並の政党にすぎない。

本当にそう思います。自民党は政権維持のために節操を無くしてしまったと。 (Sep 14, 2005 12:53:06 AM)

今回の選挙結果  
ふみこ@なでしこ通信 さん
TBありがとうございます。
TB機能が不調なので、失礼致します。
今回自民党が大勝しましたが、郵政民営化法案のみの視点だけで決まってしまったことは本当に遺憾です。
その他の法案や外交問題等の行き先が本当に心配しております。
(Sep 16, 2005 09:40:39 PM)

私がこちらと即座にリンクしようと決意したのは  
三輪の何某 さん
このエントリーを見たからなんですよね。

このエントリーに関係する、そんな記事をこちらでもあげてみましょうかね・・・。
そろそろ、そう言う方向も良いかも? (Nov 15, 2005 11:15:54 PM)

Re:私がこちらと即座にリンクしようと決意したのは(09/11)  
春秋子  さん
三輪の何某様、こんばんわ。

>このエントリーを見たからなんですよね。

なんと…お恥ずかしいものをお見せいたしました。

>このエントリーに関係する、そんな記事をこちらでもあげてみましょうかね・・・。そろそろ、そう言う方向も良いかも?

うわ。ぜひ、読ませていただきたいです。
お願いします。
(Nov 17, 2005 10:49:05 PM)

「守銭奴党」と改名すべき自民党  
三毛猫 さん
政治資金収支報告書は嘘ばかり。その党首が「美しい日本」とは笑止千万。勘違いとか単純ミス、とは見え透いた大嘘。貴様らの心を美しくすることが先決だろうが。腐りきった連中が政策論とはオコガマシイ。 (Sep 8, 2007 07:23:00 PM)

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