書評日記  パペッティア通信

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Sep 23, 2005
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カテゴリ: 歴史



『教科書が教えない歴史』というなら、これほど相応しい本はありません。


太閤秀吉による「刀狩令」。これは、丸裸にされた民衆像を生みおとしてきた。市民の武装こそ、その国の人権や自由のあり方と深く関わるとするなら、民衆がさしたる抵抗もなく武装解除されたことを喜ぶことはできないでしょう。ところが、こうした 「武装解除された惨めな民衆」像は神話 にすぎないらしい。本書は、秀吉の「刀狩令」、明治の「廃刀令」、マッカーサーの「民間武装解除」にいたる、民衆武装史を縦横に追跡してくれます。


野獣退治、治安維持、村のナワバリ確保、戦火を避ける…さまざまな理由で武装していた中世の村と民衆。 民衆にとって帯刀は、名誉の象徴、尊厳そのもの であったという。


太閤秀吉の構想、「兵力をまったく入れず、天下を平均する」=惣無事令。大名にも民衆にも、自力解決(=戦争)を禁じて平和的な裁判をもとめる構想は、「海賊停止令」「浪人停止令」などとともに、「刀狩令」を生む。それは、武器をもってよい武家奉公人と、持てない百姓にわけ、武力行使を停止させるものであった。 「刀狩令」は、身分を視覚化するための、帯刀権剥奪であって武装解除ではなかった 民衆は、「刀狩令」後も、依然として脇差をさしていた 。九州では、朝鮮侵略のための武器を調達するため、名刀狩りとしてすすめられた。村の「戦争」を回避するために、「喧嘩停止令」が出された。身分に応じた身なりの規制は、徳川幕府の下、村人だけではなく町人にも及んでゆく。 藩のもつ鉄砲数は、近世の村々がもつ、害獣を追うため登録された鉄砲数にはるかに及ばなかったらしい


身分表象としての帯刀規制は、明治維新後、「国民皆兵」にとって障害となったため、「散髪令」などとともに消滅してしまう。 帯刀は、軍隊・警察・官吏の身分表象になった ものの、こうして出された「廃刀令」も、士族・民衆の帯刀禁止でしかなく、鉄砲所持も禁止されていないらしい。民衆の武装解除は、占領下の1946年の銃刀所持禁止を待たねばならない。驚くなかれ。戦前の日本では、530万本、3世帯に1世帯が日本刀を所有していたという。


こんな紹介でも、いかに刺激的な本であるか、理解できるのではないでしょうか。ノエル・ペリン『鉄砲を捨てた日本人』(中公文庫)における日本人像は、たしかに間違っています。日本人は鉄砲を捨てはしなかった。しかし、正しくもあった。 鉄砲は、農具 として、村内に保有されていたからです。 百姓一揆とは、武器や放火などを自律的に封印した所に成立した、正統な民衆運動であった 。伝統日本では、武器の所有を前提としながらも、それを封印して制御する仕組が、一般のコンセンサスとしてできあがっていた。そのコンセンサスは、現在、個人レベルでも、国家レベル(憲法9条)でも、崩壊しつつある、と警鐘を鳴らして終る本書。日本の転換点に立つ今日、読み終えたときの感動も、ひとしおではないでしょうか。


たえず回帰する、マッカーサー憲法による、「他者による武装解除」像。
そこに、 絶えまない「自己による武装封印」の歴史を発見 して、
その伝統への「回帰」を訴えかける筆者。


たしかに感動的です。
ぜひ、皆さんに一読してほしい一冊です。



言うのはなんだけど、どうなんでしょうかね?
この2つは、対立しているのでしょうか。


そもそも、「農具」としての鉄砲保有であろうとも、「自衛隊」としての軍隊保有であろうとも、「他者による武装解除」VS「自己による武装封印」の対立で隠蔽されるものは、 それでも≪自己武装≫しているという現実 ではないか。そもそも銃刀法下、今も「美術品」として、230万本もの日本刀が登録・保有されている。「平和」「武器封印」という「使えない」環境。それは、「与えられた」ものか、「選びとった」ものか、そんな「二者択一」に還元することが可能な問題系なのだろうか。わたしには、とてもそうは思えない。 我々が真に警戒せねばならない<敵> は、「武器を使わない」「平和」な環境をもたらした要件について、単純に「能動か」「受動か」に分解して、 政治イシューに仕立あげんとする政治勢力


とはいえ、国家が武装封印の伝統を踏みにじるとき、民衆もまた武装で抵抗してきた歴史の発見こそ、この書の白眉といえよう。そのため、若干、甘く採点させていただいていた。市民武装権の確立は、民主主義に欠かせない。マッカーサーによって取り上げられた、我らの武装を取り戻さねばならない。憲法9条改憲による国家の側の<封印の放棄>の試みがおこなわれている現在、当然、市民の武装権も、また、確立されねばならないだろう。


パソコンを捨てよ。
銃を取りもどそう。

今こそ、改憲勢力に抵抗して、菅直人・民主党元代表の主張した、
市民革命にかわる「憲法制定運動」 に参加せねばならない。


評価 ★★★★
価格: ¥819 (税込)

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Last updated  Oct 15, 2005 08:51:00 PM
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