書評日記  パペッティア通信

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May 9, 2006
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カテゴリ: 政治
kino

(承前)

「日本外交の真の姿」とは、理屈もなく、理屈をつける必要も感じない者が、感情にまかせて力を振りかざしているだけ にすぎない。国連を法的根拠にすることで、なし崩し的にイラク関与を強めた日本が、今まさに国連を否定し始めたことは、日本の行動に制約がなくなったことに他ならない。 国連どころかアメリカを超えて暴走し始めた日本外交 は、拉致問題における経済制裁に表れているという。日本は、南ア経済制裁に同調しないどころか、チリなどの「拉致問題」に対してさえ関心を示さない、他国民の人権侵害に一貫して寛容な国家だった。それが北朝鮮に対してだけ、変節してしまう。2005年5月、世界における傭兵非合法化の流れを受け、アメリカでさえ「民間軍事会社」なる用法で糊塗している「傭兵」がイラクで捕まったことに対して、日本人というだけで「英雄」的扱い。その反面、最も利他的であるNGO関係者を政府批判というだけで「自己責任」と断罪した 読売・産経社説の論調は、民主主義・国際合意・犯罪か否か、といった論理を埒外においた、ヨーロッパは無論のことアメリカ保守派・イスラム原理主義派にもない、北朝鮮と最も類似する比較を絶した「利己主義」 であるという。

また、「勝者の裁判」東京裁判方式を過去のものにするためのICC(国際刑事裁判所)設立にあたって、日本は終始一貫して米国に同調して批判をおこないながら、 この本の著者 のように国内向けには政府は推進者のように装っているらしい。 ICCもイラク戦争も国連分担金問題も、対米追随ではなく官僚主導による独自路線で、をとっていた。さらにいえば、 国連分担金比率が近年問題 となっているが、政府歳出比率が近年増加したことで自らの支出権限下の金額が減少する 外務省のプロパガンダ にすぎない。インド・ロシア・中国のせいではない。 日本の分担率急増の2/3以上は、アメリカの肩代わり (22%まで)をしているためだという。しかも日本は、80年代まで新興途上国として「減免措置」を求めていながら、今では開発途上国減免措置に反対して中国に負担を求めているというのだから、支離滅裂である。二枚舌国家日本!すでに日本は世界の不安定要因の一つである!!筆者の糾弾は容赦がない。


実は、ジャーナリズムどころか 政治家・官僚でさえ理解していない!!!
日本外交の、なんというおぞましさよ!!!

この書には、末期的な日本の外交をとりまく状況が詳しく述べられています。日本の国連大使は日本が「決定的な影響力」を持つことを認めていながら、国内では「影響力がない」と二枚舌。自衛隊違憲をいう憲法学者は、日本の外交政策には関心を抱かない。ボルトン国連大使就任に関して巻きおこったアメリカでの論争を羨む一方で、法的整合性を維持するため政府が堅持してきた非核三原則・国連中心主義を官僚主導で捨てることを主張する審議会(竹内佐和子・有馬真喜子・西川恵(毎日新聞)・本田敬吉・御厨貴・村瀬信也・渡辺修)の座長、北岡伸一が国連大使に就任してもとりあげない朝日新聞。 ボルトンは、アメリカの利害に沿って国連利用・妨害をおこなうのに長けた人材 というのも、巷間に知られておらず、ありがたい。

なによりも、イラク武力介入容認決議が安保理で通る、自衛隊を早い段階でイラクに派遣する必要はない、常任理事国入りに周辺諸国は賛成する、世界は日本の常任理事国入りを望んでいる…… 2001年以降、日本外交は、どの立場から見ても誤りであり、失敗が判明して他の分野 (その一つが小泉首相の靖国参拝である) に大きな悪影響を与えておきながら、政府も国民も何一つ問題だと感じていない 。政策決定過程に合理性があるかどうか、官僚が国際世論を正しく認識しているかどうか、分からない。民主主義下にありながら、さながら大本営発表で、国内外の説明が違い一貫した論理が存在せず検証もされない戦前の外交は、今も変わっていない。前原誠司前代表の「国連改革を支持」する発言も、本書では厳しく断罪されています。民主制のようなダイナミックな政治参加や、知的エリートなるものは、日本には存在せず向かないのではないか。この悲鳴のような叫びは胸を打つ。

ただ、いささかゲンナリする部分もなくはない。 必要以上に日本外交の「一貫性」を仮構 した結果、そこからはみ出た部分を「支離滅裂」としてしまう感が無きにしもあらず、だからです。良い例が「常任理事国入り」における毎日・朝日新聞の論調批判でしょう。なるほど、国連中心主義を対米従属の中で遂行することを目的とした、産経新聞・読売新聞の常任理事国入り賛同は、理にかなっています。とはいえ、朝日・毎日新聞のように「常任理事国入り」して後も、対米自立・憲法の理念を活かせないとする理由はどこにあるのだろうか。 そもそも改憲・靖国参拝・イラク戦争支持・集団的自衛権は、この書が問題にしている外務省とは別の「主体」 ではないのか。どんなに方向性が同じように見えても、主体がまるで違う。ここに高度な一貫性を見出そうとするのは、ゲスの勘ぐりに近い。「憲法の理念」が世界に働きかけられない、まで確固とした改憲の流れは見えない。政権交替してしまえばどうなるのだろうか。

「支離滅裂な日本外交像」を描く上で切り捨てられたものは、かなり大きかったようにおもえる のだが、評者の気のせいだろうか。

とはいえ、前半期において一読すべき貴重な新書であることは疑いも無く事実。
ぜひお読みいただきたい。

暖かい応援 ありがとうございました)


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Last updated  Jul 3, 2006 11:08:26 PM
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