書評日記  パペッティア通信

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Nov 15, 2006
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▼   「萌え」なる恥ずかしい単語が、「おたく界」で市民権を得たのは、いつ頃からだろうか?。 おいら的には、「ルリルリ」全盛の頃、初めて耳にしたような記憶があるのだが、すでに定かではない。


▼   『萌える英単語』が増刷を重ねる、現在。 この世には、『萌えるマルクス主義』ならぬ、『まるくすタン』と名のる「天下の奇書」が存在しているらしい。 カール・マルクスを美少女にして、マルクス主義の歴史を百合ラブコメ学園ものにしてしまえ!  マルクス主義の登場人物は、すべて美少女。 下部構造は、「下半身の欲望」の別名になる。 むろん、「百合」にはエッチシーンあり。 「神をも恐れぬ所業」と帯書には書かれてあるが、この文句、ダテではない。


▼   小説のネタバレになるかもしれないが、面白さを損なわない程度に紹介しておこう。 とにかく、全編、爆笑もの。


▼   主人公は、理屈っぽく身もふたも無い、「まるくすタン」と呼ばれた美少女、丸楠かおる。 中学生のとき、新聞部に入ったものの、その顧問の美しい女性教師に、優しく手ほどきされるのが、「ヘーゲル左派」の思想、、、、、ありえねえー!  


▼   そんな女性教師がいるものか!  というなかれ。 やがて、放校された美少女・まるくすタンは、女子高に入ってしまう。 そこで、偏屈な彼女に恋をして支えてあげるのが、えんげるすタン。 女子高で繰り広げられる、百合な世界。


▼   冷静に社会構造を分析するまるくすタン。 人形レンシェンで秘密の行為をおこなう、えんげるすタン。 なぜか、ユリ同人誌を作っている同志の女子高生たち。 万国のモテざるもの、団結せよ!  「恋愛の自由」を唱え女子高で革命を起こした跳ね返りに、「革命の堕落だわ」という、まるくすタン。 う~む。 いちいち出典が分かる人には、たまらない小説だろう。 


▼   まるくすタン卒業のあと、この女子高に入ったのが、瓜谷しのぶこと、れーにんタン。 PNは「尼港玲」。 美少女中の美少女で、女性をくどきまくるというのも、本物を考えるとお約束のうちかもしれない。 「打倒!生徒会長!」「打倒!津在!」を唱え、まるくすタンの思想をうけついだ、れーにんタン。 れーにんタンは、すべての女子を自分のものにしたい欲望そのままに生きている。 まるくすタンと会ったことのある、ぷれはーのふタンを、まずは熱い抱擁とキスで篭絡してしまう。 反省室に入れられても、「恋愛の自由」を唱えるれーにんタンは、風紀委員を篭絡してしまうのだ。 挙句の果てに、れーにんタンのSMプレイの激しさに耐えかねて、逃げ出してしまう、とろつきータン。 なんなんだ、この小説は (笑)


▼   まるとふタンが出てきてれーにんタンを糾弾するは、れーにんタンはひそかにすたーりんタンを頼りにしながらも邪険にあつかうは、けれんすきータンはれーにんタンに手篭めにされるは、、、、「タン」ばかりで本当に疲れてしまうんだけど、コレ。  


完全な自由恋愛を行うには、心身の美しさが足りないわ。革命の前衛である私たちのグループがすべてを管理するようにしなければならないのよ 」というのには、キター!!という気分である。  しかし、れーにんタンの同志で後の最大の批判者になる、「るくせんぶるく兄貴」がいないのは、百合小説だからだろうか。 善哉のように甘い本書に、兄貴のきつい一言は、「一つまみの塩」になったかもしれないのに。


▼   なによりも苦笑させられるのは、れーにんタンが、おともに連れるのは、勝気なポニーテールのとろつきータンと、ダブダブのオーバーオールの口数の少ない謎の少女すたーりんタン、の設定だろうか。 「アスカ/アヤナミ」的キャラをこういう様に配分されると、トロツキー、スターリン像が完膚なきまでに粉砕されてしまい楽しい。 


▼   マルクスの著書、『経済学批判』『資本論』『共産党宣言』が別の言葉に置き換えられているばかりか、 オナニーにいちいち「下部構造の矛盾を解決している」という言葉をあてはめていく 作者の根性には、アッパレという他はないだろう。 シベリア流刑地や牢獄は、「反省室」。 歴史の事件は、みーんな、学園百合ラブコメの事件に置き換えられていて、アホにしかみえない。 ってこれホメ言葉ですよ、念のため。  


▼   惜しむらくは、まるくす主義、じゃなかった、マルクス主義の萌え萌えストーリー(歴史)を描きながら、彼らの最大のライバル、「ばくーにんタン」にまったく触れられていないことだろうか。 「ばくーにんタン」が存在しない、まるくす主義なんて、大根おろしと醤油なしで食べる、サンマの塩焼にひとしい。 


▼   さらに、これはマルクス主義をそれなりに知っている人には面白いだろうけど、百合目当ての人は楽しめるのか?という疑念がぬぐえないことであろう。 はっきりいって、百合のレベルは最低に近い。 おまえら、同じ百合で革命なら、つだみきよ『革命の日』(新書館ウィングス)でも見習え!!!! ・・・・・ウソです、ごめんなさい。 つだみきよ名義ではマトモなもの描いてます。


▼   そんな愚痴とも紹介ともつかない話はさておき、『まるくすタン』の次回作だが(あるのか?)、できれば『はいでっがータン』か、『ふろいとタン』というのはどうだろう。 ひとらータンに一目ぼれする、はいでっがータン、というのもオツなもんではないか ?


▼   シャレや冗談が分かる人はむろんのことだが、それよりもむしろ、本気の方にこそ、お勧めしたい。 


▼   残部僅少。 欲しいものは、ただちに書店に走れ!



評価  ★★★



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Last updated  Apr 1, 2007 12:19:27 PM
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