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中途半端な内容なのにたくさんのコメントありがとうございましたっす。いつものように読み物にしたら、きっと悲しみから少し解放されると思っていたのですが、今回はもっと深い悲しみに襲われましたっす。でも抱えてあげるしかできない悲しみっす。時間は悲しみを解決する。それは嘘。時間がたつほどに悲しみは増幅するっす。そんなに都合よくできてれば、誰も苦しまない。だけど悲しみを背負えば強くなれる。それは本当。北斗の拳のケンシローもそう言ってたっす。邪推だと思って、あそこのサイトは読んでいる人が勝手に見つければいいと思っていたのですが、今回は、ユウに関する若い日の僕の詩を再掲載させてください。これが僕なりの追悼っす。一回読んだ事ある人がほとんどだと思うので申し訳ないのですが、そうさせてくださいっす。パーティクルカーニバル 1990.3金曜日 DJブースに立つカーニバルを見下ろしているこのときだけなにもかも 忘れられると思っている肩耳に当てた 次のナンバーが落書きだらけの 空間を切り裂く光の粒子が足を拘束し 上げた両腕にからみつくいつもノイズのラッシュ 俺は落ち着いている-------完全なる天使ここが最後のダンスホール 今が世界のクライマックス 追い立てられるように集まった無数のどぶねずみたちが ここで最後の審判を待つ降り注ぐ 幾億もの札びらが 夢のまた夢と 気がついてはいるのだけど光のシャワーの向こう側16枚の輝く翼をもつ君が僕のパーフェクトエンジェル(1991)-------醜態毎日どうやって 死ぬかだけを考えている僕は今日もこうして 醜態をさらしている死ぬ事なんて 考えた事もないと言っていた君は何も言わずに あっさり死んだ(1991)------アクセル アクセルを踏み込む 早朝の湾岸高速メーターはもう 200kmを超えた突然 死のイメージが 通り抜ける前輪が 火をふく運命が スピンする力の限り 逆ハン当ててるのに車内は 何故か スローモーション大沢誉志幸のバラードが 回転数を間違えたレコードみたいに遅く聞こえる エコーがかかってるああ 俺はやっと死ぬんだな死んでやっと 誰かに愛されるんだな(1991)-----卑怯俺はひきょうだね君を抱きながら 今もユウの事を考えていた"もうこの世にいない人の事は 忘れてください”やさしいな そんなやさしさが何故かちょっと憎たらしいだけど努力はするよ ホントだよ また愛想つかされる前に きっと君を好きになるよ(1991?)-----今日は、レンダリングかけて授業に行ってくるっす。
2006年01月17日
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600億円のユウ -7- カウントダウン そんな大きな負債をユウ一人が背負っているわけはないとは思うのだが、このまだ大人になりきっていない少女が感じるプレッシャーとしては、ものすごいのだろう。ブン「ユウ。俺と逃げようよ。どこかわからないけど、きっと逃げる場所はあるよ」俺はあてもなくそんな事を言った。でもかなり本気だった。ユウ「ありがとうブンくん。でももう終わりかも。実はね昨日、銀行側と会ってきたんだけど、なんか31日のカウントダウンイベントで、満杯にならなかったら、回収にかかるって言われちゃった…」ブン「でもそれって、イベント成功させればオッケーって事だよね。成功させようよ。俺はこの業界はここが初めてだけど、カズとかにも相談すればいいよ。」ユウ「う、うん。そだね。どしたの?ブンくんがそんなに前向きなの。初めてみたかもw」ブン「がんばろうよ。銀行連中にいいようにされるのがむかつく」ユウ「ふふ そだね。なんかブンくんがいれば大丈夫な気がしてきた。ユウ、ブンくんと付き合えばよかったな…」 その日スタッフを集めて緊急ミーティングをした。ひいき目に見なくても俺たちはがんばったと思う。すでに外タレを呼ぶほどの資金はつきて、ただの大きなディスコになったけど、入場料を下げたり、只券くばったり、残ったスタッフはがんばったと思う。もちろん見切りをつけていなくなっていった人も多かった。俺は体育会系の気質が本来苦手だ。だけど、こうゆう修羅場は声を掛け合うというのがなんとも頼もしい。きっと雪山に登山する人たちもそうなんだろう。掛け合う声だけが、お互いの存在を確認し、自分が生きる力となるのだろう。 残念ながら結果はついてこなかった。そこそこお客は入っていたんだけど、この巨大なハコをペイするにはとても足りなかった。そして運命の31日はせまってきた。 ユウは例の豪勢なマンションはすでに引き払い、新橋にあるホテルを仮住まいにしていた。俺はあの日以来、たびたび二人きりで会っていた。その日のユウは狂ったように俺の体を求めてきた。何度果てても果てきる事はなかったように。そしてその日のユウは今まで見た中で一番美しかった。ブン「ちょっと一回家にもどるよ。」ユウ「お願い。今日はずっといっしょにいて…不安なの」ブン「ん~友達の電話番号書いてあるノート、家においてあるんだよね。俺が声かけられるのなんてわずかだけど、それでも連絡しておきたいし」ユウ「ん…わかった…」ブン「大丈夫、カウントダウンで会おう。きっと成功させようよ。」ユウはおれに唇をおしあてて、深くキスをした。その日、俺はできる限りたくさんの友人に電話したと思う。あまり得意ではない友人にもカウントダウンに来てくれと頼んだ。そしてカウントダウンイベントの営業時間、俺は予定より早めに到着した。入り口の前にカズが立っている。ブン「よっ!カズおはよー! はやいね~。気合はいってるね~」ブン「カズ、どしたの?入ろうよ」カズは無言で指を指した。その指の先には張り紙があった。”長い間お世話になりました。都合により本日をもって閉店とさせていただきます”それは間違いなくユウの字だった。 そしてロープに囲まれた、見慣れない一角を見つける。そこには人型の白線のあとがあった。何人かの警察官がうろうろしている。俺はたちすくみ、全身の毛穴が開いた。カズ「ユウあそこから落ちたらしい…」ブン「うそだろ… 俺ほんの10時間くらい前に会ってたんだよ…」 その非現実的なものが現実と認識された頃、俺は何も言わず、走り出した。カズ「おいっブン」肩をつかんだカズの手も振り払い、自分の車にのりこんだ。 俺はあてもなく湾岸高速にのり、アクセルを踏みっぱなしにした。中古のブルーバードだけど、走り屋の友達にいじらせてあるので、妙にスピードが出る。メーターは200kmを超え、ふりきった。”キンコンキンコン”スピードを落とせと警告音が鳴り続ける。バブルの象徴のポルシェを抜いた時、たぶん250kmはでていたと思う。いやそれ以上か。 突然俺の視界の右側に真っ赤な炎が吹き上がる。前輪がバーストしたようだ。俺のブルは湾岸高速を200km以上のスピードでスピンした。必死にカウンターをあてにいったが、制御不能。回る回る。そのほんの数秒が何時間にも感じられ、俺は何故かいろいろな事を思い出し始めていた。突然カセットの音楽が遅くなっていった。”そし~て僕はとほうに~~く~~れ~~~~~~”高速道路の壁がスローモーションで俺の視界をゆっくり覆った。「俺は死ぬのだな… ユウが呼んでいるんだな…」そう覚悟した時、自分が死ぬというのに、こんなのんきな事を考え始めていた。「ソ連の書記長もうすぐ来日だな。怒らないかな…ロケット借りっぱなしだからな…」もう俺の手の皮が熱で溶け始めていた。回る回る炎のブルーバード。奈落へ堕ちる幻の国。(11番目の彼女 600億円のユウ 終) こうして経済大国日本は滅びたっす。翌日の新聞の1面に、”パックスシアターサイカ、負債600億円で倒産。”さらに次の日の新聞に、”エムザ有明負債450億円で倒産。”と次々と掲載されたから、覚えていた人もいると思うっす。この倒産劇をのちの人によって「バブルの崩壊」と名づけられたっすよ。残念ながら、今回は自分の身の危険もあって肝心な事がほとんど書けないまま終わってしまったっす。もっとほとぼりが冷めた頃、ちゃんと書きたいな~とは思ってるっす。 んと、心配しなくても、最後の交通事故で俺が奇跡的に生きていた事は、今俺がここにいる事でわかると思うっすwかつて、世界を支配していた巨大な赤の軍国「ソビエト」からレンタルした巨大な宇宙ロケット。サイカのディスプレイ用に展示してあったっす。皮肉な事に、このあとすぐ世界は激変するっす。ベルリンの壁は崩れ、ソビエトという国は亡くなるっす。日本にはこの頃からじわじわと毒がまわるっす。天罰っすかね。バブルの戦犯である銀行たちは、ほとんどなくなったっす。もういくつかの銀行を残すのみっす。合併と言えば聞こえがいいっすけど、実際はなくなったんっすよw 60年前に世界の鉄槌により滅ぼされた国は、見事再生し、今度は欲に目がくらんで自滅してしまったっす。当時の銀行は間違いなく悪っす。ありもしない好景気を演出し、たくさんの犠牲者をだした戦犯だと思うっす。でも銀行だけが悪いのではなく。あの60年前の戦争と同じく、バブルにかかわった人全員が狂信的に酔っていたんだと思うっすよ。”決して下がらない土地””絶対にはずれない株"そんなものは最初から存在してなかったんっすよ。 もしこの国がもう一度再生できたら、こんな馬鹿なあやまちは絶対に繰り返してはいけないっす。戦争と同じくらいにバブルは二度と繰り返してはいけないと思うっすよ。ちなみに、彼女シリーズはこれでいっぱいいっぱいかな~w あとはNYにいた時くらいかな~wNYでは2回くらい殺されかかったしねw 気が向いたら書くかもしれないから、いちおう予告しておこうw1987年。空前の海外旅行ブームの中、NY5番街で俺は不思議な美少女に会うっす5番目の彼女 摩天楼のサヤカ coming soon?
2006年01月16日
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ほんっと、間あきすぎましたっすねwすまんっすw 無一文でも億万長者になれる夢の国 ”日本”この国の繁栄のピーク、そして崩壊。15年前、君たちがまだ子供だった頃、この国は一度奈落へ落ちたっす600億円のユウ -6- バブルの正体トシキ君いやオーナーに胸倉をつかまれた絶対絶命の俺。まさに走馬灯が起こる寸前だった。オーナーはサングラスの下から俺を覗いてボソっと言った。「持ち場にもどれ」「す、すいません…すぐにもどります。」「いや、やっぱりもう少しいろ」オーナーは俺を離すと、ユウの方を向いてこう言った。「ユウ このハコしばらくお前にまかせようと思う俺なちょっと入院する事になりそうなんだ…」ユウは特に驚いた様子もなく、少し悲しそうに小さく2度ほど小刻みにうなづいた。「ユウの事頼むな」オーナーは俺の肩をポンと叩いて、駐車場の方に向かった。ユウはしばらくボーっと突っ立っていたが、やがて口を開く。「最初からね。言われてたんだよね。ここはユウがしきれって…」「オーナーどこか悪いの?」「ん~たぶん相当悪いと思う」ユウはちょっと涙目になって笑った「ユウには何も教えてくれないんだよ」オープン初日、ユウは突然この巨大なバブルの城をしきる事になった。俺はあまりの事にどきどきして、由美の事やアノ人の事は頭から消えていた。それはトシキ君にびびりすぎたのか、ユウの瞳があまりにも美しかったのか、いろんなドキドキが混同してて、わけがもうわからなく…************************************目を覚ますとそこは見慣れないベットの上だった。ハッとしてあわてて起きる俺。ものすごい頭痛がする。どこだここ…うちじゃないことは確か…「ん…気がついた?よかった」「ユウ…」「ごめんね ブン君、ほんとにお酒駄目なんだねw あんな弱い人はじめて見たよ」「ああ そっか」俺は思い出した。ショットガンで挑発されて、飲み比べをしてしまったのだった。「ここ…どこ?」「ユウのマンション(*1)w」ユウは下着一枚だけの姿だった。俺は目をそらして、部屋を見渡した。猛獣の敷物、巨大な柱状の水槽と無数の熱帯魚。3mくらいありそうな天井。家の中とは思えないようなカウンターテーブルと陳列されたお酒…。「すげぇw」「ああ部屋?気に入ってないんだけどねw 成金で悪趣味w ま~ここも来週には引き渡さなきゃ」「引っ越すの?」「二束三文だけどね…。銀行が回収にかかってるから」俺はあまり体験した事のないひどい二日酔いに襲われる。「銀行?ん~ぐおっ今、何時?」「大丈夫、まだ11時だよ。今日は休んでもいいし…お水もってくるね」「いやいくよ。ふぃー ね…俺もしかしてしちゃった?」「…はは うん すごかったよ。」表情から嘘だとわかる「嘘付けw」「あんなに激しいのはじめて!」俺はユウのもってきた水を飲むと、少し落ち着く。「ね~経営きびしい?」オープンの日から、突然しきる事になったユウは、ひいき目をさし引いてもずいぶんがんばった。もちろん外タレのブッキングスタッフはその道のスタッフたちがいるのだけど、その接待から、慣れない英語でずいぶんがんばってたと思う。出会った時のような軽いイメージはなくなっていて、ちょっとしかめっ面が多くなっていた。客足が予想以上に鈍ってきたからだ。 ちなみに由美は、ユウへのささやかな抵抗だったのか、サイカのカウンターレディーになっていた。俺の事はずっと無視していたけれど、そのうちキッカワ風(*2)の黒服と仲良くなっていた。「ん~軌道に乗ってくればなんとかなると思うんだけど、もう借金も限界かな~」「そか、今日のソウル2ソウル(*3)は絶対、客入ると思うんだけどね」「それでも、銀行から借りた額には届かないかな」「借金って少しづつ返していくものじゃないの?」「うん ホントはそうなんだけど、先月あたりから突然銀行の態度が変わったんだよね…。今までニコニコ湯水のように貸してくれてたのに」「ははっいったいいくら借りてるのさ」「んと600億かな…」「…」額を聞いて絶句した。聞いたことも想像したこともない金額だ。「大丈夫。うちつぶれても、あなたたちの身柄はエムザに任せる事になってる。」「つぶれる?うちってそんなにやばいの?ユウ」ユウは何も言わずに下着姿のまま僕に抱きついてきた。その手は震えていた。演技じゃない。きっと本当に怖いんだ。無限に積み上げた金の城を打ち砕かれて、何もかも失ってしまうのが本当に怖いんだ。(最終話 カウントダウンへ続く)*うんちく(*1)マンション 当時、笑うほどに高騰した地価の中でも六本木、銀座などの一等地は想像を絶するものだった。億の単位で取引されるオクションだが、場所によっては、言葉では表せないほどの値段のマンションが存在した。すでにそれは人の住処ではなく取引の道具でしかなかった。(*2)キッカワ 吉川晃司の出現で80年代のいい男の概念がひっくり返った。それまでいい男の標準だった目がぱっちりしたいわゆる”濃い顔”とは逆に、しょうゆ顔が大人気となる。同じ系統として玉置こうじ、仲村トオルなどがあげられる。伝説を残して一度はこの世界を去った吉川だが、バブル時期に布袋寅泰とCOMPLEXを結成して、メガヒットをとばした。(*3)ソウル2ソウル DJ型のハウスバンドの教祖的存在。ダンサブルかつソウルフル。現在の渋谷チェキラー系ファッションのルーツだと俺は思う。(*4)エムザ バブル時期の巨大ホールではエムザ有明やゴールドなどが有名だ。ちなみにジュリアナ東京はもう少しあとになる。
2005年12月31日
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31日が近づくと、辛い思い出であふれてきて、少し悲しくなるっす。少年の頃まつげさんと別れたのが31日と1日の間。そして、バブルが崩壊し、ユウと別れたのも31日のことっすね。当時も今も31日はカウントダウンというイベントを各クラブ(当時はディスコ)なんかでやるっす。年が変わるのをみんなで楽しむってやつっすね。ちょっと前まで、このイベントのVJとしていろんなクラブやディスコに呼ばれてたっすよ。おととし当たりに、”もうそうゆう年齢でもないし、誰か若い人にやってもらったら?”って言ったら、普通にそれから声がかからないっすw ちなみに西麻布Yel**w(まだあんのかなw)の9インチモニターは俺の忘れ物なので、まだあったら教えてくださいっすwま~俺は宴会とかすごい苦手なのに、こうやって主催者側に回って、イベントを作るのはけっこう好きというか、仕事でいっぱいやったっすねw年の瀬がむなしいのは、長くみてたドラマやアニメの最終回に感じる空虚感にも似てるな。もどらない時間、あきらめた夢、成し遂げた目標、二度と会えない人…。時間は僕たちに過酷で厳しい。そして唯一公平で現実的だ。だからこそ輝く瞬間もあるんだけどね。****ドラマニアメモ12月30日 TBS3年B組金八先生第7シリーズ真の最終回スペシャル太陽君が少年院からもどってきてからの話だと思うっす1月 3-5日古畑任三郎ファイナルあの古畑とついにお別れっす。イチローが本人役で出演します。
2005年12月27日
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ああああすまんす!すっかり間あいたっすね>< ちょっとCMが数本重なって大変だったっすよw さてユウちゃんの第5話っすw 前回、10番目の彼女-由美,11番目の彼女-ユウ,17番目の彼女-アノ人と3本間に挟まれてしまったとってもうらやましい15年前の俺。 いや~すごいっすよねw さすがにここまでの状況はあとにも先にも1回だけっすwんと実は後々驚くべき事実が判明してるっす。この日、大勢のゲストの中にここから約2年後に俺と出会うサトミシリーズのサトミちゃん(仮名)も居合わせてます。そして、双子で雑誌記者の14番目の彼女-理美子(仮名)。さらにAV女優の15番目の彼女-桜子(仮名)もいあわせていた事が判明してるっすw つまりここに18人の彼女のうち3分の1の6人もの女性が居合わせていたんっすよねw すごい! 東映の戦隊物のような集結ぶりっすねw600億円のユウ -5- 3人の彼女バブルの城内部(本物)*苦情がくだされば削除します。今回の場面となった入り口(本物)*苦情がくだされば削除します。バチン!状況のひどさに耐えかねた由美が閃光一撃、俺の頬に平手を食らわした。さらに由美はユウの方をキッとにらんだ。そしてものすごい早足で去っていってしまった。ユウは勝ち誇ったように後姿にベロベロバーポーズを追い討ちしていた。ブン「ゆ、由美!」あわてて、由美を追おうとする俺。その俺の肩をぐいとつかんで止めたのはアノ人。アノ人「いや~w今、何言っても怒らせるだけだよw」ブン「ん~やっべーな~T_T」 当時は携帯電話は当然のように一般的ではない。ポケベル(*1)を使ってメッセージのやりとりをしている人も多かったが、俺はもっていなかった。こういった時に現代なら、すぐに謝ったり、誤解を解いたりする方法があるわけだ。アノ人は俺とユウを交互に見て、クスっと笑った。アノ人「ブン君、ここで働いてるの?」ブン「は、はい ちょっとバイトみたいなもんですけどね…」アノ人「この子は新しい彼女?」ブン「いえ…」ユウ「はい!」俺の否定をユウが取り消す。ブン「いやあのですね。彼女はさっきの子の方で、このユウはここの人で…」アノ人「ふぅん」アノ人はユウの顔をしげしげと見た。そして近寄った。そしてユウの頬に手を当てた。アノ人「ユウちゃん? あなたちょっと死相がでてるよ。12月あたり気をつけてね」ユウ「は?」あまりに突拍子もない言葉をかけられて、ユウは困惑した。アノ人「それじゃブン君。またいずれねw」アノ人は後ろ向きに手を振ると、その場を去っていった。ユウ「何?失礼な人ね…」ブン「ユウ… アノ人は超能力者なんだよ」ユウ「超能力者?wキャハハ馬鹿みたいw」ブン「んとアニメに出てくるみたいな超能力とはまた違うみたいなんだけど、」ユウ「いいよ。他の女の話、聞きたくない。ユウの前でしないで」アノ人に超能力があるのは嘘のような本当の話。クイズ番組などで、ありえない正解率で番組が中断されたこともある。コロンビア大学で能力調査の依頼もあった。ブン「まっじぃな~>< 由美怒らせちゃったよ」ユウ「別れれば?ユウがいるじゃない」ブン「ふざけんなよ 誰のせいなんだよ>< 早く誤解とかなきゃ。それにユウはオーナーの愛人なんだろ」ユウ「ん~どっから聞いたの?それ」ブン「いや… 見りゃわかるって」カズの受け売りとは言えなかった。ユウ「ま~愛人といえば愛人かなw トシキ(オーナーの事)立たないんだけどね」ブン「インポってこと?」ユウ「うん。トシキはヤクザみたいなもんだからね。いろいろあったんじゃないの?だからユウまだ処女だよ」ブン「嘘つけw」ユウ「キャハハ試してみる?」こんなイチャイチャした会話を突然、不気味な影が割って入った。ダークスーツの男がそびえたつ。噂のヤクザみたいなモノのトシキ君だ。これは下手するとある意味さっきとは違う意味で最大のピンチなんじゃないだろうか。トシキ君…いやオーナーは俺のむなぐらをつかんだ。その目はもう浮世のものではなかった。初めてまともに堅気ではない人の目を見てしまった気がした。生まれてはじめて恐怖で小便を漏らしそうになった。(第6話「バブルの正体」に続く)うんちく*1 ポケベルビジネス用の呼び出し機器。ポケベルに自分の電話番号を知らせると、その人が気がついて折り返し電話をくれるしくみ。初期のものは数字だけしか使えないが、これに目をつけた女子高生たちは、この数字の語呂合わせで暗号をつくり、立派にコミュニケーションをとっていた。ポケベル女子高生の数字を打つスピードは話すスピードのほとんど変わらなかった。
2005年09月20日
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第4話っす。うまくまとめられずに、長文になちまいました。ゆっくり読んで下さいっすw 予告どおり まつげさんに出てきたアノ人が登場します。実際まさにこんな事が起こったわけっすけどね。ちょっと多少伏字が増えるっす。みんな現役っすからね… アノ人に関して知らない人は1番目の彼女「午前一時のまつげさん」という7話くらいの日記を読んでいただけるとありがたいっす600億円のユウ -4- 愛人契約ー「クラッチング(*1)です!」 バブルの城 入場料10万円の巨大ディスコ パックスシアターサイカがオープンした。”i got a Power!!” リミックスされたハウスナンバーが雷鳴の様にとどろく。俺もわりと緊張しながら、ミキサーのハンドルを上にあげる。カクテルな照明が稲妻のように煌き、俺のコントロールで16台の巨大マルチスクリーンに巨大なサイカのマークが映りこむ。こういったブース作業というのはDJの音楽を指揮として、照明、映像、などのタイミングを合わせていくのが醍醐味だ。例えば、曲のブレイク(無音状態)でいっせいに照明と映像を真っ暗にしたりして、ディスコの熱をあげる。この夕方6時のオープンから0時くらいまでを 朝の時間という。この間、サイカでは大物海外アーティストのライブが入る。僕がやっているVJの仕事は慣れれば一人いれば充分で、カズと交代時間を決めてやっていた。確かに実質4-5時間の仕事なんだけど、拘束時間じたいは半日ほどあった。ま~それでも3万ももらえるんだから、間違いなく割りのいいバイトなんだけどね。 初日はほとんど招待客だった。ま~こういったハコのオープンでは初日から3日くらいは芸能人や著名人、業界人の招待客で埋め尽くされるのが通常だ。スタッフにも招待券が2枚づつほど至急されていた。僕は彼女の由美にわたしていた。コンパニオンの由美は僕より遥かに遊びなれていたので、ディスコなんて別に珍しくもなさそうだった。DJブースにも芸能人のお客さんが見学と挨拶に、たくさんのぼってきた。その中の一人がカズを見て絶叫した。「カズ~~!! 何やってるの!こんなとこで!」フェア○ャ○ルドのyuuだ。カズの知り合いだったみたいで、ブン「カズ君、ユーさんと友達なんだ~」カズ「あ~バーテンやってた店によくきてただけだよw」ブン「そういや あの子もユゥって言ったよね」カズ「あの子?」ブン「ほら、おととい来てた ここのオーナーの娘みたいな子」カズ「ははは 気になるんだw やめといたほうがいいよw あの子、娘じゃなくてオーナーの愛人なんじゃないかな」ブン「愛人?」カズ「しかもありゃ契約愛人(*2)だなw」ブン「そうなんだ。よくわかるね… いや俺いちおう彼女いるしさ。別に狙ってたりはしないけど、ちょっと変わった子だったよね」カズ「ははw ブン君お気に入りのユウちゃんは、さっきから下で踊ってるよ」ブン「うそ~」俺はブースから下を覗き込んだ。大混雑だったのにすぐわかった。ユウのダンスはキラキラと人目をひいた。カズ「いいよ下おりてきてw ちょっと早いけど交代しよう」ブン「ん…」 なんとなくカズの言葉に素直に甘える事にした。ユウの姿を踊る近くで見たい衝動にかられていたからだ。 弓のようにしなるユウの肢体はまぶしく、俺はまるで人を超えたものに遭遇したように感じた。ミニー・リパートン(*3)の"パーフェクトエンジェル"がかかった。カクテルライトをあびたユウはパーフェクトエンジェルという表現がぴったりだった。そういえばミニーもまた人の能力を超えた天使の声を持つボーカリストだった。ボーっと見つめていた。ユウは俺に気がついた。そして俺に近づいてきた。ユウ「シッポちゃん 休憩?」ユウは俺に抱きつくようにもたれかかってきた。ユウ「ちょっとロビーでようよ ユウも休憩!」ユウは俺の手をひいた。ユウはフリードリンク(*4)からバーボンを2つ注文した。俺はあわててブン「ごめん 俺、お酒駄目なんだ」ユウ「あ、今日車?平気だよこのくらい」ブン「いやそうじゃなくて お酒弱いんだ」ユウ「きゃははw うっそ~w 見えないけどな~w」俺はジンジャーエールにして、二人でロビーに出た。ロビーには見たことのある大勢の芸能人がひきつめていた。さすがに俺もキョロキョロしてしまった。パワーグローブというファミコン用の手袋のようなコントローラーも展示されていた。どうゆう多角経営なのか意味がわからないが、このディスコの会社が売っている商品だった。俺とユウは入り口を少し出て風にあたった。オープン前は行列だったが、今は少し落ち着いてきたようだ。ブン「今日はすごいお客の数だったね」ユウ「今日から3日は招待客ばっかりだからね シッポちゃんも忙しいよ~」バーボンのコップを俺のジンジャーエールにコツンと当てたブン「ぬ~ 俺の事シッポちゃんって呼ばないでよ なんかかっこわるい…。」ユウ「そか じゃなんて呼ぼうか」「ブンくん!」聞きなれた声が聞こえた。そそ、シッポちゃんじゃなくてブンくんって呼んで!ってええええ?w由美「ブン君… その人…誰?」声の主は彼女の由美。スタッフに配られた招待券を、俺は普通に由美にわたしてたのだった。いてもおかしくない。由美「すっご~い ブン君!ディスコのスタッフなんてかっこいい!」招待券を渡した時、由美は俺とつきあってはじめて俺の事をかっこいいと言ってくれた。正直それまでヒモ同然の生活だったので、俺が仕事らしい仕事についたのがうれしかったのだろう。それにしてもよりによって、こんな場面に出てくるとは…由美「!! ユウ! あなた去年までうちの事務所にいたユウでしょ!」そしてよりによってユウと由美は知り合いだったらしい…。ユウ「お~由美!おひさし~。へ~シッポちゃん 案外もてるんだw」ユウの目が天使から悪魔に突然豹変した。そしてバーボンを一気にぐいっとあけるとその口のまま、俺の口に押し付けてきたう~う~由美「ユウ!やめて! あなた変わってない! 何度人の男に手を出せば気が済むんだよ!」はじめて聞く由美の乱暴な口調だ。ひどい事に、ユウは行為をやめるどころかさらに深くキスしてきた。ブン「や、やめ…」 その時、ギャギャギャギャと入り口にものすごい車が止まった。あれは確か007に出てきた潜水艦に変形する車だ。「しっび~ あれエスプリ(*5)だよな」誰かがつぶやく「中から出てきたの 8年前に大ヒット曲を歌ったD子じゃないの?」そう 中からでてきた人を僕は知っていた。8年前に僕に呪いをかけた張本人--1番目の彼女 まつげさん… と同じ顔をもった僕のあこがれのアノ人だった。僕がここに呼んだわけではない。アノ人はいちおう芸能人なのだから ここに招待されるのはおかしくないのだろう。アノ人は車からおりてくるなり、カツカツと俺の方に歩いてきて、ユウから俺をぐいっと引き離して、俺を自分の方にむけてニッコ~っと笑った。ブン「ど、どもおひさしぶりです…」俺の人生でこんな修羅場は想定してなかった。人生で5回くると言われている最大のピンチの1回目がこれなのか! もちろん由美はわなわなと泣き出しそうだ10番目の彼女由美と11番目の彼女ユウと17番目の彼女がここに集結してしまったのだ。同じ誕生日だけに占い的には、同じ運命をもっている3人がだ。こんな時、男はどうしたらいい?(第5話 3人の彼女に続く)-うんちく-(*1)クラッチングディスコに最初のお客が入り口を通った瞬間の事。これをもってその日のスタートとなる。(*2)契約愛人この話から10年前、つまり今から四半世紀前に、"夕暮れ族"という名の愛人バンクシステムででビジネスとしての愛人が市民権を得ていた。それ以前の愛人関係には建前的にも愛があったが、愛人契約によって雇われている愛人はお互いビジネスとして割り切っている。バブル時期の愛人のギャラの相場はピンきりで、下は月に30万から500万を超えるものまであった。(*3)ミニー・リパートン奇跡のオクターブを持つ黒人ボーカル。ラヴィンユーのスーパーヒットは今でも伝説。若くして癌で亡くなる。ハウス系のディスコの多くは閉店の合図にラヴィンユーをかけた。通常キャバクラは"おやすみなさい" ビックカメラは"ほたるのひかり"(*4)フリードリンク フリーフードディスコは通常、入場料を払えば、飲み物と食事は只。(*5)パックスパワーグローブロボットの手のような形のファミコン用のコントローラー。これを手袋のように手に装着してゲームを楽しむ。(*6)ロータスエスプリ 国産ハイソカーや高級外車がこの時期、空前のブーム。ロータスエスプリは007シリーズ,プリティーウーマンに登場する有名なスーパーカー
2005年09月12日
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あ~ちょっと今回も場所の説明がなげーっすよねw なんか長文ですまんっすw 第3回もすっと読み飛ばしてくださいっすwユウちゃんはまだちょっとしか登場しないっすよ~w 今回登場するカズくんは、バブル後も最高のビジネスパートナーとなった人っす。600億円のユウ -3- バブルの城さすがに歩の高い仕事だけあって、面接会場には割と大勢集まっていた。15人くらいかな。ブン「すいません遅刻しました」 こんな面接の時にも普通に遅刻してしまう俺は、ホント社会適応力がない。太ったやたらモミ上げの長い男が怒った様な顔をした。会社側の人間っぽいが、ネクタイはしてなかった。こいつがイベント会社のしきりの杉山氏。杉山「何時だと思っているんだ!席につけシッポ!」ブン「シッポ?」シッポと呼ばれてすぐ俺は気がつく、俺は当時後ろ髪の一部だけを細く腰まで伸ばしていた。そういえばシッポと言えばシッポだな。俺が席につくと、さらに遅れてきたやつがいた。耳にピアスをしていて、沢田健二をベリーショートにしたような男だった。「カズです。遅れてすいませんでした。」杉山「ま、いいや遅刻した罰として、遅刻した二人から聞こうか。カズとシッポ!お前ら二人、他にどんな仕事したことがある?」カズ「僕は麻布のバーでDJみたいな事してました。」ブン「俺、僕はパソコンで作曲とかしたり、雑誌のイラストとかっす。」杉元「よし。他、帰っていいぞ。お前ら二人採用!」なんという面接だw 他の人たちはまったく納得がいかない表情で、会場をあとにした。遅刻した二人が採用されたのだ。後で聞いた話だけど、実はこの面接さらに4グループが俺らより前に行われていたみたい。100人くらいの中からもっとも社会からはずれてそうな二人が採用されたってわけだw杉山「カズ、シッポ!外へ出ろ現場に向かうぞ」俺たちはワンボックスの車に乗せられて、ある場所につれていかされた。そこは汐留(シオドメ)だった。夕留というのは東京の中心地にありながら、わりと土地が広く開いている場所だ。新百合丘生活の長かった俺は、まったく知らなかったんだけど、そこには巨大な遊園地が建設されていた。杉山「ここがあさってからオープンする 東京ルーフって大人の遊園地さ」ブン「じゃ僕たちはこの遊園地で働くんっすか?」杉山「いやこの中に巨大なハコがある。」ブン「ハコ?仕事ってどんな事なんですか」杉山「後ろの席に黒い服があるから、それに着替えておけ」俺の質問をスルーして、杉山氏は着替えるように指示した。俺の20倍は遊んでそうなカズは察したのか。こう言った。カズ「僕らディスコの黒服やるんですか?」杉山「いやDJブースに入ってもらう」俺にはさっぱりなんだかわからなかった。服を着替えながら、戸惑う俺を見てカズがクスリと笑ったカズ「ブンくん 改めてよろしく。なんで俺たちが採用されたかはわからないけどね。俺2x歳。カズ。」ブン「あ、よろしくです。俺より2個上ですね。」カズは俺が今まであったことのない、大人の雰囲気をもった男だった。初対面なのに敬語を使わない彼にちょっと救われた。何をやらされるかわからなくてそわそわしている俺の不安は解消された。ぱっと見ちょっとオカマっぽいといえばそうなんだけど、おしゃれでかっこよかった。 ちなみに俺には上の兄弟はいないっすよ。兄貴がいる人って兄貴の影響で絶対早く大人になれるっすよね。いろんな悪いこととか覚えるのが早いと思うっす。かっこいい兄貴がほしいってのは、けっこう男の子の願望だったりするっすね~w杉山「挨拶は後だ。ここがお前らが働くハコ。サイカだ。車降りて中に入れ。」サイカ。そこは巨大な映画館のような場所だった。あさってのオープンに向けて、作業員がいろんな機材を運び込んでいた。杉元「あとこいつ貼っておけ。バックステージパスだ。」 バックステージパスは知っていた。ライブなんかで、スタッフや出演者とお客を区別するために貼られるシールの事だ。これを貼っていれば、楽屋なんかに自由に出入りできる目印になる。サイカの入り口には巨大なロケットの様なものがたっている。作業クレーンが吊り上げている。杉山「あのロケット、本物の宇宙ロケットだぞ。ソ連(*1)から50億円でレンタルしたんだ」ブン「うっそ~?(*2)高いっすね」杉山「ま~はったりだからなw」サイカに入り、大き目のロビーがあった。巨大なマイケルジャクソンの肖像を壁に設置しているところだった。杉元「あの肖像は2億円する。」 俺には縁のない億という単位が乱発される。ほえ~~っという感じで周りを見渡すと、金髪で長髪の外人が、サングラスをかけた日本人と立ち話をしている。ブン「うわっ ロッドスチュート(*3)に似ている外人だな~」杉山「本人だ」ブン「うそ~ 俺大ファンなんっすよ なんでここに?」杉山「あさってオープン日に歌うからな。彼のギャラは4億だ」俺がジーッと見ていると、ロッド本人が気がついて手をあげた。「hi コニ↑チ↓ワ~↓」「な、な、ナイスミーティング…」心臓ばくばくだ。ありえない光景の連続だ。なんなんだここは。そしてロビーを抜けるとそこは小学校の体育館を4つほどあわせたような広さをもつホールだった。天井からは巨大なミラーボールが吊り下げられていた。そのホールから階段2階ぶんほどあがったところにDJブースはあった。巨大な音響ミキサーや照明コントローラーのとなりに、小さなテレビがたくさんならだような席があった。LD(*4),シブサンデッキ(*5),ビデオミキサー(DVE),ビデオスイッチャー。その頃はわからなかったけど、今思えば、当時にしては割と高級な映像業務機が並べられていたと思う。杉元「ま~お前らの仕事はこの映像をコントロールして、ホールに流す仕事だな。言ってみれば、映像のDJみたいな仕事だよ」杉元氏が指差した方向には、400インチのテレビが16個も並べられてつくられた映画のスクリーンみたいなものがあった。マルチスクリーンというらしい。当時はまだVJ(ビジュアルジョッキー)という言葉はなく、映像オペレーターと呼ばれていた。DJの鳴らす音楽にあわせてリズムよく複数の映像をミックスする仕事なわけだ。今日はバイトの面接のはずなのにいきなり、この始めて触る機材をマスターさせらる事になった。杉元「今日もギャラはちゃんと出るから心配すんな。お前らならオープンまでにマスターできるさ。俺の感で選んだんだからな。間違いはねー」「おはようございまっすっ!!」「おはようございますっ!」DJブースにスタッフの声が次々と鳴り響く。と同時にダークスーツのオールバックの男がブースに入り込んでくる。杉山「お前らもあの人に”おはようございます”と大声で挨拶しろ。あのお方がここのオーナーの藤代さんだ。」小声で俺とカズに伝える。ブン&カズ「おはようございます!」杉山「おはようございます 社長」藤代「よう 杉山ちゃん。映像のほうどうよ」杉山「今日はオペレーターを二匹連れてきました。カズとシッポです。」藤代「シッポ? あ~シッポみたいな髪だなw」「かわいい~~!!」あの威圧的な杉山氏より、さらに強圧的な藤代社長の後ろから、小柄な女の子が顔を出した。そしていきなり俺のシッポ(?)をつかんできた。胸の大きくあいた大人びた格好をしているけど、間違いなく俺より年下だ。「かわいい!なんでこんな髪型してるの?」俺が困っていると、藤代社長がその女の子をつれもどす藤代「ユウw おとなしくしてなさい」ユウ「はぁい。しっぽちゃんまたね~♪」初めて会ったユウは、俺がそれまであったどんな女よりもキラキラしていた。("第4話 愛人契約"につづく)うんちく(*1)ソ連かつて、世界を二分していた巨大な共産主義国。貧富の差のない理想的国家を目指したが、その理想を維持するための弾圧が目立ち、1991年に民衆の力により崩壊する。当時の科学水準はアメリカと並んでトップクラス。(*2)うそ~ウソー ヤダー カワイイーはバブルより少し前におこった女子大生ブームで一般化したもの。現代の"アリエネー"の前身。当時の女子大生はバカさが売りだった。(ex."今のアメリカの大統領は?" "リンカーン")少し前の女子高生ブランドの様なブーム。(*3)ロッドスチュアートロンドン出身のロックボーカル。ジェフベックグループのリードボーカルを経て、ソロロック歌手として、数々のヒットを飛ばす。代表曲 セイリング、ホットレッグス、トゥナイトナイト(*4)LD 高品質な映像メディアとして1980年代に流行した。大きさは今のDVDよる遥かに大きく、30cmくらいのフリスビーのような円盤だった。アニメマニアなどには後期まで支持された。(*5)シブサンデッキ業務用のビデオデッキ。VHSよりやや大きい。ちなみにVHSの事をニブンノイチという。
2005年09月05日
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ああ やっぱ間あいちゃったっすね~ すまんすいや~この暑さでしょ もういっぱいいっぱいっす><コメントもレスも気温変動性というわかりやすさっすw でもなんとか連載の原稿は書き終えたっすよ~。打ち切りにならないように日経BPにはげましのお便りを出そう!!(宣伝終わりw)ユウちゃん第2回っすw でも今回はけっこう前ふりみたいのばっかりかもさーっと読み流してくださいっすw ま~駆け出しの貧乏時代の話なんで、ホント恥ずかしいんすけどねw600億円のユウ -2- フリーター1990年夏 俺は新百合ヶ丘のボロアパートでエアコンを買う金もなくうだっていたっすよ。日本は戦後最大の好景気のはずなのに、なんでこんな金がねーんだろう。就職は引く手あまただったのに、俺は就職しなかった。正直できなかったのではない。アメリカ留学(*1)から帰ってきた俺は音楽か絵で生計を立てたかった。ま~この音楽や絵って定まってないのがポイントなんだよね。夢を追っていたというよりは、意地を捨て切れなかったのだと思う。親からは勘当のような扱いだったしね。あと微妙に仕事があったのが、あきらめきれなかったとこでもあった。音楽の仕事も絵の仕事もそこそこあったりはした。もちろん生計を立てるってほどではなかったのだけど。新百合ヶ丘は生まれてはじめて住んだ田舎だ。ちょっと歩くと田んぼがあり、夜は蛙や虫の声が聞こえる。夜中にはなんと空に星が見えたりしたっすw でもここのボロアパートの4万5千円の家賃ですら、当時の俺には苦しかった。現実的には、定収入はなく、あるかどうかわからないゲーム音楽のBGM(*)の作曲の仕事が、1曲1万5千円くらい。雑誌のイラストが5000円くらい。月の収入はいい時で、8万くらいだった。5000円しか収入のない月もあった。その頃付き合っていた彼女のユミがいなかったら、生活はままならなかったと思うっすよ。 ユミは当時流行りのイベントコンパニオンをやってたっすよ。1日1万以上かせいでたっすw 結局、どこかで現実を見なくてはならない時期というのは、みんなある。夢は追いたい。だけど生活しなきゃならない。俺が思うにこの人生選択が、現代人にとっても最大に頭痛いポイントだと思うっす。ま~バンドなんかやってる友達もそうだったっすね。「なにかバイトをしなきゃ」 俺なんかまだこう思えただけよかったかもしれねーっすね。結局生活という現実から目をそらせなかったっすよw 当時はまだネットもそれほど発達してなかったっすよ。チャットとかメールは今とあまり変わらないっすけどね。いわゆる仕事情報なんかは雑誌が主だったっす。アルバイトニュースとかfromAっすね。現代とは違って、電話帳のような厚さだったっすよwフリーターという言葉はこのバブル時代に生まれたっす。当時は正社員になるよりバイトのほうが稼げたから、就職せずにバイトを掛け持ちしてかせぐ若者が大量発生したっす。例えばファミレスのバイト。現代では昼時給800円 夜1000円がいいところだが、当時は夜1500円から2000円まで跳ね上がったと思う。また、現代の時給もバブルの名残が多少あり、バブル前は通常500円平均だった時給がここまで跳ね上がった時代っすね。もちろん現代とは違い、残業代、残業手当、休日手当てなどで賃金は加算されたっすよ。バイトに賞与があるなど、労働条件は不況の現代と比べれば相当よかったっすwどの企業でも、「バイトを探せ」「新卒を確保しろ」が合言葉だった。ま~でもこんな安易な現実対処っすからね~w 探すのは”楽で金になる仕事”ははw この当時はさがせばこうゆうのあったっすよw 俺はある広告に目がいったっす--------------------------------------------------------------------募集! 経験問わず 映像オペレーター 1日4時間くらいの仕事 日給3万円--------------------------------------------------------------------- 4時間で3万円って事は、時給にすると7500円くらいっすねw安直だけど4時間でいいなら、絵や音楽の仕事もやりながらできるな~と思ったっすよw 電話して面接日を決めて新橋まで向かったっす。映像オペレータってのが何の事だかさっぱりわからなかったけど、とりあえず金のところしか見てなかったっすからwま~ちょっと長くなったので、続きは次回っすw(うんちく)(*1)留学この当時日本は空前の留学ブームだった。猫もしゃくしもNYへLAへパリへロンドンへ無駄に留学しまくった。(*2)ゲームブームスーパーファミコン、セガマークIII、PCエンジンなど、空前の家庭用ゲームマシンブーム。ゲーム産業というのが急速に立ち上がり、仕事の数も増えていった。(*2)fromAアルバイトニュースと並んで、一世を風靡したアルバイト情報誌。アルバイトニュースの方は当時、日刊だったと記憶している。
2005年09月03日
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いちおうのんびり新シリーズはじめてみるっす。注意点として今回のお話は別に不思議な話じゃねーっすよw オチもヤマもさらに意味もねーっすw ただ、今までと違って、なるべく伏字はしないっす。あだ名とかもほとんど当時のままだと思うっす。だからもし、これ見て、これ自分の事じゃねーの?って人がいたら、一報くださいっす。迷惑だったら伏字にするなりするっす。もちろん脚色みたいな事もしねーっす。実話シリーズは全部そうっすけどねw 600億円のユウ -1- ショットガンガン!小さなショットグラスをテーブルに叩きつける。炭酸がシュワーっと湧き上がる。テーブルに向き合った背の高い男カズと向かい合った小さい女が、6杯目のショットガン(*1)を口元にもっていき、ぐいっと飲む。周りからドワッと歓声があがる。「すげーいったよ」「やべーよ。カズ負けるとやべーよ」どっちが飲み比べに勝つかというゲーム。テーブルの上には1万円札がばらばらに積み上げられている。いくらくらいあるんだろう。100万か200万か。 カズがどっと倒れる。無理もない。一回前にDJ頭のヤスとの勝負に勝ったばっかりだ。「カズくん!」僕はさっとかけよりカズの体を支える。カズは口元に笑みを浮かべながら意識を失った。「ユウが勝ったぞ」「外ウマ(*2)総受けだ。いったいいくらなんだあれ」テーブルの大量の1万円札をユウはかき集めて、胸のところに押し込みはじめる。「きゃははは 全部もらい!」今日の舞台司会だったシーナ=イーストン(*3)はいわゆるアメリカ人のよくする呆れポーズをとった。「クレイジーw」カズを支える僕を見て、ユウは酔っ払った真っ赤なほっぺでこう言った。「ブンくん 次の相手は君?」僕がお酒を飲めないのを知っているから、なめきっている。ユウは僕より3才くらい年下はずだ。僕は少し傷ついた。「いいよ」僕はユウをにらんですっと立ち上がってテーブルに向かう。周りのみんなは口々に叫ぶ。「やめろー勝負にならねーぞっ」ユウはまさか僕が受けるなんて思ってなかったみたいで、心配そうな顔に変わる。「ごめんね やめよ?」「なめんなよ」ガン!僕は一人でショットガンをテーブルにたたきつけて、ぐいっと飲む。飲めた。どうってことない。いける。そう思った瞬間、視界が急激に暗くなる。1万円札をそこら中に撒き散らしながら、あわててかけよるユウの姿が見えて、僕の視界は完全に消滅した。 第2話 フリーター へ続く-ちゅうしゃく-(*1)ショットガンよく飲み比べに使われる強いお酒っす。テーブルにたたきつける事で、炭酸が活性化するっす。すいませんお酒くわしくないのでよくわからねーっすT_T(*2)外ウマ当事者同士ではなく、見ている人がお金をかける事っす。今回はユウが勝つかカズが勝つかをかけているっすね。外ウマ総受けというのは、全員がカズに賭けているので、当事者のユウが自らのるという事っす。負ければ、全員にお金を払わなきゃならねーっすよ(*3)シーナ=イーストン俺が高校の頃、大ファンだった歌手っす。この頃は外タレブームだった。海外のアーティストは日本公演では本国の何十倍も稼げた時代。簡単に何億円ものギャラが発生していたっす。好んで日本の仕事を受けていたと思うっす。ちなみにシーナはアメリカ人ではなくイギリスの歌手。代表曲は"9to5" "彼女はモダンガール"
2005年08月15日
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このお話をする前に、まず簡単に日本という国のたどってきた道を説明するっす。おそらく今の不況に苦しむ日本に育った世代には理解できないだろうし、信じられないでしょうからねw ま~老人の昔話を聞いてくださいっすw信じられないかもしれないけれど、ほんの60年ほど前、この国は今の北朝鮮やフセインを遥かに上回る恐怖の独裁国家だったっす。その残虐さと狂気はおそらく歴史上最凶っす。有名なヒットラーのナチスドイツと並んで、世界中を恐怖に陥れたっす。その帝国は滅び、いや滅ぼされ、生き残った日本人は生まれ変わったっすよ。 そしてこれも信じられないだろうけど、生まれ変わった当時の日本は、今の韓国を上回るほど勤勉な国家だったっす。全員が一丸となって汗水たらして毎日毎日朝から夜まで働いていたっすよ。こうして世界一の軍事国家は世界一の経済国家に生まれ変わったっす。どっちも今の日本からじゃ想像つかねーっすよねw今から20年昔、つまり1980年代終わりごろ突然日本に夢のような時代が舞い降りたっす。今とはまったく逆の超好景気。 まるで、まじめにまじめに働いたごほうびだったのかもしれねーっすけどね(実はちがうんっすけど)ん~想像つかないっすか?w つまりさ。現代はなんでも節約しろとかコスト削減しろとか、人員少なくしろとかいって、とにかくお金を使わないように使わないようにしてるでしょ? これとまったく逆の時代っす。つまりお金を使っても使っても使い切れない時代。どんどん人をやとえって時代。例えば、今は就職って大変っすよね。当時の学生たちは"うちに就職してください"って企業に接待までされて頼まれまくっていたっすよwこの国最初で最後の饗宴。幻の大いなる祭。日本は踊っていたっす。酔っていたっす。地価は高騰し、東京の値段で、アメリカ全土が何回買えるかわからないほどだったっすwこうして日本はもう一回生まれ変わったっす。勤勉だった日本人は、錬金術を覚えたアルケミストの様に、毎日遊び、派手に金を使ったっす。NY5番街の有名な高級ブランドショップティファニーでは、日本人相手にアクセサリーが馬鹿のように売れたっすよ。how much?(いくらですか)と聞く前に、日本人を見たら店員はhow many?(いくついりますか?)と聞くほどだったっす。この時代をバブルというっす。そしてほんの数年で、この時代も突然崩壊するっすよ。これをバブルの崩壊というっす。バブル崩壊は1991年と言われてるっすね。俺は1990年だと思うけどw ま~今から15年ほど昔々のお話っすね。 ちなみに俺はこの崩壊劇のど真ん中にいたっすよ。この頃は巨大ディスコブームでしたっす。ま~大人の遊び場なんっすけどね。そこの従業員をやってたっすよ。それもDJブースというちょっと高いところから見下ろす場所で働いていたっす。ワンレンボディコン シーマ ピンドンあけまくり オープンハート 地上げ 抱きしめたい 10億 100億 そして金、金、金… ちょっと今回は週に1回くらいのペースで書かせてくださいwそれ以前に書いていいかどうか、ちょっと許可とりたい人が何人かいるっす。できるだけ伏字なしで行きたいんっすけど、当時がらみの暴力団に殺される可能性も高いんで…w第1話ショットガンへ続く
2005年08月07日
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