穴馬発見☆資料置き場(倉庫)

皐月賞

2004年/皐月賞


・CONTENTS・
  皐月賞       ※タイトルをクリックしてください




wrote:2004/4/13

展望1000mの通過タイムはあまり意味がない

<**レース展望/2004年 皐月賞**>

 皐月賞はクラシック三冠の中でも「最も速い馬が勝つ」と言われて、牡馬クラシックの開幕戦でもあるし、華やかなイメージのレース。しかし中山の2000mは、かなりタフなコースだ。むしろ、菊花賞でも上位できるような、スタミナと底力が要求されると思った方がいい。買うなら「先々は秋の天皇賞に出ても上位だろう」と思える、重厚な本格派。「速い」だけはとても勝ちきれないのが、皐月賞というレースのポイントだ。
 なぜかというと、ラップが必ず、非常に厳しくなるからだ。ほとんど毎年、皐月賞は1ハロン11秒台後半から12秒台半ばのラップが、きれいに揃うことになる。これが10ハロン続くのだから、流れは厳しい。その中でリズムに乗って、なおかつ、最後バシッと爆発できる馬じゃないと、勝ち負けにならない。


 イメージだけで「流れが厳しくなる」と言っててもあまり馬券への展望は開けてこないから、もう少しレースの流れの中で特定して考えよう。
 ポイントは、スタートしてから1コーナーまでの部分なのだ。ここでポジション争いが激しくなるかどうかで、「オーバーペースなのか落ち着くのか」が分かれることになる。
 もうちょっと具体的に言うと、スタートして最初の1ハロンは必ず12秒台の様子見、問題になるのはその後の2ハロンだ。ゴール前の急坂を駆け上がって、1コーナーをカーブしていくまでの、400m。ここをどれぐらいのスピードで走るかによって、ぐるっと一周してきたときに、前の馬が有利なのか差し届く展開になるのかが、ほぼ決まる。
 ここの400mを、22秒台なら完全なハイペースで、差し馬の競馬。23秒台だと、力のある先行馬なら充分残る流れ、というのがひとつの目安だ。
 ペース判断をするときにいちばんわかりやすい判断基準となるのは「1000の通過」だけど、皐月賞の場合は、1000のラップタイムが例えば59秒6だとしても、それがハイペースなのか、それとも前が微妙にラクをしつつのラップなのか、それだけ見ても解らない。見るべきは、スタート直後の攻防だ。

■良馬場で、ここの2ハロンが22秒台だった年■(    )内はコーナーの通過順

  ◎1994年 22秒6 ※1000m/58秒8
           1着/ナリタブライアン(08-07-04-04)
           2着/サクラスーパーオー(13-13-13-14)
  ◎1996年 22秒2 ※1000m/59秒2
           1着/イシノサンデー(11-07-07-08)
           2着/ロイヤルタッチ(12-12-11-11)
  ◎1999年 22秒9 ※1000m/60秒1
           1着/テイエムオペラオー(14-14-11-08)
           2着/オースミブライト(10-08-09-04)

 見事に差し-差しでで決まっているのが一目瞭然でしょ?
 一方で、この2ハロンがここ10年で最も遅かったのが、1997年の23秒7で、勝ったのは3角先頭でまんまと押し切ったサニーブライアンだった。昨年もこの2ハロンがその時と同じく23秒7のスローだったため、ネオユニヴァースもサクラプレジデントも、皐月賞としては破格の34秒3という豪脚で上がってくることができた。
※参考/過去 の皐月賞ラップ

 今年はマイネルマクロス、メイショウボーラー、コスモバルクと先行型が3頭揃ったが、五十嵐冬樹がこの最初の直線で、前をあまり追いかけすぎないでゆっくり走らせられるかどうかが、展開上は大きな鍵となる。馬券の読みとしては、ここで微妙に速くなると読むのか、それともさほど競り合いはないと見るのかが、うーん、ギャンブルだなー(笑)

 皐月賞は逃げ馬に厳しいレースで、サニーブライアンとセイウンスカイは逃げ切って勝ったような印象だけど、じっさいは2番手でレース進めて3~4角で先頭という競馬だった。
 ここ10年で、皐月賞を逃げて連対した馬は一頭もいない、というのもポイントかもね?ミホノブルボンぐらい圧倒的な存在じゃないと、ここを逃げ切るのはかなり難しい。
 4角であまりにポジション後ろ過ぎる馬も、あのタニノギムレットでさえ届かなかったぐらいだから、どうしても4角から外をブンまわして来たがる騎手は買いにくいかな。

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wrote:2004/4/14

人気馬「前崩れ」を差した豪脚、本番では微妙

<**危険な人気馬/2004年 皐月賞**>

 馬券を買うときに「印象」や「イメージ」というのは言うまでもなく重要な要素だけど、もう一歩突っ込んで、「もっと競馬を楽しみたい!」と思うなら、なるべく「客観的な数字で裏づけを取ってみる」というのが、秘訣かもしれない。これをやり始めると、競馬は本当に生き生きとした推理ドラマとして、とてもダイナミックな姿で見えてくるようになる。


 そのために一番手っ取り早いのが、なんと言ってもラップ。ズラッと並ぶ数字を見てると、語りかけてくることがたくさんあるから、本当に飽きないんだよね~(←ビョーキ・笑)。
 さて本日は、ラップと言っても「あまりピンと来ないなー」と思う人のために、少しだけ初級編講座を。

(1)そもそもラップとは?

 競馬では200mを1ハロンというのはご存知の通りだけど、その、200m(1ハロン)ごとの通過タイムを、スタートからゴールまで順番にずらっと並べたのがラップ。つまり、200mごとに、その時点で先頭に立っている馬を基準に計測したものが「レースのラップ」となる。

(2)上がりタイムには、「レースの上がり」と「馬それぞれの上がり」がある

 「上がり3ハロン」というのが決め手の鋭さを図る目安としてよく使われるが、レースの上がりと馬それぞれの上がりは別物。たとえば、レースの上がりが仮に35秒5だとすると、これを「4角最後方」から差すには、34秒台の脚で上がってこなければならない、ということになる。お分かりですね?

(3)芝の中距離で重要なのは、最初から2番目と、最後から2番目

 さてここまでは「フザケルナヨ、いまさらそんな話」だったかもしれませんが(笑)、3つ目はイキナリ秘伝を伝授だ(笑)。それはこの小見出しの通り、「最初から2番目と最後から2番目が重要」ということ。
 芝の中距離の場合、ラップの構成は↓↓↓たいていこういうことになることに、まずは注目だ。



12.5- 11.6 -11.9-11.9-11.8-12.4-11.9-12.0-12.3


 赤字にした部分が、一番速いラップの部分。ここにあげた例のように、「最初から2番目の200m」が、もっとも速くなるのが、ほとんどのケースだ。ゲートから出て、鼻息も荒く最初のコーナーに殺到するあたり、と言えばわかりやすいかな?
 上述のラップ、とりあえず数字を一つずつ見てほしい。

 まず気づくのは、最初はいい調子でラップが11秒台(やや速め)で推移してるが、最後の2ハロンはバテバテになって<12.0-12.3>、ずいぶん上がりが掛かってしまった。 このレース、勝った馬は、道中16頭立ての最後方。そして3角から徐々に進出、4角は大外に出して、そこから一気に差しきったという競馬。見た目はそうとう派手だったが、しかしこのラップから読み取れる情報(仮説)は、

(1)道中後方で体力温存してた組が、先行馬がバテるのに乗じて突っ込んできた。
(2)最後の<11.9-12.0-12.3>の部分は、「ずいぶん前が激しく止まったもんだな」という
   数字で、この流れを後方から差し切っても、それほど凄くないかも?

 ・・・というようなことになる。
 この手のレースは、前があまりに激しく止まっているから、レースの雰囲気としては「最後方から豪脚で差し切った」ように見えるのが特徴。だからこういうタイプは次に必ず人気になるんだが、メンバーが強くなるとたいてい勝ち負けまでは苦しくなる。(ちなみに、上述のラップは馬場がやや重だった。) いずれにしても、「中距離はたいていのレースで最初から2番目のラップが最も速い」ということが一つめのポイントだ。


 さてここにコスモバルクという馬がいて、皐月賞でも本命クラスだが、この馬が出走するレースには、きわめてユニークな特徴がある。それはつまり、この馬が出るレースは、珍しいことに、必ず「後ろから2番目のラップが最速」となるのだ。

      ◎百日草特別◎
      12.8-11.3-11.9-12.4-12.6-12.6-11.6- 11.2 -11.5
      ◎ラジオたんぱ杯2歳S◎
      12.6-11.6-12.3-13.0-12.8-12.5-11.9-11.8- 11.4 -11.7
      ◎弥生賞◎
      12.6-11.8-12.1-12.2-12.2-12.3-12.5-11.6- 11.3 -11.9

 この3つは、コスモバルクがJRAで走ったこれまでに走った全レース。見てすぐ分かるとおり、「後ろから二つ目」が一番速いでしょ(赤字の部分)。
 ご存知の通りコスモバルクは先行する馬で、位置取りはたいてい道中2番手、そして4コーナーから直線半ばのあたりで先頭、というレーススタイルだ。つまり、この「後ろから2番目のラップが最速」の部分は、コスモバルク自身が走っている数字なのだ。レースの中で言うと、これは「直線向いて最初の200m」になる。
 このことから導かれる結論は簡単、「これでは差し馬が届くわけがない」ということだ。
 前々で押し切るレースは、見た目あまり派手さがなくて、ともすると「スローの前残り」とかまで言われてあまり人気にならないものだ。しかし、「最後から2番目の200m(つまりゴール前400m~200mの地点)」を、先頭の馬に11秒台の前半で走られたら、他の馬はまったく太刀打ちできない。なぜなら、これを後ろから差そうと思うとき、ゴール前の2ハロンを連続「10秒台~10秒台」で上がってこなくてはならない、ということになるのだ。そんなことのできる馬は、もちろんいない。


 というわけで、前々で競馬して、しかも最後に必ず11秒台前半の豪脚で後続を封じ込めるというスタイルは、実を言うと磐石のレース運びで、これはものすごく強い「型」を身につけてると言える。

 それならば、コスモバルクが自動的に勝つだろうって?
 いやそこがまた微妙なところなんだが、ここで登場するのが、「前から2番目のラップ」なのだ。
 上述のコスモバルクの3つのレース、「前から2番目」を見てほしい。それぞれ、 11.3、11.6、11.8 という数字ですね?
 ところろが、皐月賞のここ10年、この「前から2番目のラップ」の平均は 11.1 だ!これは異常に速い。
 今年の皐月賞、逃げ宣言マイネルマクロスが、前走毎日杯のように溜めて行っても味がないことがハッキリしてるから、たぶん京成杯のときのようにある程度ハイペースの流れを作りにいくはずだ。そのハイペースの流れをあまり深追いしてしまうと、いかにコスモバルクとは言え、「最後から2番目」をまた11秒台前半で走れる保証は、どこにもない。
 五十嵐冬樹、はたして最初の直線をじっくり慌てずにいけるかどうか。ここで少しでも深追いしすぎてしまうと、十中八九、後ろの馬に差される流れとなる。今年の皐月賞は、スタートしてすぐが、最大の山場・見どころだ。


 しかし、ある程度ハイペースになったとしても、「最後から2番目のラップ」でコスモバルクが激しく歩き始めるシーンはちょっと考えにくいなあ、とも思う。なにしろ、この馬はそうとうにタフだし、負けん気も強いタイプ。今年はそうでなくても先行馬がイメージ以上に強いから、これまでのステップレースで「前つぶれの展開を最後方から差した馬」というのは、多分人気で消える可能性が高いと思う。
 言い忘れてたけど、このコラムで一番最初に紹介した「いかにも前がつぶれたレースのラップ」は、ブラックタイドが豪快に差しきった(ように見えた)スプリングSのラップです。
 あのレースはやや重だったとは言え、<11.9-12.0-12.3>の部分を差しても、実を言うとそれほどたいしたことはないかもしれない。コスモバルクはもっと前にいて、同じぐらいの脚を使うのだから。
 差す馬なら、中団ぐらいにつけて自在に動ける型じゃないと苦しい。
 よほど超ハイペースになるか、あるいはどこかで新味をださない限り、ブラックタイドは厳しいレースになる。豊さんはどう乗るんだろうね? コスモバルクをピタッとマークして行って直線で併せ馬、という展開なら少しはチャンスあるかも?
 ・・・と、テレビの前で見てると思うんだけど、なにしろ豊さんはいつも「いや、そう乗りますか!」という騎乗でビックリさせてくれるのだ。だから今回、豊さんのレース運びが、ものすごく大きな見どころの一つになる。
 うーん。本当に、楽しみが尽きないよね~!
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血統コラム初級血統講座/馬券的にはどこに注目?

<**血統で読む/2004年 皐月賞**>

 本日のコラムも、再スタートを記念して「ちょっとだけ初級血統講座」を。 競馬を見るときに、「実際どのぐらい強かったんだ(あるいは弱かったんだ)?」ということを知る大きな手がかりが<ラップ>だとすると、<血統>は、レースのイメージを豊かに広げてくれるスパイスのようなもの。これが少しだけ分かってくるようになると、競馬の楽しみが2倍にも3倍にも広がってくる。そんなに難しくはないから、大丈夫。競馬は本当にたくさんの楽しみを提供してくれるから、せっかくだし、なるべく多方面から楽しもう。

 さてそれで、昨秋以来当サイトで考えてきたのはこんなことなので、ちょいと復習など(笑)
(1)レースやコースによって、馬券になる血統に偏りはあるか?
 そういう観点で調べて見ると、例えばエリザベス女王杯はサンデーかノーザンダンサー系しか買えないという結論だったり、暮れの阪神JFは、ノーザンダンサー系の天下、というようなことが分かったりした。
(2)4代の配合でだいたいのイメージをつかんでいきたい
 父が○○だからこの馬は×××といったような特徴だ、そして母系は▽▽▽だから距離は大丈夫・・・とかとかのお話しはその辺のスポーツ新聞の怪しげな血統記事(笑)にたくさん出てるからそっちを見るとして、当サイトでは「4代どういう種牡馬が配合されてきたか?」という観点で、イメージを大づかみにしたい。
 で、せっかくだから、ちょっとだけ血統表の見方をレクチャーしちゃうかな(笑)

■例/マイネルブルックの4代血統表■
スターオブコジーン
1988
Cozzene
1980
Caro
1967
フォルティノ 1959
Chambord 1955
Ride the Trails
1971
Prince John 1953
Wildwook 1965
Star Gem
1978
Pia Star
1961
Olympia 1946
Inquisitive 1954
Soonerland
1972
Fleet Nasrullah 1955
Hill Indian 1962
ウイニングリバー
1993
ムーンマッドネス
1983
ヴィティージ
1973
Phaeton 1964
Vale 1959
Castle Moon
1975
Kalamoun 1970
Fotheringay 1964
ビーマイファイア
1986
Be My Guest
1974
Northern Dancer1961
What a Treat 1962
Fire and Ice
1976
Reliance 1962
Glorifying1971

 これがマイネルブルックの血統表。 父がスターオブコジーンで、母がウイニングリバーという馬だ。血統表というのは、このように、必ず「上の方が父方」で、「下の方が母方」というふうに表記するのが、約束事。
 そうすると、たとえばスターオブコジーンという種牡馬は、Cozzene(コジーン)という名の父とStar Gemという名の母から生まれた馬、ということが分かる。血統表に登場する馬名は、全馬がこのルールで書かれている。日本語表記と英語表記がごちゃ混ぜになっているのは、「日本に輸入された馬」と「日本で調教されて日本で競走生活を送った馬」は、日本語表記するというルールだからだ。

 薄いピンクのアミを入れた部分が、「代々の母」。マイネルブルックはウイニングリバーという馬から生まれたが、そのウイニングリバーのお母さんがビーマイファイア。さらにそのお母さんがFire and Iceという馬、という具合に表記されている。 「血統に詳しい人って、もしかして血統表に出てくるほとんどの馬について知っているのだろうか?」と思う人がいるかもしれないんだが、いいえご安心ください(笑)、私はかなり血統に詳しいほうだが、たとえばこのFire and Iceという馬については何も知らない。ビーマイファイアって馬も知らない。だいたいそんなもんだよ(笑)。それで、例えばマイネルブルックから見て、ビーマイファイアは「2代母」という言い方をする。では問題ですが、Fire and Ice は?(←答え/もちろん、3代母・笑)

 さてそれで、ポイントになるのが、黄色いアミを入れた部分。ここに出てくる馬の名前が、いわゆる「代々配合されてきた種牡馬」となる。つまり、マイネルブルックのお母さんウイニングリバーは、ムーンマッドネストいう種牡馬の仔。さらにウイニングリバーのお母さんビーマイファイアという馬は、Be My Guestという種牡馬の仔・・・というのが、一目でわかりますね? その「代々の種牡馬」を4代だけ見てみましょう、というのが当サイトの趣旨。こうやって見ると、なんとなくカンタンにわかりやそうでしょ?


 そして当サイトの仮説では、「レースのグレードが上がれば上がるほど、4代の配合がバリエーションに富んでる馬が有利だろ?」ということで検証を進めてきたんでした。
 それは、単純に「代々ファラリス系ばかりを配合されてきた馬は近親交配がきつすぎて、あんまりよくないんじゃないか?」という程度の意味と思っていただければけっこうです。
 この「ファラリス」というのが、現在世界の競馬シーンを席巻している根幹種牡馬なのだ。日本でもほとんどの馬が、「父」をずっと前までたどっていくと、ファラリスという馬に行き当たることになる。今年、桜花賞までの重賞勝ち馬は、ダンツジャッジ(AJCC)とサニングデール(阪急杯・高松宮記念)以外は全馬、「父」をたどっていくとファラリスに遡る馬ばかりだ。
※ファラリスについてもう少し詳しくは こちらのコラム をどうぞ(別ウインドウが開きます)


 さてそれで、昨秋の調査では、G1の過去の連対馬は、ほとんどが「代々配合されてきた種牡馬がバリエーションに富んでいる」というパターンだった。ファラリス系だけの配合でG1を連対した率は、過去の傾向ではおおむね1割程度でしかない。
 これが指し示す事実はかなり簡単で、つまり 「G1ではなるべく配合がバリエーションに富んでる馬を買おう」 ということになる。「ファラリス系を4代重ねてきた馬」同士の馬連馬券は、あらかじめ外れる危険大、ということを、過去の傾向はコッソリと語りかけてくるのだ。たいていのサラブレッドは「父」をたどっていくとファラリスに遡ってしまうのだから、せめてお母さんの方に「ファラリスじゃない異系」の種牡馬が(最低でも一回ぐらいは)配合されてる方が、いわゆる「雑種強勢」で底力に恵まれやすい、ということなのだろう。


 それで、はい、お待たせしました皐月賞(笑)。
 過去20年間の連対馬40頭、恒例によって全馬血統表を調べてみた。するとこれもまた恒例により、「ファラリス系を4回重ねてきた」馬の連対は、過去20年でわずか4頭のみだった。だいたい、G1だとこれぐらいのようだね、比率が。


※過去20年、皐月賞で連対した「ファラリス系×4回」の馬
    ○1996年/ロイヤルタッチ(2着)
    ○1998年/キングヘイロー(2着)
    ○1999年/テイエムオペラオー(1着)
    ○2000年/ダイタクリーヴァ(2着)

 そして今年の皐月賞、ファラリス系を4回重ねた配合の馬は、5頭出走する。

    ○コスモサンビーム
    ○フォーカルポイント
    ○アポインテッドデイ
    ○メテオバースト
    ○コスモバルク

 過去20年の傾向からは、この5頭の組み合わせの馬連馬券は、あらかじめ外れる危険がかなり高いことを承知して買ったほうがいいかもしれない。
 コスモバルクから買いたい人は、相手においしそうな馬ばかりだが(笑)、「ファラリス4回×ファラリス4回」というフォーカスの馬券は、少なくとも過去20年間登場していないことは、知っておいてもいいかも?(←実はもう少し追加して30年前のキタノカチドキが勝った皐月賞まで遡って調べたんだが、やはりそういうフォーカスの馬券は一度も出ていない。) 逆に、「今年はそろそろファラリス4回重ねた配合の馬が連対か?」と思う場合は(←そんな根拠はどこにもないけど・笑)、軸をこの5頭以外に決めて、この5頭に流してみるのも面白いかもしれない。(ほんとか)


 過去10年間で見ると、明らかにサンデーサイレンスの圧勝だ。サンデーの初年度産駒が登場したのが9年前だが、その後9年間の連対馬18頭のうち、なんと10頭までもがサンデー系の馬だから凄い。  いくら「サンデー系が牡馬クラシックの重賞に勝てなくなってきた」説を唱える私でも、サンデーを全く買わないという暴挙は犯せないです(笑)。

wrote:2004/4/19

動く回顧スローの前残りではない、力の差

<**レース回顧/2004年 皐月賞**>Race/2004.4.19

 2004年の3歳クラシック路線は、かつてないほどに先行馬が強力な年だ。
 皐月賞のレースが終わって、敗戦騎手のコメントで一番多かったのが「このスローな流れでは何もできなかった」「もっと前が引っ張ってくれる流れになれば」というもので、勝ったデムーロでさえ「スローペースだった」とコメント。しかしレースのラップを見ていただきたい。



12.1 - 10.9 - 12.3 - 12.2 - 12.2 - 12.5 - 12.0 - 11.6 - 11.3 - 11.5


 最初の3ハロンが35秒3、1000の通過が59秒7。これはスローではなくてまったく平均ペースと言っていい流れだ。にもかかわらず、後続の騎手は揃いも揃って『スローだった』とコメント。皐月賞当日の中山の芝はそうとうコンディションが良くて、好タイム連発だったから、馬に乗っている感じとしては「スロー」に感じられたのかもしれないが、しかし一番遅いラップが12秒5なのだ(青数字の部分)。
 この数字の並びを見ると、決してスローではなく、とりわけ前に有利な流れでもなかったことが分かる。淀みのない厳しい流れだし、後ろの馬は手も足も出ないワンペースのラップだ。
※1000が59秒7は、1993年以来12回の中で、4番目に速いラップ。また、2ハロンめの10秒9はかなり速いラップで、12年間で2番目に速い。


 みんながスローと感じた原因は、あくまでも推測だが、たぶん福永騎手の1コーナーの入り方にあったのではないか。
 スタートしてすぐ、マイネルマクロスが行けないのを見ると、彼は一瞬の迷いもなく先頭に踊り出てハナを主張した。ここのラップが10秒9。これはやや速い流れを予感させる数字だ。実際、もしもそのまま気分よく行っていたら、差す馬にも出番が回ってくる流れになったはずだった。
 しかし、その「10秒9」の次が、1コーナーをカーブしながらじわっと減速して「12秒3」。ここが福永騎手、隠れたファインプレイ! ここのラップの差が、なにしろ1秒4もある。これは後続の騎手にはおそらく「かなり急激な減速」と感じられたはずで、レース後、口々に「流れが遅かった」と言っていたのは、ここの部分で「一気にペースが落ちた」との印象があまりに強かったせいもあるのではないか。

 ここの2ハロンが、10秒9-12秒3で23秒2。週始めのラップ分析で書いたけれども、ここを22秒台なら差し馬の流れ、23秒台に落とせたなら先行馬の流れ、というのが皐月賞の大きな傾向だ。
 しかし、ラップを「落とせた」とは言っても、向正面では連続して12秒台の前半を刻んでいる。これは楽な流れではなくて、後続もなし崩しに脚を使わされる展開だ。
 そして福永Jは、向正面で12秒台の前半を揃えたあと、3コーナーから後続をやや引き離しに掛かった。このとき、3角から4角、そして直線に向いてのラップが12秒0-11秒6-11秒3。
 勝負どころに来てこのペースアップは、抜群だった! 普通なら、このラップを追いかけてこられる馬など、そういるものではない。完全に逃げ切り態勢のラップで、例年であればこの馬で十分に皐月賞馬レベルだ。


 しかし、福永Jが最高に乗ったこの12秒0-11秒6-11秒3を、先行集団から追いかけて行って、なおかつラストを11秒5でまとめてしまった馬がいたから驚いた。
 パワフルなストライドの栗毛。10番人気でスタート前にはまったく脇役だったダイワメジャーが、坂上で一気に主役に躍り出たのだ。イタリアの天才デムーロに追われて、この時期の3歳馬としては、驚くほど力感あふれるフォームで、大柄な栗毛がバランスよくゴールを駆け抜けた。

 しかしもっと鮮烈だったのは、やはり、注目のコスモバルクだった!
 と言うのも、直線最後の2ハロン11秒3-11秒5は、本来ならダイワメジャーがブッちぎって圧勝しているはずのラップなのだ。しかしこの2ハロン「22秒8」のフィニッシュを、道営から来たチャレンジャーが、グッと首を下げて豪快に追いあげてきた! 五十嵐冬樹が気迫満々、抜け出してから『11秒5』で圧勝態勢に入っているダイワメジャーを、うなるような大迫力で、一完歩ずつ追い詰めている。ここをコスモバルク自身は推定22秒台の半ばだ。ダイワメジャーがちぎるどころか、二頭の差は徐々に詰まっていった。中山の急な坂を上りながらだから、これはまったく、信じられないほどにパワフルな差し脚だった。 不運にもゴール板ではまだダイワメジャーが前だったが、しかし見ていて胸が熱くなるほどの豪脚。無事ならダービーはこれで決まり、とさえ思える迫力だった。
 しかし結果としては、やはり18番枠が最後の最後にこたえた競馬だった。道中さっとインのコース取りができたデムーロに対して、終始外々を回されたのがラストで響いて、実に惜しい負け方だった。

 後ろにへばりついたまま負けた騎手は揃って「流れが遅かった」ことを敗因に挙げたが、皆にそういう負け惜しみを言わせたのは、福永騎手の見事なペース配分による部分が大きかったと思う。ユーイチ君、まさに会心の騎乗だったのではないだろうか。
 そしてデムーロの腕も、見事に冴え渡った。ここ一番でのこのジョッキーの集中力はすさまじく、位置取りも追い出しのタイミングも完璧、まさに芸術的な騎乗と言ってよかった。そしてもちろん、五十嵐冬樹の気迫とコスモバルクの脚も、長く記憶にとどめられるものだった。


 ダービーでは、負けたときに「流れが向かなかった」というコメントを出すしかない馬は、買いにくくなったように思う。2004年の皐月賞、展開や馬場の問題ではなくて、明らかに差し馬完敗というレースだった。
 今年の3歳は、なにしろ先行馬が異常に強い。

【記録】  1着 ダイワメジャー 1.58.6
 2着 コスモバルク
 3着 メイショウボーラー

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