先日ものすごいワイン会があった。
まずは、シャンパーニュは95年のクリュッグ・ヴィンテージ。これには、薄切りフォアグラのテリーヌをたっぷりのせたサラダ。薄切りのフォアグラが口の中でスーッと融けて行くところをリンゴやバタートーストのニュアンスのシャンパーニュが追いかけてゆく感じ。サラダには、マッシュルームの薄切りを入れてあってこれが又クリュッグのリッチなボディーとまたよく合う。
白ワインは、ブルゴーニュのトップドメーヌ、ヴォギュエのブルゴーニュブラン2001、これ、実は中身はミュジニー・ブランなのだがまだ畑のブドウの樹齢が若いために一段格下のブルゴーニュブランを名乗っているワイン。つまりこの畑は、93年に大々的にブドウの樹の植え替えを行ったっためまだ樹が若いのだ。植え替え前は、コート・ド・ニュイ唯一の白ワインのグランクリュだったわけで、、、80年代の良い年なら15万を超えてもおかしくないくらい貴重なワイン!合わせた料理は、天然の黒ムツと広島産牡蠣のソテーにサフラン風味の白ワインソース。白ワインソースのベースはもちろんシャルドネ。只者ではないこの白ワインの華やかさには、サフランの華やかな香りと色がマッチする。
メインディッシュに合わせる赤ワインがまた豪華絢爛!まずはイタリアワインの王様と言われたバローロ95年、そしてDRC(ドメーヌ・ロマネ・コンティ)のリッシュブール79年と同じくDRCのラ・ターシュ65年!どれも素晴らしいワインだった。特にそれぞれ約30年と40年以上も熟成を重ねたDRCの2本はまさに筆舌に尽くしがたいとしか言いようがない。鳥肌ものとだけ書いておきます。
そんなすごいワインに合わせる料理に半端な食材は使えない!ということで取り寄せたのが、フランスピレネー地方産の幻の黒豚と言われたNoir de Bigorreノワール・ド・ビゴール、ビゴール黒豚のチルドの背肉。背骨とあばら骨がついた腰のあたりの肉でいわゆるロースの部分だ。今、三ツ星レストランなどでも盛んに使われていて、グルメの間でも最も注目されている肉の一つである。画像は、肉のラベル。肉自体は写真を撮るのを忘れた。料理に集中していて写真どころではなかったというのが本当のところ。

何が違うのかと言うと、とにかくひたすら綺麗な味わいで脂身も甘くて軽くとても繊細な肉なのだ。値段もフォアグラ並みでとても豚肉とは思えないのだが、味わいも豚肉というイメージの範疇をはるかに超えているだろう。ただし、わかりやすくて迫力があるといった味ではなく、非常に繊細な旨みをもった肉だ。しかも大変細やかで滑らかな肉の繊維なので、調理にも細心の注意が必要だ。
そこで私の得意技である、低温による長時間ローストで仕上げた。約4時間もかけて肉を休ませながらゆっくりと火を入れていくのだ。あらかじめ外した骨をオーブンでカリカリになるまで焼き、香ばしい出汁をとり、その出汁で肉を焼いた鍋にこびりついたうまみをこそげとってソースとした。
しっとりと柔らかくロゼに焼きあげ、きめの細かい肉の舌ざわりが、熟成して複雑で繊細ながらも力強いワインと合わさって素晴らしいマリアージュがとれたと思う。お客様も大変喜んでいただけたようで、ホッと胸をなでおろした。やはりこれだけの材料を使うと気が引き締まる思いがする。
そして、副産物がこちら、、、

ビゴール豚の落とし肉と背脂にときめき鶏のレバーを合わせて仕込んだテリーヌ。食べてみてびっくり!完全にビゴールの風味が全体を支配していてレバー臭さがまったくないのだ。いつもこのテリーヌはもち豚の背脂を使うのだが、やはり数段美味しい!!(いつものもち豚のテリーヌだって相当美味しいのだが、、、)上には上があるものだと思う。
安い!美味い!早い!なんていいますが、、、私の考えでは、ビックリするほど美味しいものはビックリするほど高価なことが多いというのが本音だ。
人間何かを知ってしまうというのはある意味恐ろしいことで、こんなビゴール豚のようなものを知ってしまうと、今までとても美味しいと思っていたものが何か物足りなくなってしまうのだ。まあ、たまにこんなハレの食材に出会うと、あらためて食の世界の奥深さを知ることになる。
そんなわけで、この美味しいテリーヌがいまなら食べられますよ!早い者勝ちです。
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