
これは、フォアグラのテリーヌ。フォアグラを室温に戻し、中の太い血管を掃除してから塩と胡椒とカソナード(フランスの三温糖)とナツメグ少々で調味してテリーヌ型に押し込んで、湯煎にかけたままオーブンでゆっくり火を通してから冷やし固めたもの。テリーヌというのは、材料を詰め込む器の名前で、それ自体食い物ではない。つまり牛丼とか天丼というのと同じで、この場合丼は食い物ではなく器のことでしょ、、、。
よく料理とワインのマリアージュなどといって、料理とワインの相性のことを言いますが、マリアージュとはフランス語で結婚のことで、文字通りワインと料理やその他の食物が仲良くなってどちらも美味しくなる現象のことをいう。
実は私の場合、料理人ではあるがワイン(他の酒もですけどね)がとことん好きなので、如何にして食べて飲んで美味しく楽しくなるかということばかり考えて30年近くこの仕事をしてきたといっても良い。そういう中で、ワインと料理のとびきりのマリアージュをいくつかあげろと言われたら、間違いなくベスト3に入ってくるのが、フォアグラのテリーヌといくつかの甘いワインだ。
まずは王道といえば、ボルドーのソーテルヌの貴腐ワイン。最高級品のシャトー・ディケムChateau d'Yquemとまでいかなくても、ソーテルヌのそこそこのワインで十分に楽しめるし、ソーテルヌ周辺や川を挟んで対岸の地域、ルーピアックやサント・クロワ・デュ・モンやプルミエール・コート・ド・ボルドー等の甘口のワインでも実に楽しいマリアージュが体験できる。更にボルドーから南下してベルジュラック地区の中のモンバジャックの甘口もソーテルヌに似て楽しい。それから、北フランスのアルザス地方のユニークな芳香の白ワインゲヴェルツトラミネールの甘口ヴァンダンジュタルティヴがあれば、もう思い残すことないというほど素晴らしいといえるし、ソーテルヌと並ぶ世界三大貴腐ワインの一つ、ハンガリーのトカイのワインも忘れられない、これももちろん甘口。もう一つの三大貴腐ワイン、ドイツのトロッケン・ベーレン・アウスレーゼももちろん合うのだが、私の好みとしてはやや変化球だが、スペインのシェリーのアモチリャードなんかもお勧め!
あまりワインに詳しくない人には、まったく聞いたこともないようなワインが多いかもしれません。それにフォアグラと言ったら肉系だから赤ワインなんじゃないの??という方もいるでしょう、、、。上にあげたワインは、ちゃんとしたソムリエさんなら知っている組み合わせなんです。決して私の独りよがりの選択じゃありません。もちろん赤ワインでも悪くはない物はたくさんありますが、フォアグラのテリーヌと甘いワインの組み合わせのびっくりするほどの心地よさは決して赤ウィンでは味わえないと思います。ただ、ちゃんとしたソムリエさんというのが、実はなかなかいなくて、、、日本のソムリエさんはワインオタク的な方が多く、畑の地質や気候やはたまたその畑の持ち主の人間関係やワイン会社の経営の出資者、栽培法や醸造法やワインの樽の材質などにばかり詳しくて、料理をあまり知らない方が多いような気がします。まあ、私が親しくしている優秀なソムリエには、そんな人はいませんが、、、。
というわけで、フォアグラのテリーヌを作りました。サンク・オ・ピエでは、それに良く合うワインも、ソーテルヌ系、アルザスのゲヴェルツトラミネール、ハンガリーのトカイの貴腐ではないけど遅摘み完熟甘口、シェリーのアモチリャード、全部お手頃価格のグラスワインでそろってます!!こんな気の利いた店、ちょっとないですよ!自信もって自慢します!
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