ちょうどスモークサーモンが売り切れたので、明日からピオ・トジーニ社のパルマ産生ハム始めます。まあ、明日は昼も夜も予約でいっぱいですが、、、。日曜日は若干空席があります。
生ハムは、塩漬けにした豚の後ろ脚(骨付きもも肉)を少なくとも1年くらい乾燥熟成させたものなんですが、最近はエアコンや冷蔵庫を使用するのが主流になってきていて、伝統的味わいが失われつつあります。実は生ハムは夏を越すことによってある程度の高温にさらされて独特の旨味が出ます。常に低温を保ち過ぎるとただの干し肉になってしまって、ハムらしい風味が出ないんですね。
夏でも腐らないのは、塩分と蔵付きの乳酸菌の作用があるからなんです。ぬか漬けやクサヤや鮒寿司などの発酵食品の主役は様々な乳酸菌の仲間たちです。乳酸菌が作る弱酸性の環境とある種の抗生物質が、雑菌の繁殖を抑えて、同時に乳酸発酵による独特の旨味ができるわけです。
ところが生ハムの熟成庫でエアコンや冷蔵庫を使うと、乳酸菌が活動できませんし、エアコンのフィルターに乳酸菌が引っ掛かって死んでしまうんですね。そうやってできた、生ハムはただの干し肉みたいで、美味しくありません。
このピオ・トジーニ社の生ハムは、80余りあるというパルマの生ハム会社の中でもわずか数社しかないという一切エアコンを使わない会社で作られています。ですから、蔵付きの乳酸菌が豊富で、旨味も風味もとても豊かです。一昨年前に、輸入元の会社が店までプレゼンに来てくれたんです。生ハムのブロックを持ってきてくれて、自分で切って試食したんですが、、、「乳酸発酵の旨味がきいてますね!」と言うと、「一口食べてすかさずそうコメントした方は中村シェフが初めてですよ。さすがよく分かっていらっしゃる。」といってました。「私は、こういう生ハムを待っていたんですよ!」と、思わず言ってしまったくらい美味しいハムです。
パルマの中でも聖地と言われるランギラーノ村は、アペニン山脈より降りてくる山おろしの冷風を熟成庫の大きな窓の開閉によって熟成に利用しているそうです。
この生ハムは秋までやってます。ぜひ召し上がってください!
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