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深刻な副作用を引き起こすことが明確な「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」と呼ばれる遺伝子操作薬を日本は国民に接種させ続けようとしているが、高齢者施設など準強制的に接種できる場所は別として、推進派の思惑通りに進むとは限らない。 全身に炎症を引き起こす一方、免疫力を低下させてエイズ状態にし、生殖機能にダメージを与えることは確認されているが、組み替えられた遺伝子が遺伝する可能性もある。この危険な遺伝子操作薬の接種を最も早く始めた国はイスラエルだ。2020年12月下旬から接種が急ピッチで進んだが、それに歩調を合わせてPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の陽性者が増えたようだ。 2021年4月になると、十代の若者を含む人びとの間で心筋炎や心膜炎が増えているという情報がイスラエルから伝えられはじめる。6月23日にはアメリカのCDC(疾病予防管理センター)のACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)が「mRNAワクチン」と「穏やかな」心筋炎との間に関連がありそうだと認めた。その2日後にはFDA(食品医薬品局)がmRNA技術を使ったファイザー製とモデルナ製の「COVID-19ワクチン」が若者や子どもに心筋炎や心膜炎を引き起こすリスクを高める可能性があると発表している。心筋炎や心膜炎の問題を否定できなくなったのである。2022年に入るとイスラエルを含む大半の国で接種する人が大幅に減った。 アメリカでは情報公開を求める声が高まるがファイザーやFDA(食品医薬品局)は「mRNAワクチン」に関する文書の公表を75年後まで引き伸ばそうとする。関係者がいなくなり、手の打ちようがなくなるまで情報を隠そうとしたのだろうが、裁判所はその要請を拒否、明らかにされつつある。 アメリカのテキサス州では連邦判事が5月9日、FDA(食品医薬品局)に対して「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の認可に必要なデータを2025年半ばまでに公開するよう命じた。今回の命令では冒頭、「民主主義は密室の中で死ぬ」と指摘している。 アメリカでは国際戦略をめぐる支配層内の対立があった。1980年代にはその対立が原因で「イラン・コントラ事件」や「イラクゲート」などは発覚、アレン・ダレス人脈のジョージ・H・W・ブッシュが大統領を1期しか務められなかった理由もそこにあると見られている。 ブッシュ政権時代の1991年12月にソ連は消滅、91年2月に国防総省を支配していたネオコンはDPGという形で世界制覇プランを作成した。その中心人物がポール・ウォルフォウィッツだったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 ネオコンのプラン通りに動かなかったビル・クリントンはスキャンダル攻撃を受け、第2期目はネオコンの政策に従って動き始める。ちなみにヒラリー・クリントンはネオコンのビクトリア・ヌランドやマデリーン・オルブライトと親しい。 ネオコンがホワイトハウスを完全に掌握したのは2001年9月11日の後だ。言うまでもなく、この日、ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、人びとがショックで茫然自失になっている間に国内を収容所化、国外で侵略戦争を本格化させた。このときの大統領、ジョージ・W・ブッシュ(H・Wの息子)はネオコンにコントロールされていた。 ジョージ・Wの政策に対する反発が高まる中、「チェンジ」を掲げて登場したのがバラク・オバマ。この人物もCIAとの関係が指摘されている。オバマは正規軍の投入ではなく、彼の師であるズビグネフ・ブレジンスキーと同じようにムスリム同胞団やサラフィー主義者(ワッハーブ主義者やタクフィール主義者)を傭兵として使い始め、言論統制を強化した。 オバマ政権は2013年11月からキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でクーデターを開始、年明け後にはネオ・ナチが全面に出てきて暴力的にビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。 ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部では住民の7割以上がロシア語を話し、東方正教の信徒が多い。ウクライナ語を話し、カトリックの信徒が多い西部とは別の国だとも言える。その不安定な国を維持してきた仕組みが選挙だが、その結果をネオコンは暴力的にひっくり返したわけだ。 西部の住民はクーデターを容認していたかもしれないが、東部や南部では拒否される。南部のオデッサでは反クーデター派住民がネオ・ナチに虐殺されて制圧されたが、クリミアはいち早くロシアの保護下へ入った。そして東部のドンバスでは内戦が始まる。 それから8年、アメリカ/NATOは「ミンスク合意」で時間稼ぎしながらキエフ体制の軍事力増強を進め、ドンバス周辺は要塞化された。昨年3月にアメリカ/NATOはキエフ政権を使ってドンバスへ大規模な構成を仕掛けようと計画していたことを示す文書がある。2月にはドンバスに対する攻撃が激しくなっている。 しかし、アメリカ/NATOが攻勢を仕掛ける直前、ロシア軍が巡航ミサイルなどで攻撃を開始、ドンバス周辺に集結していたウクライナ軍は大きなダメージを受けたと言われている。その際にウクライナ側の機密文書を回収している。 回収文書の分析を指揮してきたロシア軍のイゴール・キリロフ中将によると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)が管理する研究施設が約30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていた。 ロシア国防省が発表したスライドによると、アメリカの民主党を病原体研究の思想的な支柱とし、その思想を実体化させる役割を負っているのが国防総省やCDC(疾病予防管理センター)を含むアメリカの政府機関だ。 資金はアメリカの予算からも出ているが、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、クリントン財団、ハンター・バイデンのロズモント・セネカ・パートナーズ、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ロックフェラー財団、エコヘルス同盟などからも出ている。 そのほか、生物兵器の研究開発システムにはアメリカ大使館、国防総省の契約企業であるメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、スカイマウント・メディカル、そしてCH2Mヒルなど、またファイザー、モデルナ、メルク、ギリアドを含む医薬品会社が組み込まれ、ドイツやポーランドも関係している。 こうしたシステムは生物兵器の研究開発だけでなく、医薬品メーカーは安全基準を回避して利益率を上げるためにウクライナの研究施設を利用しているようだが、ファイザーやモデルナといった医薬品会社やエコヘルス同盟が関係していることからウクライナの研究所はCOVID-19にも関係している疑いがある。 キリロフが記者会見でウクライナにおける生物兵器の問題について発表した翌日の3月8日、アメリカの上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官はウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語っている。マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語ったのだ。つまりウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 こうした生物化学兵器の研究開発グループはロシアの医療システムへ食い込んでいることをウラジミル・プーチン大統領は明らかにした。昨年7月、プーチン大統領はユーリ・チカンチン連邦財務監視庁長官と会談、外国の巨大医薬品メーカーからロシアの医療関連機関の幹部へ多額の資金が渡っていることを問題にしている。 法律には違反していないというが、こうした慣習が医療システムを損なうことは間違いない。医薬品メーカーの利益を優先することは医療機関の利益につながり、適切な治療が行われないこのになる可能性があるわけで、連邦財務監視庁はFSB(連邦安全保障局)と共同で医療世界におけるカネのやりとりを止めさせるために調査を始めたとされていた。その後、詳しい話は出てこないが、何もしていないとは考えられない。中国でも似た問題があるはずだが、西側の利権構造はそれ以上に腐敗しているだろう。日本の場合、利権だけでなく生物化学兵器の研究開発でアメリカ軍と深い関係がある。
2023.05.31
トルコで5月28日に大統領選挙の決選投票が行われ、レジェップ・タイイップ・エルドアンが再選された。ヨーロッパと中東の間にあるトルコは戦略的に重要な国であり、1952年からNATOに加盟しているが、現在はロシアとの連携を強めている。アメリカの言いなりにならないエルドアンをアメリカ政府は排除しようと試み、失敗した結果だ。 2011年3月にアメリカは同盟関係あったイスラエルとサウジアラビアのほか、イギリスとフランスのサイクス-ピコ協定コンビ、パイプラインの建設でシリアと対立したカタール、そしてオスマン帝国の再興を夢見るトルコと共同でシリアに対する侵略戦争を始めた。その手先になったのはムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とする戦闘集団。ズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代に始めた仕組みを使ったのだ。 シリアより1カ月早く侵略戦争が始まったリビアでは2011年10月にムハンマド・アル・カダフィ体制が倒され、カダフィ自身は惨殺された。それ以降、アメリカなどは戦力をシリアに集中させるのだが、バシャール・アル・アサド政権は倒れない。そこでバラク・オバマ政権は2012年から支援を強化した。 オバマは「穏健派」を支援しているだけだと弁明するが、アメリカ軍の情報機関DIAは2012年8月、シリアで政府軍と戦っている武装勢力はサラフィ主義者やムスリム同胞団であり、アル・カイダ系だとホワイトハウスに報告している。オバマ大統領が言うような穏健派は存在しないというわけだ。 それだけでなく、DIAはオバマ政権の政策がシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。その警告は2014年に入ってダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で出現する。そうした中、2014年8月にフリンは解任された。 そこでオバマ政権は政府を好戦的な布陣に変える。2015年2月に国防長官をチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、9月には統合参謀本部議長をマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させたのだ。ヘーゲル国防長官やデンプシー統合参謀本部議長は上院軍事委員会で直接的な軍事介入に慎重な姿勢を示し、のヒラリー・クリントン国務長官など好戦派と対立していた。 オバマ大統領が主張する穏健派は存在しないとする報告を出したDIAの局長、マイケル・フリンは2014年8月に退役を強いられていたが、それだけでなくヘーゲルは2015年2月に解任、デンプシーは同年9月に再任を拒否されている。オバマ大統領は戦争体制を整えた。そこでロシアはシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュを含むアル・カイダ系武装集団を敗走させた。シリアでの戦闘はロシア製兵器の優秀さとロシア軍の強さを知らしめすことになる。 そうした中、2015年11月24日にトルコ軍のF-16がロシア軍のSu-24を待ち伏せ攻撃で撃墜した。トルコ政府が独断で実行できる作戦ではない。オバマ政権はロシア軍をシリアから追い出したかったはずで、アメリカ軍の承認、あるいは命令があったと見られている。 トルコ政府は「国籍不明機」を撃墜したと主張したが、ロシア軍は軍事衝突を避けるため、事前に攻撃計画をアメリカ側に通告していた。しかもアメリカは偵察衛星で監視しているはず。しかもギリシャを拠点とするアメリカ/NATOのAWACS(早期警戒管制)機、そしてサウジアラビアもAWACS機も飛行していた。11月24日から25日にかけてポール・セルバ米統合参謀本部副議長がトルコのアンカラを訪問、トルコ軍幹部と会談していたことは興味深い事実だ。 アメリカのアシュトン・カーター国防長官は2016年1月22日、陸軍第101空挺師団に所属する1800名をイラクのモスルやシリアのラッカへ派遣すると語り、翌23日にはジョー・バイデン米副大統領が訪問先のトルコでアメリカとトルコはシリアで続いている戦闘を軍事的に解決する用意があると発言した。バイデンの好戦的な姿勢は一貫している。 しかし、アメリカが手先として使っていた武装集団は予想を上回るスピードで敗走し、アメリカの好戦派は戦闘態勢を立て直すことができない。そして2月3日にはヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問してウラジミル・プーチン大統領と会談する。 この会談はアメリカ大統領選挙の流れも変えた。それまでヒラリー・クリントンが次期大統領になると見られていたのだが、共和党のドナルド・トランプに目が向けられるようになり、民主党の候補者選びでバーニー・サンダースが勝つ可能性も出てきたのである。結局、大統領選挙ではトランプが勝利、サウジアラビアの権力バランスも崩した。そこでCIAやFBIはトランプやサンダースを倒すための工作を始め、「ロシアゲート」をでっち上げる。 2016年6月下旬にトルコ政府はロシア政府にロシア軍機の撃墜を謝罪し、7月13日にトルコ首相はシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆する。戦争が長引き、ロシアと経済的に結びついていたトルコは耐えられなくなっていた。 そして7月15日、トルコで武装蜂起があった。トルコ政府は蜂起の背後にアメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官やジョン・キャンベルISAF司令官がいたと主張、また蜂起グループはCIAに雇われていたとも言われている。 このクーデター計画の情報を最初につかんだのはシリアの北部に駐留しているロシア軍の通信傍受部隊で、いち早くエルドアン側へ情報を伝えたと言われている。 このクーデターに関係していたと言われているひとりがサウジアラビアの副皇太子だったモハンマド・ビン・サルマンだが、今ではアメリカから離れ、ロシアへ接近している。 トルコでのクーデターは失敗に終わるが、エルドアン政権はその首謀者をアメリカへ亡命中でCIAの保護下にあると言われているフェトフッラー・ギュレンだと主張、そのギュレンを引き渡すように要求したが、拒否されている。 ギュレンはイスラム法による支配を主張、「ギュレン運動」を展開している。その目的を達成するため、学校を中心とするネットワークを組織、男子だけで寄宿生活を送らせ、ギュレンの思想を叩き込んでギュレンに服従する人間を作り上げているという。この運動の中心はアメリカのペンシルベニア州にある。 CIAがギュレンを守る理由のひとつは、ギュレン運動がCIAの中央アジアやカフカスにおける工作で重要な役割を演じているからだ。CIAの中で特にギュレンと近い関係にある人物がグラハム・フラー。ジョージ・H・W・ブッシュと親しく、ズビグネフ・ブレジンスキーのアフガニスタンにおける秘密工作でジハード傭兵の仕組みを作り上げた人物でもある。 フラーの娘であるサマンサが結婚していたルスラン・ツァルナエフは1992年からUSAIDの「顧問」としてカザフスタンで働いていたと言われ、CIAと関係がある可能性は高い。フラーは2013年4月にボストン・マラソンのゴールライン近くで引き起こされた爆破事件の容疑者、タメルラン・ツァルナエフとジョハル・ツァルナエフのオジでもある。 アル・カイダ系武装集団やダーイッシュなどが敗走したことからアメリカ政府はクルドを手先として使い始めるが、エルドアンはクルドを敵視している。これもトルコとアメリカとの関係を悪化させる原因になった。 エルドアンを民主主義的な人物だということはできないが、そのエルドアンを排除しようとしているアメリカの支配層はエルドアンを上回る反民主主義的な集団、つまり帝国主義者だ。
2023.05.30
世界はバイオ技術の時代に入っている。遺伝子操作と言っても良いだろう。その新技術を実践するため、「パンデミック」が演出された。恐怖に駆られた人びとは遺伝子操作薬に飛びつき、早くも深刻な副作用が現れているのだが、この接種はアメリカの国防総省がたてた計画に基づいている可能性が高い。 WHO(世界保健機関)は健康や医薬品を改善するためだとして「ゲノム編集」を打ち出しているが、彼らが推進中の「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」は遺伝子操作薬にほかならない。ここにきてDNAの混入が発覚、ゲノムの中に入る危険性があるのだが、そうなると、少なくとも結果として遺伝子組み換えになる。 モデルナで医療部門の責任者を務めるタル・ザクスは2017年12月に次のように語っている:DNAはコンピュータのプログラムに相当し、mRNA技術はOS(オペレーティング・システム)と同じようなプラットフォームを作り出す。その上で「生命のソフトウェアをハッキングする」というのだ。 生物化学兵器を開発するために生体実験も行った日本の医学界は「性善説」を採るらしいが、権力者を調べている立場からすると「性悪説」的な視点から見なければならない。大多数の人間の遺伝子を組み替えようとしているグループが存在している可能性がある。 遺伝子操作だけでなく、社会を収容所化しようとする動きもあった。そのひとつの手法がロックダウン。それを正当化するために「COVID-19」を悪霊化し、人びとを恐れさしていた。そうした宣伝を行っていた組織のひとつがWEF(世界経済フォーラム)だ。 WEFのクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演し、そこでマイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している。チップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するというのである。個人を特定、監視するだけでなく、思想や記憶のコントロール、外部の巨大コンピュータと連結して人間を端末化しようと考えているようだ。 脳とコンピュータを融合するマイクロチップをイーロン・マスクは開発している。その拠点が「ニューロリンク」なる会社だ。動物では脳にチップを埋め込む実験をすでに実施。来年には人間で行う予定で、FDA(食品医薬品局)の承認を待っている状態だとされていた。 ナチ協力者として知られるシュワブ家のクラウスはスイスにおけるカトリック神学の中心地であるフリブール大学で経済学の博士号を、またチューリッヒ工科大学でエンジニアリングの博士号をそれぞれ取得、後にハーバード大学へ留学し、そこでヘンリー・キッシンジャーから学んでいる。その後スイスのエンジニアリング会社エッシャー・ビース(後にズルツァーへ吸収)に入り、アパルトヘイト時代の南アフリカで核関連の研究に携わった。WEFを創設したのは1971年のこと。その際CIAからも支援を受けている。 こうした人類の個別管理は2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と関係している。「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を特定するためのシステムに記録されていない人びとを管理する必要があるとされ、デジタルIDの導入が進められることになった。2016年5月には国連本部でどのように導入を進めるかが話し合われ、ID2020というNGOが設立される。このNGOにはマイクロソフトも関係している。 エレクトロニクス技術とバイオ技術を組み合わせ、「神に選ばれた」自分たちが大多数の劣等種を支配しようとしているように見える。その「神に選ばれた」人びとが「文明」を築く手段は略奪だった。 近代ヨーロッパは11世紀から15世紀にかけて中東を「十字軍」で侵略し、財宝や知識を手に入れるところから始まる。15世紀から17世紀にかけての「大航海時代」にはエルナン・コルテスがアステカ王国(現在のメキシコ周辺)に攻め込み、莫大な金銀を奪う。また、フランシスコ・ピサロはインカ帝国(現在のペルー周辺)で金、銀、エメラルドなどを略奪した。いずれの帝国とも滅ぼされている。 ヨーロッパ人は莫大な量の貴金属品を盗んだだけでなく、先住民を酷使して鉱山開発も行った。その象徴的な存在がボリビアのポトシ銀山だが、どの程度、盗み出されたかは不明である。 スペインやポルトガルがラテン・アメリカから盗み出した金銀財宝を海賊に奪わせていたのがイギリス。そうした海賊の中でもジョン・ホーキンス、フランシス・ドレイク、ウォルター・ローリーは有名だ。エリザベス1世はホーキンスにナイトの爵位を与えた。ドレイクやローリーもナイトになっている。金やダイヤモンドを産出した南部アフリカをイギリスが侵略するのは19世紀の終盤だ。そして資本主義が始まる。 その一方、イギリスやアメリカは麻薬を中国へ売りつけている。イギリスはインド産のアヘン、アメリカの業者はトルコ産のアヘンを売っていた。その前、彼らの一部は奴隷貿易で儲けている。 そうした手法でイギリスは19世紀に植民地を拡大させていた。1866年にアフリカの南部地域でダイヤモンドが発見され、86年にはトランスバール(南アフリカ北東部)で大量の金が発見されると、セシル・ローズは南アフリカへ移住、ダイヤモンド取引で財をなし、デ・ビアスを創設した。ローズに融資していた金融機関はNMロスチャイルド&サンである。 その後、トランスバールへの侵略に失敗したローズはイギリスへ戻ってナサニエル・ロスチャイルドと会う。ロスチャイルドはウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、そしてアルフレッド・ミルナーと緊急会談を開いて対策を練った。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) 一連の動きで重要な役割を果たしたローズは優生学を信奉していたことで知られている。彼は1877年6月にフリーメーソンへ入会、その直後に書いた『信仰告白』の中でアングロ・サクソンは最も優秀な人種であり、その居住地が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張している。領土を拡大して大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務であり、領土の拡大はアングロ・サクソンが増えることを意味するとしている。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) 彼らが信奉していたトーマス・マルサスの人口論によると、人口は等比級数的に増えていく。ところが実際の人口は等比級数的に増えるどころか減少に転じる兆候が出ている。2019年に出版されたダレル・ブリッカーとジョン・イビツォンの『Empty Planet(日本語版:2050年 世界人口大減少)』はその問題をテーマにした著作で、注目された。基本的に同じ結論の論文をランセット誌が2020年7月14日に掲載している。 欧米には『新約聖書』の黙示録を恣意的に解釈、それを信じる人たちがいる。黙示録は複数の筆者によって書かれた、あるいはオリジナルに何者かが書き加えたことがギリシャ語の語学力を分析することで明確になっている。そのうち書き加えられた部分を絶対視するのだ。書き加えられた部分には、「印」をつけられた人びと以外は神による大殺戮で殺されるという記述がある。 第2次世界大戦後、「人口爆発」ということが言われてきたが、そうした主張、あるいは「神話」がが広まったひとつの理由は人種差別にあると指摘する人がいる。東南アジア、中国、インド、アフリカなどの人口が増えたことに対する危機感が生じたというのだ。マルサスの人口論を信奉する人が少なくなかったことも一因だと考えられている。そのアングロ・サクソンはアメリカ、オーストラリア、フィリピンなど世界各地で先住民を虐殺しているが、東アジアでは中国に照準を定め、最終的にはスラブ民族が支配するロシアを征服しようと計画する。中国侵略のための「戦闘奴隷」として目をつけたのが日本人にほかならない。そして明治維新だ。 現在、日本人は中国やロシアとの戦争を準備しているが、その一方で遺伝子操作薬の接種で死滅する方向へ進んでいる。「突撃」するまでは生きていると考えているのだろうか?
2023.05.29
長年医薬品業界で研究開発に関わってきたサーシャ・ラティポワは公開された文書の分析から、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の接種計画はオバマ政権の時代にアメリカの国防総省が始めたことが判明したとしているが、これはロシア軍の主張と一致している。 ロシア軍は昨年2月24日から巡航ミサイルなどでウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃、機密文書を回収しているが、その中には生物化学兵器に関する約2000文書が含まれていた。その分析を行った結果、アメリカはウクライナで「万能生物兵器」を研究していたことが判明したとしている。 回収文書の分析を指揮してきたロシア軍のイゴール・キリロフ中将によると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)が管理する研究施設が約30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていた。ロシア国防省が発表したスライドによると、アメリカの民主党を病原体研究の思想的な支柱とし、その思想を実体化させる役割を負っているのが国防総省やCDCを含むアメリカの政府機関だ。 キリロフも指摘しているように、アメリカはウクライナだけでなく敵国、つまりロシアや中国の周辺にそうした研究施設を建設してきた。生物兵器の研究開発だけでなく、生物兵器による攻撃を準備している疑いが濃厚だ。ビジネスやアカデミーの世界を中心にアメリカの私的権力に侵食されている中国の場合、国の内部にもそうした施設が存在する。 19世紀からアングロ・サクソン系の国が大陸を侵略する拠点として利用してきた日本の場合、mRNA技術を使った製品を製造する工場が南相馬で建設されている。この製品を生物兵器とみなす人も少なくない。 日本では1930年代から生物化学兵器の研究が行われている。1933年には軍医学校が東京帝国大学や京都帝国大学の医学部と共同で生物化学兵器の研究開発を開始、正確なデータを得るため、生体実験が中国で組織的に実施されている。犠牲になったのは主に中国人、モンゴル人、ロシア人、朝鮮人。こうした人びとを日本軍は「マルタ」と呼んだ。 生体実験を実施するため、軍の内部に特別な部隊が占領地である中国で編成される。当初は加茂部隊や東郷部隊と呼ばれたが、1941年からは第731部隊と呼ばれている。第731部隊の隊長は1936年から42年、そして45年3月から敗戦までが石井四郎、その間、42年から45年2月までを北野政次が務めた。 1945年8月には関東軍司令官の山田乙三大将の名前で部隊に関連した建物は破壊され、貴重な資料や菌株は運び出された。捕虜の多くは食事に混ぜた青酸カリで毒殺される。事態に気づいて食事をとならなかった捕虜は射殺され、死体は本館の中庭で焼かれ、穴の中に埋められたという。 石井たち第731部隊の幹部は大半が日本へ逃げ帰るが、日本の生物化学兵器に関する情報はアメリカ軍も入手していた。1946年に入ると石井たちアメリカ軍の対諜報部隊CICの尋問を受けることになるが、厳しいものではなく、資料はアメリカ側へ引き渡された。 尋問の過程でGHQ/SCAPの情報部門G2の部長を務めていたチャールズ・ウィロビー少将と石井は親しくなり、隊の幹部たちはアメリカの保護を受けるようになる。日本が提供した資料や研究員はドイツから提供された知識と同じように、アメリカにおける生物化学兵器開発の基盤になった。 アメリカでは1943年にUSBWL(陸軍生物兵器研究所)がキャンプ・デトリック(後のフォート・デトリック)で建設され、生物化学兵器の研究開発が始まるが、本格化するのは第2次世界大戦後のことだと言われている。ドイツや日本の研究資料や研究者を押さえてからだ。 1950年6月に朝鮮戦争が勃発、52年2月に朝鮮の外務大臣はアメリカ軍が細菌兵器を使用していると国連に抗議した。アメリカ側は事実無根だと主張したが、1970年代にウィリアム・コルビーCIA長官は議会証言の中で、1952年にアメリカ軍が生物化学兵器を使ったと認めている。 朝鮮戦争が始まると、アメリカ軍は輸血体制を増強しなければならなくなり、「日本ブラッドバンク」が設立されたが、北野政次が顧問に就任するなど、この会社は第731部隊と深い関係がある。後に社名は「ミドリ十字」へ変更され、「薬害エイズ」を引き起こすことになる。COVID-19の問題でもアメリカの国防総省と日本の医学界は他国と違う関係があるかもしれない。 第731部隊を含む日本の生物化学兵器人脈は「伝染病対策」の中枢を形成することになる。その拠点として1947年には国立予防衛生研究所(予研)が創設された。当初は厚生省の所管だったが、1949年には国立になる。1997年には国立感染症研究所(感染研)に改名された。この感染研が日本におけるCOVID-19対策の中心だ。
2023.05.28
厚生労働省は5月26日、3月分の「人口動態統計速報」を発表した。それによると死亡者数は13万4156人。「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の接種が始まる前に比べるて大幅に増えている状況に変化はない。 しかし、昨年12月後半から「COVID-19ワクチン」の接種数は週刊誌の報道もあって大きく減少、年明け後にも増えなかった。5月8日には6回目の接種を厚生労働省は開始、マスコミも接種キャンペーンを展開したものの、爆発的に増えているとは言えない。 コロナウイルスは風邪の主要な原因として知られるRNAウイルス。発見されたのは1931年だが、MRCA(最も近い共通祖先)は紀元前8000年に存在していたようだ。RNAウイルスは変異が激しく、ワクチンを作ることはできなかった。古典的な定義にしたがうと、「COVID-19ワクチン」をワクチンと呼ぶことはできず、遺伝子操作薬だと表現する研究者は少なくない。 現在接種されている主要な「COVID-19ワクチン」はmRNAを利用したタイプとアデノウイルスをベクター(遺伝子の運び屋)に利用したタイプ。前者はBioNTech/ファイザーやモデルナ、後者はジョンソン・アンド・ジョンソンやオックスフォード/アストラゼネカが製造している。 いずれもコロナウイルスのスパイク・タンパク質を人間の細胞に製造させ、それによって抗体を作って免疫を高めるのだが、このスパイク・タンパク質こそが病気の原因だという事実をカリフォルニア州サンディエゴ郊外にあるソーク研究所が2021年3月に発表している。解説記事も出された。 当初の宣伝とは違い、細胞がスパイク・タンパク質を作り続ける期間は数カ月に及ぶことがわかってきた。その間、人間の免疫システムは自分の細胞を攻撃、自己免疫疾患を引き起こすのだが、炎症を抑える意味もあり、免疫力は低下する。エイズ状態を作り出すとも言えるだろう。「ワクチン」で使われるLNP(脂質ナノ粒子)は人体に害を及ぼすのだが、存在が明らかになったグラフェン誘導体も有害。ここにきてDNAの混入が発覚、ゲノムの中に入る危険性がある。ファイザー製の製品に含まれていたDNAには発癌性ウイルスであるSV(シミアン・ウイルス)40の塩基配列の一部が入っているという。 FDA(食品医薬品局)で「ワクチン研究評価室」を室長を務めていたマリオン・グルーバーと生物学的製剤評価研究センターで副センター長を務めてきたフィリップ・クラウスも執筆者に名を連ねる報告がイギリスの医学誌「ランセット」掲載されたのは2021年9月。mRNAを利用したタイプは「心筋炎」を、またアデノウイルスをベクターに利用したタイプはギラン・バレー症候群(根神経炎の一種)を引き起こす恐れがあるとしている。 ファイザーやFDA(食品医薬品局)は「mRNAワクチン」に関する文書の情報公開法による公表を75年後まで引き伸ばそうとしていたが、裁判所はその要請を拒否、明らかにされつつある。 長年医薬品業界で研究開発に関わってきたサーシャ・ラティポワによると、そうした文書の分析から接種計画はオバマ政権の時代にアメリカの国防総省が始めていることが判明したという。 そこから「COVID-19ワクチン」は「生物兵器」だとも言われているが、その事実を知った上で日本政府が導入を決めたなら、「COVID-19ワクチン」は秘密保護法(特定秘密の保護に関する法律)で守られているのだろうか?
2023.05.27
東アジアでの軍事的な緊張を高めているジョー・バイデン政権から中国問題の中心人物が離れようとしていることに注目する人がいる。ウェンディ・シャーマン国務副長官が今年の夏に退任すると伝えられているが、それにとどまらずNSC(国家安全保障会議)で中国担当シニアディレクターを務めてきたローラ・ローゼンバーガー、そして国務副次官補として中国と台湾の問題を担当するリック・ウォーターズも退任するようだ。 バイデン政権における軍事戦略の責任者はジェイク・サリバン国家安全保障補佐官だろう。つまりサリバンの立てた戦略が失敗、アメリカの支配システム崩壊を早めているだけでなく、彼自身の立場も危うくしている。 第2次世界大戦後、アメリカでは金融資本と結びついたシオニスト、つまり米英の帝国主義者が国際戦略を動かしてきた。ネオコンもその中から現れたと言える。ウィンストン・チャーチルが「最初のネオコン」と呼ばれる一因はそこにあるのだろう。 ウクライナを戦乱の中へ投げ込んだものネオコンだ。2010年の大統領選挙で東部や南部を支持基盤にするビクトル・ヤヌコビッチが当選、それを嫌ったアメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月にクーデターを始動させ、14年2月にヤヌコビッチ大統領の排除に成功した。ウクライナの東部や南部では7割以上がロシア語を話し、東方正教会の信徒が多く、ヨーロッパ志向の強い西部とは違う。西部は歴史的にナチズムとの関係も深い。 年が明けるとネオ・ナチが前面に出て暴力的な様相を強め、そのメンバーはチェーン、ナイフ、棍棒を手に石や火炎瓶を投げ、トラクターやトラックを持ち出してくる。ピストルやライフルを撃っている様子を撮影した映像がインターネット上に流れた。 そうした展開の中、EUは混乱を話し合いで解決しようとしたが、これに怒ったのがアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補。ウクライナ駐在アメリカ大使のジェオフリー・パイアットに対し、電話で「EUなんかくそくらえ」と口にしている。 ヌランドは副大統領だったジョー・バイデンや彼の国家安全保障補佐官を務めていたサリバンと連絡をとりあっていた。この3名がウクライナにおけるクーデター工作の中核グループだったということだ。このグループは現政権でも健在。そこにアントニー・ブリンケン国務長官が加わっている。 ユーロマイダンでは2月中旬から無差別の狙撃が始まり、抗議活動の参加者も警官隊も狙われた。西側ではこの狙撃はヤヌコビッチ政権が実行したと宣伝されたが、2月25日にキエフ入りして事態を調べたエストニアのウルマス・パエト外相はその翌日、逆のことを報告している。バイデン政権を後ろ盾とするネオ・ナチが周辺国の兵士の協力を得て実行したということだ。 ヤヌコビッチを支持していた東部や南部では反クーデターの機運が高まり、クーデターから間もない3月16日にはクリミアでロシアへの加盟の是非を問う住民投票が実施されて95%以上が賛成(投票率は80%以上)する。オデッサでは反クーデター派の住民をネオ・ナチが虐殺、東部のドンバスでは内戦が始まった。 バイデン、ヌランド、サリバン、ブリンケンを含むネオコンのグループ、その背後にいる金融資本はバイデン政権誕生の直後に「ルビコン」を渡った。撤退は許されないのだが、彼らはロシアや中国を簡単に倒せると信じていたようだ。西側の有力メディアはその前提でストーリーを組み立てていたのだが、現実は違った。見通しの間違いを取り繕うために嘘をついてきたが、それも限界に達している。 軍事的に重要な場所だということもあり、ウクライナ軍とロシア軍はバフムート(アルチョモフスク)で数カ月に渡り、激しい戦闘を繰り広げてきた。ロシア側は傭兵会社とされるワグナー・グループの部隊が戦ってきたが、その会社を率いるエフゲニー・プリゴジンは5月20日、バフムートの「解放」を宣言、25日から部隊を撤退させると発表した。 その際、プリゴジンはセルゲイ・スロビキン上級大将とミハイル・ミジンチェフ上級大将に謝意を表している。スロビキンは昨年10月、ドンバス、ヘルソン、ザポリージャの統合司令官に任命された軍人であり、ミジンチェフはネオ・ナチのアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊やアゾフ連隊とも言われる)が占領していたマリウポリの解放作戦を指揮していた。 そこで、反クーデター派の住民を人質にし、暴行を働き、虐殺していたネオ・ナチを支持してきた人びとにミジンチェフは嫌われている。5月4日からワグナー・グループの副司令官に就任しているが、実際の司令官はミジンチェフだったのではないかという見方もある。 バフムートでアメリカ/NATOが操るウクライナ軍がロシア軍に敗北したわけだが、これはウクライナ全体の戦闘でもアメリカ/NATOが敗れたことを意味する。 すでにイギリスが提供した巡航ミサイル「ストーム・シャドー」による攻撃を開始しているが、撃墜されているようだ。被害が聞こえてこない。バイデン政権はウクライナに対するF-16戦闘機の供給を容認したが、5月21日のインタビューでサリバンはクリミアに対する攻撃を容認する発言をし、ロシア側の反発を招いた。 5月25日にはアメリカ/NATOがウクライナへ供給した3隻の無人艇が天然ガスをハンガリーやトルコへ運んでいる「トルコ・ストリーム」を警備していたロシアの艦船を攻撃、1隻の無人艇が衝突したようだが、爆発しなかったようだ。 この攻撃を実行するためにはロシアの艦船がどこにいるかをリアルタイムで知る必要がある。その情報をウクライナへ提供してたとみられているのがアメリカのドローン「RQ-4(グローバルホーク)」。攻撃当時、近くを飛行していた。同じ頃、バルト海ではアメリカのB-1爆撃機2機がロシア領空付近を飛行し、ロシア戦闘機に迎撃されている。 昨年9月26日から27日にかけての間に天然ガスを運ぶ2本のパイプライン「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」が破壊され、天然ガスが流出した。ロシアとドイツがバルト海に建設したものだ。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュはアメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りて実行したと書いている。彼によると、アメリカのバイデン大統領は2021年後半にサリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成した。その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加している。12月にはどのような工作を実行するか話し合い、2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申したという。 こうした中、注目されているのがNATOの軍事演習「エア・ディフェンダー23」。6月12日から23日まで実施されるNATO史上最大の空軍展開演習で、25カ国から最大1万人が参加、派遣される航空機は220機に達するという。敗北を容認できなネオコンが正気だとは思わない方が良い。
2023.05.26
東京琉球館で6月16日午後7時から「崩れ始めたアメリカ帝国」というテーマで話す予定です。予約受付は6月1日午前9時からとのことですので、興味のある方はEメールで連絡してください。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8Eメール:dotouch2009@ybb.ne.jp アメリカを中心とする支配システムが崩れ始めていますが、その速度が増しているようです。ネオコンは「力技」で崩壊を止めようとしていますが、逆効果でした。 5月19日にサウジアラビアのジッダで開かれたアラブ連盟の首脳会議にシリアのバシャール・アル・アサド大統領が参加、歓迎されました。これは1980年代からネオコンが進めていた中東戦略の破綻を象徴する出来事です。ネオコンはイラクのサダム・フセイン政権を倒して新イスラエル体制を築き、シリアとイランを分断して個別撃破するというプランでした。 このプランを実現するためにアメリカはイスラエルやサウジアラビアと連携していたのですが、2015年9月にシリア政府の要請で軍事介入したロシア軍が世界に強さを示し、16年のアメリカ大統領選挙でネオコンに支えられたヒラリー・クリントンが敗れて流れが変わります。 アメリカ大統領選挙の結果はサウジアラビアの権力バランスを揺るがすことになり、2017年10月5日にはサルマン・ビン・アブドル・アジズ国王がロシアを訪問、ロシアの防空システムS-400を含む兵器/武器の購入を持ちかけます。これはアメリカ政府の圧力で実現しませんでしたが、これは始まりにすぎなかったと言えるでしょう。 その後、サウジアラビアとイランはイラクを仲介役として関係修復に乗り出します。これを嫌ったアメリカはバグダッド国際空港でイランのメッセンジャーを暗殺しました。イスラム革命防衛隊の特殊部隊とも言われているコッズ軍を指揮してきたガーセム・ソレイマーニーがPMU(人民動員軍)のアブ・マフディ・ムハンディ副司令官と一緒に殺されたのです。 アメリカは脅しのつもりだったのでしょうが、その後の展開を見ると効果はなかったようです。アメリカが圧倒的に強いと考えればサウジアラビアも従ったでしょうが、シリアにおけるロシア軍、そしてロシア製兵器の性能が高いことを知り、アメリカを恐れなくなったように見えます。イエメンでの戦争では、アメリカ製兵器の性能が言われるほど高くないことをサウジアラビアも知ったはずです。 シリア大統領が参加したアラブ連盟の首脳会議にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も出席しましたが、相手にされませんでした。 5月19日には広島でG7の首脳会談も開幕、ここではゼレンスキー大統領を歓迎しています。アメリカのジョー・バイデン大統領、イギリスのリシ・スナク首相、カナダのジャスティン・トルドー首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのオラフ・ショルツ首相、イタリアのジョルジャ・メローニ首相、日本の岸田文雄首相、そしてシャルル・ミシェル欧州理事会議長、ウルズラ・ライエン欧州委員会委員長が参加しました。 G7の期間中の5月20日、ワグナー・グループを率いるエフゲニー・プリゴジンはバフムート(アルチョモフスク)の「解放」を宣言、25日から部隊を撤退させると発表しました。その際、セルゲイ・スロビキン上級大将とミハイル・ミジンチェフ上級大将に謝意を表しています。 スロビキンは昨年10月、ドンバス、ヘルソン、ザポリージャの統合司令官に任命された軍人。第2次チェチェン戦争を経験した後にシリアで司令官を務め、アル・カイダ系の武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)などを敗走させています。 ミジンチェフはマリウポリの解放作戦を指揮したことで知られています。マリウポリはネオ・ナチのアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊やアゾフ連隊とも言われる)が占領、拠点にしていました。その地域は要塞化され、住民は人質にされていました。ネオ・ナチの占領政策は解放された住民が異口同音に批判していました。 ロシア軍を批判しているような印象を抱くよう住民の証言を「編集」したケースもありますが、西側の有力メディアは基本的に無視してきました。アメリカやその従属国ではこうした情報操作が有効だったようですが、世界的に見るとそうではありませんでした。 イギリスは戦車とセットで核兵器の一種である劣化ウラン弾をウクライナへ供給、キエフ政権はF-16戦闘機も欲しがっているようですが、この戦闘機は旧世代。空飛ぶダンプカーとも呼ばれているF-35との空中戦では圧勝したようですが、ロシア軍機との戦闘では見劣りします。 おそらくネオコンはシリアやウクライナで楽勝できると信じていたようですが、実態は違います。アメリカの弱さを宣伝することになり、アメリカ帝国が崩壊するスピードを速めています。 そうした崩壊を止め、新たな支配システムを築こうと必死です。アメリカの支配層はコントロール下にある西側の有力メディアを利用した心理操作で人びとを操り、WHOを含む医療利権システムを使って各国政府を支配し、遺伝子レベルで人類をコントロールしようとしています。 アメリカ帝国は崩壊するのか、帝国の逆襲があるのかを考えてみたいと思います。
2023.05.26
F-16を含む第4世代戦闘機を操縦するための訓練にアメリカも参加するのだという。アメリカで国家安全保障担当大統領補佐官を務めるジェイク・サリバンは、ジョー・バイデン大統領が5月19日に開催されたG7首脳会議でこの決定を「G7諸国に伝えた」と述べている。ウクライナのパイロットに対するF-16の操縦訓練をアメリカ政府はEUに許可し、ポーランドなどではすでに訓練が始まっているので、驚きではない。 2015年1月、F-16はカリフォルニア州のエドワード空軍基地近くでF-35と模擬空中戦を実施、完勝したと言われている。ステルスの最新鋭機だと宣伝されているが、「空飛ぶダンプカー」と呼ばれるほど運動性能は良くない。S-200で損傷を受けたという情報もあり、F-35はステルス性能にも疑問がある。 そこでF-35よりはマシだと言われているF-16だが、運用が始まったのは1978年。その後、改良されたとはいうものの、古さは否めない。航続距離だけを考えるとクリミアを攻撃することも可能だが、ロシア軍の最新鋭機、あるいはS-300やS-400のような防空システムに撃ち落とされる可能性が高い。 ロシア軍は5月9日に続いて16日にウクライナの軍事施設をミサイルで攻撃した。その際、キエフに配備されていた「パトリオット防空システム」でロシアの極超音速ミサイル「キンジャール」を破壊したとウクライナ政府は主張しているが、これはありえないと考えられている。これまでもウクライナ政府はあからさまな嘘をつき続けてきたわけで、これも嘘だと考えるべきだろう。 こうした宣伝を行なっている理由のひとつはバフムート(アルチョモフスク)の戦況にありそうだ。ここは「ドネツクへの鍵」と呼ばれ、輸送にとって重要な場所。しかもキエフ側にとって防衛線の要であり、ドネツクは水源の管理を強化できるという。そうした場所だからこそ、長期にわたって激しい戦闘が続いたのだ。 アメリカ/NATOはキエフ政権の軍事力強化の一環として、ドンバス周辺に要塞を築いていた。そうした相手を攻める場合、3倍の兵力が必要だとされているが、攻撃側のワグナー・グループの兵力は3万2000人、それに対してウクライナ軍は12万人だと言われている。軍事的な常識が崩れた。空からの攻撃が効果的だったのかもしれない。
2023.05.25
オーストラリアの労働党は原子力潜水艦を環境保護の法的規制の対象外にするため、「国防法改訂法案」を議会に提出したという。原子力発電所は1998年に制定された「オーストラリア放射線防護および原子力安全法」と1999年に制定された「環境保護および生物多様性保全法」の規制を受けているが、その規制から原潜を外すということだ。 この法案はオーストラリアがアメリカやイギリスと創設した軍事同盟AUKUSと関係している。2021年9月に創設が発表された際、アメリカとイギリスはオーストラリアに原潜の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられ、ジョー・バイデン米大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると語っている。その潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上、アメリカ海軍の潜水艦になるという。 この計画は日本とも関係している。山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明しているのだ。 アメリカ、イギリス、オーストラリアはアングロ・サクソン系の国だが、日本は明治維新以来、アメリカやイギリスの金融資本から強い影響を受けてきた。アメリカは2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ編成替えしたが、この新体制でも日本の軍事的な役割は重要だとされている。 アメリカ、イギリス、オーストラリアに日本とインドを加えた5カ国で「クワド」と呼ばれる軍事同盟が作られているが、インドは腰が引けていて、ロシア製の防空システムS-400の購入を諦めていない。 中東ほど劇的な形ではないが、東アジアでもアメリカから自立する動きがある。台湾、韓国、フィリピンの現政権はアメリカへ擦り寄っているが、日本ほど盤石ではない。そこでNATOが乗り出そうとしている。 NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言した。2024年中に連絡事務所をNATOは連絡事務所を東京に設置するという。 1949年4月にアメリカとカナダの北米2カ国、そしてイギリス、フランス、イタリア、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベルギー、オランダ、そしてルクセンブルクの欧州10カ国で創設されたNATOはソ連軍の侵攻に備えるとしていた。 しかし、この主張には説得力がない。ソ連はドイツとの戦争で2000万人とも3000万人とも言われる国民が殺され、工業地帯の3分の2を含む全国土の3分の1が破壊され、惨憺たる状態で、西ヨーロッパに攻め込む余力があったとは思えない。結局、ソ連はこの痛手から立ち直ることができなかった。 NATOの初代事務総長でウィンストン・チャーチルの側近だったヘイスティング・ライオネル・イスメイはNATOを創設した目的について、ソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえ込むことのあると公言している。アメリカがヨーロッパを支配するための仕掛けとして設立されたと考えるべきだろう。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、第2次世界大戦のヨーロッパ戦線は1942年8月から43年2月にかけて行われたスターリングラードの戦いで事実上、勝敗は決していた。アドルフ・ヒトラーの命令でドイツ軍は戦力の4分の3をソ連との戦いに投入、その部隊が降伏したのだ。 それを見て慌てたイギリスとアメリカの支配層は1943年5月にワシントンDCで会談、7月にシチリア島上陸作戦を敢行した。その際、レジスタンスの主力だったコミュニストを抑え込むため、アメリカ軍はマフィアの協力を得ている。ノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月だ。 その頃になるとアメリカの戦時情報機関OSSのフランク・ウィズナーを介してアレン・ダレスのグループがドイツ軍の情報将校、ラインハルト・ゲーレン准将(ドイツ陸軍参謀本部第12課の課長)らと接触している。ソ連に関する情報を持っていたゲーレンをダレスたちは同志と見なすようになり、大戦後には彼を中心に情報機関が編成された。BND(連邦情報局)だ。 スターリングラードでドイツ軍が降伏した後、アメリカやイギリスはナチスと接触して善後策を協議。サンライズ作戦である。その後、アメリカの軍や情報機関はナチスの幹部や協力者を逃走させたり、保護したり、雇用する。ラットライン、ブラッドストーン作戦、ペーパークリップ作戦などという暗号名が付けられている。 その一方、ソ連やレジスタンスに対抗するための手を打っている。そのひとつがシチリア島上陸作戦だが、もうひとつはゲリラ戦部隊ジェドバラの創設。1944年のことである。この部隊を組織したのはイギリスとアメリカの特殊部隊。つまりイギリスのSOEとアメリカのSO(OSSの一部門)だ。 アメリカの大統領だったフランクリン・ルーズベルトはファシズムや植民地に反対、ソ連を敵視、植民地の維持を望んでいたイギリスのウィンストン・チャーチルとは関係が良くなかった。ルーズベルト政権が始まった1933年から34年にかけての時期、アメリカの金融資本はクーデターを計画している。ファシズム体制を樹立しようとしていることを金融資本側は隠していない。このクーデターを阻止したのが海兵隊の退役少将だったスメドリー・バトラーだ。 アメリカの金融資本(ウォール街)を生み出したのはイギリスの金融資本(シティ)であり、チャーチルはシティにつながっている。米英の金融資本がナチスと手を組み、ソ連やコミュニストを敵視していたことはジャーナリストや研究者によって明らかにされてきた。 例えば、アメリカのブラウン・ブラザース・ハリマンやディロン・リードといった金融機関はナチスとの関係が強かった。ブラウン・ブラザース・ハリマンの重役の中にはW・アベレル・ハリマンやプレスコット・ブッシュも含まれ、ハリマンとブッシュはドイツ企業との手形交換業務を行う名目で「ユニオン・バンキング(UBC)」を設立、ナチスへの重要な資金ルートになる。スイスで設立されたBIS(国際決済銀行)や第2次世界大戦が勃発する半年ほど前にドイツへ約2000トンの金塊を渡したと言われているイギリスのイングランド銀行もナチスとの関係が指摘されている。 アメリカでは政府の内部にもファシストの巣窟が存在していた。国務省だ。反ファシストのルーズベルトは大統領として国際会議に出席する場合、国務省の高官を同行させていない。基本的に同行したのは軍人で、文民は個人的にルーズベルトが信頼していたハリー・ホプキンスだけだったという。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) アメリカの国務省には「リガ・グループ」とも呼ばれる反コミュニスト、反ソ連の一派がロシア革命の直後から存在していた。ラトビアのリガ、ドイツのベルリン、そしてポーランドのワルシャワの領事館へ赴任していた外交官たちがその中心で、メンバーの中には「封じ込め政策」で有名なジョージ・ケナンや駐日大使を務めたJPモルガン人脈のジョセフ・グルーも含まれていた。そのケナンより反ロシア感情が強く、好戦的なグループがネオコンにほかならない。 ルーズベルト大統領は大戦が終わってから金融資本とファシストとの関係を明らかにする意向だったと言われているが、1945年4月に休止してしまう。ドイツが降伏したおはその翌月。その直後にチャーチルはソ連を奇襲攻撃するための軍事作戦を作成させた。「アンシンカブル作戦」である。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000など) その作戦では、1945年7月1日にアメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始めることになっていたが、イギリスの参謀本部は拒否し、実行されなかったという。 この作戦が葬り去られる別の理由もあった。1945年7月16日、アメリカのニューメキシコ州にあったトリニティ実験場でプルトニウム原爆の爆発実験が行われ、成功したのだ。ハリー・トルーマン大統領の意向でポツダム会談が始まる前日に実行されたという。 その実験成功を受けてトルーマン大統領は原子爆弾の投下を7月24日に許可。26日にアメリカ、イギリス、中国はポツダム宣言を発表、8月6日に広島へウラン型爆弾を投下、その3日後には長崎へプルトニウム型爆弾が落とされている。これ以降、チャーチルやアメリカの好戦派はソ連や中国への核攻撃計画を作成する。核兵器に反対することに問題はないが、ソ連が核兵器を保有しなければアメリカやイギリスが核戦争を始めたことを無視するべきではない。 AUKUSの創設が発表された際、オーストラリアの原子力潜水艦保有計画も明らかにされた。敵国の潜水艦を攻撃することな任務になるようで、核戦争を想定している。しかも建造、維持・運用をアメリカに依存することになっているので、アメリカの核戦略の一部になる。必然的にオーストラリアはアメリカが進めている中国やロシアとの戦争に巻き込まれてしまう。 かつてオーストラリアの労働党は自主独立の政策を進めようとしていた。1972年12月の総選挙で労働党が勝利、ゴフ・ホイットラムが首相に就任、自国の対外情報機関ASISに対し、CIAとの協力関係を断つように命令する。イギリスのジャーナリスト、デイビッド・レイによると、ウイットラムはチリにおける軍事クーデターに関する情報を入手、そこでASISがCIAのサルバドール・アジェンデ政権崩壊工作に協力していたことを知っていた。(David Leigh, "The Wilson Plot," Pantheon, 1988) また、オーストラリアのパイン・ギャップにはCIAの通信傍受施設があるのだが、その使用期限が迫っていた。この施設は1966年12月に結ばれた秘密協定に基づいて建設されたもので、協定の有効期限は10年。1976年までに更新しないと基地を閉鎖しなければならない。ホイットラムが更新を拒否することをアメリカ側は懸念していた。 そこでCIAは1975年11月、イギリス女王エリザベス2世の総督であるジョン・カー卿を動かしてホイットラム首相を解任した。実際に動いたのはアメリカのCIAやイギリスのMI6だが、総督がいなければ解任できなかった。総督は名誉職だと考えられていたが、そうではなかったのである。 アメリカのジャーナリスト、ジョナサン・ウイットニーによるとカーは第2次世界大戦中の1944年、オーストラリア政府の命令でアメリカへ派遣されてCIAの前身であるOSS(戦略事務局)と一緒に仕事をしている。大戦後もCIAと深い関係にあった。(Jonathan Kwitny, "The Crimes of Patriots," Norton, 1987) アメリカとイギリスを中心とする情報機関のつながりがある。アングロ・サクソン系のカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの機関がその配下にある。事実上、米英金融資本がそうした国々を監視、管理するためのネットワークだ。すでにアメリカや韓国は米英の影響下にあるが、それをNATO2030で強化しようとしているのだろう。
2023.05.25
ウクライナでの戦いでロシアに敗れたアメリカ/NATOは東アジアへの「転進」を図っている。台湾で軍事的な緊張を高めているが、戦闘員として想定しているのは日本と韓国のようだ。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が昨年に発表したレポートによると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしている。 しかし、その時点でミサイルの配備を容認しそうな国は日本だけだった。しかも日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約がある。そこで、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成された。 陸上自衛隊は2019年に宮古島と奄美大島で軍事施設を建設、16年には与那国島、そして今年3月16日には石垣島でも自衛隊の施設を完成させた。これらにミサイルを配備することになるが、その目標は中国にほかならない。日本では抵抗らしい抵抗がないまま中国やロシアをミサイル攻撃する準備が進められていると考えねばならない。それがアメリカの戦略なのだ。 そのアメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけての時期にネオ・ナチを利用し、ウクライナでクーデターを行った。ビクトル・ヤヌコビッチ政権が倒され、ネオ・ナチ体制が樹立されたのである。ヤヌコビッチはウクライナの東部や南部を支持基盤にしていたが、その東部や南部の住民は7割以上がロシア語を話し、東方正教会の影響を強く受けている。この地域はソ連時代にロシアからウクライナへ住民の意向を無視して割譲されたのだ。 南部のオデッサではネオ・ナチが反クーデター派の住民を虐殺、占領したものの、クリミアはいち早くロシアと一体化、東部のドンバスでは内戦が始まる。 内戦が始まった当時、ウクライナの軍や治安機関にもネオ・ナチ体制に反発するメンバーが存在、ドンバスの反クーデター軍へ合流したと言われている。そうしたこともあり、ドンバスでの戦闘は反クーデター軍が優勢だった。 そうした中、ドイツやフランスが仲介するかたちで2014年9月に停戦で合意して調印されたものの、停戦は実現しない。そこで新たに話し合いが行われ、2015年2月に新しい議定書が作成され、署名された。これがミンスク2だ。 しかし、この停戦合意はクーデター体制の戦力を増強するための時間稼ぎに過ぎなかったことをアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。メルケルは昨年12月7日にツァイトのインタビューで認め、その直後にオランドはメルケルの発言を事実だと語っている。 アメリカやイギリスが戦闘の継続を望んでいることは明らかだったのでドイツやフランスが前面に出てきたのだろうが、その両国もアメリカやイギリスと同じようにロシアに対する戦争を意図していた。停戦が実現しなかった責任はアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスという欧米主要国にあった。 それから8年、アメリカ/NATOはクーデター体制の軍事力を増強する。戦闘員を育成、訓練し、武器弾薬を供給、ソレダルでは岩塩の採掘場を利用して全長200キロメートルという「地下要塞」が築かれた。同じようの要塞はドンバスの周辺に広がっているようだ。 昨年初頭になるとドンバスの周辺にウクライナ軍が集結、大規模な攻勢が近いと言われた。2月24日にロシア軍がミサイル攻撃を始めるが、その直前にウクライナ軍はドンバスへの砲撃を激化させていた。 ロシア軍は軍事作戦を開始してからウクライナ側の機密文書を回収しているが、その中にドンバス攻撃に関するものがあった。2月中に攻撃の準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたようだ。 ドンバス周辺に集まっていたウクライナ軍はロシア軍の攻撃で大きな打撃を受け、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はウラジミル・プーチン大統領と停戦交渉を始める。その仲介役はイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットだ。 ベネットによると、双方は妥協に応じて停戦は実現しそうだった。3月5日にベネットはモスクワでウラジミル・プーチン露大統領と数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけた。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。 ところが、その3月5日にゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフをウクライナの治安機関SBUのメンバーが射殺してしまう。クーデター直後からSBUはCIAの下部機関化しているので、アメリカ政府が殺したと言えるだろう。ジョー・バイデン政権はウクライナでの停戦を許さない姿勢を示した。 西側有力メディアの流す物語から考えて、バイデン政権は簡単にロシアを倒せると思い込んでいたのだろう。EUや日本もその話を信じていたと推測できるが、現実はその物語と違う展開になる。 ネオコンの上院議員だった故ジョン・マケインは生前、ロシアについて「国を装ったガソリンスタンド」だと表現していた。フロリダ州知事のロン・デサンティスは2023年3月の段階になっても「核兵器の束を持つガソリンスタンド」と呼んでいる。幼児がよく口にする悪口と同じレベルだ。その悪口で現実に対する恐怖を誤魔化そうとしているのかもしれない。 しかし、アメリカやその従属国以外は現実を見ている。アメリカを中心とするシステムが敗北しつつあることを理解している。アメリカの「強固な同盟国」だったはずのサウジアラビアがアメリカから離れてロシアやイランに接近しているのもその一例だ。アメリカ中心のシステムから抜けられない人びとが幻影に救いを求める。 平和が訪れると人びとには考える余裕ができ、幻影から抜け出してしまう人が増えるだろう。そうならないためにも戦争を続ける必要があるだろう。東アジア情勢は危険だ。その危険な状態を理解している日本人が多いとは思えない。
2023.05.24
アメリカのノースウェスタン大学で行われた研究の結果、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」に感染したとされて人工呼吸器を装着され、死亡したとされた人の大半の死因は細菌性肺炎であり、ウイルスが原因ではないことがわかったという。 WHO(世界保健機関)は2020年1月30日に緊急事態を、3月11日にパンデミックをそれぞれ宣言した。2020年4月になるとWHOやアメリカのCDC(疾病予防管理センター)は、医学的な矛盾がなく、明白な別の死因がないならば、あるいは適度な確かさがあるならば、COVID-19を死因としてかまわないと通達した。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員はその年の4月8日にFOXニュースの番組に出て、病院では死人が出ると検査をしないまま死亡診断書に新型コロナウイルスと書き込んでいると話している。COVID-19に感染している場合、病院が受け取れる金額が多くなるからで、人工呼吸器をつけるとその額は3倍になるという。そこで必要がないにもかかわらず人工呼吸器を装着するケースが少なくなかったようだ。人工呼吸器が死因になっているとするならば、患者を死なせる政策を打ち出していたことになる。 パンデミック宣言を正当化するためには「感染者」を大きく見せる必要もある。そこで利用されたのがPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査にほかならない。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術だが、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、ウイルス自体を見つけることはできない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性も増える。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。ちなみに、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だ。 Ct値をこうした数値に設定したならPCR検査は無意味だが、結果だけは出るので人びとを騙す材料には使える。PCRを開発、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスもPCRをウイルスの検査に使ってはならないと語っていた。 PCRを診断に使う危険性をアメリカの有力紙も指摘している。例えばニューヨーク・タイムズ紙は2007年1月に掲載した記事で、PCRのような高感度の簡易検査は、伝染病が蔓延していると誤って判断させる原因になりうると警鐘を鳴らしている。 同紙によると、ニューハンプシャー州にあるダートマース・ヒッチコック医療センターで2006年4月にあった出来事がその一例。ひとりの医師が2週間ほど咳き込み、他の医療関係者も咳をするようになったことから百日咳が疑われる。そこで医療センターで働く1000名近くが簡易検査を受け、勤務から外され、そのうち142名が感染しているとされた。 数千名がワクチンを接種する事態になったのだが、何人かは本格的な検査の結果、百日咳菌に感染していた人は確認されず、通常の風邪だった可能性が高いことがわかる。騒動が始まってから8カ月後、関係者は伝染病が発生したとする警報はまちがいだったことを知らされた。こうした間違いを引き起こした原因のひとつがPCRのような高感度の簡易検査だと指摘されている。PCRをパンデミックの判断に使うことは危険だとアメリカの有力紙は熟知していたのだ。 そして、COVID-19対策だとして安全性が確認されていない遺伝子操作薬が世界規模で接種された。この新薬はコロナウイルスのスパイク・タンパク質を人間の細胞に製造させ、それによって抗体を作って免疫を高めることになっている。 このスパイク・タンパク質こそが病気の原因だという事実をカリフォルニア州サンディエゴ郊外にあるソーク研究所が2021年3月に発表している。解説記事も出された。 スパイク・タンパク質は血管へ入り込み、血管にダメージを与えて血栓や出血の原因になる。さまざまな臓器に炎症を引き起こすが、脳へも侵入。神経系の症状が出るのもそのためだと見えられている。脳に蓄積されたスパイク・タンパク質はパーキンソン病、アルツハイマー病、痴呆症などの原因になるとも指摘されている。 抗体には感染を防ぐ「中和抗体」と感染を防がない「結合(非中和)抗体」があり、結合抗体はウイルスを免疫細胞へ侵入させて免疫の機能を混乱させ、ADE(抗体依存性感染増強)を引き起こすと考えられている。 当初の宣伝とは違い、細胞がスパイク・タンパク質を作り続ける期間は1カ月以上に及ぶことがわかっている。その間、人間の免疫システムは自分の細胞を攻撃することになる。自己免疫疾患を引き起こすのだが、その一方で免疫力を低下させてエイズ状態を作り出す。LNP(脂質ナノ粒子)やグラフェン誘導体によっても人体に害を及ぼし、最近ではDNAの混入が発覚した。ファイザー製の製品に含まれていたDNAには発癌性ウイルスであるSV(シミアン・ウイルス)40の塩基配列の一部が入っていることがわかったという。それがゲノムの中に入ってしまうという。 これはサルを宿主とするポリオーマウイルスで、人間の体内に入り込むと癌を誘発する。1950年代にポリオ・ワクチンが開発された際、それを投与したサルがポリオを発症することが判明、バーニス・エディという研究者はワクチンの中にSV40が混入していることにも気づく。彼女は講演会でこのウイルスが人間の体内に入り込むと癌を誘発すると話している。 エディはNIH(国立衛生研究所)に所属していた研究者だが、その発言にNIHの上司は激怒、組織の幹部は警告を封印し、医薬品メーカーはワクチンの製造を続ける。1961年7月に製造は止まってリコールが宣言されたものの、NIHは市場へ出回っている製品の回収を命じなかった。そこでアメリカ人は発癌性のワクチンを1961年から63年にかけて接種されることになる。その後、SV40が原因だと推測される病気が増えていった。
2023.05.23
アラブ連盟の首脳会議が5月19日にサウジアラビアのジッダで開かれた。22カ国が参加、ウクライナもゲストとして参加しているのだが、最も注目されたのはシリアの復帰だ。 シリアが参加できなくなったのは2011年。中東の完全支配を目論んでいたアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3国同盟のほか、フランスとイギリスのサイクス-ピコ協定コンビ、パイプラインの建設でシリアと対立したカタール、オスマントルコの復活を目論んでいたと言われるトルコなどがムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を使い、この年の3月からシリアに対する軍事侵略を始めたのだ。 当時のアメリカ大統領はバラク・オバマ。彼も大多数のアメリカ大統領と同じように、国際問題についてはネオコンの戦略に従っていた。ネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセイン政権を倒して新イスラエル体制を築き、シリアとイランを分断しようとしていた。 当時、アメリカの支配層内にはフセイン政権をペルシャ湾岸の産油国を守る防波堤と位置付ける勢力が存在、ネオコンと対立する。その勢力にはジョージ・H・W・ブッシュも含まれていた。この当時、イラン・コントラ事件やイラクゲート事件が浮上したが、その理由は支配層内部の対立にあった。ネオコンが実権を握ったのは2001年9月11日以降である。 ジョージ・H・W・ブッシュの息子、ジョージ・W・ブッシュはネオコンに担がれていた人物で、2003年3月にイラクを先制攻撃してフセイン政権を倒したが、新イスラエル体制を築くことには失敗した。 そこでブッシュ・ジュニア政権は戦術を変更する。フセインの残党を含むスンニ派の戦闘集団を編成し、手先として使い始めたのだ。シーモア・ハーシュが2007年3月にニューヨーカー誌で書いた記事によると、ブッシュ政権はイスラエルやサウジアラビアと手を組み、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを叩き潰そうと考えた。そこでアル・カイダ系の武装集団、あるいはダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)が生み出されるわけである。 これはズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代に始めた戦術。2009年にアメリカ大統領となったオバマの師はそのブレジンスキーだ。オバマ政権は2011年3月からアル・カイダ系の武装集団を傭兵として使ってシリアに対する侵略戦争をはじめたのである。なお、その前月にはリビアに対しても同じように侵略戦争を開始した。 オバマ政権は公然とアル・カイダ系武装集団を支援。それに対し、マイケル・フリンが局長を務めていたDIA(国防情報局)は2012年8月、オバマ政権が支援している武装勢力の主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘、シリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。 その警告が2014年にダーイッシュという形で現実になるとオバマ政権ないで対立が激しくなったようで、フリンは2014年8月に退役を強いられている。 しかし、シリア軍は潰れない。そこでリビアと同じようにアメリカ/NATO軍を投入しようと考えたようで、2015年2月に国防長官をチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、9月には統合参謀本部議長をマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させる。 ヘーゲル国防長官やデンプシー統合参謀本部議長は上院軍事委員会で直接的な軍事介入に慎重な姿勢を示し、好戦派のヒラリー・クリントン国務長官らと対立していた。 デンプシーが退任した数日後にロシア軍がシリア政府の要請で介入、ダーイッシュを含むアル・カイダ系武装集団を敗走させた。軍事介入した直後にロシア軍はカスピ海に浮かべた艦船から26基の巡航ミサイルを発射、全てのミサイルが約1500キロメートル離れた場所にあるターゲットに2.5メートル以内の誤差で命中したとされている。保有する兵器の優秀さを世界に示したのだ。 ドナルド・トランプは大統領に就任して間もない2017年4月、地中海に配備されていたアメリカ海軍の2隻の駆逐艦、ポーターとロスから巡航ミサイル(トマホーク)59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したものの、6割が無力化されてしまう。ロシア軍の防空システムはアメリカ軍より優秀だということだ。 そのためか、2017年10月5日にサウジアラビアのサルマン・ビン・アブドル・アジズ国王はロシアを訪問、ロシアの防空システムS-400を含む兵器/武器の購入を持ちかけたようだ。これはアメリカ政府の圧力で実現しなかったが、これは始まりにすぎなかった。 トランプ大統領は翌年、リベンジを図る。2018年4月にイギリスやフランスを巻き込み、100機以上の巡航ミサイルをシリアに対して発射したのだ。ところが今度は7割が無力化されてしまう。前年には配備されていなかった短距離用の防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったと言われている。 シリアでの戦闘で世界はロシア軍の強さを認識したが、それはウクライナでの戦闘でも再確認されている。各国政府は西側有力メディアの宣伝に騙されない。 今年3月10日、中国、サウジアラビア、イランは共同声明を発表、中国の仲介でサウジアラビアとイランが国交を正常化させ、それぞれ大使館を再開させることを明らかにした。そしてシリアがアラブ連盟首脳会議へ復帰した。中東はひとつにまとまり、アメリカ離れを始めた。 アメリカ/NATOがウクライナへ供給した武器弾薬の相当部分は闇市場を通じて中東へ流れていると言われている。イスラム世界がまとまらないよう戦乱を引き起こそうとしているのかもしれない。 ウクライナにしろ中東にしろ東アジアにしろ、アメリカは戦争を引き起こそうとしている。そのアメリカに従属している国が「平和国家」であるはずがない。
2023.05.22
ワグナー・グループを率いるエフゲニー・プリゴジンは5月20日、バフムート(アルチョモフスク)の「解放」を宣言、25日から部隊を撤退させると発表した。その際、セルゲイ・スロビキン上級大将とミハイル・ミジンチェフ上級大将に謝意を表している。 スロビキンは昨年10月、ドンバス、ヘルソン、ザポリージャの統合司令官に任命された軍人。第2次チェチェン戦争を経験した後にシリアで司令官を務め、アル・カイダ系の武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)などを敗走させた。 バフムートの前、ワグナー・グループは岩塩の採掘場を利用した全長200キロメートルという「地下要塞」が建設されていたソレダルを制圧している。その直後、ワレリー・ゲラシモフ参謀総長が軍事作戦の統合司令官に就任し、スロビキンは副官になるのだが、指揮の実態に変化はない。その頃、ウクライナでの戦闘はロシア軍対NATO軍という様相を強めていた。 ミジンチェフも有能な指揮官としてしられ、マリウポリを解放した作戦を指揮していた。ここは戦略的に重要で、2014年2月にクーデターでキエフを制圧したネオ・ナチ体制はマリウポリに戦車部隊を突入させ、制圧している。 マリウポリを占領、拠点化していたのはネオ・ナチを主力とするアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊やアゾフ連隊とも言われる)。内務省に所属する親衛隊の中核で、ロシア軍の攻撃を封じるため、住民を人質として使った。 ジョー・バイデン政権はウクライナでロシア軍が「ジェノサイド」を行っていると主張、それを西側の有力メディアは宣伝しているが、解放されたマリウポリ市民は異口同音に親衛隊の残虐行為を告発していた。その様子を撮影した映像がインターネット上に流れている。アメリカの情報機関に従属しているハイテク企業はそうした映像を削除したが、削除しきれていない。世界に人が実態を知ることができたということだ。それを知らないとするなら、情報を西側の支配者に依存していることを意味している。(例えばココやココ) 親衛隊などが住民を人質にして立てこもっていたのアゾフスタル製鉄所からも住民が脱出、そのひとりであるナタリア・ウスマノバの証言をシュピーゲル誌は3分間の映像付きで5月2日に伝えたが、すぐに削除してしまう。彼女は親衛隊の残虐な行為を告発、ロシアへ避難し、戻る場所はドネツクしかないとし、ウクライナを拒否する発言が含まれていたからだ。 シュピーゲルが流したウスマノバの証言映像は西側メディアにとって都合の悪いものだった。シュピーゲル誌はこの映像をロイターから入手したとしているが、その前にロイター自身も彼女の証言映像を流していた。それは約1分間の映像で、彼女がロシア軍を批判しているような印象を受けるように編集されていた。 西側の有力メディアはアメリカ/NATOのプロパガンダ機関として機能しているが、その仕事を妨害してきたのが事実を伝えるジャーナリストだ。ドンバスにもドイツ人ジャーナリストのアリナ・リップ、フランス人ジャーナリストのアン-ローレ・ボンネル、カナダ人ジャーナリストのエバ・バートレット、フランスの有力メディアTF1やRFIのスタッフ、またロシアやイタリア人の記者もいた。ゴンサロ・リラもそうしたジャーナリストに含まれる。アメリカ/NATOはドンバスの現実を伝えるジャーナリストに対する弾圧を強め、ドイツ人ジャーナリストのパトリック・バーブは職を失い、アリナ・リップは銀行口座を接収された。 マリウポリをネオ・ナチの手から解放したミジンチェフに対する西側支配層の憎しみは強いようで、罵詈雑言を浴びせてきた。それほど優秀なロシア軍の将軍がワグナー・グループに入っている。この軍人が本当の指揮官ではないかと考える人もいる。 ワグナー・グループは傭兵会社で、囚人を兵士に使っているというような話も西側では流されているが、ロシア軍の内情に詳しい人物によると、GRU(参謀本部情報総局)やFSB(連邦安全保障局)の指揮下にあるという。 プリゴジンは5月5日、弾薬の不足と多数の死傷者を主張して部隊を撤退させると宣言しているが、ミジンチェフが本当の指揮官だとする推測やGRUやFSBの指揮下にあるという情報が正しいなら、プリゴジンの発言は茶番、あるいは心理作戦だったのだろう。 ウォロディミル・ゼレンスキー政権がウクライナ軍の兵士に死守を命じたバフムートは陥落した。「玉砕」を強いられ兵士は数カ月の戦闘で約6万人が死傷、ロシア軍側はその1割以下だと言われている。 プリゴジン発言の2日前、クレムリンが2機のドローン(無人機)で攻撃された。施設は損害を受けず、死傷者もいなかった。ECM(電子対抗手段)が使われた可能性がある。 ロシアのトリー・ペスコフ大統領報道官は5月4日、攻撃目標を決めたのはアメリカ政府であり、ウクライナ政府は命令を実行しただけだと語っているが、その可能性は高い。 クレムリンに対する攻撃があった5月3日にゼレンスキー大統領はフィンランドを訪問してスウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの首相と会談、4日にはオランダにあるICC(国際刑事裁判所)を訪れているが、13日にはイタリアを訪問、さらにローマ教皇フランシスコと会い、14日にはドイツとフランス、15日にはイギリスを訪れた。 5月19日にゼレンスキーはサウジアラビアがイランやシリアとの関係修復を示すアラブ連盟の首脳会談に乗り込んだものの、相手にされない。ロシアや中国との戦争を意識しているであろうG7首脳会談が19日から広島で始まったが、ここでは歓迎された。アメリカやイギリスの帝国主義者にとってウクライナはロシアを疲弊させ、あわよくば解体させるための生贄だ。 ソ連が消滅した後、ネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと信じ、中国やロシアは簡単に潰せると思った。CFR(外交問題評議会)が発行している定期刊行物、フォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載された論文はそうした心情を表していると言えるだろう。キアー・リーバーとダリル・プレスはその論文の中で、アメリカが近いうちにロシアと中国の長距離核兵器を先制第1撃で破壊する能力を持てるとしている。その幻想の中で生きてきた人々は現実の前で立ちすくんでいる。
2023.05.21
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は5月12日現在で、3万5133名に達した。VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%、あるいは数%にすぎないと言われているので、実数はこの数十倍から100倍程度になるはずだ。 昨年12月の後半から年明け後にかけていくつかの週刊誌が「COVID-19ワクチン」の危険性を取り上げたこともあり、接種数は減少した。厚生労働省は「高齢者や基礎疾患のある人を対象とした」6回目の接種を5月8日に開始したが、介護施設で半強制的に接種しているかもしれないが、人びとが飛びついているようには見えない。 サーシャ・ラティポワの分析によると、問題の「COVID-19ワクチン」の接種計画はバラク・オバマ政権の時代(2009年1月から17年1月)にアメリカの国防総省が始めている。ロシア軍はウクライナでアメリカ国防総省のDTRA(国防脅威削減局)が建設した生物兵器の研究開発施設から文書を回収、COVID-19との関係も疑われるようになった。 ビクトリア・ヌランド国務次官は3月8日、アメリカ上院の外交委員会でウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語り、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないとしている。つまりウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 FDAは当初、「COVID-19ワクチン」に関する文書の公開期限を75年後にしようとしていたが、裁判所からその要請を拒否され、文書は明らかにされつつある。それでもFDAの抵抗は続き、公開を終えるのは約23年半後にしようと目論んだのだが、テキサス州の連邦判事が5月9日、「COVID-19ワクチン」の認可に必要なデータを2025年半ばまでに公開するようFDAに命じた。 その4日前、WHO(世界保健機関)はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)に関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了すると発表、CDCのロシェル・ワレンスキー所長は辞表を提出した。 COVID-19騒動は免疫システムと深く関係している。本ブログでは繰り返し書いてきたが、アメリカの国防総省は1960年代から免疫システムを無力化する研究をしていた。 1969年9月、国防総省国防研究技術局の副局長だったドナルド・マッカーサーはアメリカ下院の歳出委員会で免疫システムを攻撃する病原体に触れ、「著名な生物学者」の話として、人工的に作られた生物学的な因子、自然には存在せず、自然免疫を獲得できない因子を生産することが5年から10年以内に生産できる可能性があると証言しているのだ。その証言から約10年後にエイズが出現した。
2023.05.20
このブログは読者の方々によって支えられています。これまでの支援に感謝すると同時に、今後の支援をお願い申し上げます。 世界は大きな歴史の転換点を通過中です。第2次世界大戦後に始まった「アメリカの時代」が終わりつつあるのですが、アメリカの支配者は新たな時代でも覇権を維持しようともがき、戦乱を世界に広げていると言えるでしょう。 第2次世界大戦でユーラシア大陸は主要な戦場になり、西のヨーロッパから東の中国まで破壊、殺戮、略奪の場になったのですが、アメリカは事実上戦場にならず、兵器ビジネスが成長し、ドイツや日本が占領地で略奪した財宝を手に入れたと考えられています。そして「アメリカの時代」が始まりますが、今、その時代が終焉を迎えようと言えるでしょう。 そうした変化の時代には正確な情報の入手と正しい分析が特に必要です。ところが多くの人が情報源にしている有力メディアは支配者のプロパガンダ機関にすぎません。1991年に開かれた「新聞・放送・出版・写真・広告の分野で働く800人の団体」が主催する講演会でジャーナリストのむのたけじが話したように、「ジャーナリズムはとうにくたばった」のです。(むのたけじ著『希望は絶望のど真ん中に』岩波新書、2011年) 1980年代の状態を言っているのでしょうが、当時に比べて現状は遥かに悪いと言えるでしょう。いわゆる「バブル」の時代に入り、記事や番組の質に関係なく広告収入が入るようになり、裏では優秀な記者が排除されてマスコミは劣化していきました。 1987年5月3日には朝日新聞阪神支局の編集室に覆面をしたふたりが押し入り、散弾銃を発射して小尻知博記者を殺害、犬飼兵衛記者に重傷を負わせていますが、この事件もマスコミを沈黙させる要因になっているように見えます。カネと地位を求めるなら、支配システムの一員としてプロパガンダに徹していた方が良いと考えたマスコミ人が少なくないようです。 「記者は自分の頭の中で描いた“架空の真実”に執着しがちであり、そこから自分でも想像しなかった虚像づくりが始まってしまう」と斎藤茂男は1990年1月に書いています。その“架空の真実”は官庁、企業、団体などが加工した情報に多少の手を加えた代物にすぎません。記者たちは「教育」で刷り込まれた先入観に基づき、手を加えます。 斎藤茂男が共同通信に入社した1952年に大分県直入郡菅生村(現竹田市菅生)で駐在所が爆破されるという事件があり、近くにいた共産党員ふたりが逮捕され、3人が別件逮捕されました。 この事件でカギを握る人物だと見られた市木春秋は事件後に姿を消すのですが、共同通信の特捜班が見つけ出します。その証言から彼は国家地方警察大分県本部警備課の警察官、戸高公徳であり、ダイナマイトを入手し、駐在所に運んだのも彼だと言うことがわかります。この警官を東京都新宿区のアパートで発見、証言させた取材チームのひとりが斎藤でした。 ちなみに、戸高は有罪が言い渡されたものの刑は免除され、判決から3カ月後に警察庁は戸高を巡査部長から警部補に昇任させ、しかも復職させています。最終的に彼は警視長まで出世、警察大学の術科教養部長にもなり、退職後も天下りで厚遇されました。それほどのことを警察組織がしなければならない背景がこの事件にはあるということでしょう。 松橋忠光元警視監によると、アメリカは1959年から「1年に2人づつ警視庁に有資格者の中から選ばせて、往復旅費及び生活費と家賃を負担し、約5か月の特殊情報要員教育を始めた」そうです。(松橋忠光著『わが罪はつねにわが前にあり』オリジン出版センター、1984年) 公式文書に記載された渡航目的は「警察制度の視察・研究」ですが、実際はCIAから特殊訓練を受けたのだといいます。またCIAから受けた講習の中でハリウッドのスパイ映画を何本か見せられ、「その製作に相当関与」していることをそれとなく教えてもらったとも書いています。 その後、こうした仕組みがなくたったとは思えません。公安警察の背後にはCIAが存在していると考えなければならないでしょう。同じことが検察の特捜部についても言えそうです。有力メディア、特に国際問題を担当している人びとの中もCIAと関係している記者や編集者がいるという噂は以前からあります。 リチャード・ニクソン米大統領を辞任に追い込んだ「ウォーターゲート事件」の取材で中心的な役割を果たしたカール・バーンスタインはワシントン・ポスト紙を1977年に辞め、ローリング・ストーン誌に「CIAとメディア」というタイトルでCIAと有力メディアの癒着を明らかにしました。 また、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出版、その中で多くの国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発しています。 新聞、雑誌、放送、出版、いわゆる「言論」を生業にしているはずの人びとの大半は言論を放棄しました。情報の入手と分析を有力メディアやそこに登場する専門家などに頼ることはできません。自分自身で調べ、考える必要があるのですが、本ブログがその一助になればと願っています。 ブログを存続させるため、カンパ/寄付をお願い申し上げます。櫻井 春彦振込先巣鴨信用金庫店番号:002(大塚支店)預金種目:普通口座番号:0002105口座名:櫻井春彦
2023.05.20
イギリスの支配者は19世紀から世界制覇を目指している。ユーラシア大陸の周辺を海軍力で支配し、内陸部を締め上げるという戦略を立てたのだが、それを可能にしたのはスエズ運河の完成だと言えるだろう。その戦略をアメリカは引き継ぎ、ロシアや中国と戦争を始めた。 アメリカとイギリスによる海上封鎖戦略に対抗するため、中国は海上ルート(海のシルクロード)と陸上ルート(陸のシルクロード)を合わせた「一帯一路(BRI)」を計画、2015年にはロシアが進めてきたユーラシア経済連合(アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、ロシア)と連結させると宣言している。 海上ルートの支配力を強化するため、アメリカ軍は2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ作り替え、日本を太平洋側の拠点に、またインドをインド洋側の拠点と位置付けた。インドネシアは両海域をつなぐ場所だしている。 日本に続き、韓国、台湾、フィリピンへの支配力を強め、最近ではタイに従属政権を作る道筋ができたが、インドとインドネシアはアメリカと一線を画している。海のシルクロードはアメリカの脅威にさらされているわけだ。 そうしたこともあり、インドのムンバイからイラン、アゼルバイジャンを経由し、ロシアのサンクトペテルブルグを鉄道、道路、船でつなぐ「南北輸送回廊」が作られている。5月17日にロシア政府とイラン政府はイランのラシュトとアスタラを結ぶ鉄道の建設に関する調印式を催した。すでにアスタラとアゼルバイジャンのサリヤンを結ぶ道路は開通している。 ロシアや中国は交易で世界を安定化させ、ビジネスにつなげようとしているが、近代ヨーロッパは11世紀から15世紀にかけて中東を「十字軍」で侵略し、財宝や知識を手に入れるところから始まっている。 スペインやポルトガルは15世紀に世界各地で略奪を開始、1521年にはエルナン・コルテスが武力でアステカ王国(現在のメキシコ周辺)を滅ぼして莫大な金銀を奪う。それ以降、金、銀、エメラルドなどを略奪、先住民を使って鉱山を開発した。この時に略奪した財宝の総額は明確でないが、「近代ヨーロッパ文明」の基礎になったことは間違いないだろう。イギリスはスペインやポルトガルが盗んだ財宝を海賊に襲わせ、奪っていた。 南部アフリカの侵略でもイギリスは富を築いた。1866年にアフリカの南部地域でダイヤモンドが発見され、86年にはトランスバール(南アフリカ北東部)で大量の金が発見される。それを知ったセシル・ローズは南アフリカへ移住、ダイヤモンド取引で財をなし、デ・ビアスを創設した。ローズに融資していた金融機関はNMロスチャイルド&サンである。 その後、トランスバールへの侵略に失敗したローズはイギリスへ戻ってナサニエル・ロスチャイルドと会う。ロスチャイルドはウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、そしてアルフレッド・ミルナーと緊急会談を開いて対策を練る。このグループの人脈は今でも大きな支配力を維持している。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) ロスチャイルドは金融界に君臨する大物であり、ステッドは多くのメディアを支配して情報操作を行っている。ブレッドは心霊主義の信者としても知られているビクトリア女王の相談相手で、後にエドワード7世やジョージ5世の顧問を務めた。(前掲書) 1899年から1902年にかけての南アフリカ戦争でトランスバールとオレンジは併合され、イギリス領になっていたケープ植民地とナタールに新しく併合した2領地を合わせてできたのが南アフリカ連邦だ。その後オランダ系のボーア人とイギリス系の白人は手を組んでアパルトヘイト(人種隔離政策)を推進、有色人種を支配するシステムを作り上げていく。 一連の動きで重要な役割を果たしたローズは優生学を信奉していた。彼は1877年6月にフリーメーソンへ入会、その直後に書いた『信仰告白』の中でアングロ・サクソンは最も優秀な人種であり、その居住地が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張している。領土を拡大して大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務であり、領土の拡大はアングロ・サクソンが増えることを意味するとしている。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) そのアングロ・サクソンはアメリカ、オーストラリア、フィリピンなど世界各地で先住民を虐殺しているが、優生学を信奉する彼らは良心の呵責に悩むことがなかった。そうした侵略の手先として選ばれたのが日本人だ。 近代ヨーロッパの支配者は略奪した財宝や軍事力を使い、世界を荒らし回ってきたのだが、すでに経済力も軍事力が衰え、支配システムが揺らいでいる。そのシステムを支えるため、彼らは教育、情報の厳しい統制、支配層にとって都合の良い幻影の刷り込みなどで一般大衆を洗脳、人びとの心理を操る一方、各国のエリート層をコントロールするために買収と恫喝を駆使、それが通用しない場合、暗殺やクーデター、場合によっては軍事侵略を使う。ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権もクーデターで倒された。 ジェフリー・エプスタインが行なっていた未成年の男女を世界の有力者に提供する工作には買収と恫喝が含まれている。この工作は有力者の歓心を買う手段であると同時に、隠し撮りすることで恫喝の材料にも使われる。エプスタインの事実上の妻だったと言われている女性はギスレイン・マクスウェル。彼女の父親はイギリスのミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェル。この3名はいずれもイスラエル軍の情報機関(AMAM)に所属していたと言われているが、ロバートは1991年11月にカナリア諸島沖で死体となって発見された。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019)
2023.05.19
ロシア軍は5月9日に続いて16日にもウクライナの軍事施設をミサイルで攻撃、キエフに配備されていた「パトリオット防空システム」は極超音速ミサイル「キンジャール」で破壊したと発表した。アメリカ軍も命中したことを認めている。被害の程度を分析しているとしている。 それに対し、ウクライナ軍はロシアの極超音速ミサイル6機を含む18機のミサイルを撃墜したと主張しているが、ロシアの国防大臣によると、それほどの数のキンジャールを発射していない。そもそも物理的に無理だ。キエフの住民が撮影したとみられる映像はパトリオット防空システムにロシア軍のミサイルが命中したことを示している。ウクライナの政府や軍は一貫して事実に反する話を流してきた過去があり、信頼度は低い。今回も同じことが行われているのだろう。 パトリオットが役に立たないことは2019年9月14日にも確認されている。サウジアラビアのアブカイクとハリスにあるアラムコの石油処理施設がイエメンのフーシ派にUAVや巡航ミサイルで攻撃され、大きな損害を受けたのだ。そこにはパトリオットが配備されていたはずだが、撃墜できなかった。 この出来事でサウジラビアのアメリカ軍に対する信頼度は低下したはずだが、そのタイミングでロシアのウラジミル・プーチン大統領は高い能力を実証済みのロシア製防空システムを提供する用意があると発言している。 その前からサウジアラビアのサルマン・ビン・アブドゥルアジズ・アル・サウド国王はロシアの防空システムに興味を示していた。2017年10月にロシアを訪問した際、S-400を含む兵器の取り引きを議題にしているのだ。 世界的にS-400などロシアの防空システムに興味を示す国は多く、中国、ベラルーシ、トルコ、インドは供給を受けたようで、サウジアラビア、イラン、エジプト、イラク、カタール、セルビアなどが興味を示している。
2023.05.18
厚生労働省は5月8日から「新型コロナウイルスワクチン(COVID-19ワクチン)」、つまり遺伝子操作薬の2023年度の接種を開始、接種数は少なくないようだが、直前の状況を見ると接種する人は少なかった。「65歳以上の高齢者や基礎疾患があるなど重症化リスクの高い人、こうした人に接する機会が多い医療機関や高齢者・障害者施設の従事者」が半ば強制的に打たされているのだろう。 この「COVID-19ワクチン」つまり遺伝子操作薬は病気の原因になるスパイク・タンパク質を人間の細胞に生産させ、それによって抗体を作り、免疫を高めることになっている。このスパイク・タンパク質は病気の原因。この事実は2021年3月にカリフォルニア州サンディエゴ郊外にあるソーク研究所が発表している。解説記事も出された。 スパイク・タンパク質は血管へ入り込み、血管にダメージを与えて血栓や出血の原因になる。さまざまな臓器に炎症を引き起こすが、脳へも侵入。神経系の症状が出るのもそのためだと見えられている。脳に蓄積されたスパイク・タンパク質はパーキンソン病、アルツハイマー病、痴呆症などの原因になるとも指摘されている。 抗体には感染を防ぐ「中和抗体」と感染を防がない「結合(非中和)抗体」があり、結合抗体はウイルスを免疫細胞へ侵入させて免疫の機能を混乱させ、ADE(抗体依存性感染増強)を引き起こすと考えられている。 当初の宣伝とは違い、細胞がスパイク・タンパク質を作り続ける期間は1カ月以上に及ぶことがわかっている。その間、人間の免疫システムは自分の細胞を攻撃することになる。自己免疫疾患を引き起こすのだが、その一方で免疫力を低下させてエイズ状態を作り出す。LNP(脂質ナノ粒子)やグラフェン誘導体によっても人体に害を及ぼし、最近ではDNAの混入が発覚した。 この遺伝子操作薬を接種した場合、深刻な副作用を引き起こし、少なからぬ人を殺すことになる。こうしたことを医療関係者や厚生労働省は知っているだろう。 厚生労働省は高齢者や基礎疾患がある人、医療機関や高齢者・障害者施設の従事者に接種させようとしている。こうした人びとは深刻な副作用に苦しみ、死亡する人も増える可能性がある。そういえば、このところAIによる診断システムが議論されているようだ。
2023.05.18
G7の首脳会談が5月19日から21日にかけて広島で開催される。アメリカのジョー・バイデン大統領、イギリスのリシ・スナク首相、カナダのジャスティン・トルドー首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのオラフ・ショルツ首相、イタリアのジョルジャ・メローニ首相、日本の岸田文雄首相、そしてシャルル・ミシェル欧州理事会議長、ウルズラ・ライエン欧州委員会委員長が参加する予定だ。 参加国は「主要国」や「先進国」と自称しているが、有体に言うならば、アングロ・サクソン系国とアメリカに従属する国々の首脳によるセレモニーにすぎず、経済力においても軍事力においても中国やロシアを中心に集まりつつあるグループより劣る。 G7は1975年11月にG6として第1回首脳会談をフランスのランブイエで開く。その時の参加国はアメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、イタリア、日本。その前年にウォーターゲート事件でリチャード・ニクソン大統領が失脚、ジェラルド・フォードが新大統領に就任している。 フォード大統領はデタント(緊張緩和)派を粛清、好戦的なネオコン(新保守主義)が台頭、経済的には新自由主義が世界の中流になった。新保守主義も新自由主義も実態は帝国主義だ。 その帝国主義国はシリアやウクライナでロシアに敗北、矛先を東アジアへ向けてきた。G7の首脳会談を日本で開催する意味はこの辺にあるのかもしれない。 アメリカとイギリスは2021年9月、オーストラリアとAUKUSなる軍事同盟を創設した。ジョー・バイデン米大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると伝えられている。その潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上、アメリカ海軍の潜水艦だ。 日本の「エリート」はAUKUSへの加盟に興味を示し、山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明している。 ウォルフォウィッツ・ドクトリン(ネオコンの世界制覇プラン)に基づき、ジョセイフ・ナイは1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表した。日本をアメリカの戦争マシーンへ組み込むと宣言したのだ。松本サリン事件、地下鉄サリン事件、國松孝次警察庁長官狙撃事件などを経て日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。 G7の会談でも話し合われるらしいウクライナでの内戦は2014年2月にネオコンがネオ・ナチを利用したクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したところから始まる。これは本ブログで繰り返し書いてきたことだ。 クーデターの準備は2010年の大統領選挙でヤヌコビッチが勝利した頃からはじまるのだろうが、実際に動き始めたのは13年11月。キエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で「カーニバル」的な集会を開くところから始まったのだが、その時のEUは話し合いで解決しようとする。 話し合いで解決したならヤヌコビッチ政権を倒して傀儡体制を樹立することは困難。そこで国務次官補だったビクトリア・ヌランドは怒る。ジェオフリー・パイアット米国大使と電話で「次期政権」の閣僚人事について話している際、ヌランドは「EUなんかクソくらえ」と口にし、その音声が2014年2月上旬にインターネットへアップロードされた。 クーデター後に内戦が始まるが、ドンバスの反クーデター軍がキエフのクーデター体制軍より強い。そこで戦力を増強するための時間が必要になった。そしてドイツとフランスが仲介して成立させたのがミンスク合意だ。これはアンゲラ・メルケル元独首相が昨年12月7日にツァイトのインタビューで、またその直後にフランソワ・オランド元仏大統領が証言している。 クーデターから8年かけて兵器を供与、兵士を訓練、ドンバス周辺に地下要塞を建設した。攻撃の準備ができたと判断したアメリカ/NATOはドンバスの周辺に部隊を集結させる。 ところが、2022年2月24日にロシア軍はウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設を巡航ミサイルなどで攻撃し始め、集結していたウクライナ軍は大きなダメージを受けたようだ。 その直後、イスラエルの首相だったナフタリ・ベネットはアメリカと調整しながら停戦交渉の仲介に乗り出し、3月5日にモスクワでプーチンと数時間にわたって会談。ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけたベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会うのだが、その日、ウクライナの治安機関SBU(事実上CIAの下部機関)のメンバーがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺した。 4月9日にはボリス・ジョンソン英首相がキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令、4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。 アメリカとイギリスは2011年春、フランス、イスラエル、サウジアラビア、カタール、トルコと連携してリビアやシリアに対する侵略戦争を始めた。ネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセイン体制を倒してシリアとイランを分断して個別撃破するという戦略を立てていたが、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されてから10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、イランのほかレバノン、リビア、ソマリア、スーダンを攻撃リストに載せていた。(ココやココ) イラクのフセイン体制を倒すというネオコンの計画は1990年8月に始動する。当時、クウェートがイラクの油田を盗掘しているという問題が発覚、イラクは軍事的な解決へ傾いていく。 それに対し、アメリカ国務省のスポークスパーソンだったマーガレット・タトワイラーは1990年7月24日、アメリカはクウェートを守る取り決めを結んでいないと発言、25日にはエイプリル・グラスピー米大使がサダム・フセインと会談、その際にブッシュ大統領の指示に基づいてアラブ諸国間の問題には口を出さないと伝えている。31日には下院のヨーロッパ中東小委員会で、アメリカは湾岸諸国と防衛条約は結んでいないとジョン・ケリー国務次官補が語っている。(James S. Henry, “The Blood Bankers”, Four Walls Eight Windows, 2003) 7月29日にサウジアラビア政府はイラクとクウェートとの会談が31日にジェッダで始まると発表、ジッダには戦争を回避する目的でアラブ諸国の代表が集まることになる。 こうした動きに不審を抱いたPLOのヤセル・アラファト議長はアメリカ支配層の少なくとも一部がフセインを罠にかけようとしているのではないかと疑う。そこで彼はバグダッドへ飛び、フセインに対して挑発されてもクウェートを攻撃するべきでないとアドバイスする。アラファトはクウェートへも行き、ジェッダでイラクとの金銭的な問題を解決するように提案するが、クウェート側は聞く耳を持たなかったという。 ヨルダンのフセイン国王もアラファトと同じ懸念を抱き、ジェッダで首脳会談が開かれる前日、アラファトと同じことをクウェートの代表団に話したが、やはり聞く耳を持たなかったようだ。(Alan Hart, “Zionism: Volume Three,” World Focus Publishing, 2005) ジョン・F・ケネディ大統領の報道官を務めたピエール サリンジャーによると、アメリカとイギリスはクウェートに対し、「話し合いで妥協するな、強硬姿勢で望め」と圧力をかけていたという。 イラク軍のクウェート侵攻を受け、アメリカ政府は間髪を入れずにイラクからの石油輸入を禁止、アメリカにあるイラクの資産を凍結、艦隊をペルシャ湾に派遣する。8月5日にはイラク政府の軍を撤退させるという提案を拒否、6日には国連安全保障理事会が決議660を採択する。イラクの軍事侵攻を非難し、即時、無条件の撤退を求めたのだ。(James S. Henry, “The Blood Bankers”, Four Walls Eight Windows, 2003) その一方、アメリカ下院の人権会議という非公式の集まりで「ナイラ」なる少女がイラク軍の残虐性を涙ながらに告発、アメリカで好戦的な雰囲気を高めることに成功した。この「告発劇」は広告会社ヒル・アンド・ノールトンが演出したもので、主演の少女はアメリカ駐在クウェート大使の娘。つまり全くの作り話だった。 嘘で人びとの心理を操り、戦乱を引き起こして国々を疲弊させて略奪するという手法はアングロ・サクソンを支配する人びとの常套手段だ。民主主義、人権、自由などを唱えているが、それは侵略、破壊、殺戮、略奪を実現するための方便にすぎない。
2023.05.17
NHK「ニュースウオッチ9」公式ツイッターが5月16日に投稿した内容が話題になっている。その前日に放送された「新型コロナ5類移行一週間・戻りつつある日常」の中で、ワクチンが原因で死亡したという遺族の訴えを伝えず、コロナウイルスに感染して死亡したと受け取れるように編集されていたことを不適切だったとし、謝罪したのだ。その謝罪コメントは短時間のうちに削除されたようだが、これは恥の上塗り。 日本に限らず、西側では1980年代からメディアのプロパガンダ機関化が進んでいる。その実態が明確になった一例は2003年3月20日のイラクに対する先制攻撃だろう。攻撃の前、ジョージ・W・ブッシュ政権はイラクが「大量破壊兵器」を保有していると西側の有力メディアを通じて宣伝していた。 この宣伝でイギリスのトニー・ブレア政権が重要な役割を果たしたことも知られている。2002年9月にブレア政権は「イラク大量破壊兵器、イギリス政府の評価」というタイトルの報告書(9月文書)を作成、メディアにリークされた。 この報告書をパウエル国務長官は絶賛したが、大学院生の論文を無断引用した代物で、別に執筆者がいるとも噂されている。ともかく信頼できるものではなかった。しかもイギリス政府はその怪しげな文書をイラクの脅威を強調するため改竄している。 こうした話を疑っていたひとりがUNSCOM(国連特別委員会)の主任査察官だったスコット・リッターだ。そうした指摘を有力メディアは否定、あるいは無視、戦争を後押ししたわけである。 ところで、パウエルは1968年3月にベトナムのソンミ村で引き起こされた虐殺事件にも関係している。ウィリアム・カリー大尉の率いる部隊がこの村のミ・ライ地区とミ・ケ地区で農民を虐殺したのだ。犠牲者の数はアメリカ軍によるとミ・ライ地区だけで347人、ベトナム側の主張ではミ・ライ地区とミ・ケ地区を合わせて504人だという。 カリー大尉の小隊はアメリカ陸軍の第23歩兵師団に所属していたが、パウエルは1968年7月へ少佐としてベトナム入りしている。2004年5月4日に放送されたCNNのラリー・キング・ライブに出演した際、パウエルはソンミ村で虐殺があった後に現場を訪れて衝撃を受けたと語っている。 この虐殺はCIAと特殊部隊が行っていたフェニックス・プログラムの一環で、似たような出来事は少なくなかったと言われている。ソンミ村の虐殺が発覚したのは、たまたま上空にさしかかったアメリカ軍のヘリコプターの兵士が止めたからである。 アメリカ軍に同行していた記者やカメラマンは非戦闘員が虐殺されていることを知っていたが、報道していない。公表しようとしたのアメリカ軍の兵士。虐殺事件をアメリカの議員らに告発したアメリカ軍兵士もいたのだが、政治家も動かなかった。 虐殺の話を知ったユージン・マッカーシー上院議員のスタッフから調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは聞く。ハーシュも同議員の選挙キャンペーンに参加していた。 ハーシュはアメリカで取材、虐殺に関する記事を書くものの、ライフやルックといった有名な雑誌からは掲載を拒否される。伝えたのはワシントンを拠点とするディスパッチ・ニュース・サービスという小さな通信社だった。1969年11月のことだ。 アメリカの情報機関は1948年頃から「モッキンバード」と呼ばれる情報操作プロジェクトを始めている。CIAでこのプロジェクトを担当していたのはコード・メイヤー。実際の活動はアレン・ダレス、ダレスの側近だったフランク・ウィズナー、リチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムが指揮していた。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979) グラハムの死後、妻のキャサリーンが社主に就任、その下でワシントン・ポスト紙は「ウォーターゲート事件」を暴くのだが、その取材で中心的な役割を果たしたカール・バーンスタインは1977年に同紙を辞めて「CIAとメディア」というタイトルの記事をローリング・ストーン誌に書いている。 その記事によると、1977年までの20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したという。ニューズウィーク誌の編集者だったマルコム・ミュアは責任ある立場にある全記者と緊密な関係をCIAは維持していたと思うと述べたとしている。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) 1970年代の半ば、CIAが有力メディアを情報操作のために使っていることはフランク・チャーチ上院議員を委員長とする情報活動に関する政府の工作を調べる特別委員会でも明らかにされた。ただ、CIAからの圧力で記者、編集者、発行人、あるいは放送局の重役から事情を聞いていない。 またフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出版、その中で多くの国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。 ウルフコテによると、CIAに買収されたジャーナリストは人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開し、ロシアとの戦争へと導いて引き返すことのできないところまで来ていると彼は警鐘を鳴らしていた。 しかし、メディアの状況はこの当時より格段に悪くなっている。バラク・オバマ政権はムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を傭兵として利用してシリアやリビアに対する侵略戦争を始める。侵略に加担したのはアメリカのほかイスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、カタール、そしてトルコ。プロパガンダはシリア系イギリス人のダニー・デイエムなる人物からの現地情報という形で西側の有力メディアが行っていた。 デイエムが撮影スタッフと演出の打ち合わせをしている場面がインターネット上に流出、中継はフィクションだということが明らかになった2013年3月、ジェームズ・ル・ムズリエなる人物がトルコで「SCD(シリア市民防衛、通称「白いヘルメット」)」が設立される。 SCDの活動目的は医療行為だとされたが、公開された映像からそのメンバーは医療行為の訓練を受けていないと主張する人もいた。それだけでなく、SCDメンバーがアル・カイダ系武装集団と重複していることを示す動画や写真も存在する。アル・カイダ系武装集団が撤退した後の建造物ではSCDと隣り合わせで活動していたことを示す証拠がビーリーやバートレットらによって確認されたのである。 ウクライナでも西側の有力メディアはあからさまに偽情報を流している。2014年2月にオバマ政権はネオ・ナチを使ってビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除した。このヤヌコビッチが支持基盤にしていた東部や南部はソ連時代にロシアからウクライナへ割譲された地域で、住民の7割以上がロシア語を話し、東方正教会の信徒が多く、ロシア文化圏に入っている。そこで東部や南部の住民はクーデターを拒否、ドンバスでは内戦が始まったのだ。 そうした東部の都市、マリウポリはクーデター後にネオ・ナチを主体とする親衛隊に占領された。昨年2月にロシアがミサイル攻撃を始めると住親衛隊は住民を人質にする。 後にロシア軍が解放した住民は異口同音に、脱出を試みる住民を親衛隊が射殺するだけでなく、建物を破壊、住民や捕虜を拷問、若い女性をレイプしているとも告発さしている。(例えばココやココだが、脱出した住民が増え、少なからぬ映像がインターネット上にアップロードされている。) そうした住民が証言する様子を撮影した映像を西側の有力メディアは避けていたが、ドイツの有力な雑誌「シュピーゲル」はマリウポリのアゾフスタル製鉄所から脱出した住民のひとり、ナタリア・ウスマノバの証言を3分間の映像付きで5月2日に伝えたが、すぐに削除されてしまう。ショルツ内閣や米英の政権にとって都合の悪い事実が語られていたからだ。(インタビューのロイター版と削除部分の映像:ココ) 脱出した市民の声を伝えているのは現地で取材しているジャーナリスト。ドイツ人ジャーナリストのアリナ・リップ、フランス人ジャーナリストのアン-ローレ・ボンネル、カナダ人ジャーナリストのエバ・バートレットが有名だが、フランスの有力メディアTF1やRFIのスタッフ、またロシアやイタリア人の記者もいたという。 アメリカはさまざまな国を侵略、建造物を破壊し、人びとを虐殺、富を略奪しているが、それを正当化するため、偽情報を流してきた。西側の支配層が偽情報を流していることを明らかにする情報を彼らは「フェイク・ニュース」だと宣伝する。NHK「ニュースウオッチ9」も同じようなことをしたわけだ。 有力メディアは支配層、つまり強大な私的権力が望む筋書きに従って「報道」しようとする。都合の悪い事実は無視、最近では現実と無関係なハリウッド風のシナリオに合わせようとしている。
2023.05.16
アメリカの戦争マシーンに組み込まれている日本は現在、中国やロシアと戦争する準備を進めている。本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、日本は1995年に戦争マシーンへ組み込まれ、戦争が近づいているのだ。昔から言われている芸能事務所のスキャンダルに気を取られているような場合ではない。 広域暴力団が誕生したのは第2次世界大戦の後だが、その暴力団は興行の世界に大きな影響力を持ってきた。それがアメリカ的にシステム化され、広告会社を巻き込んで政治の道具として成長したと言われている。 アメリカではジェフリー・エプスタインなる人物が2019年7月6日に逮捕された。未成年の男女を世界の有力者に提供、その有力者と未成年の男女との寝室における行為を記録し、脅しに使っていたと言われている。エプスタインの背後には情報機関が存在していた。そうした実態を無視して特定の事務所に食いついても仕方がない。「レッド・ヘリング」として使われている可能性がある。 1991年12月にソ連が消滅した直後にアメリカでは戦争マシーンが動き始めた。アメリカが「唯一の超外国」になったと認識したネオコンは1992年2月にDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成したのだ。 その時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツ。DPG草案はウォルフォウィッツが中心になって書き上げられた。そこでこの世界制覇計画は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 目的のひとつは新たなライバルの出現を防ぐことにあり、警戒する地域には旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジア、西南アジアが含まれる。ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、「民主的な平和地域」を創設するともしている。 戦争マシーンが動き始めるのはビル・クリントン大統領が1997年1月に国務長官をクリストファー・ウォーレンからマデリーン・オルブライトへ交代させてから。オルブライトは1998年秋にユーゴスラビア空爆を支持すると表明した。 ユーゴスラビアのスロボダン・ミロシェビッチ大統領は1998年10月の終わりにコソボからの撤退計画を発表するが、KLAは和平を受け入れない。軍事的な緊張を高めてNATO軍を戦争へ引き入れるため、KLAはセルビアに対して挑発的な行動に出た。これはアメリカ側の意向を受けたものだ。決して親セルビアとは言えないヘンリー・キッシンジャーでさえ、1998年10月から99年2月までの期間で、停戦違反の80%はKLAによるものだと語っている。(David N. Gibbs, “First Do No Harm”, Vanderbilt University Press, 2009) そして1999年3月から6月にかけてNATO軍はユーゴスラビアへの空爆を実施、4月にはスロボダン・ミロシェビッチの自宅が、また5月には中国大使館も爆撃されている。勿論、この攻撃で多くの市民が殺され、建造物が破壊された。侵略戦争以外の何ものでもない。 戦争マシーンがフルパワーで動き始めるのは2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてからだ。2003年3月には「大量破壊兵器」という作り話を叫びながらイラクを侵略した。 イラク侵略の際には正規軍を投入したが、予定通りに侵略計画は進まない。そこでバラク・オバマ米大統領は2010年8月にPSD-11を承認してムスリム同胞団を使った体制転覆作戦を始動させる。「アラブの春」はそのひとつの結果だ。 2011年春にはサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とするアル・カイダ系武装集団を利用してリビアやシリアに対する侵略戦争を開始、リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制は同年10月に倒されるが、シリアのバシャール・アル・アサド政権は倒れない。 そこで新たな武装集団としてダーイッシュを2014年に登場させ、15年にロシア軍が介入してダーイッシュを敗走させるとオバマ政権はクルドと手を組むが、それが引き金になってアメリカはトルコとの関係を悪化させる。 2014年2月にオバマ政権はウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権をクーデターで倒す。そのクーデターでアメリカの手先として働いたのがネオ・ナチだ。 ヤヌコビッチの支持基盤だった東部と南部はソ連時代にロシアから割譲された地域で、住民の7割以上がロシア語を話し、東方正教会を信仰するロシア文化圏。ネオ・ナチによるクーデターを拒否し、クリミアはロシアの保護下に入り、ドンバスでは内戦が始まった。 クーデター後、ウクライナの軍や治安機関にはナチズムを拒否する人が少なくなかったようで、相当数のメンバーがドンバスの反クーデター軍へ合流したと言われている。そこでアメリカはCIAやFBIの要員を送り込むだけでなく、傭兵会社の戦闘員を派遣したが、それでもドンバスを制圧できない。 アメリカ/NATOとしてはクーデター体制の軍事力を強化しなければならなくなった。そうした時に結ばれたのがミンスク合意。ドイツやフランスが仲介したのだが、アンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューでミンスク合意は軍事力を強化するための時間稼ぎだったと認め、その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語っている。 約8年間にアメリカ/NATOは兵器を供給、兵士を訓練した。岩塩の採掘場があるソレダルでは全長200キロメートルという「地下要塞」が築かれたが、同じようの要塞はドンバスの周辺に広がっていると言われている。 昨年2月24日にロシア軍がミサイル攻撃を始める直前にウクライナ軍はドンバスへの砲撃を激化させていたが、2月19日にウクライナの政治家オレグ・ツァロフが出した緊急アピール「大虐殺が準備されている」によると、キエフ政権の軍や親衛隊はドンバスを軍事的に制圧、自分たちに従わない住民を「浄化」しようとしていると警鐘を鳴らしていた。 ロシア軍は軍事作戦を開始してからウクライナ側の機密文書を回収しているが、その中にドンバス攻撃に関するものがあった。2月中に攻撃の準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたようだ。その作戦にNATO軍も参加する予定だったかもしれない。 ドンバスをウクライナ軍が攻撃して住民を虐殺すればロシア軍が介入してくると見通し、そのロシア軍を地下要塞のトラップへ誘導して足止めさせ、その間にNATO諸国で訓練していた部隊をクリミアへ軍事侵攻させるつもりだったと推測する人もいる。 しかし、そうした展開にはなっていない。3月の作戦に備えてウクライナ軍はドンバスの周辺に集結、その部隊はロシア軍のミサイル攻撃で大きな打撃を受けたとみられている。そこで停戦交渉が始まる。 その交渉を仲介した人物はイスラエルの首相だったナフタリ・ベネット。彼によると、話し合いで双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうだった。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はNATOへの加盟を諦めるとしたいう。 3月5日にベネットはモスクワでウラジミル・プーチン露大統領と数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけた。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。 ところが、その3月5日にゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフをウクライナの治安機関SBUのメンバーが射殺してしまう。クーデター直後からSBUはCIAの下部機関化しているので、アメリカ政府が殺したと言えるだろう。 その後、アメリカ政府やイギリス政府はウクライナでの戦闘を継続させたが、追い詰められている。ロシア軍はミサイルや航空機での攻撃に集中、地上では市街戦を専門とするワグナー・グループが戦っている。 ワグナー・グループは傭兵会社だとされているが、実態はGRU(参謀本部情報総局)やFSB(連邦安全保障局)の指揮下にある部隊だと言われている。アメリカの傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」も戦闘員の中心は特殊部隊の出身者で、CIAと関係が深いと考えられている。 ウクライナではロシア軍の地上部隊はほとんど戦闘に参加していないと言われ、ウクライナ軍が「反転攻勢」を仕掛けるのを待っているかもしれない。ゼレンスキー政権が「反転攻勢」を嫌がっている理由はその辺にあるかもしれない。 アメリカ/NATOもウクライナでの敗北は見えているだろうが、負けるわけにはいかない。そこで東アジアへの「転進」を図っている。平和が訪れたならば人びには考える余裕が生まれ、欧米支配層の企みが明らかにされ、責任を取らされることになりかねない。
2023.05.16
ウクライナ軍は5月12日、イギリスから供給された長距離巡航ミサイル「ストーム・シャドー」2機をSu-24から発射、ルガンスクの工場を破壊した。ADM-160 MALDという電子妨害能力のあるアメリカ製デコイの残骸が発見されている。ロシア軍はミサイルを発射したSu-24のほか護衛していたMig-29戦闘機を撃墜した。攻撃では子ども6名を含む市民が負傷したという。 13日にもウクライナ軍はストーム・シャドーでルガンスクを攻撃しているが、イギリスはこの巡航ミサイルをすでに200機供与、近い将来に400機をさらに与えるとしている。ウクライナへ供給されたミサイルの射程距離が長くなったことからロシア軍が攻撃する範囲も広がるはずだ。 5月13日にロシア軍はMi-8ヘリコプター2機、Su-34戦闘爆撃機、Su-35戦闘機を待ち伏せ攻撃で失っている。ストーム・シャドーだけでなく、アメリカ/NATOはこれまでより性能の水準が上の兵器を使わせ始めた可能性があるだろう。 それに対し、ロシア軍は5月12日と13日にウクライナの西部地区にあるフメリニツキーとテルノーピリに近い場所にある兵器庫を巡航ミサイルとドローンで攻撃、大規模な爆発があった。アメリカ/NATOが供給した数億ドル相当の軍需物資が破壊されたはずだ。 すでにウクライナ側の地上軍は壊滅的な打撃を受けている。長距離巡航ミサイルでロシアを攻撃するつもりかもしれないが、そうなるとロシア軍の反撃も厳しくなる。 すでに昨年の夏から秋にかけての段階でウクライナにおける戦闘はロシア軍とアメリカ/NATO軍の間で戦われはじめたものの、ロシア軍はアメリカ/NATO軍を攻撃目標にしてこなかった。アメリカ/NATO軍の戦闘をエスカレートさせる行動によって状況は変わるとCIAで分析官を務めていたラリー・ジョンソンは考えている。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ジョー・バイデンは大統領に就任した直後、「ルビコン」を渡った。回帰不能点を超えたということである。ロシアとの戦争へ向かって進み始めただけでなく、パンデミック(感染爆発)を演出して社会を収容所化、人類の存続を危うくさせるような遺伝子操作薬を世界規模で打たせようとしてきた。世界を「リセット」しようと目論んでいる。その背景には彼らの支配システムが崩れ始めたと言う現実がある。 1991年12月にソ連を消滅させることに成功した当時、ネオコンはアメリカが世界の超大国になったと認識、従属度の低い国を破壊し、新たなライバルの出現を阻止するプランを作成している。ウォルフォウィッツ・ドクトリンだ。 2001年9月11日にアメリカではニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されるというショッキングな出来事があり、ネオコンは国内を収容所化、国外では侵略戦争を始めた。新たな支配システムを築く第一歩を踏み出したのだが、これは予定通りに進まない。 しかもロシアではウラジミール・プーチンらが再独立に成功、「新たなライバル」として出現した。そのロシアと潜在的ライバルのEUを潰す目的でネオコンはウクライナでクーデターを実行するが、これも予定通りに進んでいない。しかも、このクーデターはロシアと中国を戦略的な同盟国にしてしまった。 ルビコンを渡ったのは、現在の支配システムが崩壊した後も自分たちが世界を支配しようと考えている勢力だ。引き返すことはできない。日本がアングロ・サクソンの支配者に従い、戦争の準備をしているのもそのためだ。
2023.05.15
アメリカのテキサス州では連邦判事が5月9日、FDA(食品医薬品局)に対して「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の認可に必要なデータを2025年半ばまでに公開するよう命じた。今回の命令では冒頭、「民主主義は密室の中で死ぬ」と指摘している。 FDAは医薬品、医療機器、食品、化粧品、たばこなどを監督する役割を負っているが、医薬品メーカーだけでなく監督官庁も「COVID-19ワクチン」と称する遺伝子操作薬に関する文書の隠蔽を図ってきた。 文書の公開が求められた直後からFDAは公表の期限を引き伸ばそうとしてきた。当初は期限を75年後にしようとしたが、裁判所からその要請を拒否され、文書は明らかにされつつある。それでもFDAの抵抗は続けていて、続いているようで、公開を終えるのは約23年半後にしようとしていた。 すでに明らかにされた文書の分析から接種を始める前から医薬品メーカーや監督官庁は危険性を認識、どのような副作用が起こるかを知っていたことが判明、「COVID-19ワクチン」の接種計画はサーシャ・ラティポワの分析で、接種計画はバラク・オバマ政権の時代(2009年1月から17年1月)にアメリカの国防総省が始めたことがわかった。 その国防総省がウクライナで「万能生物兵器」を研究していたことを明らかにする文書をロシア軍は回収している。昨年2月24日から巡航ミサイルなどでウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などをロシア軍は攻撃、その際に回収した文書の中に生物化学兵器に関する約2000文書が含まれていたが、その分析から判明したとしている。 回収文書の分析を指揮してきたロシア軍のイゴール・キリロフ中将によると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)が管理する研究施設が約30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていた。ロシア国防省が発表したスライドによると、アメリカの民主党が病原体研究の思想的な支柱であり、その思想を実体化させる役割を負っているのが国防総省やCDCを含むアメリカの政府機関だ。 キリロフが記者会見でウクライナにおける生物兵器の問題について発表した翌日の3月8日、アメリカの上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官はウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語っている。マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語ったのだ。つまりウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 国防総省が免疫システムを攻撃する生物化学兵器の開発を1969年以前から始めたことがわかっている。この年の9月、国防総省国防研究技術局の副局長だったドナルド・マッカーサーはアメリカ下院の歳出委員会で免疫システムを攻撃する病原体に触れているのだ。 「著名な生物学者」の話として、人工的に作られた生物学的な因子、自然には存在せず、自然免疫を獲得できない因子を生産することが5年から10年以内に生産できる可能性があると証言している。その証言から約10年後にエイズが出現した。 エイズの出現は医療利権にとっても朗報。1970年代に入ると世界では伝染病で死亡する人が少なくなり、アメリカではNIH(国立衛生研究所)、NIAID(国立アレルギー感染症研究所)、CDC(疾病予防管理センター)は存在意義が問われるような状態になっていた。昨年12月までアメリカにおける伝染病対策を指揮したアンソニー・ファウチがNIAIDの所長に就任したのは1984年11月のことである。 1980年代に「イラン・コントラ事件」が発覚するが、その事件に関わっていたグループは免疫システムについて調査、日本の大企業や学者にも接触していた。イラン・コントラ事件はズビグネフ・ブレジンスキーがアフガニスタンで始めた対ソ連戦争の一環だが、その先には世界制覇計画があった。 パンデミックを口実として遺伝子操作薬を世界規模で接種、すでに少なからぬ人が死亡しているが、今後、中長期的に人類の存続を危うくする事態になると懸念する人もいる。ビル・ゲーツやテッド・ターナーのような人びとは以前から人口を削減する必要性を主張していた。 ところで、WHO(世界保健機関)とUNICEF(国連児童基金)が2014年にケニヤで接種した破傷風ワクチンを検査したところ、調べた6つのサンプル全てからHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)抗原が検出されたと現地のカトリック系病院の医師が告発している。集団避妊の実験をした疑いを抱く人もいるようだ。
2023.05.14
「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」と称する危険な遺伝子操作薬を接種させ、人びとの行動を制限することが世界規模で実行されてきた。かつてファイザー社で副社長を務め、アレルギー・呼吸器部門の主任研究員でもあったマイケル・イードンは「超国家的作戦」が展開されたと考える。 この遺伝子操作薬は病気の原因になるスパイク・タンパク質を人間の細胞に生産させて血管、内臓、神経などにダメージ与え、自己免疫疾患を引き起こして免疫力を低下させてエイズ状態を作り出すほか、LNP(脂質ナノ粒子)やグラフェン誘導体によっても人体に害を及ぼし、最近ではDNAの混入が発覚した。 これほど危険な薬品を世界規模で接種することを可能にしたのはパンデミック騒動だ。2019年12月に中国の湖北省武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が見つかり、20年2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者が現れたところから騒動は始まる。この時点では症状が重い急性肺炎が流行しているという話はもっともらしく聞こえた。WHO(世界保健機関)は2020年1月30日に緊急事態を宣言、そして3月11日にパンデミックを宣言している。 しかし、世界的な感染爆発が起こっているとは思えなかった。ダイヤモンド・プリンセスでの出来事以降、重症の肺炎を引き起こす伝染病が広がっているとは言えなかったのだ。 それにもかかわらずパンデミックを宣言できたのは定義の変更があったからだ。定義が変更されたのは「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前のこと。「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られたのである。この時のパンデミック宣言は間違い、あるいは嘘だと言われている。 この偽パンデミックの終わり頃、2010年5月にロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)は「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」なる報告書を公表、パンデミックの影響について分析している。 そのシナリオによると、2012年に新型インフルエンザのパンデミックが起こり、全人口の20%近くが感染、7カ月で800万人が死亡、その多くは健康な若者だとされている。 このパンデミックで人や物資の国際的な移動が止まり、旅行業のような産業や販売網にダメージを与えるのだが、全ての市民を強制的に隔離した国はダメージが少ないと想定。マスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制され、そうした管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くとされている。 そうした状態を支配層は権力を強化するために望むが、市民は安全と安定を得るため、自らの主権やプライバシーを放棄、電子技術の基盤が整備されている先進国では、全ての市民に生体認証が義務づけられる。 WEF(世界経済フォーラム)、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、ウェルカム・トラストを含む組織がCOVID-19騒動で重要な役割を果たしたが、さまざまな指示はWHOから出ている。 ファイザーやFDA(食品医薬品局)は「mRNAワクチン」に関する文書の情報公開法による公表を75年後まで引き伸ばそうとしていたが、裁判所はその要請を拒否、明らかにされつつある。医薬品業界で研究開発に関わってきたサーシャ・ラティポワによると、そうした文書の分析から、接種計画はオバマ政権の時代にアメリカの国防総省が始めていることが判明したという。 文書の分析から医薬品会社や監督官庁は薬の危険性を理解した上で、つまり死亡者や深刻な副作用、例えば血栓、自己免疫疾患、サイトカインストームなどが現れることを承知で接種を強行したことがわかってきた。医薬品などを投与したとき、血中に炎症性のサイトカインが放出され、悪寒、倦怠感、発熱、血圧変化などの症状を起こすことがあるという。LNPが特定の臓器、特に卵巣へ蓄積することが2012 年から知られていて、生殖能力への悪影響も懸念されていたようだ。 また、ロシア軍は昨年2月24日から巡航ミサイルなどでウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃した際に機密文書を回収しているが、その中に生物化学兵器に関する約2000文書が含まれていた。その分析の結果、アメリカはウクライナで「万能生物兵器」を研究していたことが判明したとされている。 危険性の高い「COVID-19ワクチン」が日米欧を中心に接種が推進されたのは「医薬品メーカーのカネ儲け」が理由だとする人も少なくないが、それは副次的な問題にすぎない可能性がある。アメリカの国防総省ですら主体ではなく、強大な私的権力が何らかの理由で多くの人間を殺し、不具にしていることも考えられる。
2023.05.13
日本が中国やロシアと戦争する準備を進めていることは事実だが、だからといって日本が「軍事大国」になるという見方は正しくない。日本には軍事戦略がないからだ。軍事戦略を決めているのは、言うまでもなく、アメリカの支配者たちである。 国際的には「日本軍」と認識されている自衛隊はアメリカの戦略に基づいて南西諸島でミサイル発射基地を建設してきた。2016年には与那国島、19年には宮古島と奄美大島、今年3月には石垣島で駐屯地が建設されている。 昨年、アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書には、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画が記載されている。RANDによると、そうしたミサイルを配備できそうな国は日本だけだ。 しかし、その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力するという形にした。ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたのだ。 アメリカの世界戦略はイギリスが19世紀に始めたものを踏襲しているが、1991年12月のソ連消滅は大きな節目になっている。ライバルの消滅でアメリカは唯一の超大国になったとネオコンは認識、1992年2月にDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成している。 その時の国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツで、ふたりともネオコン。ウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから、そのDPGは「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 この戦略を日本に強制するため、国連中心主義を打ち出していた細川護煕内閣を1994年4月に倒し、国防次官補だったジョセイフ・ナイが95年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表、日本をアメリカの戦争マシーンへ引き込むための道を作った。 1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)、その10日後に警察庁の國松孝次長官が狙撃され、そして8月には日本航空123便の墜落に自衛隊が関与していることを示唆する大きな記事がアメリカ軍の準機関紙とみなされているスターズ・アンド・ストライプ紙に掲載されるという出来事を経て日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。 2001年の「9/11」をはさみ、2002年に小泉純一郎政権は「武力攻撃事態法案」を国会に提出、03年にはイラク特別措置法案が国会に提出され、04年にアーミテージは自民党の中川秀直らに対して「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つになっている」と言明する。 2005年には「日米同盟:未来のための変革と再編」が署名されて対象は世界へ拡大、安保条約で言及されていた「国際連合憲章の目的及び原則に対する信念」は放棄された。そして2012年にアーミテージとナイが「日米同盟:アジア安定の定着」を発表した。 安倍晋三は総理大臣時代の2015年6月、赤坂にある赤坂飯店で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたというが、これはアメリカの戦略を明確に示しているとも言える。 西太平洋からインド洋にかけての海域をアメリカ軍は一体のものとして扱うことにしたようで、2018年5月にアメリカ軍は「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ作り替え、日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点、そしてインドネシアを両海域をつなぐ場所だとした。 東アジアにおける軍事作戦の中核としてアメリカ、イギリス、オーストラリアは2021年9月にAUKUSなる軍事同盟を創設、アメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供すると伝えられた。ジョー・バイデン米大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると語っている。 中国やロシアのような国を相手にした場合、海上艦船はミサイルで短時間のうちに撃沈される可能性が高い。海における戦闘の主体は潜水艦になる。 その潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上、アメリカ海軍の潜水艦になる。山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明した。 尹錫悦韓国大統領とジョー・バイデン米国大統領が4月26日に行なった共同記者会見の内容を批判する声明を朝鮮労働党の金與正中央委員会副部長は28日に発表、「政権の終焉」という表現が問題になった。 米韓首脳会談でアメリカの核兵器を搭載した潜水艦を韓国が受け入れることが決まったが、これは「NCG(核協議グループ)」の創設とリンクしている。アメリカが核兵器を展開する過程において韓国が参加することを保証する仕組みで、アメリカや「オーストラリア」の原子力潜水艦のほか、日本に配備されるミサイルとも無関係ではないだろう。全てアメリカの戦略に基づいている。 日本も韓国もアメリカの戦闘奴隷になる道を歩き始めた。その日本を「軍事大国」と呼ぶことはできないだろう。日本は「首無し鶏」状態なのである。
2023.05.12
イギリスのリシ・スナク政権は空中発射型の長距離巡航ミサイル「ストーム・シャドー」をウクライナへ供給しはじめた。このミサイルの射程距離は250キロメートルから560キロメートルで、距離だけを考えるとロシア領を攻撃できる。アメリカのジョー・バイデン政権と連携しての動きだろう。 長距離ミサイルの供給はロシア側を刺激することは間違いなく、ウラジミル・プーチン政権は軍事的に適切な対応をするとしている。ロシア軍はウクライナとの国境近くに極超音速ミサイルR-37Mを搭載できるMigG-31やSu-57を配備しているが、このミサイルは200キロメートル以上離れた航空機を撃墜した実績がある。 アメリカ政府は長距離ミサイルの供給をためらってきたが、別の兵器や資金は大量にウクライナへ投入してきた。兵器の相当部分が闇市場へ流れていると言われているが、これはアメリカ政府の管理下で行われている可能性がある。表立って兵器を供給できない国で活動している武装集団へ渡すためだ。闇市場から投げれていく先として中東が噂されているが、シリアの反政府勢力だとも言われている。 アメリカのバラク・オバマ政権は2011年3月からイスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、カタール、トルコと連携してシリアに対する侵略戦争を始めた。手先の武装集団はリビアのケースと同じムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心に編成された。つまり、アル・カイダ系武装集団だ。 シリアより1カ月早く侵略戦争が始まったリビアでは、地上で戦うアル・カイダ系武装集団と空爆を行うNATO軍の連携が機能し、2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィは惨殺された。リビアから戦闘員や兵器/武器がシリアへ運ばれる。2012年からシリアでの戦闘に集中するつもりだったのだろう。 輸送の拠点になったのはベンガジにあったCIAの施設やアメリカの領事館で、アメリカの国務省はそうした行為を黙認していた。マークを消したNATOの輸送機が武器をリビアからトルコの基地まで運んだとも伝えられている。 そのアメリカ領事館は2012年9月11日に襲撃され、大使だったクリストファー・スティーブンスが殺された。領事館が襲撃される前日、大使は武器輸送の責任者だったCIAの人間と会談、襲撃の当日には武器を輸送する海運会社の人間と会っていたとされている。ちなみに、当時のCIA長官はデイビッド・ペトレイアス、国務長官はヒラリー・クリントンだ。 シリアへ運ばれた戦闘員や兵器はアル・カイダ系武装集団へ流れる。その事実を否定できないオバマ大統領は「穏健派」への支援だと強弁するが、それが事実に反することを明らかにする報告書をアメリカ軍の情報機関DIAが2018年8月にホワイトハウスへ提出した。 その報告書の中で、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告しているが、その警告は2014年にダーイッシュという形で現実になった。シリアで政府軍と戦っているアル・ヌスラはアル・カイダ系武装集団のAQI(イラクのアル・カイダ)と同じだともしている。 オバマ大統領は2015年に入るとシリアへの軍事介入を目指すような動きを見せた。戦争に慎重な人物から好戦的な人物へ入れ替えたのである。2月に国防長官はチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへバトンタッチ、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーが退任してジョセフ・ダンフォードへ交代しているのだ。 ところが、デンプシーが退任した直後の9月末にロシア政府はシリア政府の要請で軍事介入、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュの支配地域を急速に縮小させていく。シリアでの戦闘でロシア軍は兵器の優秀さと戦闘能力の高さを世界へ見せつけることになる。 ジハード傭兵の敗走を受け、アメリカはクルドを新たな手先にするのだが、それが一因になってクルドを敵視しているトルコが離反。戦争の長期化で経済が悪化したことも大きな理由だ。シリアへの侵略時にアメリカの同盟国だった別の国、サウジアラビアもアメリカから離れはじめた。トルコとサウジアラビアはアメリカの支配システムにとって重要な国で、この離反は大きい。 ダーイッシュを登場させた2014年、アメリカ政府はウクライナでクーデターを実行、2010年の選挙で選ばれたビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除した。その時に手先として使われたのはネオ・ナチだ。 ヤヌコビッチの支持基盤だった東部と南部はソ連時代を除いてロシア領だった地域で、住民の大半がロシア語を話し、文化的にもロシアに近い。クーデターを拒否し、南部のクリミアはいち早く住民投票を経てロシアと一体化、東部のドンバスでは内戦が始まった。オデッサの反クーデター派住民はネオ・ナチに虐殺され、制圧された。 すでにキエフのクーデター体制は武器弾薬が枯渇、「玉砕戦法」の繰り返しで十数万人から30万人以上の兵士が戦死、ロシア軍の攻撃で軍事施設も壊滅状態だ。長距離巡航ミサイルで戦況が大きく変化するとは思えない。
2023.05.12
次のアメリカ大統領選挙へ民主党から出馬すると表明しているロバート・F・ケネディ・ジュニアは5月7日、WABCラジオでホストを務めるジョン・カツィマティディスのインタビュー中、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺にCIAが関係している可能性に言及した。「合理的疑惑以上」だとしている。これまで少なからぬ研究者やジャーナリストがこの暗殺を調査、同じ結論に達している。 ケネディ大統領は1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺され、その直後にリー・ハーベイ・オズワルドが逮捕される。ところが暗殺の2日後、ダラス警察の地下でオズワルドは射殺された。その犯人だとされているジャック・ルビー(ジェイコブ・ルベンスタイン)はナイトクラブのオーナーで、シカゴの犯罪組織とつながっていた。犯罪組織の大立者でCIAの仕事をしていたサム・ジアンカーナと緊密な関係な関係にあったとも言われている。 ルビーは1964年4月に死刑が言い渡されたが、上訴裁判所はそれを取り消す。この年の6月にウォーレン委員会のメンバーとダラスで面談したルビーはワシントンDCへ移すように強く求めている。テキサスにいては命が危ないという理由だった。自分は真実を話す用意があるが、テキサスでは無理だというのだ。結局、彼の移送は認められず、1967年1月にパークランド病院でガンのために55歳で死亡した。 ケネディ大統領は1963年11月2日にシカゴを訪れる予定だったが、そこでも暗殺計画があった。パレードの途中で4名のスナイパーが高性能ライフルで大統領を狙うという情報をFBIが「リー」なる情報源から入手、シークレット・サービスへ伝えられた。 また、シカゴ警察のバークレー・モイランド警部補は10月後半、シカゴにあるカフェテリアの経営者からケネディ大統領に関して不穏当な話をする常連客がいることを知らされている。そこで警部補はその男が来るのを待ち、トーマス・アーサー・ベイリーだと確認してからシークレット・サービスに連絡している。(James W. Douglass, “JFK”, Orbis, 2008) ベイリーの自宅を捜索すると、M1ライフル、カービン銃、2800発の銃弾があった。11月2日午前9時10分(東部時間では10時10分)、ケネディがシカゴのオハラ空港へ到着する予定時刻の30分前にベイリーは逮捕されている。 警察で捜査を担当したのはダニエル・グロスとピーター・シューラだが、グロスはFBIやCIAの訓練を受けた人物で、1969年には警官隊を率い、黒人解放運動を掲げて活動していたブラック・パンサーの指導者であるフレッド・ハンプトンとマーク・クラークを射殺する。またシューラは1970年代にシカゴの警察本部で情報担当の幹部になった。 11月18日にマイアミで暗殺する計画もあったと言われている。そこで自動車によるパレードが中止になった。そして22日に大統領はダラスへ入る。(Peter Janney, “Mary’s Mosaic,” Skyhorse, 2013) 当時のダラス市長アール・キャベルの兄のチャールズ・キャベルは1953年4月からCIA副長官を務め、アレン・ダレス長官と同じようにソ連との核戦争を視野に入れた好戦的な作戦を実行しようとしていた。ケネディ大統領は1961年11月にダレス長官を、そして1962年1月にはキャベル副長官を解任している。 1963年11月22日の朝、ケネディ大統領はフォート・ワースのカーズウェル空軍基地からダラスのラブ・フィールドへ移動、そこでパレード用のリンカーン・コンバーティブルに乗り込む。 そのリムジンの約400メートル前方を走るパイロット・カーを運転していたのはダラス警察副本部長のジョージ・ランプキン。この人物は予備役の第488情報分遣隊で副隊長を務めていたが、その分遣隊で隊長を務めていたジャック・クライトンはダラスの石油業者で、ジョージ・H・W・ブッシュと親しく、第2次世界大戦でCIAの前身であるOSSに所属していた。 大統領が乗ったリムジンは防弾仕様でなく、屋根はシークレット・サービスのウィンストン・ローソンの指示で取り外されている。またリムジンのリア・バンパーの左右には人の立てるステップがあり、手摺りもついているが、パレードのときには誰も乗っていない。大統領の指示だったという話もあるが、エージェントだったジェラルド・ベーンは大統領がそうした発言をするのを聞いていないと証言している。元エージェントのロバート・リリーによると、大統領はシークレット・サービスに協力的で警備の方法に口出しすることはなかった。 パレードの途中、12時半頃にケネディ大統領は暗殺された。後ろの教科書ビルから撃たれたことになっているが、映像を見ても証言を調べても、致命傷になったであろう銃撃は前方からのものだった可能性がきわめて高い。銃撃が始まると、大統領を乗せたリムジンの後ろを走る自動車にいた特別エージェントのエモリー・ロバーツは部下のエージェントに対し、銃撃だと確認されるまで動くなと命令している。 しかし、クリント・ヒルは命令を無視してリムジンに飛び乗る。彼によると、銃撃の後に喉を押さえるケネディ大統領を見てのことだ。まだステップに足がかかる前、血、脳の一部、頭骨の破片が自分に向かって飛んできて、顔、衣類、髪の毛についたとしている。 ステップにヒルの足がかかった時、大統領夫人のジャクリーンもボンネットの上に乗り、大統領の頭部の一部を手に触れようとしていた。その時、大統領の頭部の中が見えたという。リムジンの前方から銃撃されたことは決定的だ。(Clint Hill with Lisa McCubin, “Mrs. Kennedy and Me”, Gallery Books, 2012) ケネディ大統領の死亡はダラスのパークランド記念病院で確認されているが、後にルビーもこの病院で死亡する。大統領の死体を見た病院のスタッフ21名は前から撃たれていたと証言、確認に立ち会ったふたりの医師、マルコム・ペリーとケンプ・クラークは大統領の喉仏直下に入射口があると記者会見で語っている。前から撃たれたということだ。 そうした証言をしたペリーにベセズダ海軍病院から電話が執拗にかかり、記者会見での発言を撤回するように求められている。これは同病院で手術や回復のための病室を統括していた看護師、オードリー・ベルの証言。ペリー本人から23日に聞いたというが、数カ月後にそのペリーは記者会見での発言を取り消し、喉の傷は出射口だとする。ウォーレン委員会でもそのように証言した。(Peter Janney, “Mary’s Mosaic,” Skyborse, 2013) 大統領の死体は法律を無視してパークランド記念病院から強引に運び出され、検死解剖はワシントンDCのベセズダ海軍病院で行われた。担当した軍医のジェームズ・ヒュームスは検死に不慣れだったとも言われている。 狙撃の訓練を受けたわけでもないオズワルドがひとりでケネディ大統領を暗殺したとする公式説に疑問を持った地方検事がいた。ニューオリンズのジム・ギャリソンだ。1966年後半から捜査を始め、67年3月にクレイ・ショーを逮捕する。オズワルドがソ連へ「亡命」した時に名前が出てきた人物で、サントロ・モンディアール・コメルシアールやパーミンデックスの理事でもあった。イタリアの王族や貴族もCIAの秘密工作で名前が出てくるが、ここではそうした話を割愛する。 パーミンデックスはCIAやイギリスのMI6と関係が深いと言われている会社で、アルジェリアの独立に反対する軍人グループへ資金を供給していたとイタリアでは報道されている。ショーを逮捕したギャリソンはアメリカの有力メディアから批判されるが、それだけ彼は核心に迫っていたということだろう。 その軍人グループとは1961年に創設された反ド・ゴール派の秘密組織OAS(秘密軍事機構)。イタリア政府もサントロとパーミンデックスを危険な存在だと認識、1962年に両社は国外へ追放され、ヨハネスブルクへ本部を移している。(Jim Garrison, “On The Trail Of The Assassins”, Sheridan Square Press, 1988) シャルル・ド・ゴールは大戦中、レジスタンスに参加している。アメリカやイギリスの私的権力はこのゲリラ戦部隊を敵視、対抗するために組織したのがジェドバラ。この人脈が大戦後、CIAの秘密工作部門やNATOの秘密部隊ネットワークを築いた。ド・ゴールが命を狙われた一因は第2次世界大戦中にナチスと戦ったことにあると考える人は少なくない。 パーミンデックスが創設されたのはスイスで、カナダにも施設があった。設立当時の1958年における社長兼会長はルイス・モーティマー・ブルームフィールドだが、この人物は1938年にイギリスの破壊工作機関SOE(特殊作戦執行部)へ入っている。 第2次世界大戦中、OSSとの連絡機関としてイギリスはBSC(英国安全保障局)を設置するが、その責任者だったウィリアム・ステファンソンはケネディ大統領が暗殺された当時、ブルームフィールドを動かす立場にいた。(EIR, “Dope, Inc.”, Progressive Press, 2010) ケネディ大統領が暗殺された後、副大統領だったリンドン・ジョンソンが大統領に就任、11月29日に「ケネディ大統領暗殺に関する大統領委員会」を設置、アール・ウォーレン最高裁長官を委員長に据える。委員長の名前から「ウォーレン委員会」と呼ばれることが多い。 委員会のメンバーはウォーレンのほかにリチャード・ラッセル上院議員(当時、以下同じ)、ジョン・クーバー上院議員、ヘイル・ボッグス下院議員、FBIと関係が深いジェラルド・フォード下院議員、アレン・ダレス元CIA長官、ドイツの高等弁務官としてナチスの大物を匿ったジョン・マックロイ元世界銀行総裁がいた。そして主席法律顧問はFBIとCIA両方とつながっていたリー・ランキン。この中で委員会の専従はダレスだけだった。 ウォーレン委員会が暗殺に関する報告書を出した3週間後の1964年10月12日、ケネディ大統領と親しかったマリー・ピンチョット・メイヤーが散歩中に射殺された。銃弾の1発目は後頭部、2発目は心臓へ至近距離から撃ち込まれている。プロの仕業だ。容疑者として逮捕されたレイモンド・クランプは1965年に無罪が言い渡されているが、捜査は杜撰だった。 ケネディ大統領が暗殺された直後にマリーはハーバード大学で心理学の講師をしていた友人のティモシー・リアリーに電話し、泣きじゃくりながら「彼らは彼をもはやコントロールできなくなっていた。彼はあまりにも早く変貌を遂げていた。・・・彼らは全てを隠してしまった。」と語ったという。(Timothy F. Leary, Flashbacks, Tarcher, 1983) マリーは大統領と親しかったことから何かを聞いていた可能性があるが、それだけではない。彼女が結婚したコード・メイヤーは大戦後、CIAで秘密工作部門の幹部を務めている。ふたりは1958年に離婚しているものの、彼女はCIAの内部情報を知りうる立場にあった。 ジョン・F・ケネディ大統領、弟のロバート・ケネディ、ケネディ兄弟と親しかったマーチン・ルーサー・キング牧師は短い期間の間に暗殺された。ケネディ大統領の息子であるジョン・F・ケネディ・ジュニアは大統領選挙を翌年に控えた1999年7月16日に「飛行機事故」で死亡している。当時、彼の出馬を望む声は小さくなかった。 次の大統領選挙への出馬を表明しているロバート・F・ケネディ・ジュニアはロバート・ケネディの息子であり、ジョン・F・ケネディの甥であり、ジョン・F・ケネディ・ジュニアの従兄弟にあたる。
2023.05.11
ウクライナ国防省情報総局(GUR)のキリーロ・ブダノフ局長は「この世界のどこにいてもロシア人を狙い殺し続ける」とヤフーの記者に主張した。昨年8月20日にモスクワでトヨタ製ランド・クルーザーが走行中に遠隔操作で爆破され、乗っていたジャーナリストのダーヤ・ドゥギナが死亡したが、これはウクライナ政府によるものだとアメリカの情報機関は考えていると伝えられている。この件を質問されての答えだ。 ドゥギナだけでなく、今年4月2日にはジャーナリストのウラドレン・タタルスキーば爆弾テロで殺され、5月6日には作家のザハール・プリレーピンが乗った自動車が爆破されて重傷を負った。 昨年2月24日にロシア軍がウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設を巡航ミサイルなどで攻撃し始めた後、ロシア国内では不可解な軍事関連施設での爆破事件が続いたが、ジャーナリストのジャック・マーフィによると、NATO加盟国の情報機関を使ってロシア国内で破壊活動を行なったという。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、全てのNATO加盟国には秘密部隊が存在している。この問題を研究しているダニエレ・ガンサーによると、加盟国は「右翼過激派を守る」ことが秘密の議定書によって義務づけられ、その「右翼過激派」が秘密部隊のメンバーになっている。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) アメリカ人ジャーナリストのアーサー・ローズ、情報活動に関するイタリアの専門家であるジュゼッペ・デ・ルティース、イタリアでグラディオを調査しているマリオ・コグリトーレなどもこの議定書は存在していると主張している。 こうした秘密部隊を組織したのはアメリカとイギリスの情報機関。第2次世界大戦でドイツ軍がソ連軍に敗北したことが原因だ。 ドイツ軍は1941年6月にソ連に対する侵略戦争を始める。「バルバロッサ作戦だ。この作戦で東へ向かったドイツ兵は約300万人、西部戦線に残ったドイツ軍は約90万人だと言われている。7月にドイツ軍はレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)を包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点まで迫った。 そこでソ連軍は敗北して再び立ち上がることはないと10月3日にアドルフ・ヒトラーはベルリンで語り、ウィンストン・チャーチル英首相の軍事首席補佐官だったヘイスティングス・イスメイは3週間以内にモスクワは陥落すると推測していた。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) そう見通していたイギリスはソ連を助けようとしなかった。ナチスを資金面から支えていたのはイギリスやアメリカの金融資本だということを考えると当然だろう。 ところがそうした見通しは外れ、1942年1月にドイツ軍はモスクワでソ連軍に降伏、8月にはスターリングラード市内へ突入して市街戦が始まる。当初はドイツ軍が優勢に見えたが、11月になるとソ連軍が猛反撃に転じ、ドイツ軍25万人はソ連軍に完全包囲され、1943年1月にドイツ軍は降伏する。スターリングラードでの敗北でドイツの降伏は決定的になった。 ソ連の敗北を期待していたイギリスは慌てる。しかも、このまま終わるとソ連がドイツに勝ったということになってしまう。それを避けるためには時間を稼ぐ必要があった。 ポツダム宣言は即時無条件降伏を要求しているが、「無条件降伏」という語句が出てきたのは1943年1月。フランクリン・ルーズベルト米大統領とウィンストン・チャーチル英首相がフランスのシャルル・ド・ゴールらとカサブランカで会談した際のことだ。この会談で無条件降伏が主張されなければ、早い段階でドイツは降伏していただろう イギリスはアメリカと会談、1943年7月に両国軍はシチリア島への上陸作戦を敢行。ハリウッド映画で有名なノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからだ。すでに主力が壊滅しているドイツ軍の戦闘能力は大幅に低下していた。大戦後、西側のプロパガンダでイギリスやアメリカの軍隊がドイツ軍を破ったような印象が作られたが、実際はソ連軍に負けたのだ。シチリア島上陸作戦以降、米英が敵視したのはソ連とレジスタンスである。 イギリスとアメリカがレジスタンス対策として組織したゲリラ戦部隊がジェドバラ。戦争が終わった後、その部隊を基盤にして秘密部隊が組織され、北大西洋条約が締結されてNATOが創設されるとその軍事同盟の中へ入り込む。その秘密部隊は1951年からCPC(秘密計画委員会)の下で活動するようになった。SACEUR(欧州連合軍最高司令官)の命令でCPCの下部組織として1957年にはACC(連合軍秘密委員会)が創設されている。この秘密部隊ネットワークは現在でも活動していると言われ、それがロシア国内で破壊活動を始めた可能性がある。 2022年9月26日から27日にかけての間にロシアとドイツがバルト海に建設した2本のパイプライン「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」が爆破され、天然ガスが流出した。実行したのはアメリカ海軍の特殊部隊だとする記事を調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは発表したが、今のところ最も説得力のある情報だ。 ハーシュによると、アメリカのジョー・バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成、その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加している。12月にはどのような工作を実行するか話し合ったという。そして2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申している。 2022年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官は、ロシアがウクライナを侵略したらノード・ストリーム2を止めると発言、2月7日にはバイデン大統領がノード・ストリーム2を終わらせると主張、記者に実行を約束した。こうした発言の背後には爆破計画があったわけだ。 爆破計画の拠点として選ばれたのはノルウェー。イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長の母国だ。ハーシュによると、3月にはサリバンのチームに属すメンバーがノルウェーの情報機関に接触、爆弾を仕掛けるために最適な場所を聞き、ボルンホルム島の近くに決まった。 プラスチック爆弾のC4が使われたが、仕掛けるためにはロシアを欺くためにカムフラージュが必要。そこで利用されたのがNATO軍の軍事演習「BALTOPS22」だ。その際にボーンホルム島の近くで無人の機雷処理用の潜航艇を使った訓練が行われた。 2022年10月8日にはクリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア橋(ケルチ橋)が爆破された。この事件はイギリスのMI6が計画したとも言われている。 ロシアのFSB(連邦保安庁)によると、使われたのはトラックに積まれた建設用フィルムのロールに偽装したプラスチック爆弾。爆破工作を計画したのはGURだという。爆破の直後、ウクライナ大統領府長官の顧問を務めるミハイロ・ポドリャクは「始まりだ」と発言した。 それに対し、計画の黒幕はイギリスの対外情報機関MI6(SIS)だという情報もある。西側の有力メディアが実行者をSBUだとしていたのはそのためだという。MI6はイギリスの金融界、通称「シティ」との関係が深く、アメリカの情報機関CIAの教師的な存在でもある。 12月5日にはロシア領内へ深く入った場所にあるディアギレボ基地とエンゲルス基地が、また12月26日にもエンゲルス基地がそれぞれUAV(ドローン)で攻撃されたが、いずれもロシア領に潜入した工作員によるものだと言われている。 今年5月3日にはクレムリンが2機のドローン(無人機)に攻撃されたが、施設は損害を受けず、死傷者もいなかった。ECM(電子対抗手段)が使われた可能性がある。ロシアのトリー・ペスコフ大統領報道官は5月4日、攻撃目標を決めたのはアメリカ政府であり、ウクライナ政府は命令を実行しただけだと語った。
2023.05.10
厚生労働省は5月8日から「新型コロナウイルスワクチン(COVID-19ワクチン)」、つまり遺伝子操作薬の2023年度の接種を始めた。「65歳以上の高齢者や基礎疾患があるなど重症化リスクの高い人、こうした人に接する機会が多い医療機関や高齢者・障害者施設の従事者」が対象だとしている。 この新薬は病気の原因になるスパイク・タンパク質を人間の細胞に生産させる。血管、内臓、神経などがダメージを与えるスパイク・タンパク質を生産する人間の細胞は人間自身の免疫システムによって攻撃を受けるが、そのダメージを緩和するために免疫力が低下してエイズ状態になる。 精巣の細胞にmRNAが入り込み、精子でなくスパイク・タンパク質を作り続けるケースもあるようだが、人体に有害なLNP(脂質ナノ粒子)がmRNAを人間の細胞内へ送り込むために使われているが、そのLNPは卵巣を含むあらゆる臓器に蓄積する。生殖システムが破壊される可能性が指摘されている。 スペインのパブロ・カンプラ教授は2021年6月、「mRNAワクチン」の中に「酸化グラフェン」があることを電子顕微鏡などで発見したと発表、11月には周波数の分析で酸化グラフェンが「ワクチン」に含まれていることを確認したと発表している。 その論文を読んだドイツの化学者、アンドレアス・ノアックは酸化グラフェンでなく水酸化グラフェンだろうと解説。この物質は厚さが0.1ナノメートルの小さな板のようなもので、彼はカミソリの刃になぞらえていた。「mRNAワクチン」を接種すると、血管の中を小さな「カミソリの刃」が動き回るというわけだ。 しかも、ここにきて「COVID-19ワクチン」からDNAが発見されたと伝えられている。ファイザー製の製品に含まれていたDNAには発癌性ウイルスであるSV(シミアン・ウイルス)40の塩基配列の一部が入っていることがわかったという。 これはサルを宿主とするポリオーマウイルスで、人間の体内に入り込むと癌を誘発する。1950年代にポリオ・ワクチンが開発された際、それを投与したサルがポリオを発症することが判明するが、バーニス・エディという研究者はワクチンの中にSV40が混入していることにも気づき、講演会でこのウイルスが人間の体内に入り込むと癌を誘発すると話している。 彼女はNIH(国立衛生研究所)に所属していた研究者だが、その発言にNIHの上司は激怒、組織の幹部は警告を封印し、医薬品メーカーはワクチンの製造を続ける。1961年7月に製造は止まってリコールが宣言されたものの、NIHは市場へ出回っている製品の回収を命じなかった。そこでアメリカ人は発癌性のワクチンを1961年から63年にかけて接種されることになる。その後、SV40が原因だと推測られる病気が増えた。 SV40の塩基配列の一部を含むDNAが「COVID-19ワクチン」から発見されたのだ。そもそもDNAが存在してはならないのだが、SV40の塩基配列を含む理由はミスなのか故意なのか明確でない。 ともかく「COVID-19ワクチン」は高リスクで人類の存続を危うくしかねない。当初、接種を推進していた欧米でも昨年はやめているが、日本だけは例外。政治家も官僚もメディアも正気ではないが、危険性を知り、接種しない人が増えている。
2023.05.10
NATO(北大西洋条約機構)は2024年中に連絡事務所を東京に設置するという。アメリカは2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ編成替えしているが、この海域における協力関係を強化することが目的のようだ。仮想敵国は中国とロシア、NATOの同盟国として想定されている国はアングロ・サクソン系で米英の支配下にあるオーストラリアとニュージーランド、そして日本と韓国だ。 イギリスやアメリカは19世紀から東アジアを侵略し、略奪しようと目論んできた。当時、経済力で中国(清)に太刀打ちできないイギリスはインドで生産したアヘンを売りつけようとする。麻薬取引への批判を回避するため、イギリス王室は「民間企業」の東インド会社が中国へ売るという形式を作った。 麻薬の流入を嫌った中国は取り締まりを強化、それに対抗してイギリスは1839年から42年にかけての「アヘン戦争」、そして1856年から60年にかけての「第2次アヘン戦争(アロー戦争)」を仕掛けた。この戦争でイギリスが手に入れた香港はその後、秘密工作や麻薬取引の拠点になる。 イギリスがアヘンを生産させていたインドでは1857年から58年にかけてインド人傭兵(いわゆるセポイ)が反乱を起こした。「インド大反乱」と呼ばれているが、その責任を問われて東インド会社は1858年に解散した。 2度のアヘン戦争でイギリスは勝利、同国とアメリカの貿易商は大儲けしたものの、征服はできなかった。戦力が足りなかったからだ。そこで目をつけたのが侵略拠点としての日本列島であり、傭兵としての日本人だ。イギリスは長州と薩摩を利用して徳川体制を倒す。これが明治維新であり、天皇制官僚体制の始まりだ。 中国の茶や絹をイギリスへ運び、インドで仕入れたアヘンを中国へ持ち込んで大儲けした貿易商のひとつがジャーディン・マセソン。この会社は1859年にエージェントとしてウィリアム・ケズウィックとトーマス・グラバーを日本へ送り込む。ケズウィックは横浜、グラバーは長崎を拠点にした。 アメリカの業者はトルコ産のアヘンを中国へ売っていた。そのひとりがウィリアム・ハンチントン・ラッセル。1833年にエール大学の秘密結社「スカル・アンド・ボーンズ」を創設した人物だ。この結社はアメリカを支配する人脈へ通じている。 ラッセル家はイギリスの東インド会社とつながり、奴隷取引でも儲けていたとも言われている。麻薬の売買を始めてからは奴隷制度反対を言い始め、嘲笑の対象になっていたともいう。(George Canning, “The bones in Bush’s closet,” EIR, January 22-28, 1980) イギリスは19世紀に植民地を拡大させていた。1866年にアフリカの南部地域でダイヤモンドが発見され、86年にはトランスバール(南アフリカ北東部)で大量の金が発見されると、セシル・ローズは南アフリカへ移住、ダイヤモンド取引で財をなし、デ・ビアスを創設した。ローズに融資していた金融機関はNMロスチャイルド&サンである。 その後、トランスバールへの侵略に失敗したローズはイギリスへ戻ってナサニエル・ロスチャイルドと会う。ロスチャイルドはウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、そしてアルフレッド・ミルナーと緊急会談を開いて対策を練った。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) ロスチャイルドは金融界に君臨する大物であり、ステッドは多くのメディアを支配して情報操作を行っている。ブレッドは心霊主義の信者としても知られているビクトリア女王の相談相手で、後にエドワード7世やジョージ5世の顧問を務めた。(前掲書) 1899年から1902年にかけての南アフリカ戦争でトランスバールとオレンジは併合され、イギリス領になっていたケープ植民地とナタールに新しく併合した2領地を合わせてできたのが南アフリカ連邦だ。その後オランダ系のボーア人とイギリス系の白人は手を組んでアパルトヘイト(人種隔離政策)を推進、有色人種を支配するシステムを作り上げていく。 一連の動きで重要な役割を果たしたローズは優生学を信奉していた。彼は1877年6月にフリーメーソンへ入会、その直後に書いた『信仰告白』の中でアングロ・サクソンは最も優秀な人種であり、その居住地が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張している。領土を拡大して大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務であり、領土の拡大はアングロ・サクソンが増えることを意味するとしている。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) そのアングロ・サクソンはアメリカやオーストラリアで先住民を虐殺しているが、東アジアでは中国に照準を定め、最終的にはスラブ民族が支配するロシアを征服しようと計画する。ウクライナへの工作もその一環だ。 オーストラリアは2021年9月、イギリスやアメリカとAUKUSなる軍事同盟を創設したと発表、アメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられた。ジョー・バイデン米大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると語っている。 その潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上、アメリカ海軍の潜水艦になる。山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明した。 アングロ・サクソン系のアメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、その戦闘奴隷とみなされている日本という構図は19世紀と基本的に同じだ。当時、朝鮮は侵略の手先になることを拒否、日本に併合された。韓国の現政権は侵略の手先になる道を進もうとしているが、国内の反発は小さくないだろう。
2023.05.09
ウクライナ北東部にあるハリコフ州を拠点に取材していたジャーナリストのゴンサロ・リラが5月5日、SBU(ウクライナ保安庁)に逮捕された。ドンバスには西側からもジャーナリストが入り、取材してきたのだが、その内容はアメリカ/NATOにとって都合が悪い。 昨年2月24日にロシア軍が巡航ミサイル「カリブル」などでウクライナの軍事基地や生物兵器の研究開発施設を攻撃を始めるが、その時点でウクライナ軍はドンバスへ軍事侵攻する準備を進めていた。そこでドンバスの周辺に部隊を集中させていたことからロシア軍の攻撃で壊滅的な打撃を受けたとみられている。 アメリカ/NATOは2014年から8年かけてドンバスの周囲に要塞を築いたと言われたが、戦略的に重要なマリウポリもそういう場所だった。そのマリウポリを占領、拠点化していたのはネオ・ナチを主力とするアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊やアゾフ連隊とも言われる)。内務省に所属する親衛隊の中核だ。ロシア軍が攻撃を始めると住民は人質として使われた。 ジョー・バイデン政権はウクライナでロシア軍が「ジェノサイド」を行っていると主張、それを西側の有力メディアは宣伝したが、解放されたマリウポリ市民は異口同音に親衛隊の残虐行為を告発した。 そうした証言を撮影した少なからぬ映像がインターネットで公表されて世界に人が実態を知ることができたが、アメリカ/NATOはインターネットの巨大企業を使ってそうした情報を削除していくが、一部の映像はインターネット上に残った。 親衛隊などが住民を人質にして立てこもっていたのアゾフスタル製鉄所からも住民が脱出、そのひとりであるナタリア・ウスマノバの証言をシュピーゲル誌は3分間の映像付きで5月2日に伝えたが、すぐに削除してしまう。彼女は親衛隊の残虐な行為を告発、ロシアへ避難し、戻る場所はドネツクしかないとし、ウクライナを拒否する発言が含まれていたからだ。 シュピーゲルが流したウスマノバの証言映像は西側メディアにとっても都合の悪いものだった。シュピーゲル誌はこの映像をロイターから入手したとしているが、その前にロイター自身も彼女の証言映像を流していた。それは約1分間の映像で、彼女がロシア軍を批判しているような印象を受けるように編集されていた。 西側の有力メディアはアメリカ/NATOのプロパガンダ機関として機能しているが、その仕事を妨害してきたのが事実を伝えるジャーナリストだ。ドンバスにもドイツ人ジャーナリストのアリナ・リップ、フランス人ジャーナリストのアン-ローレ・ボンネル、カナダ人ジャーナリストのエバ・バートレット、フランスの有力メディアTF1やRFIのスタッフ、またロシアやイタリア人の記者もいた。ゴンサロ・リラもそうしたジャーナリストに含まれる。アメリカ/NATOはドンバスの現実を伝えるジャーナリストに対する弾圧を強め、ドイツ人ジャーナリストのパトリック・バーブは職を失い、アリナ・リップは銀行口座を接収された。
2023.05.08
5月5日にWHO(世界保健機関)はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)に関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了すると発表、CDC(疾病予防管理センター)のロシェル・ワレンスキー所長は金曜日に辞表を提出した。 WHOが緊急事態を宣言したのは2020年1月30日。同年3月11日にパンデミックを宣言するが、世界的な感染爆発とは言えない状態。死亡者が続出しているわけでもなかった。それにもかかわらずパンデミックを宣言できたのは定義の変更があったからだ。 定義が変更されたのは「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前のこと。「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られたのだ。 COVID-19のパンデミック騒動は2019年12月に中国の湖北省武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が見つかったところから始まる。武漢で発見された患者は重症の急性肺炎に罹患していたのだろう。 2020年2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者が見つかり、人びとを恐怖させることになるが、その後「SARSと似た重症の肺炎患者」が街にあふれ、死者が急増するという事態にはなっていない。この病気は当初、「2019-nCoV」と呼ばれたが、2020年2月に「COVID-19」へ変更された。そして病原体を確認しないまま「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」と命名している。 COVIDという名称を見てヘブライ語を理解できる人の一部は驚いたようだ。ヘブライ語はアラビア語と同じように右から左へ書くのだが、「COVID」を反転させ、それをヘブライ語の文字へ変換させると「死者の霊」という意味になる。ちなみに、そのヘブライ語を語源とする英単語が悪霊を意味するdybbuk(あるいはdibbuk)である。ヘブライ語では「V」と「B」を区別しない。 武漢と横浜での出来事によってCOVID-19には悪霊的なイメージがついたのだが、実態は違い、緊急性が感じられる事態にはならない。そこでWHOやCDCは2020年4月、医学的な矛盾がなく、明白な別の死因がないならば、あるいは適度な確かさがあるならば、死因をCOVID-19としてかまわないと決めた。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員によると、実際、病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいたという。その実態を告発する看護師も少なくなかった。患者数は大幅に水増しされたということだ。 感染拡大を演出するために「無症状感染者」なるタグも使われた。感染者の約9割に症状がないと言われているが、その無症状感染者を「発見」するために利用されたのがはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術だが、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、ウイルス自体を見つけることはできない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性も増える。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だ。 アメリカでは検査のため、CDCがFDA(食品医薬品局)に「2019年新型コロナウイルス(2019-nCOV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」のEUA(緊急使用許可)を発行させ、使用していたが、CDCは2021年7月、このパネルを同年12月31日に取り下げると発表した。この診断パネルはインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるとされていたが、区別できないことを認めているように読める。 こうして作り出されたパンデミック騒動を利用し、少なからぬ国が監禁政策(ロックダウン)をとり、社会の収容所化が進んだ。生産活動や商業活動は麻痺、個人経営の店や中小企業を中心にして経営状態が悪化し、倒産に追い込まれるケースも少なくない。サプライ・チェーンはダメージを受けた。 また、個人を監視、管理する仕組みの導入も図られている。その核になるシステムはデジタルIDだろう。欧州委員会は2019年に公表した指針の中で、EU市民向けの「ワクチン・カード/パスポート」を2022年に導入する計画を立てている。 WEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演、そこでマイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している。 チップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するというのだ。一人ひとりの感情を監視するだけでなく、思想や記憶の管理も考えている。 脳とコンピュータを接合するマイクロチップをイーロン・マスクは開発している。その拠点が「ニューロリンク」なる会社だ。動物では脳にチップを埋め込む実験をすでに実施。来年には人間で行う予定で、FDA(食品医薬品局)の承認を待っている状態だとされていた。 ナチ協力者として知られるシュワブ家のクラウスはスイスにおけるカトリック神学の中心地であるフリブール大学で経済学の博士号を、またチューリッヒ工科大学でエンジニアリングの博士号をそれぞれ取得、後にハーバード大学へ留学し、そこでヘンリー・キッシンジャーから学んでいる。 その後、スイスのエンジニアリング会社エッシャー・ビース(後にズルツァーへ吸収)に入り、アパルトヘイト時代の南アフリカで核関連の研究に携わった。WEFを創設したのは1971年のこと。その際、CIAからも支援を受けている。 こうした人類の個別管理は2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と関係している。「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を特定するためのシステムに記録されていない人びとを管理する必要があるとされ、デジタルIDの導入が進められることになった。2016年5月には国連本部でどのように導入を進めるかが話し合われ、ID2020というNGOが設立される。このNGOにはマイクロソフトも関係している。 チップを脳に埋め込むだけでなく、遺伝子の書き換えも考えられてきた。最近は「COVID-19ワクチン」で知られているモデルナだが、そこで医療部門の責任者を務めるタル・ザクスは2017年12月に次のように語っている:DNAはコンピュータのプログラムに相当し、mRNA技術はOS(オペレーティング・システム)と同じプラットフォームを作り出す。その上で「生命のソフトウェアをハッキングする」という。 悪霊化したCOVID-19を利用し、「ワクチン」というタグの付けられた遺伝子操作薬を世界規模で接種した結果、少なからぬ人が深刻な副作用で苦しみ、死亡するという事態になっている。 mRNAを人間の細胞内へ送り込むために使われる有害なLNP(脂質ナノ粒子)、あるいは体内を傷つける可能性が高いグラフェン誘導体が含まれているだけでなく、ここにきて「ワクチン」からDNAが発見されている。しかもファイザー製の製品に含まれていたDNAには発癌性ウイルスであるSV(シミアン・ウイルス)40の塩基配列の一部が入っていることがわかった。 「ワクチン」と称する遺伝子操作薬は人間の細胞にスパイク・タンパク質を生産させるのだが、そのスパイク・タンパク質が病気の原因になることは「COVID-19ワクチン」の接種が始まって間もない2021年3月にカリフォルニア州サンディエゴ郊外にあるソーク研究所が発表している。解説記事も出された。 スパイク・タンパク質は血管へ入り込み、血管にダメージを与えて血栓や出血の原因になるが、脳へも侵入する。神経系の症状が出るのもそのためだと見えられている。脳に蓄積されたスパイク・タンパク質はそこでも炎症を引き起こし、パーキンソン病、アルツハイマー病、痴呆症などの原因になるとも指摘されている。 心筋炎や心膜炎になる若者が予想以上に多いことが表面化したのは、2021年4月。イスラエルでティーンエージャーを含む若い人びとの間で心筋に炎症を引き起こす事例が見つかり、「ワクチン」との関係が疑われたのだ。 FDAで「ワクチン研究評価室」を室長を務めていたマリオン・グルーバーと生物学的製剤評価研究センターで副センター長を務めてきたフィリップ・クラウスも執筆者に名を連ねる報告が2021年9月、イギリスの医学誌「ランセット」に掲載された。その中でmRNAを利用した製品は「心筋炎」を、またアデノウイルスをベクター(遺伝子の運び屋)に利用したジョンソン・アンド・ジョンソンやオックスフォード/アストラゼネカの製品はギラン・バレー症候群(根神経炎の一種)を引き起こす恐れがあるとしている。 FDAと協力し、遺伝子操作薬の接種を推進してきたCDC。今では人類の存続を危うくする力を持っているが、1970年代にはNIAID(国立アレルギー感染症研究所)と同じように存在意義が問われていた。世界的に伝染病で死亡する人が少なくなっていたからだ。そうした中、登場してきたのがエイズだ。昨年12月までアメリカにおける伝染病対策を指揮していたアンソニー・ファウチがNIAIDの所長に就任したのはエイズ騒動が始まって間もない1984年11月のことである。 1969年9月、国防総省国防研究技術局の副局長だったドナルド・マッカーサーはアメリカ下院の歳出委員会で免疫システムを攻撃する病原体に触れている。「著名な生物学者」の話として、人工的に作られた生物学的な因子、自然には存在せず、自然免疫を獲得できない因子を生産することが5年から10年以内に生産できる可能性があると証言しているのだ。その証言から約10年後にエイズが出現した。
2023.05.08
ワーグナー・グループを率いるエフゲニー・プリゴジンは5月5日、部隊を5月10日にバフムート(アルチョモフスク)から撤退させると宣言した。十分な弾薬が供給されず、多くの死傷者が出ているとしているのだが、すでにロシア軍はその80から90%を制圧したと推測され、ワーグナー・グループの任務は終わろうとしていた。 ロシア軍は昨年5月、ウクライナ北東部のハリコフ州から撤退したのだが、これも戦力不足が原因だとされた。当初、西側の有力メディアは「反転攻勢」だと喜んでいたが、糠喜びだということがすぐ判明する。この地域はステップ(大草原)で、隠れることが困難。ロシア軍は制空権を握り、高性能ミサイルも保有している。侵入したウクライナ軍部隊は壊滅的な打撃を受けた。ロシア軍の撤退はトラップだった可能性が高い。ロシア軍はウクライナ軍が地下要塞を築いていたソレダルへ兵力を集中させていた。 昨年10月、ロシア軍はセルゲイ・スロビキンをドンバス、ヘルソン、ザポリージャの統合司令官に据えた。ソレダルをワグナー・グループが制圧した直後、ワレリー・ゲラシモフ参謀総長をウクライナにおける軍事作戦の統合司令官に据え、スロビキンは副官にするという発表があったが、指揮の実態に変化はない。 バフムート制圧が見えてきた段階でワーグナー・グループのプリゴジンはショイグを批判した。十分な武器弾薬が供給されていないというものだ。チェチェン人部隊を率いているラムザン・カディロフも同じことを主張していた。そうした批判があった時期にショイグと司令官たちが武器の供給について話し合っている。 ワーグナー・グループはバフムートで勝利している。武器弾薬の供給について国防長官と司令官は話し合っている。ロシア軍がミサイルや砲弾などを使用している状況を見ると、枯渇している可能性はない。武器弾薬がなくなっているのはアメリカ/NATOだ。戦死者数はウクライナ軍が十数万人から30万人程度、ロシア軍はその1割りと見られている。プリゴジンの発言は奇妙だと言わざるをえない。アメリカ軍やウクライナ軍もそう考えているのではないだろうか。 西側の有力メディアはウクライナ軍が春に「反転攻勢」すると宣伝してきたが、まだ実行されていない。ウクライナのバディム・プリスタイコ駐英大使は5月2日にスカイ・ニュースの番組に登場、攻撃開始の遅れは悪天候、つまり気温の上昇で地面がぬかるみ、戦車が動けないからだと語っている。 実際、ぬかるみの中で身動きできなくなっているウクライナ軍をロシア軍はドローンやミサイルなどで攻撃、塹壕がウクライナ兵で死体で埋まっているというのだ。「反転攻勢」を自重しているのは当然のことだろう。もしロシア軍が混乱していると考えて「反転攻勢」を始めたならウクライナ軍にとって無惨なことになるだろう。プリゴジンはアメリカ/NATO/ウクライナ軍を誘っている可能性がある。 そのプリゴジンは4月21日、ドミトリー・ペスコフ大統領報道官の息子がワーグナー・グループの砲兵として6カ月間、ウクライナで戦ったことを明らかにした。そのペスコフ報道官は5月4日、2機のドローン(無人機)を使った3日のクレムリンに対する攻撃はアメリカ政府が決めたのであり、ウクライナ政府は命令を実行しただけだと語っている。 攻撃の直後、ドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長はウォロディミル・ゼレンスキーを排除するしかないと語った。そのゼレンスキーは5月3日にフィンランドを訪問している。報復を恐れて「逃げ出した」と考える人もいる。【追加】弾薬が不足しているという部隊による攻撃の様子:例えばココ
2023.05.07
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は4月28日現在、3万5028名に達した。VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%、あるいは数%にすぎないと言われているので、実数はこの数十倍から100倍程度になるはずだ。 現在、「COVID-19ワクチン」として使われている主なタイプは2種類ある。メッセンジャーRNA技術を利用したタイプとアデノウイルスをベクター(遺伝子の運び屋に利用したタイプだ。 mRNAタイプにはBioNTechとファイザーが共同開発した製品とモデルなが開発した製品があり、ジョンソン・アンド・ジョンソンやオックスフォード/アストラゼネカはベクターを利用している。 遺伝子操作薬で人間の細胞に抗原(コロナウイルスのスパイク・タンパク質)を作らせるのだが、スパイク・タンパク質自体が病気の原因になり、しかもそうした抗原生産細胞が全身に出現、免疫システムが機能して全身で炎症を引き起こすことになりかねない。 スパイク・タンパク質が病気の原因になることは「COVID-19ワクチン」の接種が始まって間もない2021年3月、カリフォルニア州サンディエゴ郊外にあるソーク研究所が発表している。解説記事も出された。 ソーク研究所は体制の中で権威とみなされ、多くのノーベル賞受賞者を出している。研究は各分野の先端を走り、研究論文の引用度は世界でもトップクラスだ。その研究所の発表した研究結果を「COVID-19ワクチン」推進派は「偽情報」扱いした。その『「偽情報」扱い』が間違いだったことが明白になったが、それでも日本は接種を推進する。 少なからぬ人が指摘しているが、「COVID-19ワクチン」というタグの付けられた薬品はワクチンでなく遺伝子操作薬だ。ドイツの巨大化学会社バイエルのステファン・ウールレヒも「mRNAワクチン」は遺伝子治療薬だとしている。その事実を知らせると95%の人が接種を拒否するため、「ワクチン」というタグをつけたという。 その遺伝子操作薬を最も早く打ち始めたのはイスラエル。2020年12月から接種を推進、それから間もなくして非接種者よりも接種者の方がSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)に感染しやすいという話が流れ始めた。イスラエルの病院は体調を崩した「ワクチン」の接種者であふれ、死者も増えているとジャーナリストのキム・イベルセンは伝えていた。深刻な副作用が出ているということだ。 2021年4月には十代の若者の間で心筋炎や心膜炎が増えていることが問題になり始める。アメリカのCDCは「COVID-19ワクチン」と心臓の炎症に関連性はないと主張するが、5月に「ワクチン」のデータを見直すと言わざるをえなくなり、緊急会議を開催することになった。そしてCDCのACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)は6月、「mRNAワクチン」と「穏やかな」心筋炎との間に関連がありそうだと語った。6月25日にFDA(食品医薬品局)はmRNA(メッセンジャーRNA)技術を使ったファイザー製とモデルナ製の「COVID-19ワクチン」が若者や子どもに心筋炎や心膜炎を引き起こすリスクを高める可能性があると発表している。CDCやFDAも「COVID-19ワクチン」が心筋に炎症を引き起こすことを認めざるをえなくなったわけだ。 FDAで「ワクチン研究評価室」を室長を務めていたマリオン・グルーバーと生物学的製剤評価研究センターで副センター長を務めてきたフィリップ・クラウスも執筆者に名を連ねる報告が2021年9月13日、イギリスの医学誌「ランセット」に掲載された。その中でmRNAを利用した製品は「心筋炎」を、またアデノウイルスをベクターに利用した製品はギラン・バレー症候群(根神経炎の一種)を引き起こす恐れがあるとしている。 これらを含め、「COVID-19ワクチン」の危険性を示す研究報告が全世界で次々に発表され、大多数の国では2022年に接種数が大幅に減少した。例外的に接種を推進していた国が日本だ。 モデルナの最高医療責任者を務めていたタル・ザクスは講演の中で遺伝子操作に意欲を見せていたが、モデルナは彼らが開発していたmRNA技術プラットフォームをコンピュータのOS(オペレーティング・システム)に準えている。そのOSで動かすプログラムがmRNA薬だという。ザクスはイスラエル出身。イスラエルのメディアにはヘブライ語で答えている。 ファイザーを率いているギリシャ人のアルバート・ブーラもイスラエルと関係が深い。彼の一族はスペインに住んんでいたセファルディで、15世紀半ばの追放令によってギリシャへ移住した。宝石や不動産を仕事にしていたようだ。ブーラは1993年、34歳の時にファイザーへ入社している。 ザクスやブーラは今でもイスラエルのエリートたちとつながりがあるはずで、それが「ワクチン」接種で先行した理由のひとつかもしれないが、2022年1月中旬から接種は事実上、止まる。 その2022年に「ワクチン」の接種を推進したのが日本。日本の医学界は第2次世界大戦中、生物化学兵器を研究開発していたことで知られている。大戦後にアメリカの国防総省がその研究開発を引き継ぐが、その後も日本の医学界とアメリカの国防総省とのつながりも切れていないだろう。現在、mRNA技術を使った薬の研究開発を行なっている会社はビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団などと関係が深い。
2023.05.06
クレムリンが2機のドローン(無人機)に攻撃を受けた直後にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はフィンランドを訪問、5月3日にはフィンランドのほかスウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの首相と会談した。記者会見で彼はウクライナがウラジミル・プーチン露大統領やモスクワを攻撃したとするロシア側の主張を否定した。 ロシアのトリー・ペスコフ大統領報道官は5月4日、攻撃目標を決めたのはアメリカ政府であり、ウクライナ政府は命令を実行しただけだと語り、アナトリー・アントノフ駐米露大使は「もしドローン(無人機)がホワイトハウス、議会、あるいは国防総省に突入した場合、アメリカ人はどのように反応するだろうか?」と問いかけ、「罰は厳しく、避けられない。」と語っている。適切と思われる場所と時期に報復する権利を留保するとペスコフは宣言した。 昨年2月24日にロシア軍がウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設を巡航ミサイルなどで攻撃し始めた直後、イスラエルの首相だったナフタリ・ベネットはアメリカと調整しながら停戦交渉の仲介に乗り出した。 3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって会談、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけた。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。ウクライナの治安機関SBU(事実上CIAの下部機関)のメンバーがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺したのはその3月5日だ。 ベネットによると、恐怖から掩蔽壕に隠れていたゼレンスキーはロシア政府がゼレンスキーを殺害しないと保証したことを確認した2時間後にゼレンスキーはオフィスで「私は恐れない」と宣言したという。 アンドレイ・パルビーと同じようにウクライナのネオ・ナチを率いてきたドミトロ・ヤロシュはウクライナ軍最高司令官の顧問。この人物はドロボビチ教育大学でワシル・イワニシン教授の教えを受けているが、この教授はKUN(ウクライナ・ナショナリスト会議)の指導者グループに所属していた。 KUNを組織したのはOUN-B(ステパン・バンデラ派)の人脈で、その指導者はバンデラの側近だったヤロスラフ・ステツコ。その妻にあたるスラワがKUNを率いていたが、ヤロスラフが1986年に死亡してからOUN-Bの指導者にもなった。スラワは1991年に西ドイツからウクライナへ帰国している。 スワラは2003年に死亡、イワニシンは2007年に死亡する。イワニシンの後継者に選ばれたのがヤロシュ。そのタイミングで彼はNATOの秘密部隊ネットワークに参加したと言われている。2007年5月にウクライナのテルノポリで開かれた欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議で議長を務めた。 ジハード主義者とはサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とする人びと。「原理主義者」と言われることもあるが、イスラムの思想に傾倒しているとは言えない。 NATOの秘密部隊は第2次世界大戦の終盤にアメリカとイギリスの情報機関が組織したゲリラ戦部隊「ジェドバラ」を源流とする。大戦中、西ヨーロッパでドイツ軍と戦っていたのはレジスタンス。その主力はコミュニスト。ジェドバラはレジスタンス対策で作られたのだ。その人脈は大戦後も生き続け、西側連合秘密委員会(CCWUまたはWUCC)が統括していた。 大戦後、アメリカの情報機関OSSは解散になるが、やはり人脈は生き続けて極秘の破壊工作機関OPCになる。OPCで活動した重要人物のひとり、ジェームズ・バーナムはネオコンが誕生する際に重要や役割を果たした。1952年にはその機関が核にしてCIA内部に「計画局」が設置された。その後、この秘密工作部門は肥大化、CIAを事実上乗っ取る。 その一方、アメリカやイギリスの支配層は1949年4月、ヨーロッパを支配するためにNATO(北大西洋条約機構)を創設した。創設時の参加国はアメリカとカナダの北米2カ国に加え、イギリス、フランス、イタリア、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベルギー、オランダ、そしてルクセンブルクの欧州10カ国だ。 NATOの初代事務総長に就任したヘイスティング・ライオネル・イスメイはウィンストン・チャーチルの側近で、NATO創設の目的について「ソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつける」ことにあると公言している。ヨーロッパですでに作られていた破壊工作部隊はNATOの秘密部隊として活動し始めた。 秘密部隊は全てのNATO加盟国で設置され、それぞれ固有の名称がつけられている。イタリアのグラディオは有名だ。こうした秘密部隊は活動すべてが米英の情報機関、つまりCIAとMI6がコントロール、各国政府の指揮下にはない。 ウクライナの軍事組織に大きな影響力を持つヤロシュが所属していると言われているNATOの秘密部隊は各国政府の指揮下にはなく、ゼレンスキーが指揮しているわけでもない。米英情報機関の命令で動くということだ。
2023.05.05
クレムリンを2機のドローン(無人機)で攻撃した出来事についてロシアのトリー・ペスコフ大統領報道官は5月4日、攻撃目標を決めたのはアメリカ政府であり、ウクライナ政府は命令を実行しただけだと語っている。ジョー・バイデン政権がウラジーミル・プーチン大統領を殺害しようとしたというわけだ。適切と思われる場所と時期に報復する権利を留保するとペスコフは宣言している。 西側の有力メディアはウクライナ軍が春に「反転攻勢」すると宣伝してきたが、まだ実行されていない。ウクライナのバディム・プリスタイコ駐英大使は5月2日にスカイ・ニュースの番組に登場、攻撃開始の遅れは悪天候、つまり気温の上昇で地面がぬかるみ、戦車が動けないからだと語っている。実際、ぬかるみの中で身動きできなくなっているウクライナ軍をロシア軍はドローンやミサイルなどで攻撃、塹壕がウクライナ兵で死体で埋まっているという。プリスタイコ大使もウクライナ軍の死傷者数は身の毛のよだつ数字だとも語っている。 こうした戦況についてポーランド軍のライモンド・アンジェイチャク参謀長はウクライナ軍の置かれている状況は良くないように見えると発言、アメリカ陸軍大将で欧州連合軍最高司令官(SACEUR)を務めるクリストファー・カボリはウクライナで活動しているロシア軍が昨年2月に特別軍事作戦を開始したときよりも大きいと説明している。動員された兵士をほとんど投入していないロシア軍には兵力に余裕があることをカボリ司令官も認めている。 昨年3月の上旬には停戦でロシア政府と合意していたウクライナ政府に戦争を継続させたのはアメリカとイギリス。ところが米英両国を含むNATO諸国はウクライナへ供給する武器弾薬を底をつき、韓国に助けを求める事態になっている。ウクライナ軍による「春の反転攻勢」は無理だと考えるのが常識的だ。実行すれば壊滅的な結果が待つ。 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領も戦況は良くないと3月23日に発言、3月29日にはバフムート(アルチョモフスク)で負けたならロシアに「妥協」しなければならないだろうと語っている。 4月26日にはウクライナでの和平交渉を仲介するとしている中国の習近平国家主席とゼレンスキー大統領は電話で話し合ったというが、電話したのはゼレンスキーで、バイデン政権に無断で行ったという。アメリカ政府の外交政策チーム、つまりネオコンは憤慨した。 その会談で習近平はロシア語の通訳を使ったことも注目されている。ウクライナ語の通訳が中国にいないとは思えない。中国はゼレンスキーにロシア語を使わせたということだ。 日本を含め、西側ではロシアや中国を蔑視することで自分たちが優位に立っていると思いたがっている人が少なくない。アメリカやイギリスのエリートはスラブ人やアジア人を蔑視している。その背景には19世紀に始まった優生学がある。 イギリスから始まり、アメリカへと広がった優生学によると、最も優秀な種はアングロ・サクソン。その優生学を取り入れたドイツでは優れた種をアーリア人と表現した。彼らはスラブ人やアジア人を劣等だと考える。アングロ・サクソンのエリートにとって日本人も劣等種ではあるものの、役に立つ劣等種だ。 こうした信仰は北方神話と結びついているが、その蔑視が西側、つまりアメリカたヨーロッパを窮地に追い込み、米英に従属している日本も破滅への道を歩いている。
2023.05.05
モスクワにあるロシアの中枢、クレムリンが5月3日に2機のドローン(無人機)に攻撃されたが、施設は損害を受けず、死傷者もいないようだ。ロシア政府はウクライナ政府が実行したと批判、ウクライナ政府はロシア政府の自作自演だとしている。 しかし、黒幕はアメリカで対ロシア戦争を推進してきたネオコンである可能性が高い。アメリカの支配層内でもウクライナにおける戦闘継続を疑問視する声が強まっているのだ。ウクライナ系のネオコンはロシア軍と戦争継続を望んでいるが、そうした展開を実現するためには何かショッキングな出来事が必要だ。そうした出来事で戦争をエスカレートさせなければならないということである。そうした状況の中、クレムリンが2機のドローン(無人機)に攻撃されたのだ。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ウクライナでの戦闘は2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用してビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したところから始まる。このクーデターをヤヌコビッチ支持基盤だった東部や南部の住民が拒否、ドンバスでは内戦になったのだ。 ドンバスを制圧するためにアメリカ/NATOはクーデター体制の軍事力を増強し始め、ドンバス周辺を地下要塞化した。アンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューでミンスク合意が戦力増強のための時間稼ぎにすぎなかったことを認めている。その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語った。その間、ウクライナでアメリカの国防総省は生物兵器の研究開発を進めている。 それから8年かけてアメリカ/NATOはクーデター体制の軍事力を増強、2022年にはドンバスへ軍事侵攻して住民を虐殺、ロシア軍を地下要塞で囲まれた地域へ誘い込んで封じ込め、その間にクリミアへ軍事侵攻する作戦だったともみられている。 そうした計画をロシア政府は見通していた。2014年にクーデターがあった直後、ウラジミル・プーチン大統領の側近のひとりはアメリカ/NATOがドンバスを攻撃した後、クリミアへ軍事侵攻するとテレビの討論番組で語っていた。 そこで、ロシア軍はウクライナ軍が動く直前、ドンバス周辺に集結していたウクライナ軍、あるいは生物兵器の研究開発施設を巡航ミサイルなどで攻撃する。昨年2月24日のことだ。短期間にキエフ政権軍は大きなダメージを受け、そして停戦交渉が始まる。 その交渉を仲介した人物はイスラエルの首相だったナフタリ・ベネット。彼によると、話し合いで双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうだった。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はNATOへの加盟を諦めるとしたいう。 2022年3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけた。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。ウクライナの治安機関SBUのメンバーがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺したのはその3月5日だ。クーデター直後からSBUはCIAの下部機関化している。 ウクライナの戦乱はアメリカ/NATOが始め、継続させてきたが、すでにNATO諸国はウクライナへ供給する武器弾薬を底をつき、韓国に助けを求める事態になっている。ロシアの軍事的能力、生産能力をネオコンは見誤り、迷走し始めた。
2023.05.04
西側の有力メディアが宣伝してきたウクライナ軍の「反転攻勢」はまだ実行されていない。ウクライナのバディム・プリスタイコ駐英大使は5月2日にスカイ・ニュースの番組に登場、攻撃開始の遅れは悪天候、つまり気温の上昇で地面がぬかるみ、戦車が動けないからだと語った。部隊の集結が早すぎ、自らロシア軍のトラップにかかってしまったと言えるだろう。同大使はイクスプレス紙に対し、ウクライナ軍の死傷者数は身の毛のよだつ数字だとも語っていた。 泥沼で身動きが取れないウクライナ軍をロシア軍はドローンやミサイルで攻撃、「肉挽き器」状態になっていると言われている。塹壕がウクライナ兵で死体で埋まっているということだ。そうした状態を明らかにする上空から撮影した映像やウクライナ兵の証言も流れている。 ウクライナ軍はNATO軍の命令で動いていると言われているが、その命令が「玉砕戦法」だ。ウクライナ軍が1日に発射する砲弾の数は約7700発、ロシア軍はその3倍だとウクライナ軍当局者が話しているとも伝えられている。 十分な軍事訓練を受けられないままウクライナの兵士は「肉挽き器」へ投げ込まれ、その戦死者は十数万人から30万人、あるいはそれ以上に達し、ロシア軍の戦死者はその1割以下だと推定されている。そのロシア軍はまだ動員した兵士を事実上、投入していない。 アメリカ陸軍大将で欧州連合軍最高司令官(SACEUR)を務めるクリストファー・カボリによると、ウクライナで活動しているロシア軍は昨年2月に特別軍事作戦を開始したときよりも大きく、兵力に余裕があると指摘、また損害は戦艦1隻、戦闘機や戦術爆撃機80機にとどまっているともしている。 現在、戦闘の中心はバフムート(アルチョモフスク)。NSC(国家安全保障会議)のジョン・カービー戦略広報調整官はロシア軍が負けていると主張しているが、当事国以外の分析ではバフムートの80から90%をロシア軍が制圧している。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領でさえ戦況は良くないと3月23日に発言、3月29日にはバフムート(アルチョモフスク)で負けたならロシアに「妥協」しなければならないだろうと語った。 アメリカの支配層内でもウクライナでの戦闘継続を疑問視する声が強まっているようだが、ウクライナ系のネオコンがロシア軍と戦争継続を望んでいる。実行すれば壊滅的な結果が予想されている「反転攻勢」に執着している。 中国の有名な兵書『孫子』は戦争を「国の大事」と表現、人びとの死生や国の存亡がかかっているので慎重に考えなければならないとしているが、ネオコンは国民の死生も国の存亡も無視、ひたすらロシアとの戦争へ突き進もうとしている。 孫子はまず「道」を考えろとしている。人びとの意思と支配者を一体化させなければならないとうことだが、ネオコンは個人的な欲望のために戦争を進めてきた。通常なら人びとは戦争に賛成しないだろうが、それを逆転させるために洗脳を行う。その仕組みが「教育」であり、「報道」である。 好戦派に属すビクトリア・ヌランド国務次官やアントニー・ブリンケン国務長官には似た個人的な背景がある。 ヌランドは2014年2月のウクライナにおけるクーデターで中心的な役割を果たした人物で、父方の祖父母がウクライナからの移民。ブリンケンの場合、父方の祖父がウクライナ出身だ。ちなみにポーランド駐在大使を務めているマーク・ブレジンスキーの父親はアメリカの反ロシア戦略で重要な役割を果たしたズビグネフ・ブレジンスキー。この人物はポーランドの生まれだが、一族の出身地ブゼザニは現在、ウクライナに含まれている。
2023.05.04
ウクライナの戦乱はバラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用して実行したクーデターから始まる。ネオ・ナチのメンバーがNATO諸国で軍事訓練を受けていたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。 平和を望むなら憲法を粉砕するクーデターを認めてはならず、クーデター体制を承認してはならなかったが、クーデターを仕掛けたアメリカ、そしてその従属国はクーデターを受け入れた。クーデター体制を拒否する東部や南部の人びとに残された道はロシアに保護を求めるか、抵抗を始めるしかなかったのだ。 オバマ政権がクーデターで民主的に選ばれた政権を倒したのは、民主的な手段で傀儡政権を樹立できないと判断したからだろう。ソ連が消滅した後、アメリカをはじめとする西側の強大な私的権力はウクライナでも新自由主義的な政策を推進、そうした私的権力の手先がオリガルヒと呼ばれる富豪になる一方、大多数の庶民が貧困化した。 そうした状況に対するウクライナ国民の不満は膨らむ。そして2010年の大統領選挙で東部地域や南部地域を支持基盤にするビクトル・ヤヌコビッチが当選したのだが、それをオバマ政権は嫌った。自分たちに都合の悪い政権にアメリカの私的権力は「独裁者」とか「全体主義」といったタグをつける。 7割以上の有権者がヤヌコビッチを支持していたウクライナの東部や南部では反クーデターの機運が高まり、クーデターから間もない2014年3月16日にはクリミアでロシアへの加盟の是非を問う住民投票が実施され、95%以上が賛成する。投票率は80%を超えていた。 ドネツクとルガンスクでも5月11日に住民投票が実施された。ドネツクは自治を、またルガンスクは独立の是非が問われたのだが、ドネツクでは89%が自治に賛成(投票率75%)、ルガンスクでは96%が独立に賛成(投票率75%)している。この結果を受けて両地域の住民はロシア政府の支援を求めたが、ロシア政府は動かない。 そうした動きを阻止するためにアメリカ政府も動く。まず4月12日にはジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問、22日には副大統領を務めていたジョー・バイデン現大統領もキエフを訪れた。バイデンの訪問に会わせるようにしてキエフのクーデター政権は黒海に面した港湾都市オデッサでの工作を話し合っている。 会議に出席したのは大統領代行、内相代行、SBU(治安機関)長官代行、そしてネオ・ナチの中心的な存在だったアンドレイ・パルビー。オブザーバーとしてドニエプロペトロフスクの知事になるイゴール・コロモイスキーも出席している。ちなみにコロモイスキーはウクライナのほかイスラエルとキプロスの国籍を持ち、スイスをビジネスの基盤にしている。 会議を受け、パルビーは4月29日に数十着の防弾チョッキをオデッサのネオ・ナチへ渡している。そのグループが5月2日にオデッサで住民を虐殺したのだ。武力衝突ではない。 虐殺は5月2日午前8時に「サッカー・ファン」を乗せた列車が到着したところから始まる。赤いテープを腕に巻いた一団がその「ファン」を広場へ誘導するのだが、そこではネオ・ナチのクーデターに対する抗議活動が行われていた。「サッカー・ファン」にはネオ・ナチが少なくないという。 広場にいた反クーデター派の住民は労働組合会館の中へ誘導されている。危険なので避難するようにと言われたようだが、実際は殺戮の現場を隠すことが目的だったと推測する人もいる。 その後、外から建物の中へ火炎瓶が投げ込まれて火事になる。その様子は撮影され、インターネット上に流れた。建物へ向かって銃撃する人物も撮られているが、その中にはパルビーから防弾チョッキを受け取った人物も含まれている。(建物内部の惨状も映像に記録されているが、本ブログでは掲載しない。) 建物の中は火の海になる。焼き殺された人は少なくないが、地下室で殴り殺されたり射殺された人もいた。その際、屋上へ出るためのドアはロックされていたとする情報もある。会館の中で48名が殺され、約200名が負傷したと伝えられたが、現地の人の話では多くの人びとが地下室で惨殺され、犠牲者の数は120名から130名に達するという。虐殺の詳しい調査をキエフのクーデター政権が拒否しているので、事件の詳細は今でも明確でない。その後、オデッサはネオ・ナチに占領された。 オデッサの虐殺から1週間後の5月9日、クーデター政権は戦車部隊をドンバスへ突入させた。この日はソ連がドイツに勝ったことを祝う記念日で、ドンバスの住民も街に出て祝っていた。その際、住民が素手で戦車に立ち向かう様子が撮影されている。そしてドンバスで内戦が始まるのだ。
2023.05.03
ポーランドのライモンド・アンジェイチャク参謀長はウクライナの戦闘でアメリカ/NATOがロシアに負けると懸念しているようだ。ウクライナ情勢に関する情報を収集し、分析するならば、必然的にそういう結論に到達する。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領でさえ、戦況は良くないと読売新聞に対して3月23日に発言、3月29日にはバフムート(アルチョモフスク)で負けたならロシアに「妥協」しなければならないだろうとAPに対して語った。 ロシアの傭兵会社ワーグナー・グループを率いるイェフゲニー・プリゴジンは3月29日、彼らはバフムート(アルチョモフスク)を事実上、制圧したと語った。武器弾薬が枯渇、訓練も不十分なウクライナ兵の死体がバフムートでも山のようになっているとする情報は偵察機の映像やウクライナ兵の証言でも明らかだ。(例えばココ) 昨年2月24日にロシア軍はウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設を巡航ミサイルなどで攻撃しはじめた。ドンバス(ドネツクやルガンスク)の周辺に集まっていたウクライナ軍は大きなダメージを受けたと言われている。 ウクライナでは2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ってビクトル・ヤヌコビッチ大統領をクーデターで排除、ネオ・ナチの影響力を強く受けたクーデター体制が始まった。ところが軍や治安機関の内部にもクーデターを拒否する人は少なくなかったようで、一部はドンバス軍に合流したと言われている。そこで、アメリカ/NATOはクーデター体制の軍事力を増強するための時間が必要になる。 クーデターから間もなく、ドイツとフランスの仲介でミンスク合意が締結された。この合意をキエフ政権は守らなかったが、ドイツ政府もフランス政府も本気で戦争を止めるつもりはなかったことが昨年12月に判明した。 合意締結の当事者だったアンゲラ・メルケル元独首相が昨年12月7日にツァイトに対し、ミンスク合意が時間稼ぎにすぎなかったことを認めている。その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語った。 その後、8年間にアメリカ/NATOはクーデター体制の軍事力を強化するために武器弾薬を供給し、兵士を訓練、ドンバスの周辺に地下要塞を建設した。 岩塩の採掘場があるソレダルでは全長200キロメートルという「地下要塞」が築かれたが、同じようの要塞はドンバスの周辺に広がっていると言われている。住民を虐殺することでロシア軍を引き入れ、身動きできなくした上で、NATO加盟国で訓練していた別働隊にクリミアを攻撃させる作戦だったのではないかという推測もある。 反ヤヌコビッチ政権のクーデターが計画されていると2013年11月20日にウクライナ議会で議員として警告したオレグ・ツァロフは22年2月19日に緊急アピール「大虐殺が準備されている」を出している。 その作戦にはロシア語系住民を狙った「民族浄化」が含まれ、キエフ政権の軍や親衛隊はドンバスで自分たちに従わない住民を虐殺しようとしているとツァロフは主張、SBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行するともしていた。 ロシア軍はウクライナをミサイルで攻撃し始めた直後からウクライナ側の重要文書を回収し始めた。その中には生物兵器の研究開発に関するものだけでなく、ドンバス攻撃計画に関する文書も含まれていた。 その文書によると、ゼレンスキーが1月18日に出した指示に基づいて親衛隊のニコライ・バラン上級大将が1月22日に攻撃の指令書へ署名、2月中に軍事作戦の準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたという。ロシア軍はその直前に動いたことになる。 ドンバスを攻撃するために集結していたウクライナ軍はロシア軍のミサイル攻撃で壊滅的なダメージを受け、ゼレンスキー政権はロシア政府と停戦交渉を始めるが、それをアメリカのネオコンやイギリス政府が壊した。 キエフ政権の親衛隊は住民を人質にしていたが、ロシア軍に解放された後に住民は親衛隊が脱出を図った人などを殺傷したと証言、クーデター体制側の残虐行為も明らかにしているが、西側の有力メディアはそうした証言を無視するだけでなく、「編集」で証言内容を逆にして「報道」している。 そうした「編集」の一端はドイツの雑誌「シュピーゲル」が明らかにした。マリウポリのアゾフスタル製鉄所から脱出した住民のひとり、ナタリア・ウスマノバの証言を3分間の映像付きで5月2日に伝えたのだが、同誌はすぐに削除する。ショルツ内閣や米英の政権にとって都合の悪い事実、つまり残虐なウクライナの占領軍からロシア軍が救い出してくれたと話しているからだ。ロイターは「編集」によってウスマノバがロシア軍を批判しているかのように改竄していた。(インタビューのロイター版と削除部分の映像) アメリカは1990年代からプロパガンダのために広告会社を雇うようになり、ハリウッド的な物語で人びとをたぶらかしはじめた。勿論、そうしたことは以前から行われていたが、2011年春にリビアやシリアをアル・カイダ系武装集団を使って侵略するようになると、「報道」の大半が偽情報になった。その後、プロパガンダは強化されていくが、ここにきて彼らの嘘は事実に押しつぶされそうだ。 ウクライナ軍の戦死者は十数万人から30万人程度だとも言われ、塹壕は死体で埋まっていると報告されている。作戦を指揮しているNATOがウクライナ兵に対して「玉砕戦法」を強要してきたこともそうした状況を生み出した一因だろう。 ウクライナをロシアと戦争するように仕向けた西側の強大な私的権力はゼレンスキー政権に膨大な資金と武器弾薬を提供してきた。その結果を出すようウクライナ側へ要求しているようだが、武器弾薬は枯渇、兵士の訓練も不十分。一世代前の戦車や劣化ウラン弾で戦況が変化するとは思えない。ウクライナの破壊が進むだけだ。 アングロ・サクソンの私的権力はスラブ民族に対する差別意識によってロシアを過小評価、窮地に陥った。その窮地から脱するため、中国へ「転進」しようとしている勢力もある。アジア人への差別意識から「中国なら勝てる」と考えているのかもしれない。
2023.05.02
イギリスのジェームズ・ヒーピー国防閣外大臣は4月25日、同国がウクライナへ供給した「チャレンジャー2」戦車と劣化ウラン(DU)弾はすでにウクライナ軍の管理下にあり、イギリス国防相は発射地点を監視していないことを明らかにした。チャレンジャー2は劣化ウラン弾を発射できる。 劣化ウラン弾は2003年3月にアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃した際、問題になった。この攻撃に参加したのはアメリカ軍24万8000人のほかイギリス軍4万5000人、オーストラリア軍2000人、ポーランドの特殊部隊GROMの隊員194名、そしてクルドの武装集団ペシュメルガから7万人だとされている。 こうした侵略軍によってファルージャでは大量殺戮が実行されたが、その際に劣化ウラン弾が使われたという。その後、ファルージャやバスラでは新生児に奇形や脳の障害などが多発しているという報告がある。環境汚染毒物学紀要という専門誌に掲載された論文によると、ファルージャで2007年から10年にかけて生まれた新生児の場合、半数以上に先天性欠損があったという。1990年代以前には2%以下、2004年に占領軍から攻撃される前は約10%だとされている。 バスラの産院における先天性欠損の割合は、1994年から95年にかけて1000人のうち1.37人だったが、2003年には23人、そして2009年には48人に増えている。また、ファルージャやバスラの子どもたちの頭髪から鉛が通常の5倍、水銀が通常の6倍と異常に高いともいう。そうした原因は劣化ウラン弾だと一般的には言われている。劣化ウラン弾が環境を汚染し、放射能障害を引き起こすことは間違いないだろう しかし、それ以外の原因もあると考える人がいる。例えば、2011年10月にファルージャを調査したウルスター大学のクリストファー・バスビー教授によると、そこで濃縮ウラニウムを人の髪の毛や土の中から検出したと語っている。 2006年7月から9月にかけてイスラエル軍はレバノンを軍事侵攻したものの、ヒズボラに敗北。その際にイスラエルが誇るメルカバ4戦車も破壊された。それ以降、イスラエルはミサイルや航空機での攻撃が主体になる。その侵攻作戦の直後にバスビー教授はレバノンへ入った。 バスビーは残されたクレーターを調査、その中で濃縮ウラニウムが見つかったという。レバノンやガザを走っていた自動車のフィルターからもそうした物質が発見されたという。劣化ウラン弾ではなく、濃縮ウラニウムを使う兵器が利用された可能性がある。 これに対し、ロシア軍は4月から最新鋭戦車のT-14をドンバスへ配備し始めたようだ。弾道弾の射程は7キロメートル、ATGM(対戦車誘導ミサイル)を使用する場合は12キロメートルだと言われ、性能はNATOの戦車を上回る。しかもロシア軍の戦車は航空兵力の支援を受けられるが、ウクライナ軍は困難だ。劣化ウラン弾で戦況を変えることはできない。単に環境を汚染するだけだ。 昨年11月、シュピーゲル誌はドイツ軍がロシアとの戦争の準備をしているとする記事を掲載した。ドイツ軍のエバーハルト・ツォルン参謀総長が「軍隊の作戦ガイドライン」と題された秘密の草案を作成。ロシアを「差し迫った脅威」だとし、ドイツ軍はこの時点でロシア軍との戦争を準備し始めたとみなされている。 アンナレーナ・ベアボック外務大臣は昨年8月31日から9月2日にかけてプラハで開かれた「フォーラム2000」で、「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言して非難され、欧州議会で「われわれはロシアと戦争している」と公言している。 西側では「反転攻勢」が宣伝されているが、すでにアメリカ/NATO軍は武器弾薬が枯渇。武器弾薬が十分にあり、戦力が温存されているロシア軍に「反撃」することは難しい。 2014年2月にバラク・オバマ政権はネオ・ナチを利用したクーデターでウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権を2014年2月に倒したものの、クリミアやドンバスを制圧できない。ロシア軍の生産力と戦闘能力を見誤り、アメリカ/NATOの敗北は決定的だ。ウクライナが「反転攻勢」することはできそうにない。 そうした中、中国が「停戦」を実現しようと動いている。アメリカのメンツを潰さずに戦闘を終えるシナリオを考えているのだろう。ウクライナはロシアからEUへ天然ガスや石油をウクライナ経由で運んでいたが、中国の「一対一路(BRI)」もウクライナを通過する。ウクライナのクーデターは19世紀から続く長期戦略に基づいているが、短期的にみるとロシアのパイプライン、中国のBRIが重要なファクターだろう。
2023.05.01
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